戦国†恋姫 〜感染者が降りてきました〜   作:アンラッキー松茸

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バトルはここで出したかったんですが、次になると思います。


二話 : とりあえず話せば分かる・・・と思いたい

 

「我の夫となれ!」

 

その言葉に俺は目を丸くしてたかもしれない。夫というと、結婚ということなのだろうか?というか家臣から一気に飛んだなおい。

 

 

「まぁ良人といっても本当に我と祝言をあげろということではない。」

 

「…あ、そういうこと。」

 

「うむ、我には妻はいるが夫はおらん。だがいくら子種のためとはいえ、はたまたそれが戦国の倣いとはいえ、勢力争いの延長線上で、どこぞの誰かに恩着せがましく押しつけられる、身の程を知らん輩やうつけを夫としたくはない。」

 

「・・・なるほど、俺を(良人に)祀り上げて先手を打っておくということか。」

 

「そういうことだ。なかなか聡いな貴様は。」

 

「恐縮。…だが何故俺なんだ?家臣の者でも良かったんじゃないか?」

 

俺はこんな身体でなければOKなんだがな。…なんでだって?ウイルスが入ってるこの身体で子を産ませれば受け継がれることになるだろ?それがなんか…嫌なんだよね。

 

 

「我の家臣はほとんどが女武者なのだ。だからこんなことを頼める者は他にいない。」

 

 

なんと!あの柴田勝家や丹羽長秀も女体になっているのか!?この調子だと有名武将・軍師も同じと考えてもおかしくないな。

 

「それに貴様の顔立ちは他の男共よりはマシだからな。その代わりこちらは衣食住を提供してやる。だからお前は我の傍にいれば良い。」

 

「…これ以上にない破格だな。だが君の真意は他にあるんじゃないかと俺は思うのだが。」

 

「・・・どうしてそう思う?」

 

「勘…と言うよりも、ちと考えたら分かる。奇妙な登場をした俺をその重要(?)な役割に据えるのかとな。1度目は物珍しさや憐憫の情はあったかもしれん。だが2度目になれば話は変わってくる。利用するやはめてやるとかそう考えるのも世の常だろう。何かしらの利益を得られる目算がある。だから是が非でも手元に置かせたい。んで破格な条件を出し、引き寄せようとする。・・・違った?」

 

「いや、当たりだ。」

 

俺が言ったことに久遠は肯定する。

 

 

「んじゃあ、その真意ってやつを聞かせてくれ。判断のために。」

 

「判断?」

 

「あぁ。俺は利用されるのは好きじゃないが、こっちにも利益があるならそれは相互。持ちつ持たれつつってことになる。一方的に利用されるのではなく、互いに利益を得ようと交渉する考える価値がある。・・・と俺は思うわけなんだが・・・・」

 

「…やれやれ、食えん奴だな。お前は。」

 

「理屈っぽいだけさ。それに俺だって人間。時に感情で動くことだってある。」

 

「はっ!確かにそういったフシはあるかもしれんな。」

 

「自分のことだからな。状況に流されるのも悪くはないが、自分で選んだ道を歩いていきたいからな。」

 

「自分で選んだ道・・・か。」

 

 

何処か遠くを見てるような目をしてた久遠は俺に視線を戻しこう言った。

 

「分かった。真意を明かしてやろう。」

 

「あぁ。」

 

そう言って俺は座り聞く体制をとった。久遠も俺に続き座る。

 

「先ほど、我は今川治部大輔と田楽狭間で戦った。…と言ったな。」

 

あぁ。今川さんの首を取り、有利になった時に俺が落ちてきた。…だよね?

 

「そうだ。そして我はそこを重視しておる。」

 

「…というと?」

 

「今、この日の本はまさに乱世だ。我の母、信秀より長く続く尾張の織田弾正忠という存在は、ついこの間までとてもちっぽけなものだった。今川治部大輔は『東海一の弓取り』と謳われるほどの戦上手であり、今川家は駿遠を治むる、日の本では名の知れた勢力であった。」

 

「確か、幕府から正式に守護大名として統治を許されてるんだったっけ。」

 

「詳しいな。」

 

忘れていたが、こう見えても日本史は他の者より詳しい方だから。

 

 

「まぁその通りなのだが、ちっぽけな織田家が巨大な今川家。戦は出会ってすぐに開戦という訳ではなく、予兆があり、準備があり、そして行動し、開戦となる。今川家が大々的に上洛を喧伝していたその期間、この日の本の全てが我ら織田家と今川家の戦いに注目していたことだろう。その未曾有の戦いの最中、突如現れた謎の男。・・・貴様であれば、他はどのように捉え、どのように見る?」

 

「・・・・・・・?」

 

