東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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今回は短めです。



19 悪夢

 幻想郷にようやく春が来た。

 

「今回もお前の手柄か。凄いなアダム!」

 

 博麗神社では春雪異変の解決を祝う宴会が開かれていた。

 

「言っとくけど、宴会の後片付けやるのって私なのよ。」

 

「今はそんな事忘れて飲もうぜ。」

 

「じゃあ後片付け手伝ってね。」

 

「......ところで、アダムはどうしたんだ?」

 

「何だか具合が悪いって。どうしたのかしらね。」

 

「それって以前レミリアの奴が異変を起こした時もそうじゃなかったか?」

 

「そう言えばそうね。ちょっとアダムの様子を見て来ようかしら。」

 

 霊夢はそう言って神社の室内で横になっているアダムの所へ行った。

 

「アダム、調子は大丈夫なの?」

 

「......大丈夫だと言っている......。」

 

 そう言うアダムだが、額には汗が滴っていた。

 

「そう言っても大丈夫には見えないわ。前にレミリアが異変を起こした時もそうじゃなかった?」

 

「......今は放っておいてくれ......。」

 

「本当にどうしたのよ。正直に言って。貴方の力になりたいの。」

 

「放っておいてくれと言っているだろう!!!!!」

 

 突然、アダムが大声で怒鳴った。

 

 それはアダムが初めて見せた感情でもある。

 

 霊夢がそれに驚き、声を失う。

 

 それを聞いた、宴会に参加している者達が一斉に振り向く。

 

「......すまない、霊夢......でも今は一人にしてくれ......いずれ落ち着いたら話す事にする......。」

 

「私もごめん......でも私も心配なのよ......落ち着いたら是非話してね......。」

 

アダムが体を寝かせ、目を閉じた。

 

「なあ霊夢、今どうしたんだ?」

 

 魔理沙がアダムの叫び声を聞きつけて来た様だ。

 

「アダムが今は放っておいてだって。」

 

「折角アダムが一人で解決した異変なのに......楽しくないな......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある少年が廊下を走っていた。

 

 まるで何かから逃げる様に。

 

 廊下の右ドアからロボットが一体出て来た。

 

 ロボットが少年に対して銃を向け、少年はロボットへ飛び掛かった。

 

 ロボットが引き金を引いたのと少年の拳がロボットを使用不可の状態に破壊したのは同時だった。

 

 砕かれたロボットは力なく倒れ、少年の腹には銃から発射された麻酔弾が突き刺さった。

 

 少年は慌てて麻酔弾を引き抜こうとしたが、既に麻酔弾中の麻酔の半分が自分へと注入されていた。

 

 少年は麻酔の効力に抗い、ただひたすら逃げ続ける。

 

 ロボット達はひたすら少年を追いかける。

 

 廊下を走り続けるが、行き止まりに差し掛かった。

 

(もうこんな事は嫌だ!)

 

 少年は突き当りに向かってタックルした。

 

 タックルは突き当りの壁を砕き、少年がそのままそこにあった部屋へと入り込む。

 

 しかし、少年は逃げる事も忘れて立ち止まった。

 

 目の前には直径1m、高さ2mのガラスのシリンダーがあった。

 

 シリンダーの中には透明な液体と、人間が一人いた。

 

「......!」

 

 服は無かった。

 

 首の後ろ辺りにシリンダー上部とを繋ぐケーブルがあった。

 

 身長170cm位の青がかった黒髪の少年だった。

 

 つまり自分と同じ姿である。

 

 不意に背中に何かが突き刺さる感触がした。

 

 それも何十回、何百回と。

 

 後ろを振り向くと、何十台ものロボットが自分目掛けて麻酔銃を撃ち続けていた。

 

 少年は意識が遠のいていくのを感じ、やがて何の抵抗も無く倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......はっ!」

 

 アダムが起き上がった。

 

「......また嫌な夢を見てしまった......。」

 

 自分が寝ていた隣では霊夢と魔理沙が寝ていた。

 

 外を見ると既に宴会は終わっており、月が空に昇っていた。

 

「......僕は誰だ?」

 

 その声には苦しみが含まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話は次の日の夜中に移る。

 

「よう、萃香。来たか。」

 

 ネックウォーマーとパーカーに顔を隠されたリョウが言う。

 

「それで、どうすれば良いんだ?」

 

「期日は今から3日の間だ。後はお前のやりたい様にすれば良いだけだ。」

 

「ホントに?」

 

「知り合いに頼んで幻想郷の結界に......何というべきか......特殊な細工したものでね。噂の異変解決の専門家達にも気付かれないで済む。」

 

「本当にありがとう!オーク。」

 

(オーク、か......そう言えば久しぶりに聞いた名前だな。)「それとあと一つ、もし俺が協力して欲しいという依頼をした時には必ず協力を頼む。」

 

「いいよ。仲間達にもよろしく言っておくよ。」

 

「そいつはどうも。」

 

「ところでオークってさ、何で顔が見せられないんだ?」

 

「いわゆる企業秘密って奴だ。悪いが俺はここで。」

 

 リョウは闇に塗りつぶされた森の中へ溶けて行った。

 

「萃香?いつの間に帰って来たの?」

 

 丁度紫がスキマを開き、萃香の前に降り立った。

 

「うん、まあね。」

 

「今の人誰?」

 

「オークって言うんだ。人間だけど私の仲間を助けてくれたいい奴だよ。力も私より強かった。何故か顔を見せてくれないけど。」

 

「そう......。」

 

 紫は暫く考え込み、やがて口を開いた。

 

「藍、出てきてくれる?」

 

 突如、何も無かった空間に一人の女性が現れた。

 

「どうしました?紫様。」

 

 紫を様付けして呼んだ女性は金髪で8本の尻尾が生えた青と白を基調とした服を着ていた。

 

「人間の様子を暫く観察して欲しいの。特に怪しい者がいたらその人物は要観察よ。」

 

「分かりました......。」

 




次回から皆さんお待ちかね(?)の永夜叉です。
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