東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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48 動き出す者達

 真っ黒なローブを身に纏った男は幻想郷の何処かの森を歩いていた。

 

 その存在に気付く者は誰一人居ない。

 

『「破壊神」が暴走し始めた。「破壊神」を止めろ。出来なければ殺せ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ!」

 

 妖夢が掛け声と共に黒い男へ剣を振り下ろし、黒い男の腕へ鈍い音を立てて当たる。

 

 当たったが切断する事は出来ず、そこへ黒い男がパンチを打ち込もうとする。

 

 その時、黒い男が突然後ろを振り向いた。

 

 黒い男の視線の先には地上へと繋がる階段があるだけだ。

 

 黒い男は振り向いた方向へと真っ直ぐに飛んで行った。

 

「......一体どうなったの?」

 

「地上へ行くのならば少なくとも地上で何かしらの事が起こっていると思うわ。だから私達も行くわよ。」

 

 紫達も黒い男の後へと続いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......何?分かった。すぐ行くとしよう。」

 

「隙ありー!」

 

 フランが突き出した鉤爪に対し、レックスはリーチを生かした蹴りを繰り出す。

 

 鉤爪はレックスに当たらず、レックスの蹴りが一足先に直撃した。

 

「学習しない奴だな。俺には勝てんと何時になったら分かる。」

 

 レックスはジェット気流を自身の後ろに発生させ、反動で前に進み始める。

 

「まだまだだもん!」

 

 フランが両腕を伸ばしながらレックスへと突進する。

 

「諦めろ。」

 

 レックスの踵落としが決まり、フランは丁度そこにあったヒマワリ畑へと叩き落とされる。

 

「後で面倒だから無力化させておくか。」

 

 レックスが地面に降り立ち、倒れたフランへ拳を掲げる。

 

「ぬ?」

 

 レックスは上げた拳を開き、横へ向ける。

 

 風の刃は地面から生えて来たツタを切断した。

 

 そして、離れた所に女性の姿があった。

 

「何故綺麗な花を台無しにするのかしら。全く考えもつかないわ。」

 

 幽香が今回でトランセンデンド・マンが自慢の花畑を荒らした事に堪忍袋の緒が切れたのは3回目だ。

 

「どうでも良い。悪いが構っている暇は無い。」

 

「貴方ねえ、花を馬鹿にしないで頂戴!」

 

 幽香が怒りの声と同時に弾幕を放つ。

 

 弾幕は次々と衝撃波にかき消されていく。

 

「幻想「花鳥風月」!」

 

 幽香が怒っているのに対し、レックスは表情を変える事無く弾幕を躱していく。

 

 その時、

 

「私を無視しないでよ!」

 

 フランが後方からパンチを繰り出す。

 

「......ハア、またか......。」

 

 面倒臭そうな声を漏らしながらレックスは突き出される腕を掴み、幽香へと投げ飛ばした。

 

 難無く上空に避けた幽香だが、突然突風が頭上から吹き付け、幽香を地上に戻す。

 

 レックスが駆け込みながら気流を操作する。

 

 追い風によって加速したレックスは拳に力を込め、幽香へと突き出す。

 

 突き出すと同時に拳のスピードを追い風によって更に加速させる。

 

 迫り来るレックスに対し避けようとする幽香だが、突如吹いた突風によってその場に留められる。

 

 レックスのパンチが幽香の腹に決まり、幽香は力無く倒れる。

 

「さて、後は......。」

 

「私を馬鹿にしないでよ!」

 

 レックスへと飛び掛かりながらパンチを繰り出すフラン。

 

 パンチをしゃがんで避けられ、次の瞬間、フランの腹にアッパーが決まった。

 

 レックスも空中へ飛び上がり、フランを追い越す。

 

 両手を組み、上空から自由落下と気流操作を組み合わせた分のスピードでナックルを叩きつける。

 

 地面に叩きつけられたフランは起き上がらなかった。

 

「終わったか......今は早く行かねば......。」

 

 レックスは急いでその場を飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......何だと?!......んじゃあ今戦っている奴らを倒し終えたら行くとするぜ。」

 

「一体何を言っているんでしょうか?」

 

「恐らく味方とのテレパシーだ。向こうが驚いていた所から見ると余程大事なのか。」

 

 離れた所で早苗の疑問にカイルが答える。

 

 間も無く、サムがカイルたちへと襲い掛かって行く。

 

 対するカイルは近接戦闘の構えを取った。

 

