東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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4 無感情

『中々やりますね。ですがあなたの動きは多少無茶苦茶な所があります。』

 

 美鈴のそんな台詞がアダムの脳内を流れていた。

 

 アダムは構えをとった。

 

(今は試すしか無い。)

 

 それは、手を手刀の形にし、右手を体の前に、左手を右肘に添え、という様な構えだった。

 

「アダムってすごい!私の遊びでも簡単に壊れないなんて。」

 

 4体のフランの内、一体が言う。

 

「遊ぶ?傍から見れば殺し合いの様なものだと思うんだが。」

 

「私ね、495年もここに閉じ込められていの。だから今度は495年遊ぶんだ。」

 

(身体年齢は10歳弱、精神年齢はそれ以下だろうか。いや、恐らくこいつも人間では無く妖怪か。)

 

 そんな事を考えていると突然、二体のフランがそれぞれ左右から襲って来た。

 

 アダムは左右からの連続攻撃を何とか防ぐ。

 

 左右のフランが同時にアダムの顔面を目掛けてストレートを繰り出した。

 

 するとアダムはしゃがみ、攻撃を避けた。

 

 フランは反対側にいたフランのパンチを自分の拳に受け、自分も、反対側の自分も拳に強烈な痛みを感じた。

 

 アダムはしゃがんだまま、両腕を広げる様にして二体のフランを吹き飛ばした。

 

 今度は正面からフランが力任せにと突進して来た。

 

 アダムはフランの肩を押さえ、受け止めた、がフランの押す力が強く、少しずつ押されていく。

 

 すると、もう一体のフランが後ろから爪で斬り裂こうと襲って来た。

 

 アダムは受け止めているフランを押すのを止め、体を後ろに倒し、フランを投げ飛ばす。

 

 投げ飛ばされたフランは、アダムを襲っている最中のフランにぶつかる。

 

(相手の攻撃が避けられなければその攻撃を利用すればいいだけの事だ。あの時言われた事は本当だった様だな。まだ僕には活かせていない力がある。そして柔をもって剛を制す、という諺を思い出した。更に相手の動きが単調な分助かったな。)

 

 一体のフランが起き上がり、アダムの腹にストレートを繰り出していた。

 

 アダムはストレートを横に避け、その腕を掴み、地面へ投げ倒した。

 

 別のフランが爪を立てて腕を振り回して来た。

 

 アダムはその腕を小手で受け止め、そのまま受け止めた腕で肘打ち、裏拳を喰らわした。

 

 今度はフラン二体が弾幕を放ってきた。

 

 アダムはすかさず右手にナイフ、左手に銃を取り、ナイフで弾幕を弾き、銃口をフランに向けた。

 

 アダムは一体のフランに集中的に銃を連射した。

 

 その結果、何十発も撃たれたフランには大してダメージにはなっていないが、怯ませる事は出来た。

 

 その隙を狙ってアダムはフランの元へと駆け込み、足払い、アッパー、跳び蹴り、を決めた。

 

 しかし、もう一体のフランが、背後から空中にいるアダムを殴り飛ばした。

 

 アダムは何とか受け身を取り、すぐ立ち上がる。

 

 先ほどアダムを吹き飛ばしたフランが殴り掛かってきた。

 

 アダムはそれをどうにか受け止め、さらに次々に繰り出される連続攻撃を避けていく。

 

 すると、後ろから別のフランがアダムへストレートを喰らわそうと飛び掛かってきた。

 

アダムは空中に跳び上がり、避けた。

 

 結果、ストレートは先ほど連続攻撃を仕掛けていたフランの顔面にクリーンヒットした。

 

 直後、アダムは先ほどストレートを繰り出していたフランの頭頂部を踏みつける。

 

 その直後、アダムの後方からフランがナックルを決め、アダムは床に叩きつけられた。

 

 4体のフランがそれぞれ、前後左右から襲い掛かって来た。

 

 アダムは起き上がると同時に、地面についた片手を軸にして回転しながら蹴りを繰り出した。

 

 蹴りは3体のフランに当たる。

 

 残り一体のフランは蹴りを腕で受け止めていた。

 

 アダムはもう片方の足を伸ばし、フランの足を掬う。

 

 アダムは距離を置き、体勢を整える。

 

(......有効だが、かなりスタミナを減らしてしまったな。果たしてこれで暫くもつかどうか......。)

 

 4体のフランが起き上がった。

 

 すると3体のフランが消えた。

 

「何故元に戻す?大人数の方が有利な筈だ。その事はお前にも分かる筈だ。」

 

「それでも全然攻撃が当たんないんだもん。今度はもっとすごい技にするんだ。禁忌「レーヴァテイン」!」

 

 フランの手には少なくとも彼女の身長よりも1.5倍の長さのある大剣が握られていた。

 

 アダムはすかさず腰からナイフを取り、構える。

 

 ナイフからは超振動による甲高い金属音とエネルギーシールドの光の反射による青い光が放たれていた。

 

 また、アダムはナイフを握った手から自分のエネルギーが吸い取られるのを感じた。

 

 フランがアダムを薙ぎ払おうと剣を振り回した。

 

