ノーコンテニューで投稿してやるぜ!(大遅刻)
紅く萌える紅葉が揺れる。
小鳥のさえずりが聞こえる。
妖怪の山は朝日を背に飛び交う鳥たちの鳴き声が響いていた。
チェイス「・・・」
にとりの家から少し山を降った河原にチェイスは立っていた。
特に用があった訳ではないが何故か目が覚めてしまう。一般的に考えると年寄りのようにも思えるが、この男にとってはこれが普通なのだ。
チェイス「(・・もう少し歩いてみるか。)」
にとりが起きてくるまでにはまだ時間がかかる。そう考えるたチェイスは一人川沿いに歩いて行った。
人里での騒動から2日程度が経った。話し合ってもなお謎は深まり、疑問は増すばかりだったが分かったこともある。
「外から来た「ロイミュード」と呼ばれる108体の機械生命体。」
そして「それらと戦っていた記憶喪失のチェイス。」
ロイミュードの使った能力に対して、ただ一人チェイスだけがその影響を受けなかった。詳しい事は分からなかったが、現状でロイミュードに対抗出来るのはチェイスだけという結論になった。
文は注意喚起の新聞を作りに、霊夢と慧音は警戒を強める事しかできなかったが、今の状況ではそれが限界だった。
15分ほど歩いただろうか。妖怪の山の低所にあるにとりの家から麓に行くまでは、それほどの時間を必要としなかった。
チェイス「そろそろ山の麓か。・・・あれは・・」
山をほぼ降りきったチェイスの目に映ったのは、今さっきまで見ていた紅葉と同じ紅のドレスを纏った緑髪の少女。
「ふふ〜ん♪今回もたくさんあるわね〜・・・あっ」
何やら川下で作業をしていた少女はチェイスの存在に気付き、上機嫌な態度から一変して真顔になった。
チェイス「・・そこで何をしているんだ?」
若干の気まずさを感じ、話しかけるチェイス。
「あらら・・・見つかっちゃったか。」
少女は見つかってしまった、という反応を見せるが特別焦っている様子も無い。
「・・私の名前は鍵山雛。厄神をやってるから今こうして流し雛の人形を回収してたのよ。」
少女は立ち上がると軽く自己紹介をする。その両手には溢れんばかりの雛人形が抱えられていた。
チェイス「厄神・・?」
雛「知らないって事はもしかして外から来た人?厄神は人間たちの厄や穢れを集めて生きているの。だから定期的に人間が厄と一緒に流す雛人形をこうやって集めてるってわけ。それにしても・・」
チェイス「?」
出会った時からそうだが、どこか残念そうな雛に困惑するチェイス。
雛「他の人に見つからない時間に来たつもりだったんだけど・・ごめんなさいね。」
チェイス「どういうことだ?」
チェイスは再び目を丸くする。
雛「ほら、私って厄を溜め込んでる存在でしょ?だから私に近づいたり話しかけたりしちゃったら必ず不幸になるの。私自身は何とも無いんだけどね。」
チェイス「なるほど・・・だが別にかまわない。」
雛「そうそう、だから私には近づかない方が・・・え?」
いつぶりだろうか。自分を恐れずに接してくれる人間はと、普段話さないだけあって突然の事に焦る雛。
雛「わ、私に近づけば不幸になるのよ?そりゃ話しかけたのはあなたの方からだけど今帰っても遅くは無いし・・いやもう遅いか・・・」
自分でも何が言いたいのか分からず声がくぐもっていまう。
チェイス「会ったばかりでお前のことはよく知らないが一人で退屈だと思った事は無いのか?もっと人間と話してみたいと思った事は?」
痛いところを突かれた様にハッとする雛。
雛「・・・私だって里にいる人間の顔が見たい。あなたみたいな外来人の話を聞いてみたりしたい。でも私は厄神。仕方の無い事なのよ。」
一見割り切っているようにも見えるが、どこか悲しそうな表情をしている。
チェイス「・・・なら俺が話し相手になろう。」
雛「え・・・?」
自分でも何故こんなことを言ったのかわからない。
チェイス「・・・いや忘れてくれ。すまなかったな。」
そう言い残すと、チェイスは元来た道を辿ろうと歩き始める。
雛「待って!」
静かな森に声が響く。
チェイス「・・・何だ。」
雛「わ、私みたいな厄介者があなたと話してもいいなんて・・・私とっても嬉しい。」
近づけば不幸になる。そんな存在がいれば近づくものはまずいないだろう。だが目の前の人間は違った。自分を「危険な存在」だと知りつつ「一人の妖怪」として扱ってくれていた。
雛「たまにでいいから・・またここに来てくれる・・・?」
チェイス「・・いいだろう。」
その言葉を聞いて雛の表情は一気に明るくなった。
雛「あ、ありがとう!」
その言葉を最後にチェイスは再び帰路を歩き始めた。
