東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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注意:幻想郷の能力や世界観については自己解釈です



2 時間は止まらない

「思ったより大きいな。そして赤みの彩度が高い様だ。」

 

 アダムの前方少なくとも100メートル先には赤く巨大な館があった。

 

 いや、”赤い”と言うよりも”紅い”と表現した方が感覚的には正しいだろう。

 

 だが、アダムには"紅い"というフレーズが思いつかないらしい。

 

(塀は5m、門番はあの女性一人だけか。何故か服がボロボロだな。恐らく霊夢達だろうか。という事はどうやら回復が早いのか。)

 

 館の門番は赤毛のロングヘアでチャイナドレスを着た女性だった。

 

(出来るだけ感付かれない様に侵入しなければな。)

 

 アダムは遮蔽物に身を隠しながら館へと近づいて行った。

 

 門まであと5メートル。

 

 だが、

 

「......誰ですか?そこにいるのは。」

 

 門番はアダムの存在に気付き、アダムの方へと近づいてきた。

 

(良く気付いたな。一旦引き下がるか、不意を突くか。)

 

 アダムは感心しながら手っ取り早く終わらせられる不意打ちを選んだ。

 

 門番がアダムの隠れている茂みに近寄る。

 

(今だ。)

 

 アダムは門番に駆け込みストレートを掛けた。

 

 直後、門番はアダムの方を向くも、アダムの拳は門番の腹に当たった。

 

 門番は吹き飛ばされ、鉄の門にぶつかり、鉄の門もろとも倒れる。

 

 ここまではアダムの想定内だ。

 

 だが、門番は不意打ちが効かなかったかの様にすぐに立ち上がった。

 

「い、一体なんですか?!まさかこの紅魔館へ侵入するつもりですか?そうだと言うのなら、この紅魔館の門番、紅美鈴が許しませんよ。」

 

「こちらも友人を助ける為に来たんだ。引き返す訳には行かない。」(中々の防御力だ。簡単には行かないだろうな。)

 

 二人は戦闘の構えをとった。

 

 アダムは拳を握り、右手を体の前に、左手を顔の前に構えた。

 

 美鈴は姿勢を低くし、両腕を前後に広げ、手は手刀の形をとっていた。

 

(極東格闘術に似た構えだな。)「やっ!」

 

 アダムの裏拳で戦闘が始まった。

 

 しかし、受け止められる。

 

 アダムはさらに裏拳3発、手刀、フック、ボディ、二連蹴り、ローキック、蹴り上げ、とまだまだ続けていく。

 

 またしても全て受け止められ、仕舞には腕を掴まれた。

 

 美鈴はアダムを投げ飛ばし、壁にぶつけた。

 

 アダムは上手く受け身を取ったためか、ダメージはほとんど無く、壁もあまり壊れてなかった。

 

 それからアダムは、駆け込み振り下ろしパンチ、ローキック、跳び蹴り4発、両足蹴り、とするが避けられた。

 

 さらに、今度は美鈴へとラッシュの嵐を掛け、美鈴も同じくラッシュを掛ける。

 

 一発のジャブが美鈴へ当たる。

 

 アダムは追い打ちとして、ストレート、裏拳、回し蹴り2発、肘打ち、手刀、アッパー、踵落とし、と決まった。

 

 美鈴はかなりのダメージを受けたものの、すぐに距離を置き、体勢を立て直した。

 

「中々やりますね。ですがあなたの動きは多少無茶苦茶な所があります。」

 

「忠告をどうも。」(技は効かない、ならば実力だ。)

 

 するとアダムは低い姿勢になり、両手を地面に着き、右足を曲げ、左足を後ろへ伸ばす、スプリンターのスタートダッシュの構えだ。

 

 ドゴーン!

 

 この爆音は他でも無く、音速を越えた時に発する衝撃波だ。

 

 この時に発するエネルギーは陸上選手の1156倍以上となる。

 

 音速を越えたアダムは美鈴へと襲い掛かる。

 

 美鈴は動きは捉えているものの、速すぎて対応が間に合わない。

 

 アダムの頭突きが美鈴に炸裂した。

 

 さらに、アダムは空中で前に回転し、跳び蹴りを4発喰らわせた。

 

 アダムは着地し、そしてラッシュを何十発も当て、最後にアッパーで上に吹き飛ばした。

 

 アダムは飛び上がり、蹴りでさらに上へと吹き飛ばす。

 

 そして、もっと高く跳び、両手を組んで殴りつけた。

 

 美鈴は仰向けで地面に叩きつけられた。

 

 直後、アダムの降下ラリアットが美鈴の腹に決まった。

 

 美鈴は気を失った。

 

「倒せた様だな。しかし、霧が黒くなっているのがどうも気になる。あの色は光を遮るだけでは再現できない。」

 

 アダムの言う通り、霧はよく見なければ色の赤みが見えない程、黒くなっていた。

 

「さてと、急がなくてはな。」(動きに無駄がある、か。覚えておこう。更に強くなれるかもしれん。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アダムは紅魔館の玄関ドアの前にいた。

 

 音を立てない様にそっと開け、中に入った。

 

