戦国†恋姫 〜感染者が降りてきました〜 作:アンラッキー松茸
「次は雛の番だねー。でも和奏ちんが負けたのに雛が勝てるとは思えないんですけどー。」
「グダグダ言っとらんで、さっさと仕合えぃ。」
「ぶー…相変わらず怖いですよ壬月様ー。」
佐々の闘いを終えた俺は気絶している佐々を久遠達のいる縁側で横にし闘技場に戻る。戻るとき後ろに付いてきたのか、紫髪の滝川は壬月さんに文句言いながらも俺に向かい合った。お次の相手は君かいね?
「はいはいー。和奏ちんとの立ち合いは見せて頂きましたよー。なかなか強いですねー、お兄さん。」
「どうも。まぐれだと思うがね。」
「にゅふふ、そんなご冗談を~。まぁ普通にやってたら負けるかなーと思うんで、雛、ちょっとだけ本気出しちゃいますねー。」
滝川は両側面に刃が付いている小太刀を抜刀する。この子…持っている刀はまるで忍者の武器みたいだ。滝川衆って忍者の部隊でしたっけ?普通の将だったと思うんだが・・・
なんて考えていたら目の前にいた滝川の姿がない。どこに行ったと思ったら、後ろの方から気配を感じたのでその場でしゃがんだ。
「あややー、外れたかー…けど次はいかないよー。」
滝川はまた姿を消す。…いや、正確に言うと脚に何かを使って速くする。それが消えた様に感じさせているんだと悟った俺は一歩も動かずに目を閉じた。すれば右から気配がしたので振り返り、躱しながらチョップを喰らわす。
「きゃん!あいたたたー・・・」
獲物を持った両手で頭を摩る滝川。ちと涙目になっている。佐々との闘いでもそうだが、それほど力は入れてないよ。ほんとに。まそれは置いといて、
「さっきのアレは技か特技か何かか?」
「これはですねー。滝川家御家流、頑張って足を速く動かせば、早く動くことができるの術ー。」
「阿呆。滝川家御家流、蒼燕瞬歩だ。」
「ふふふ、それでーす。」
今の発音、青だぬきっぽく聞こえたけど気にしないでおこう。…へー。あれが御家流かー。・・・で、結局のところそれって何やねん。昨日壬月さんがその単語を出してたが。
「それぞれの家門に伝わる秘技だとでも思っておけ。」
「なるへそ。説明ありがとう。」
俺が考えてた顔を見ていたのか、縁側に座る久遠が御家流を簡単に説明してくれた。ようは左頬に十字傷侍が使う飛天なんたらみたいなやつだな。納得納得。
「じゃあもう一回行くよー。」
姿を消す滝川は先ほどのと同じ攻撃を仕掛けてくる。俺はそれを躱す。だがまた来る滝川、そしてまた躱す俺と、この繰り返しが続いていく。すると久遠が話かけてくる。
「見えない相手にどうする仁。」
「んー・・・考え中っと。」
こうやって躱し続けて相手が疲れるのを待つのもいいが、俺が先に疲れるし久遠達に飽きられる。どうしたもんかねぇ・・・・・
「仁くんお覚悟ぉーーーー!」
あっそうだ。あれがあるじゃないか、受け止める方で。
パシィッ!!
「お!?」
「「「「!」」」」
「ほぅ、これはまた・・・」
ふははははは!驚いたかね滝川くん!これぞこの時代にあった(多分違う)刀を両手で止める真剣白刃取り!いやー、これ1度やってみたかったんだよー!前ではこんなことが無かったからなぁ!
「すごーい仁くん。でももう片方が空いてるよー!」
もう片方の獲物が目掛けてきたので両手を離して鍔を肘で弾き返し、滝川がくずれたのを狙って頭にチョップを喰らわせた。
「きゅうぅぅぅぅ〜・・・・」
いや、軽くだよ?軽くでしかも能力使ってないのに倒れちゃうってデコピンでもそうだけど俺のチョップはどんだけやねん。ごめんなさいね。まこれはこれで2勝になったんだよな?うん。
「ふむ・・・姿が見えない相手によくぞ勝てたな。どうしてわかった?」
「勘…ではないな。滝川の気配がする方を躱し続けた。ただそれだけ。」
「これでもこやつは甲賀出身の者なのだがな。」
「・・・んさて、次は誰で?」
「ふっ、余裕だな。」
早く終わらせて寝たい。…なんて言えねぇな。それだと壬月さんや麦穂さん、前田ちゃんに失礼ってなもんだ。
「じゃあ次は犬子の出番!良いですか久遠様!」
「許す。存分にやれ。」
「やった!へへっ、織田赤母衣衆筆頭、前田又左衛門利家、通称犬子が仁殿のお相手をいたしまーす!」
「上田 仁。行きます。」
「では、両者構え!・・・始めっ!!」
バッ!
