東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中) 作:タツマゲドン
気にするな☆
「絶対に許さないわよ!!!!!」
幽香がそう怒りを叫ぶ中でリョウは自分の右手が震えてきたのを感じた。
(クソッ!こんな時に限って!やっぱ使い過ぎは駄目か。)
「喰らいなさい!!!!!」
幽香がリョウに向けて傘の先端を向ける。
リョウが素早い動作で飛行マシーンを脱ぎ捨て、幽香に向けて、震えたままの右手を差し向ける。
不意にリョウの足元から太く長いツタが何本も勢い良く生えてきた。
しかし、ツタがリョウに巻き付こうとするが、リョウに触れる前に燃え尽きてしまう。
どのツタも燃え尽き、幽香はリョウに対して驚きの表情を見せる。
「も、燃えた?!」
「俺が「灼熱のリョウ」と呼ばれる所以さ。と言っても植物が燃える温度なんてほんの300℃位だがな。」
すると、何かが幽香を制したのか、幽香の持つ傘から極太のレーザーが発射される。
リョウが横方向へ倒れ、地面に手を着いて側転しながら、右手からエネリオン塊を放出する。
レーザーは躱され、エネリオン塊は幽香の傘にヒットし、爆発する。
大切な傘が燃やされ壊れ、更に爆風で後方にのけ反り、爆炎で視界が遮られたが為にリョウが接近して来た事など幽香の知る所では無かった。
次の瞬間、リョウの連続ジャブが何十発も決まり、最後のストレートを喰らい、力が抜けた様に倒れ込む。
幽香が顔を上げると、目の前でリョウが震えた右手を自分へ向けていた。
「......。」
「......。」
「......何よ、早く止めを刺しなさいよ!」
「......殺したくないんだ。お前の為にも、俺の為にも。」
「どういう事よ!私は貴方を殺してやる気持ちだったのに、私に情けでも掛けているつもり?!」
「お前を殺しても何も良い事は起きない。お前にとっても、俺にとっても、そして、幻想郷にとっても。」
「......どういう意味?!」
「あまり言いたい事では無いが、簡単に言えば俺は俺を制御しなければならない。」
そう言い終え、リョウは飛行マシーンを取るとその場を去って行った。
右手を震えさせながら。
「ああ、疲れた......家帰ってコーヒー飲みてぇ。」
「しかし、お前凄かったな。まさかあの幽香に呆気無く勝つなんて。アダムでも互角位だったんだぜ。」
リョウと魔理沙は里の通りを歩いていた。
「まあな。腕には俺達反乱軍の中でも随一と言われている。」
「そのナルシストな性格を直せばモテると思うぞ。折角カッコいい見た目なんだし、勿体ないぜ。」
「うるせぇ、アクエリオンシリーズ3作目の主人公もナルシストだっただろうが。」
「何だ?そのアクエリなんたらって。」
「ああ、お前達は知らないか......昔流行ったアニメなんだが。」
「分からん。それよりお前の嫁さんが来たらしいぜ。」
「お前までそう呼ぶか......。」
いつもの様に前方から慧音が来た。
「リョウ、あの幽香を倒したって聞いたんだが、本当か?」
「まあな。相変わらず噂って速えな。それにしてもお前随分暇らしいな。」
「それより、お前ん家が大変な事になっているぞ!」
「は?」
3人とも早速リョウの家に行ってみる。
「これは......。」
「ちょっと前に、まるでお前の家だけを揺らすかの様な地震が起きたんだ。一体どうなっているのか分からない。」
「天子の奴か!クソッタレ!!!!!野郎、ぶっ殺してやらあ!!!!!」
リョウの家は地震後の様に全壊状態だった。
「お、落ち着けよ。それで、どうするお前?」
「......今度は喫茶店でも開こうかな......慧音、建て直すまでお前ん家に泊めさせてくれ。」
「ああ、良いけど。」
「サンキュー。じゃあ俺はちょっくら行って来る所がある。また後でな。」
飛行マシーンを付け、上空へと飛んで行き、リョウの姿はすっかり見えなくなった。
「あいつ、仕返しするらしいな。ホント中身はガキだな......。」
「ホント、28歳とは思えないな。」
「霖之助、なんか良い拷問道具無い?」
「え、えっ?な、無いよそんな物?!」
「じゃあSAWに出て来る様な殺人マシーンとか。」
「何だよそれ......?」
「じゃあいいや。じゃあな。」
「......。」
「オレァクサムァヲムッコロス!!!!!」
「え、え?」
次の日、「文々。新聞」では天子にキン肉バスターを決めたリョウの姿がトップを飾った。
数十分後、リョウが戻って来た。
「リョウ、どうしたんだ?」
