東方魔進録   作:鯛の塩焼き

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年末忙しくて遅れました。すいません許してください!にとりがなんでもしますから!






第6話 その引き金を引くのは誰か

 

「あ〜寒・・・・どっかに異変でも落ちてないからしら。」

 

ブツブツと独り言を言いながら少女は空を飛ぶ。

 

この幻想郷において空を飛ぶなんて事は日常茶飯事であり、飛べない者からしても見慣れた光景となっている。

 

「寒い寒い・・・・だいたいこの服が悪いのよ。生地は薄いし肩は丸出しだし・・・」

 

おかしな愚痴をこぼしているが、言っている事は正しい。なぜなら少女の着ている服は自分で選んで着ている服ではなく、「着なければならない」服だからだ。

 

「なんで巫女服ってこんな寒いのよ〜・・・この服を考えた奴がいたら引っ叩いてやりたいわ。」

 

紅白の巫女服に身を包んだ少女の名は博麗 霊夢。

今は訳あって「退治されるべき妖怪」を探している。

 

霊夢「悪さをする妖怪はいないからしら〜〜〜〜〜ていうか出て来なさい。」

 

妖怪退治は博麗の巫女の仕事。そして仕事というだけあって霊夢の収入源でもある。近頃は好き勝手に悪さをする妖怪が減ってきた事により霊夢の仕事が減少。生活費が入らないという死活問題に繋がっているのである。

 

霊夢「冬の間はゴロゴロしてたいし今のうちに蓄えとかなきゃね。う〜寒寒。」

 

彼女の普段の生活は、はっきり言ってだらしない。巫女でありながら神社の手入れは必要最低限にすまし、基本的にはのんびりと過ごしている。実のところ妖怪退治も気晴らし程度にしか思っていない。そんな霊夢だが一度戦えばまず負けることはない。その強さはもちろん血の滲むようような修行、ではなくどちらかといえば天才気質的なものが強さの元だ。

 

霊夢「とりあえず人里に行って情報収集っと。」

 

何か惹きつけるような魅力があるため人間にも妖怪にも好かれているが、本人は割とどうでもいいと思っている。彼女はあくまで「自分に正直」なのだ。そのガサツともいえる性格から一部の力の弱い妖怪には怖がられている。

 

霊夢「そろそろ人里が・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「ん?あれは・・・!」

 

突然鳴り響いた爆発音のような音に目を向けると、目的地である人里が目に入った。

 

そして遠目からでも分かるほどの煙が人里の中心地から立ち上っている。

 

霊夢「出たわね妖怪!!待ってなさいよ〜!」

 

ニヤッと笑みを浮かべると、スピードを急激に上げ人里へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し戻って、人里の中心部

 

 

 

 

 

 

 

 

文「いやぁ美味しかったですね!」

 

チェイス「中々のものだった。」

 

盛り上がる二人の話しはついさっきとった昼食についてだ。

 

文「新しくできた蕎麦屋があるとは聞いていましたがどうやら当たりでしたね。」

 

チェイス「あぁ。あの質素な見た目からは想像も出来ないような香りと味。初めて食べたが蕎麦という料理は奥が深いのだな。」

 

文「ですよねぇ〜・・・えっ?」

 

耳を疑うような発言をするチェイスについ反応してしまう文。

 

文「チェイスさんって日本人・・ですよね?」

 

チェイス「?そのはずだが。」

 

当然だ。と言わんばかりのチェイス。

 

文「蕎麦を食べたこと無いって本当ですか?」

 

チェイス「初めて食べたぞ。」

 

文「何でそんな堂々としてるのかは知りませんがありえませんよ・・・」

 

本当に何も知らないといった表情できょとんとしているチェイスに文は若干の呆れを見せる。

 

チェイス「そうなのか?」

 

文「そうですよ!」

 

漫才のようなやり取りが続く中、チェイスは少し真剣に考えていた。

 

チェイス「(そういえば・・・こんな風に何かを食べた記憶がほとんど無い。何故だ?記憶喪失と何か関係があるのか?それとも他の・・)」

 

考え込むチェイスだったが人混みの中に何かを見つけ、その思考は一時中断された。

 

チェイス「(あいつは・・・)」

 

チェイスの目線の先にいたのは全身を黒い布に包んだ人物。顔まで隠れているため、人間なのか妖怪なのか男なのか女なのかも分からない。

 

 

「・・・」

 

スッ

 

 

腕を地面と並行になるように肩の高さまで上げる。その指先は確かにチェイス達の方へ向いていた。だがチェイスはこちらに向けられた手ともう一つ気になるものが見えた。

 

チェイス「(あの手は・・!

)」

 

その手は銀色の装甲にも見え、指先には穴が空いている。そして指先の穴は僅かに光っている。

 

チェイス「(あの手は・・・何か危険だ!!)」

 

文「ちょっとチェイスさん聞いてます?」

 

考えるチェイスを無視するかのように指先は一瞬強く光る。

 

 

 

 

 

 

チェイス「くっ・・・!!」

 

ドンッ!!