(内部も赤いのか。変な趣味だ。)

 

 アダムの言う通り、内部の壁や床は勿論、家具、小物、等全ての物が赤、いや、紅かった。

 

 広間中央の天井にあるシャンデリアも紅く輝いていた。

 

 突然、一本のナイフがアダムの目の前に浮いていたかと思うと、アダムの頭を目掛けて飛んで来た。

 

 すかさず体を反らして避ける。

 

「ようこそ、紅魔館へ。案内致しましょうか?侵入者さん。」

 

 正面階段にいつの間にかメイド服を着た女性がいた。

 

「この私、紅魔館のメイド長である十六夜咲夜が歓迎致します。」

 

 咲夜と名乗った女性はそう言い終えるとアダムの視界から消えた。

 

 それと同時に、アダムの前方からナイフが数本飛んで来た。

 

 アダムはナイフを避け、広間の中央へ移動した。

 

 そして、アダムは玄関の前にいる咲夜を見つけた。

 

(いつの間に?気配を感じなかった......。)

 

 今度はアダムの左右からナイフが十数本飛んで来た。

 

 アダムは避けながら、咲夜の方へと駆け込んだ。

 

 しかし、咲夜はまたしてもアダムの目の前から消えた。

 

アダムは常人より遥かに優れた動体視力を持つというのに、咲夜が消える瞬間何が起こったのか分からなかった。

 

(瞬間移動か?)

 

 アダムが振り向くと、咲夜は広間の中央の空中に浮いていた。

 

「やるわね、貴方。ここまで来たとなると美鈴を倒した、という事もあるようね。だけど貴方は負ける。何故なら私には「時を止める程度の能力」があるもの。」

 

(時を止める、成程、道理であんな瞬間移動が出来る訳だ。しかし、疑問があるな。止められるとしたら、何故自分だけ動けるのか。他にも色々疑問がある。時を止めている間に攻撃をしていない。)

 

 アダムは咲夜へと飛び掛かった。

 

 またしても咲夜は消えた。

 

「幻符「殺人ドール」」

 

 咲夜の声がしたと同時に今度は上下左右前後斜め全ての方向から何十本ものナイフが飛んで来た。

 

 アダムは直感的に腰に手を伸ばした。

 

 掴んだ物は、自分のナイフだ。

 

 アダムは自分のナイフで咲夜のナイフ数本を薙ぎ払った。

 

 弾かれたナイフはそのまま重力の法則に従い、落下する。

 

 そして、アダムはナイフを弾いて出来た隙間に体を投げ出した。

 

 アダムはダメージを受ける事無く着地した。

 

「やるわね、私の得意技を何とも無い様に避けるなんて。」

 

(やはりだ、時を止められるなら何故その間に攻撃をしないんだ?......という事は時を止めている間は止まっている物体に対して影響は及ばないという事か。)

 

 咲夜はアダムをナイフで囲む。

 

 アダムはそのナイフを弾き、弾いた所へ飛び込む様に避ける。

 

 アダムは咲夜が消える瞬間を凝視していた。

 

 これを繰り返す事数回、アダムは一つの可能性を確信した。

 

 咲夜はまたアダムをナイフで囲んだ。

 

 アダムは、今度は弾かなかった。

 

 その代わり、アダムはナイフを両手の指の間に計8本掴み、自分のリュックに入れる。

 

 そして、隙間を掻い潜った。

 

 これが数回繰り返された。

 

 不意に、アダムが咲夜から奪ったナイフ一本を斜め上へ、数本を上に放り投げた。

 

 残り数本はまだ投げていない。

 

 咲夜は意味の分からない行動に少しの間だが気を取られていた。

 

 アダムは咲夜の気が逸れたのを確認すると、今度は銃を持ち、数発咲夜へと放った。

 

 音速の5倍を誇る銃弾だ。

 

(速い!)

 

 咲夜は我に戻ると”時を止めず”に突然迫ってきた銃弾を避けた。

 

 安心していたのも束の間、突然上からシャンデリアが落ちて来た。

 

 先程アダムが一本斜め上に投げたナイフがシャンデリアを支えていた鎖を切ったのだった。

 

(間に合わない!)

 

 咲夜はこれも”時を止めず”に避けた。

 

 すると、今度はナイフが数本、回転しながら咲夜に迫って来た。

 

 先程アダムが上に放り投げたナイフが重力によって放物線軌道を描いて落ちて来たのだった。

 

(また間に合わない!)

 

 咲夜はまたしても”時を止めず”にこれを避けた。

 

 不意に後ろで気配がした。

 

 振り向くとそこには咲夜の後方180度から投げられたナイフ数本が咲夜を襲っている最中だった。

 

 このナイフはアダムが咲夜から奪った物で、この為に数本残していたのだ。

 

 これも咲夜は"時を止めず"に避けた。

 

 いや、その表現は間違っている。

 

 咲夜は時を止められなかったのだ。

 

 そして、咲夜は自分の後ろから首筋にナイフが当てられている事に気付いた。

 

「お前の負けだ、咲夜。」

 




東方のキャラの能力については科学的に考えられる自信が私にはあります。
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