チェイス「(・・何故あんな事を言ってしまったんだ。)」
自分で話しておきながら困惑するチェイス。交友関係など自分からすればむしろ苦手な分類だが、何故か自分からあの話を切り出してしまった。
チェイス「(今はとりあえず家に帰ろう。そろそろにとりが起きる時間だ。)」
記憶を失ってから物事を考える時間が多すぎる。そう思ったチェイスは、なるべく目の前の事に集中して過ごそうと考えた。
にとり「いやぁ〜悪いねほんと。」
チェイス「気にするな。」
時間は正午。二人が歩いているのは人里の大通り。すでに朝よりも昼に近い時間帯という事もあり、道は人で溢れかえっていた。
にとり「あれ、そういやどこに行くか言ったっけ?」
チェイス「聞いてないな。」
他人の話し声にかき消されないように、気持ち大きめの声で喋るにとり。
人里に来る数十分前
にとり「突然で悪いんだけど今日私の仕事の手伝いやってくれない?」
チェイス「仕事?」
朝食も少し前に終え、今日の予定を考えていたチェイスににとりが頼みに来た。
にとり「そうそう。私がやってるのは依頼された機械の整備とか修理の仕事なんだけど、最近依頼の数が増えてきちゃっててさ。」
チェイスは「なるほど」と軽く相槌を打つと、あっさりと返答した。
チェイス「別に構わないが俺でいいのか?」
やった事もない仕事の手伝いというのはチェイスにも少し抵抗はある。
にとり「いいの!?助かるよ!それに簡単なお手伝いだと思ってくれたらいいから安心していいよ。じゃあ早速なんだけど・・」
にとり「お、もう着いちゃったか。」
チェイス「ん?ここは・・」
にとりが目的地を説明する事なく、別の話をしている間に到着した。
チェイス「慧音の寺子屋・・・だったか。」
賑やかな声が聞こえてくる。たどり着いたのはつい最近訪れた慧音の寺子屋だった。
慧音「こらこら、はしゃぎ過ぎると転ぶぞ〜・・ん?」
子供達と一緒に外へ出ていた慧音が歩いてくる二人に気付いた。
慧音「おお、来てくれたかにとり。チェイスも。」
チェイス「今日はにとりの手伝いだ。」
にとり「そういうこと。それじゃあちゃちゃっと終わらせちゃいますか。」
軽く挨拶を済ませると、3人は寺子屋の中へ入っていった。
「ここの電球がだな・・」
「あーここの線が・・」
慧音「ありがとう。助かったよ。」
もともと大した仕事でもなかったので、数十分程で修理は終わった。
慧音「あと、あの機械生命体・・ロイミュードの事なんだが・・・」
ロイミュード、その単語に二人は反応する。
にとり「何か分かったことでも?」
慧音「いや、そういうわけではないんだがな。里での騒動以来、目撃情報が増えているんだ。お前たちも十分に気を付けてくれ。」
にとり「分かってるって。それにチェイスがいるしね!そっちも気を付けなよ。」
だが、目撃情報が増えている事にチェイスは疑問を感じた。
チェイス「一体しかいないのであればそこまで人間に目撃されるとは思えない。やはり108体の内・・ある程度の数がこっちに来ていると考えて間違いないだろう。」
慧音「・・・」
にとり「え、えーっと・・」
重い空気になりつつあることを感じたにとりはすかさずフォローを入れる。
にとり「まぁそんなに考え込んだって仕方ないって!何とか対策も考えるしさ。」
慧音「対策か・・現状相手の動き待ちとしか言えない状況が歯痒いな。」
チェイス「今は待つしかない。だが今度こそ現れた時には捕らえて情報を吐かせる。」
慧音「それもそうだな。私も里の注意喚起を怠らないようにしよう。」
にとり「頼むよ。それじゃまた今度ね。」
慧音「あぁ、また。」
チェイス「・・・」
何とか話は終わったが、みんな不安を隠し切れていないという感じが伝わってくる。
にとり「・・怖いといえば怖いけどさ、幻想郷にはよくあるんだよ。」
チェイス「・・?何のことだ。」
にとり「こういう正体不明の異変だよ。みんな最初はパニックになったりもするけど解決しなかったことはないよ。何たって幻想郷には妖怪の退治屋がたくさんいるからね。」
にとりの表情が少し和らぐ。
にとり「それに・・」
チェイス「?」
にとり「今はチェイスもいるしね!」
それまで顔を伏せて喋っていたにとりがチェイスに目線を合わせる。
チェイス「・・あまり期待はするな。」
「・・・」
チェイスとにとりの歩く山道から少し離れたところから怪しい視線が光る。
「おい、いたぞ・・あいつだ・・・!」
「あの男・・そうかあいつが!!」
森の隙間から差し込む夕日に照らされて、金属の光沢が不気味に輝いていた。
エグゼイド、始まってしまいましたね。
面白いです。ええ。
チェイスも頑張ります。