 

文「あややや!?」

 

チェイスは隣にいた文を真横に突き飛ばし、自らはその反動で逆の方向へ仰け反った。

 

するとその直後、二人の間を光る「何か」が通った。

 

文「これは!」

 

ドォン!!

 

光弾らしきものはそのまま近くの建物に直撃。爆発を起こした。

 

「うわぁ!!」

 

「何だ!!?」

 

「に、逃げろ!!」

 

近くの人間達は突然の事態に驚きながらも逃げて行く。その一連の出来事を見た騒ぎの元凶は残念そうに漏らす。

 

「惜しかったなぁ・・お前。何故俺の攻撃を避けた?」

 

チェイスは問い返す。相手の質問に答える気など無いのだ。

 

チェイス「貴様・・・何者だ!里の者ではないな?」

 

そう言いながら懐からブレイクガンナーを取り出す。

 

文「その武器はロイミュードというのを倒すための道具・・あの妖怪には効きませんよ!」

 

「ロイミュード?・・・ロイミュード・・・・・そうだ・・・!!!」

 

黒ずくめは黒い布を掴み、乱暴に取り去った。

 

布の下から現れたのは

 

 

 

文「な、何ですかこの妖怪は・・・」

 

全身が手と同様に銀色に包まれており、頭はコブラのような形をしている人型の怪物。胸には「038」と書かれたプレートが。その見た目は形こそ人間に近いが、どちらかといえば無機質な機械のようである。

 

 

 

 

 

「俺は・・・俺はロイミュードだ!!」

 

 

 

 

チェイス「!!!」

 

怪物は自信がロイミュードだと叫んだ。その言葉でチェイスは思い出した。

 

チェイス「そうだこいつが・・「こいつら」がロイミュードだ・・!」

 

文「この妖怪がロイミュード・・・!なら!!」

 

目の前の怪物がロイミュードだと知った文は突然チェイスの方へ走り出す。

 

チェイス「!?何を・・」

 

チェイスは取り出していたブレイクガンナーを一瞬で文に取られた。

 

038「それで俺と戦うのか?」

 

文「この妖怪がロイミュードならこれで倒すだけです!さっきはチェイスさんに助けてもらいましたから今度は私が!!」

 

チェイス「おい・・」

 

チェイスは文に言葉をかけようとしたが、文はそれよりも先に引き金を引いていた。

 

 

 

カチッ

 

 

 

文「・・・あや?」

 

チェイス「何も・・・出ない?」

 

038「何だハッタリか?」

 

そこにいた三人が同時に拍子抜けした。弾が出なかったのだ。

 

怪物は再び残念そうに喋り始める。

 

038「楽しませてくれると思ったが・・・期待外れだな。おとなしく俺に殺されろ!」

 

声を荒らげると、怪物は再び手先を二人に向ける。

 

文「この武器が使えないというなら・・・私の「能力」で!!」

 

文はブレイクガンナーを持つ手とは違う方の手を素早く怪物の方へかざす。

 

038「なんのつもりだ?・・・!」

 

状況を理解できていない本人に対し、周りは確実に変化を起こしていく。

 

木々が揺れる。

 

チェイス「これは・・」

 

徐々にざわめきが大きくなる。強い風が里に流れ出し、川も波を起こし始める。

 

 

文「見せて上げますよ!私の」

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

038「なに!?」

 

怪物が声のした方を向くと、空高くから何かが飛んでくる。

 

ガガガッ!

 

飛んできたのは数枚のお札。それは紙に似つかない硬さで怪物の周りの地面に突き刺さった。

 

それとほぼ同時に一人の少女が空からフワリと降り立った。

 

文「霊夢さん!?」

 

チェイス「こいつが・・」

 

少女は着地をすると怪物の方へ向き直す。

 

霊夢「さぁ人々を脅かす凶暴な妖怪!私が相手よ!!」

 

自信満々に指を指しながら宣言する霊夢。

 

038「誰だか知らんが俺の邪魔するならお前も!!」

 

霊夢「この博麗の巫女を知らない妖怪がいるなんて・・いい度胸ね。それと文。あんたもよ!」

 

文「えぇ!何故ですか!」

 

突然怒りの矛先が自分に向いたことで慌てる文。

 

霊夢「私の数少ない仕事を奪おうとするなんて・・あんたも退治されたいの・・?」

 

ニコッと不敵な笑みを浮かべる霊夢だが文はそれどころではない。

 

文「いえいえいえ!!どうぞやっちゃって下さい!」

 

チェイス「・・・」

 

ここでチェイスはようやく気付いた。文の言っていた分かりやすい性格の意味が。

 

038「お前ら・・・無視するんじゃねぇ!!!」

 

しびれを切らした怪物が叫ぶ。

 

霊夢「おーっとエモノがお呼びのようね。それじゃあちゃちゃっとやっちゃいますか!」

 

038「ナメやがって・・俺を怒らせた事を後悔させてやる!!」

 

霊夢が軽く構える。

 

だがその瞬間誰も予想していない事態が起こった。

 

 

 

バアァァァァァゥゥゥン!!

