東方魔進録   作:鯛の塩焼き

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タケル殿!なかなか話が進まないのはゴーストの仕業に違いありません!不可思議研究所の出番ですぞ!!




第4話 破壊拳銃は何を語るのか

文と山を降り始めてからすでに数分が経とうとしていた。

 

妖怪の山の並木道は目にも鮮やかな紅葉に囲まれている。下山するのに多少の時間はかかるものの、秋にはこのような景色を見ながら歩けるのが山の利点でもあり醍醐味でもある。

 

文「さてと、山を降りたらまずどこから回りましょうかね〜。まぁ取り敢えずは知っておいて役に立つ場所から行くということでいいですか?」

 

チェイス「あぁ。頼む。」

 

にとりの話を聞いていていくつか気になる場所はあったが、まずは幻想郷の住人である文に重要な場所を教えてもらう方が先だろう、と後回しにする。

 

文「じゃあまずは・・・やっぱり人里ですかね。」

 

文がそう言うと、二人の間にしばらくの沈黙が訪れる。というのも、歩き始めてからチェイスがなかなか喋らない事に原因があった。文が思うのは「普通の人間ならもっと質問責めにしてくるんじゃないのか?この状況でなぜそこまで無口でいられるのか。」ということ。

 

文「(なーんか怪しいんですよねー。いや怪しいというか不思議というか・・・実は何か企んでるとか・・はたまた人間じゃないとか)」

 

チェイス「文。」

 

人間じゃない。と考えたのは軽い冗談だが突然本人に声をかけられ少し慌てる文。

 

文「は、はい何でしょうか?」

 

チェイス「文は何の妖怪なんだ?」

 

文「へ?」

 

思っていたよりも平凡な話に少し気が抜ける。あまりにも無難な質問だったため、無駄に思考を張り巡らしていた自分がバカのようである。

 

チェイス「どうかしたか?」

 

文「あ、いや何でも。私の種族は天狗でして、その中でも烏天狗という妖怪に分類されます。」

 

チェイス「なるほど。」

 

素早く落ち着きを取り戻すと、冷静に説明をする。

 

文「はい!天狗の特徴といえばやはり仲間意識ですかね。基本的に妖怪は仲間などを作らず各々がやりたいように生活してるんです。」

 

文「でも天狗はこの山を拠点にしてしっかりとした社会を作っていますから、仲間の為に行動する幻想郷ではあまりない種族ですね。」

 

話を聞いていたチェイスが突然うつむき真剣な顔をする。

 

文「チェイスさん?」

 

チェイス「仲間・・・か・・」

 

チェイス「俺にもそんな奴がいたのだろうか。」

 

この言葉を聞いて文は思った。

 

人間味のない男だと思っていたが「仲間」という言葉に反応を示したこの表情を見ていると、この男には記憶を失う前仲間といえる存在がいたのではないのか

 

そう思うと急に人間らしい人間に見えてきたのだ。

 

文「(まだ分かりませんが・・・また面白い情報ですね。)」

 

いつの間にか文はこの謎だらけの男に少しづつ興味を示していた。

 

文「・・山ももう終わりですね。ここからまた少し歩くと人里に・・あっそうでした!」

 

突然思い出したかのように話す。

 

文「人里の前に「香霖堂」という道具屋さんがありまして。そこの店主は道具を一目見るだけでどんな道具なのかを知ることができる、っていうすご技の持ち主なんですよ!」

 

チェイス「・・・!・・ならこれを・・・」

 

チェイスも思い出したかのように懐からある物を取り出す。今朝机の上から持ってきた物だ。

 

文「何でしょうかそれ・・まぁ見て欲しい物があるなら尚更行くべきですね。なんせあそこの店主は道具の情報を一目で知ることが出来ますから!」

 

山降りると草木が乱暴に生えた足場を少し歩く。すると少し開けた場所に小さい建物があった。店の玄関上には「香霖堂」の文字が。

外装は古い建物だが最低限の掃除はしてある、といった感じだ。

 

ギギィ・・・

 

文「んしょっ・・・と。・・・霖之助さーん?」

 

文が少し立て付けの悪い扉を開けると店主であろう人物の名前を呼ぶ。

 

 

「いま行くよ。少し待っていてくれ。」

 

 

店主の声が聞こえると、文に遅れてチェイスも扉をくぐる。

 

少し埃っぽい空気に、所狭しと並べられた物。見覚えのある物や何に使うかも分からない物まで置いてある。店の雰囲気は悪く言えば「古臭い」、良く言えば「味が出ている」といった感じだ。

 

店を少し見ていると奥から足音が聞こえてくる。慌ただしいものではなくあくまでマイペースな足音。それを聞くだけでどのような人物かが何となく分かる。

 

「お待たせ・・・って君か。珍しいね。そっちの人は知り合いかい?」

 

出てきたのは落ち着いた足音に似つかわい風貌の青年。銀の髪に四角い眼鏡がなんとも知的な雰囲気を思わせる。

 

文「えぇ。こちら外来人のチェイスさんです。」

 

男「へぇ・・・外来人か。僕はここの店主の森近霖之助だ。よろしく。」

 

