東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中) 作:タツマゲドン
「ようやく終わったか。幽々子、幻想郷を元に戻してくれ。」
「いいけど、西行妖を切った事を謝ったらね。」
「悪かったな。」
「......う~ん......ごめんなさいって言って。」
「......ゴ、ゴメンナサイ......?」
アダムは訳が分からず棒読みだったが、幽々子はそれをシャイな少年の仕草と勘違いして微笑んだ。
「フフッ、それでよろしい。」
「僕はもう地上に戻る事にする。それじゃあ......。」
「少し待ってもらえるかしら?」
そう言ったのは幽々子でも妖夢でも咲夜でも無い、違った女性の声だった。
声のした方向を見ると何時の間にか一人の女性がそこに立っていた。
女性は金髪のロングヘアーで紫のドレスを着ていた。
「紫?久しぶりね。今までどこに行っていたの?」
「幽々子、それは後で説明するわ。そちらのアダム・アンダーソン君に用があるの。」
「何だ?」
「自己紹介がまだだったわね。私は八雲紫。この幻想郷の管理人よ。要件を伝えるわね。ここ数か月の間幻想郷の結界が不安定なの。それについて何か心当たりは無いかしら?」
暫く考え込む。
「......分からないな。霊夢から聞いたが、僕がこの世界に来る直前に白い閃光がしたと言っていたが、それ位しか......。」
「そう......私も外の世界へ行って手掛かりを探してみたのだけど...外界では人間達が戦争をしているだけよ。」
「こちらも幻想郷へ来る以前の記憶は無いんだ......それとこのリュックの中にある持ち物に不明な物が一つだけあるんだ。」
「それを見せてくれないかしら?」
アダムはリュックから大量の立方体を取り出した。
「これは......「ユニバーシウム」で出来ているわ。」
「その「ユニバーシウム」について説明してくれ。」
「私も余り分からないけど。数か月間外の世界へ行って少しだけ知った事よ。ユニバーシウムと言うのは物質でも反物質でもない、いわばその中間に当たる物質の一種なの。地球上には僅かにしか存在しないと言われているわ。悪いけどこれ以上は何も分かっていないわ。」
「霖之助はこれが何らかの容器だと言っていた。何故わざわざそんな希少な物で作ったのか......。」
「ところで紫、何で結界が不安定になったのかは分かったの?」
幽々子が話を持ち出した。
「幻想郷にも外の世界にも手掛かり無しよ......外の世界に至っては機密管理がしっかりし過ぎよ。」
紫が深いため息をつく。
「それとアダム君、貴方外の世界から来たのよね。貴方の希望で外の世界に戻す事も可能なのだけど......。」
「記憶が戻るまで暫く幻想郷に留まろうと思っているのだが。完全な記憶喪失でも暫く時間が経てば戻る事もあるからな。」
「そう。戻りたい時は何時でも言っていいわ。」
一方、地上のとある森では、
「ハァ、ハァ......あんた凄いじゃん。」
「それはこっちの台詞だ。」
リョウと萃香は未だに戦い続けていた。
「悪いがもう決着を付ける。」
「望む所さ。」
互いの距離は3m。
互いに足を踏み込み、地面を勢いよく蹴る。
二人の拳が正面から激突する。
更に二人が同時にもう片方の拳をぶつけ合う。
「だああああっ!!!!!」
「うおおおおっ...!!!!!」
二人の拳の攻防が暫く続いた。
「はあっ!!!!!」
「でやっ!!!!!」
二人の拳が正面衝突し、互いに吹き飛ばされた。
二人とも体勢を整えて着地し、再び互いに飛び掛かる。
二人の距離が残り50cmを切った所で、萃香の目の前からリョウの姿が消えた。
「悪いね。」
上空からリョウの膝蹴りが萃香の頭にクリーンヒットした。
そのまま萃香が倒れ、リョウはやっと終わった、とため息をついた。
「い、いてて......参った。あたしの負けでいいよ。」
「......そうだ、お前の仲間の鬼達を幻想郷に戻す方法が他にも有るかもしれんぞ。」
「私が起こそうとしていた異変が良く分かるな。それは本当か?やってくれるのか?」
「ああ、実際に出来るかどうかは分からないが、詳しくは明日の夜11時にこの場所に来てくれ。ところで仲間達を戻すにはどれだけ時間が必要だ?」
「う~ん......3日位かな?」
「......あいつらには多少無理をしてもらうかもしれないが、一応やれるだけやってみよう。」
「ありがと、お前っていい奴だな。今度一緒に酒でも飲もうよ。」
「酒は出来るだけ泡盛が良いな。」
「あとあんたの名前は?」
「名前、か。」
リョウは一瞬考え込んだ。
「高橋オークだ。だが悪いけど顔は見せられない。明日の夜11時だ。」
リョウはそう言うと森の中に消えて行った。
リョウは自宅のディスプレイに向かっていた。
『それで、頼みと言うのは何だ?』
「「スペースマシン」の出力を1.5倍位上げられないか?無理だったら無理で良い。」
『そうか。少し待ってくれ。』
ロウが席を立って何処かへと行ったのがディスプレイに映っていた。
暫くしてロウとは別の二人の男性がモニターに現れた。
『久しぶりだね。リョウ。』
『所で何の用だ?』
「カイル、ドニー、今から説明する。」
カイルという人物は長めの金髪で青い目をした中性的な白人の青年で、ドニーという人物はリョウと同じくらいの歳の褐色の肌をした銀髪の男性だった。
「ある妖怪の仲間を助けてやりたくて、そいつらを幻想郷に戻す為に結界を安定させるエネルギーに加え、他人に気付かれなくする為のエネルギーが必要になる。」
『成程。それにはどれくらいの期間が必要かい?』
『確かに非常事態の為にもなるな。』
「3日だ。エネルギーは1.5倍位あれば十分な筈だ。」
『なんとか3日出来そうかもしれないが、「管理軍」に襲撃されないか心配だけど、ドニーさん、どうしますか?』
『私は一応賛成だが、判断はお前に任せる。』
『うむ......やりましょう。』
「そうか、二人ともサンキュー。」
『ほんの3日程度ならどうにかなるさ。』
『これも最悪の事態の為だ。』
一方、地域名アジア-カルイザワの研究施設で、
「フリードマン1号からの信号が途絶えました。しかし、発信機をアンダーソン1号に取り付けていれば何か分かったかも知れませんね。」
「......失敗か。アンダーソン1号はいずれにせよもうとっくに”壊れている”筈だ。次は数人の部隊を編成して計画を実行させよう。」
「ですが、それには以前の数倍のエネルギーが必要ですよ?それはいかがされますか?」
「6月に起こるスーパームーンだ。これまでの研究で月が満月、新月の場合では結界が不安定になる傾向が高い。スーパームーンであれば結界が更に不安定になる計算結果が出ている。」
「3か月後ですか......思う様に進みませんなあ。」
「それだけ「ユニバーシウム」には価値がある。」
「次は「ディックシリーズ」に成功の可能性がありますが、他の人員はどうしますか?」
「他は”普通の「トランセンデンド・マン」”にするさ。あと、せめて「エクストラ」を一人は入れたい所だ。」
リョウ君が言った「高橋オーク」という名は後に重要になります