 フランが剣を振り回すと同時に、アダムはその剣が伸びたのに気付き、しゃがんで避けた。

 

 フランが剣を振り回す動作を追えると、剣は元の長さに戻った。

 

(さっきはナイフで受け止められたが、大剣だからな......それに伸びるとは予想外だ。見た所、伸びる時に質量は変化していない様だ。)

 

 フランは剣を振りかざした。

 

 アダムは両手でナイフを持ち、フランの一太刀をどうにか受け止めた。

 

 フランは続けて連続斬りを繰り出す。

 

 アダムは攻撃を避けるに避け、最後の一撃をナイフで受け流し、フランに接近するが、フランの大剣が行く手を阻む。

 

 アダムは距離を置き、左手に銃を取った。

 

 アダムが引き金を引くと、アダムは銃を握った手からエネルギーが吸い取られる感覚を覚えた。

 

 それと同時に、ピュウ、という小さいが甲高い音が鳴り、銃口からは青い光を反射する半透明の銃弾が、音速を超えるスピードで”衝撃波を出さず”に放たれた。

 

 一発では無く何十発も。

 

 その発射間隔は一秒に50発。

 

 フランは剣の刀身が太い事を利用して、剣を翳して銃弾を防ぐ。

 

 その隙に、アダムは横へと回り込み、ナイフを振りかざす。

 

 しかし、フランの大剣によって跳ね除けられた。

 

 直後、フランは剣を横方向に振り回した。

 

 アダムはとっさに後退し、避ける。

 

 だが、アダムは脇腹に焼ける様な痛みを感じた。

 

 見ると、脇腹の部分にかすったらしく、火傷と切り傷があった。

 

 アダムは傷の痛みを我慢しながら構え直した。

 

 左半身を前に出し、左手に握った銃の銃口をフランに向けながら左手を前に構え、右手に握ったナイフの切先をフランに向け、矢を引っ張る様に構えた。

 

 フランが大剣を伸ばし、叩きつけた。

 

 アダムはそれをナイフで受け止め、その隙にフランへと銃弾を発射した。

 

 フランに対してダメージは余り無いものの、わずかに怯ませる事は出来た。

 

 アダムはその隙を逃さず、足払い、蹴り上げ、アッパー、さらにラッシュの嵐を掛けた。

 

 最後に一発、両足で蹴り飛ばした。

 

 フランは体勢を整えようとしたものの、その前に壁に激突した。

 

 フランは起き上がるが、視界にはアダムの姿は無かった。

 

 直後、フランは頭頂部に強烈な痛みを感じ、さらに顔面から地面に叩きつけられた。

 

 アダムは飛び上がり、降下キックを繰り出していたのだった。

 

 フランは起き上がろうとするが、アダムはフランの首筋にナイフを当てた。

 

「お前の負けだ、フランドール。」

 

 しかし、フランは降参を言うどころか、何か呟いている。

 

「......私は何もしていないもん......ただ遊びたいだけなのに......お姉さまは私をこんなところに閉じ込めて......。」

 

 アダムにはフランの声が段々大きくなっていくのが分かった。

 

 アダムは何か得体の知れない感覚を感じ、フランから離れた。

 

 アダムにはそれが何なのかは分からない。

 

「嫌だ!こんなところで永遠に過ごしたくない!みんなと遊びたい!なんでみんな私から離れるの?!なんでこんなところに閉じ込めるの?!もうこんなの嫌だ!!!!!禁弾「スターボウブレイク」!!!!!」

 

 フランはこれまでよりも遥かに速く強力な弾幕を放った。

 

 アダムは直感ですんでの所でどうにか避けた。

 

 狙いが逸れた弾幕は扉へと直進し、扉を破壊するだけに留まらず、エネルギーの大半を残したまま外へと向かって行った。

 

 直後、アダムは直感的に腰から銃とナイフを抜きフランへと駆け込んだ。

 

 そして、銃をフランに何十、何百発も浴びせ、ナイフをフランの左胸へと突き刺した。

 

 アダムは自分に出せる最大限の力を使ってナイフを押し込んだ。

 

 吸血鬼は胸に杭を打たれると死ぬ。

 

 アダムはそれを知っているのか分からないが、アダムによって突き刺されたナイフは杭の役目をするのに十分だった。

 

「なんで......。」

 

 フランは涙を流しながら、眼を閉じ、力なく倒れた。

 

 フランドール・スカーレットは死んだ。

 

 アダムはそれを確認すると、ナイフを引き抜き、血を払った。

 

 ちなみにアダムの表情に変化は無く、無表情のままだった。

 

 まるで、彼は殺す事に慣れているかの様だった。

 

「酷く手こずってさらに殺すしか方法が無くなるとはな。さて、異変を解決しなければな。」

 

 アダムには殺してしまった、という罪悪感すら無かった。

 

 彼は感情はあれど、感情よりも理論を重視する。

 

 まるで、彼にとって死んで当たり前、の様だった。

 

 彼にはそれはただの情報に過ぎない。

 

 アダムは銃とナイフを戻すと跡形も無く破壊された扉へと向かって歩いて行った。

 




...今後もこういうシーンとか多い傾向になると思います。
彼の性格とかを表す為です...
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