 

 

 

 

霊夢「!?」

 

文「これは!」

 

怪物を中心に謎の衝撃波が広がる。一瞬空間が歪んだような気がしたが威力などは無い。何の被害も無いと思われたが二人はすぐに異常に気が付いた。

 

霊夢「(動きが・・・遅くなってる!それに声も・・・)」

 

文「(これは・・あの妖怪の仕業!?)」

 

自由に身動きが取れず、声も出せない。だが驚いているのは二人だけではなかった。

 

038「俺がやった・・のか?この力は・・・ハハハハハ!!」

 

怪物が横薙ぎに腕を振ると、先ほどと同じように光弾が出る。

 

ドドン!!

 

バァン!!!

 

霊夢「(こっちがまともに動けないところを攻撃してくるなんて!)」

 

038「どうした動かないのか?ハハハ!!」

 

直撃こそしなかったものの、付近の地面に命中した。

 

霊夢「(この金縛りみたいなものを何とかして解かないと・・・これは・・!)」

 

ここで二人はある事に気がついた。

 

文「(さっきの攻撃で巻き上がった爆炎や砂埃が・・私達と同じようにゆっくり動いている!?)」

 

霊夢「(ってことはこの力は時間操作ね!また厄介な・・)」

 

たかが妖怪がこんな強力な能力を使ってくるとは思っていなかった二人は完全に油断していた。

 

文「(そういえばブレイクガンナーが手元に無い・・さっきの衝撃で落としてしまったのでしょうか?・・・・・・!!!)」

 

文は満足に動かせない体を動かし、あるものを視界に捉えた。

 

チェイス「・・・」

 

ブレイクガンナーを持ち、立った状態で怪物を睨むチェイスだった。

 

文「(チェイスさん!?ダメです・・あなたも!)」

 

そんな文の声も耳に入らないチェイスはゆっくりとブレイクガンナーを前に構えた。

 

ただ霊夢や文のような縛られた遅さではなく、自分の意思による力強い遅さだった。

 

構えた先にいるのは例の怪物。

 

038「その弾の出ない銃で俺と戦うつもりか?」

 

チェイスに怪物の声は聞こえない。聞こえるのは自分の心の声のみ。

 

チェイス「(・・・何故かは分からないが分かる。やってもいない事だが分かるのは失った俺の記憶が影響しているからか?)」

 

強くグリップを握りしめ、トリガーに指をかける。

 

チェイス「(俺なら・・・)」

 

 

 

撃てる

 

 

 

引き金を引いた。

 

 

 

ドォン!!

 

 

038「!?ぐぁあ!!」

 

文が撃っても何も起こらなかったブレイクガンナーから紫色の光弾が高速で発射され、怪物に直撃した。

 

 

ギュイイイイイン・・・・

 

 

霊夢「うわっ!・・元に戻っ

た!?」

 

急に時間操作が元に戻り、思わず体勢を崩してしまう霊夢と文。

 

文「あの妖怪がダメージを受けたことで能力が解けたのでしょうか?」

 

霊夢「多分ね。それにしても・・」

 

038「グ、クソ・・・舐めるな!!」

 

体勢を立て直し再びこちらに攻撃しようとする怪物。

 

チェイス「・・・」

 

だがチェイスはうろたえる事なく引き金を引く。

 

ドンッ!!ドンッ!!

 

038「ぐあっ!!」

 

数発が命中し、後方に倒れこむ。

 

038「許さねぇ・・・だがここは!」

 

虫の息といった様子だが、素早く立ち上がり腕を振り上げる。

 

チェイス「!!」

 

またも攻撃をしてくるものだと思い、チェイスは照準を合わせる。

 

038「ハァ!!」

 

ドガァン!!!

 

怪物は自信の足元に光弾を放ち、砂煙を巻き上げた。

 

チェイス「何?」

 

煙が晴れる。だがそこに怪物の姿は無かった。

 

文「に、逃げた?」

 

何をするのかと危惧したが、逃走を図ったと分かり気が抜ける文。

 

チェイス「大丈夫か?」

 

後ろを向き安否を確認するが、二人とも「それどころではない」といった表情でこちらを見つめている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェイス達がいる所からすぐ近くの場所に一人の少女が空から舞い降りた。

 

 

「遅れましたが只今参上!!人里で悪さをする妖怪達はこの守矢神社の風祝、奇跡の現人神東風谷早苗が・・・ってあそこに倒れているのは霊夢さんと文さん!」

 

少女が来たことにより家の中や路地の端に隠れていた人間達が活気付く。

 

「守矢神社の方だ!!」

 

「来てくださったのか!」

 

「頼んだぞー!」

 

 

 

「・・・人里の皆さんに私の力を見せて上げますよ!!!」

 

 

 

 

 







初戦闘でなかなか文章に苦戦しました。
でもやっぱりダラダラ喋っているよりは楽しいですね。


ゴーストは今週話でフーディーニ、来週話でネクロム・・・とてもウハウハです。
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