パンッ!ビシッ!
バタッ!
「きゅうぅぅぅぅ〜・・・・」
「勝者!上田 仁!」
開始号令と共に前田ちゃんは駆け出し持っていた槍を振る。俺は振ってくる獲物を弾きチョップを喰らわせると前田ちゃんは気絶した。え?終わり?戦闘長くなるかと思ったのに!?もうちょっと頑張ろうよ前田ちゃん!!
「これで三人抜きか。…やるとは思っていたがなかなかどうして、強いな仁。」
「どうも。実際“アレ”を使っていたわけじゃないからな。」
「なに?“アレ”を使わず和奏達と相対しておったのか。」
「そうですよ壬月さん。彼女達には…傷つけたくないもんでしてね。」
「優しいのだなお前は。」
「褒め言葉として貰っておこう。」
「ふっ、素直じゃない奴め。では次行こうか。」
「次は私がお相手仕りましょう。」
「おぉお、米五郎左自ら相手となるとは光栄ですね。」
「ふふ。その余裕も今のうちですよ。」
言い終えた麦穂さんを見て、あぁ…佐々たちのとは違う。っと感じ、右脚を後ろに下げ警戒した。
「ふむ、…一見して麦穂の技量を見抜くか。」
「お優しい顔して、麦穂様はお強いですもんねー。雛、一度も勝ったことないですし。」
「麦穂様!僕の仇、頼みますよー!」
「犬子のもついでによろしくですー。」
佐々たちの声援を受け、柔らかく微笑む麦穂さん。ていうか滝川くんと前田ちゃん目覚め早くね?武士なら目覚めなんて余裕のよっちゃんですか?
「では尋常に・・・始めっ!」
なんて思っていたら壬月さんの号令がなったので集中することにした。麦穂さんもこちらを向いた瞬間真剣な顔になる。ジリジリと張り詰める緊張感。先に動いた方が負けという風に緊迫した空気を漂わせていた。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
先手を取るか後手を取るか。常にどちらも等分に意識を配っておかないと一瞬で勝負がつく。なぁんて頭の中で考えてたら思考が崩れたね。
「やぁっ!」
それを逃さなかったのか、気合いの乗った声と同時に地を蹴り、地表を滑るかのように間合いを詰め、流れるように突きを放ってくる。俺はそれをギリギリで躱すもお次の攻撃が繰り出される。
「ええいっ!」
俺は下から来る一振りを白刃取りで止めようとしたが、
「それは読んでいましたよ。」
麦穂さんは左手で刀を持っていたらしく、刀を離し空いていた右手に渡り、俺が両手を合わせたところに斬り上げをした。
「・・・惜しかったです。」
だが俺の反射神経のおかげで麦穂さんの振りをまたギリで躱すことができた。それにより麦穂さんは悔やむような顔をする。いやぁ危なかったぁー。俺が白刃取りしてくるのを先読みしてたってことだよね?読みましたって言ってたから。
「いくつもの可能性を考え、それに備える。…私の得意とするところですから。」
「得意・・・か。敵に回すと厄介な人だ。」
「厄介なのは仁殿も一緒ではないですか。」
うぐっ、確かに言えねぇ。
「・・・仁殿。そろそろ“アレ”を出されてはいかがです?和奏ちゃんたちや結菜さまに見せる良い機会だと思うのですが。」
「我もそう思うぞ仁。どうせ後に明かすこととなるんだからな。」
「・・・・・・・・」
「久遠様。“アレ”ってなんですかー?」
「あ、僕もそれ気になってた。」
「わんわん!もしかして仁殿は何かすごいものをお持ちなのですか!?」
「まぁ百聞は一見にしかずだ。見せてやれ仁。」
久遠の言う通り、俺の中にあるウイルスは後にバレることになる。今のうちに見せてもいいのだが、その途端佐々たちに斬りかかりに来ないだろうか。自分に勝った奴が実は化け物だったって思われるとどう言い訳すればいいのか考えてしまう。
「…そうだな。壬月さんで出しても構わないよ。」
「私では出してくれないのですか。」
「すみません麦穂さん。」
「…そうですか。でしたら・・・」
「無理やりでも出させていただきますっ!」
麦穂さんは再び構え、こちらへ向かってきた。
今回はちと少ない?けどいいよね。
ではまた。