歴史に詳しくてもこういうのは得意ではない俺。恥ずいわぁ。

 

 

「勝利したのが義元なれば、また違った意味もあろうが・・・・田楽狭間の戦、勝ったのは織田だ。ちっぽけな存在と侮られていた織田なのだ。もちろん我は小勢でも勝つ。・・・いや、生き残るために知恵を絞り、手を打った。そして勝利をつかんだ。しかしな、世間の雀は、我がやってきたことなど毛ほども考えん。ちっぽけな織田が勝ったのは当主である我の力ではなく、他に要因があるとなそして雀好みの出来事が田楽狭間では起こっているのだ。」

 

「・・・なるほどね。天から俺が降りてきた。だから織田が勝った。と思わせることができる。ということか。」

 

「そういうことだ。…やはり聡いなお前は。」

 

「…だが、俺が来たのは今川が堕とされた“後”だろ?関係がないと思うが・・・・」

 

「まぁそうだろうさ。…だがな、世間という庭にいる雀どもはな、そこを大空の下にある大地だと思いたがるものだ。下男が住む長屋の庭だとは気づかずにな。なぜならそう思わないと、自分が惨めになるからな。だから雀は己の思いつきを是とする。」

 

「そういうことね。…てことはだ、雀らはその謎の男を手に入れば勝利をつかめる。または良い事があると考えてしまうこいうことだ。」

 

「うむ。そして残念ながら、我もうつけの一人だ。貴様に霊験があるとは、話している今となってはこれっぽっちも思いはしない。だが他人に採られるとなれば…少し惜しくも感じる。だから傍で監視したいのだ。」

 

「他国に計算できない脅威はやりたくない・・・・そういうことだな?」

 

「…飾っても始まらんか。そういうことだ。」

 

「・・・・・・・」

 

 

もし俺が織田家ではなく他国に味方した場合、俺の否応なく新たに勢力が出来上がる可能性があり、それは今の久遠達にとって邪魔にしかならない脅威となる。

 

そしてその当主が国を滅ぼす力を持っているなら尚更だ。それは俺がその気でなくとも、遅かれ早かれそれは起きる可能性がある。それを防ぐため、またその力を他国に利用されないためでもあるわけだ。つまり、今出された条件を飲まなかった場合、その瞬間で俺は織田家の敵ということになる。

 

また面倒ごとに巻き込まれるのか。

 

正直言って、前の世界でも感染者やBWやあいつなどで面倒ごとはあったから慣れてはいる。長く無言で考える俺を久遠はジッと、真っ直ぐ、1度たりとも目を離すことなく見ている。その瞳は強い意思を持ち、優しくもあり、そして苛烈にも見える。その瞳を俺は、目をそらすことが出来ずにいた。

 

「・・・決めた。俺は君の案を飲み、厄介になろうと思う。」

 

「・・・・・・・」

 

「…あれ?どうかした?」

 

「ころりと意見を変えたな。」

 

「言葉にしなければわからないこともあるってことさ。それがこれから利用してやろうって言うんだから。真意が分からなければ、信用もなにもあったもんじゃない。むしろこっちから出て行く。だが君は真意を話してくれた。そしてその真意は半分はそちらの利益のためだろうけど、そしてそれは他国に利用されないように、久遠の敵にならないようにという俺の保護という意味も成していた。」

 

「我は善人などではない。もっと他の・・・お前にとって都合の悪いことを考えているかもしれんぞ?」

 

「いや、それはないな。」

 

「何故、そう言い切れる?」

 

俺も久遠がやったことを同じように瞳を見る。

 

 

「俺も人を見る目はそれなりにあるつもり。そしてその人物がどのように考えているかもね。んで俺は君の瞳を見て、その瞳は強い意思を持ち、それと同時に優しさも持っていると感じた。」

 

「な、何を言っているのだ貴様は・・・!///」

 

「…ま、ほかにも考えていることはあるが・・・俺は君を信用しようと思う。そして俺の力も君に預ける。」

 

「…デアルカ。まぁそれで良いだろう。貴様が尾張にいると決めたのならばな。」

 

「あぁ、しばらくやっかいになる。」

 

「ふっ。しばらくとは言わず、ずっと我の元に居れば良いのだぞ?」

 

「それはまぁ・・・・考えておこu…」

 

ぐ~〜〜〜〜

 

 

話が成立した後、俺の腹の虫が鳴ってきた。

 

「ふむ、空腹か。まぁ仕方もないだろう、五日間も何も食してはいないのだからな貴様は。」

 

「面目ない・・・・」

 

「ならば飯にしよう。すぐ準備させる。」

 

「すんません、頼みますわ。」

 

「うむ!我はまだ公務が残っておるから夜にでももう一度話を聞かせよ。約束だぞ!絶対だぞ!」

 