「天子とプロレスをした、それだけだ。さあ帰ろう。」
「......。」
魔理沙と慧音は、やっぱりな、と言うかのように無言で呆れるのだった。
「ハァー......。」
リョウが無意識にため息をつく。
ため息からは疲れだけでなく不満足感が感じられた。
(......結局俺は何も変わってないのかもな......まあ殺さなかっただけマシだが......。)
「......リョウ、何か悩みでもあるのか?」
慧音がそう訊くが、
「ん?いや、ちょっと昔の事を思い出しただけだ。良い思い出では無いがな。」
リョウは否定した。
しかし、慧音は震えるリョウの右手を見逃してなかった。
真っ暗な路地。
子供が1人、何かに怯え逃げる様に走る。
誰かが足元に倒れているが、踏んだ事も気にせず必死に走る。
それを追い掛ける別の男。
涙を浮かべながら逃げる子供を、笑みを浮かべながら追い掛ける。
「......た、助けて......!」
「クックックックックッ......どんどん逃げろ逃げろ。もっと走れよ人間。」
しかし、行き止まりに追い込まれる。
「......だ、誰か......!」
「フッ、ハッハッハッハッハッ!!!!!ゲームオーバーだな!」
男が子供に右手を向ける。
「おい、お前!そこで何をやっている!」
通り掛かった警官らしき男が異変に気付いたのか、声を掛ける。
「......消えろ......。」
「何?」
「消えろ、と言ったんだ。補聴器くらい付けておけよゴミ。」
男が警官らしき男へ右手を向ける。
ドパーン!
辺りに元は警官らしき男”だった”ものの肉片が飛び散る。
「......う......あ、あ......。」
「お前もこうなるんだ。じゃあな。」
再び男が子供に向けて右手を向けた。
「うわあああああ!!!!!」
子供が叫び声を上げると共に男に向けて両手を突き出しながら駆け込んでいく。
「はっ!」
突然、リョウは目を覚ました。
「......またか。最近同じ夢ばっか見やがる......。」
意識すると、まだ右手が震えているのを感じる。
何となく部屋の外へ出てみる。
「おっ、月が出ている。満月じゃないが、綺麗だな......暫く眺めるか。」
外に出て、屋根に上る。
「おや?先客が居たか。」
「リョウ、こんな時間にどうした?」
「お前こそ、満月じゃないのに何で変身しているんだ?」
慧音はいつもとは違い、髪や服が緑になり、頭から2本の角が生えていた。
「多分月が普段より大きいからだろう......白澤の姿だ。あまり見ないでくれ。見せたい物じゃない。」
「成程、スーパームーンか......どうして起きてるかって?”俺達”は普段から脳の処理能力に優れているから睡眠が余り必要ないんでな。」
リョウの言っている事はあながち間違いでは無いのだが、
「お前、何か悩みでもあるのか?」
慧音はリョウが何かを隠している事を見通していた。
「......さすが先生だな。分かった、話すぜ。お前と同じ様に俺にも見られたくない”自分”があるんだ。詳しくは言いたくないがな。一気に話すぜ。」
リョウは間を開け、続きを話した。
「以前はその”自分”に完全に飲み込まれていた。それを如何にか少しずつ抑えていけたのは良いが、最近、まるでガンを治療したのに再発したかの様に、”そいつ”が再び現れ、また俺を飲み込もうとしている。俺はそれを出来るだけ制御しているが、もう限界が来ている。」
「......そうか......私は今お前が言った様にはなった事がないから分からないが、私なら何時でも力になる。負けるなリョウ、少なくとも私は応援しているぞ......解決策は分からなくてすまないが......。」
「良いよ。話すでも気が楽になった。ありがとよ。」
「どういたしまして。」
2人は握手を交わした。
慧音が手を離そうとした、が、リョウが力強く握って離れない。
更にリョウの手の震えが強く伝わって来る。
「......リョウ?」
「......俺から離れろ!」
「で、でも......」
「早くしろ!」
慧音は両手の力で抜け出そうとするが、それ以上の力でリョウが離すまいと握る。
リョウが左手を伸ばし、右手を強引に引き剥がす。
リョウと慧音の手が離れる。
次の瞬間、リョウの右掌からエネリオン塊が放出された。
エネリオン塊は上空へと飛んで行った。
「......。」
「......クソッ!」
リョウが立ち上がり、何処かへと走って消えていった。
リョウ君はニコ動ネタが使いやすくて楽しいです
しかし逆に非常に暗い過去を持っているのですが...