霖之助と名乗った男は「外来人」というワードに些か興味を示しているようにも見える。

 

チェイス「あぁ、よろしく。」

 

霖之助「それでどうしてこの店に?」

 

文「チェイスさんの幻想郷ツアーということで見聞を広めてるんですよ。それと一つ見てもらいたい物がありまして・・」

 

霖之助「いいだろう。それでどれを見るんだい?」

 

チェイス「これなんだが・・本当に見るだけでわかるのか?」

 

懐から例の物を霖之助に渡すも今だに信じられないといった顔のチェイス。

 

霖之助「分かるよ。それが僕の「能力」だからね。」

 

「能力」についてはにとりから聞いている。幻想郷には特殊な能力をもった者がよくいる、といったものだ。妖怪や神がいる時点でそこまで驚く事でもないが。ちなみににとりは水を自由に操れる、らしい。

 

霖之助「じゃあ見るよ。・・・・・・・・ふむ。」

 

ただ見つめているようにしか見えないが、霖之助には「見えて」いるのだろう。

 

少しの間黙り込んで目を凝らす霖之助。

 

霖之助「やはり武器のようだね。名前は・・・」

 

霖之助「ブレイクガンナーか。」

 

文「おぉ!かっこいいですね!」

 

霖之助「銃攻撃と打撃攻撃を使い分けれるようだ。それで用途は・・・」

 

霖之助は少し間を開け、呟く。

 

 

霖之助「ロイミュードを処刑するための武器・・・ロイミュード?」

 

 

聞きなれない単語が出てきた事で、この場にいる全員が困惑する。

 

文「ロイミュード・・とは何でしょうか。それに処刑って・・」

 

霖之助「あともう一つは・・・ん?」

 

説明中の霖之助と物騒な言葉に疑問を持つ文は、チェイスの様子がおかしい事に気がついた。

 

文「チェイスさん?」

 

確かに聞こえている筈の文の声は、なぜかチェイスに届いていなかった。

 

 

 

 

 

 

ロイミュード・・・

 

 

友達が減るのは悲しいものだ

 

ロイミュードは黙ってろォ!!!!

 

 

ロイミュード・・・・・

 

不必要なロイミュードが生まれました・・・チェイス、リセットを

 

 

俺はロイミュードの番人・・・

 

 

 

チェイス「ぐっ・・・」

 

またあの頭痛だ

 

ロイミュードとは一体何なんだ

 

友達?リセット?番人?

 

分からない・・

 

 

文「あややや!?チェイスさん!?」

 

霖之助「彼どうかしたのかい!?」

 

文「えぇっと実はですね・・」

 

 

 

 

 

 

 

霖之助「記憶喪失か・・それで何か思い出しそうになって頭を押さえてたのか。」

 

文「チェイスさん大丈夫ですか?」

 

チェイス「あぁ・・・」

 

文が心配そうにたずねる。

 

霖之助「ふぅ。突然だったからびっくりしたよ。」

 

チェイス「すまない・・・」

 

文「どうします?今日はここらで・・」

 

文が続きを言う前にチェイスが遮る。

 

チェイス「・・・いや。大丈夫だ。この程度で止まっていては記憶を全て思い出すなんて不可能だ。」

 

珍しく食い気味に話すチェイスを見て目を丸くする文。

 

霖之助「・・どうして記憶を取り戻したいんだ?「気になるから」なんていう程度の気持ちじゃないんだろう?」

 

霖之助はチェイスの瞳に「使命」、または「本能」にも似た意思が宿っていることに気がついていた。

 

チェイス「取り戻さなくてはならない。・・そんな気がする。」

 

その言葉を聞いて少し驚いたがすぐに表情を変え、笑みを浮かべる。

 

霖之助「・・・フフッ。ならこんな所に居ないではやく別の場所に行くことだね。君の「なすべき事」があるかもしれない。」

 

チェイス「・・感謝する。」

そういうとチェイスは霖之助からブレイクガンナーを受け取り。店の外へ歩いて行った。

 

文「え、ちょ、待って下さいよぉ!

 

文も遅れて店を出ていく。

 

文「大丈夫なんですか!?」

 

チェイス「あぁ。次の場所に行こう。」

 

平然とした顔のチェイスは、文をより心配される要素の一つになっていた。

 

文「無理してませんか・・?」

 

チェイス「大丈夫だ。それに・・・」

 

文「それに・・・?」

 

 

チェイス「何だか嫌な予感がする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霖之助「・・・彼大丈夫なのかな」

 

霖之助「そういえばあと一つの機能を言いそびれてしまった。何だったかなぁ・・・」

 

再び静かになった香霖堂で一人呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くから人間を見つめる黒い影がいた。

 

「いた・・・・人間だ・・!!」

 

「それにあの量・・・暴れ甲斐があるってもんだ!」

 

「俺を・・・暴れさせろ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




ゴーストすげぇ面白いけど後半までこの内容の濃さ保てるか心配です。前半だけ面白い現象が起きそうで怖い。



指輪の魔法使い「呼んだ?」
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