「わかったわかった。」

 

「よし、では我は行くが、貴様はここで大人しくしておれよ!いいな!」

 

そう言い残し、久遠は部屋を出て行った。

 

 

「・・・・・・・・・はぁ。」

 

俺はもう一度庭を見る。分かってはいたが、電線・高層建築物がない。俺がいた世界とは違う何処かということはないらしいな。タイムスリップなのか、はたまた他のやり方で来たのか、・・・・まぁ考えても仕方がなかったからやめた。

 

飯くるまで暫くぼぉー…としていたら襖の向こうから声が聞こえた。

 

 

「…お客様。よろしいでしょうか?」

 

「どうぞ。」

 

そう返すと音をたてずに開かれる。そこにいたのは三つ指をついてお辞儀をする女性がいた。

 

「ただいまお食事をお持ち致しました。」

 

「わざわざ申し訳ありません。」

 

 

そして部屋に入ってきた女性が俺の前にお膳を置く。その仕草1つ1つが絵になり、俺は見惚れてしまった。

 

「給仕を承ります。私、織田三郎が妻、帰蝶と申します。不束者ではございますが、よしなに。」

 

なるほど。彼女が斎藤道三の娘、濃姫こと帰蝶さんか。

 

「…どうもご丁寧に。俺…じゃなくて、私は上田 仁と申します。・・・なんかお世話になったり食事まで頂いて申し訳なく思います。」

 

「いえ、久遠より話は聞いております。ではただいまお給仕を…」

 

「えっと、飯は1人で食べられますので結構ですよ。お気遣いなく。」

 

「ですが・・・」

 

「本当にお構いなく。…いただきます。」

 

 

モグモグモグモグ

 

「・・・・・」

 

…モグモグ

 

「・・・・・・・・」

 

・・・モフ

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

なんだろう、見られるのは嫌いではないんだが…ずっとはちと・・・・・俺は帰蝶さんに聞いてみた。

 

「あのっ…何か・・・・?」

 

「・・・久遠の夫になるのですか?」

 

「・・・えぇ、まぁ。というよりも魔除け代わりみたいなものですね。織田さんが言った申し出は受けさせてもらいました。」

 

「…貴方に久遠の夫が務まるとは思いませんが・・・」

 

おぅ、つらいストレートを投げてきた。

 

「…貴方にあの子の何が分かるのです?気楽な気持ちで受けたならばすぐに撤回し、この国から出ていってくれませんか?」

 

「・・・・・(モフモフ)」

 

「ちょっと貴方。私の話聞いているの?」

 

「すみません。」

 

「何でしょう?出て行くつもりになりましたか?」

 

「いぇ、おかわり・・・頂いても良いですか?」

 

「え!?あっ、どうぞ・・・」

 

差し出したお椀を両手で受け取り、お櫃にある飯をよそい俺に渡してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飯を食べ終えた俺は箸を茶碗に置き、お膳傍にあるお茶を飲み干した後、帰蝶と名乗った女性に向き直り、

 

「ご馳走様でした。」

 

「お粗末様でした。」

 

「それで、さっきの話ですが…貴女の言う通り、俺は織田さんのことを何も知らない。だがそれを理由にこの国を出ていけば織田さんと交わした約束を破ることになる。彼女に筋を通したうえで出ていくという選択肢を選ぶのなら俺は納得できる。織田さんも納得するも思う。だからこの件に関しては織田さんが帰りになってから改めて話し合う。…ということでよろしいですか?」

 

「それは・・・・そうですね。分かりました。では久遠が公務から戻り次第今一度話し合いましょう。」

 

「理解していただけて助かりました。」

 

「しかし・・・貴方は随分と落ち着いていますね。」

 

「・・・そうでしょうか?」

 

 

内心バックバクですよ?ほんまに。

 

 

「私がいくら出ていけと脅しをかけても冷静に返してくる・・・」

 

「怯えても仕方がないでしょう。信用していない今は、自分の気持ちをはっきりと申し上げることしかできません。」

 

「ぁ・・・・」

 

帰蝶さんはバツの悪そうな顔をする。すると瞳を閉じた。

 

「難癖でした。すみません。」

 

「いえいえ、私も言いすぎました。無礼、平にご容赦を…」

 

「まぁ…人間の感情や考え方は人それぞれだと思いますので。」

 

「…ありがとう、ございます。」

 

?…何を感じたのだろう。帰蝶さんの白い顔は少し分かる程度に赤く染まっていた。

 

 

「そっ、それでは私はこれで失礼致します。久遠が戻り次第お声掛けいたしますので、しばしの間お寛ぎ下さいませ。」

 

ちと早口で言った帰蝶さんは空になったお膳を持ち、そそくさと退室していった。

 

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