 指を伸ばした手を突き出すサムに対し、手首を受け止めるカイル。

 

 力でサムが勝り、カイルの首元に手が突き刺さる。

 

 そのままカイルの腹へパンチを連続で決める。

 

「近接戦闘は俺の方が分があるらしいな。」

 

 サムから繰り出される打撃攻撃を次々と受け止めていくカイルだが、その動作は無駄こそ無いものの余裕が無く、更には反撃の余裕も無かった。

 

 サムの裏拳を掌で受け止め、手刀を腕で防ぐ。

 

 フックをしゃがんで避け、続けて来るボディブローを手でブロックする。

 

 次々と繰り出されるパンチを腕で左右に払い除けていく。

 

 更に来るミドルキック、下段回し蹴り、2連蹴り上げ、踵落としをどうにか避ける。

 

 サムが一瞬で体を加速させ、カイルへ膝蹴りを仕掛ける。

 

 膝蹴りはカイルの両手に受け止められたが、サムは考える間も無くもう片方の足で頭に向かって蹴りを繰り出す。

 

 蹴りはすんでの所でカイルが両腕で足首を掴む事によって防がれた。

 

 掴んだ足首を振り下ろし、サムを地面に叩き落とし、距離を取る。

 

 起き上がろうとしたサムだが、何処からか飛んで来た弾幕に気付き、慌てて避ける。

 

「状況を見極める能力に関しては僕が上の様だな。能力を乱用しているだけで動きにかなり無駄があるよ。」

 

「この調子ならいけそうですね、カイルさん。」

 

「......チッ、まあ良い。いずれお前達は殺される。」

 

 すると、サムの姿が揺らいだ様に感じた。

 

 サムが地面を蹴り、少し遅れてカイルが構える。

 

 サムから繰り出される攻撃は大量の腕や足が幾重にも重なっている様に見えた。

 

 カイルはそれが光を屈折させる事による幻影である事を知っているが、目から入る情報量が多すぎて脳での処理が間に合わない。

 

 カイルは周辺に存在するエネリオンやインフォーミオンを感知して周囲の情報を知るという手段があるのだが、サムの動くスピードに自分の体が付いて行けない。

 

 よってカイルは防御を試みるも次々と攻撃を浴びる事となった。

 

「カイルさん!」

 

 早苗が助けようとサムに向かって弾幕を放つ。

 

 サムの目は既に迫り来る弾幕を捉えていた。

 

 冷静に弾幕を避けていくサムに対し。幾らか冷静さを失った早苗。

 

 だから早苗は自分の背後で光が屈折し、レーザーになりかけている事など知らなかった。

 

「危ない!」

 

 カイルが全速力で駆け、早苗を掴むと迫り来るレーザーを避けようとする。

 

 2人の体が地面を擦り、すぐさま立ち上がる。

 

「あっ。」

 

 カイルの左足にレーザーを受けた火傷痕があった。

 

「大丈夫だったかい?」

 

「ええ、でも......。」

 

「心配しないで、勝てる方法はある。」

 

 早苗にはカイルが自分の痛みを隠して自分の事を心配してくれる態度に嬉しさと不安が入り混じっていた。

 

「ほう、勝てるもんなら勝ってみろよ。」

 

『早苗、僕の指示通りにしてくれないか?』

 

(分かりました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......分かった、行けるならば行くとしよう。」

 

「誰と話している?」

 

「お前には必要ない事だ。」

 

 ガミジンはアダムの質問に答えない代わりにカミソリを突き出す。

 

 ガミジンから突き出されたカミソリを左のナイフで外側に弾き、同時に右のナイフを突き出す。

 

 アダムの右手首を左手で払いのけ、右足で上段回し蹴りを繰り出す。

 

 ガミジンの蹴りを体を後ろに反らす事で躱し、同時にサマーソルトキックを繰り出す。

 

 アダムの蹴りをしゃがんで避け、同時にアダムの脇腹へ蹴りを仕掛ける。

 

 ガミジンの蹴りを腕で受け止める。

 

 蹴り足を引き戻し、アダムの正面に蹴りを放つ。

 

 再び蹴りをアダムの腕に受け止められ、脚を引き戻し、今度はアダムへ下段回し蹴りを繰り出す。

 

 アダムは蹴りを跳び上がって避け、下半身を上空に投げ出し、同時に地に向けた上半身から両方のナイフをガミジンへ薙ぐ。

 

 咄嗟に両腕を掲げたガミジンだが、片方はカミソリによって防がれたもののもう片方はガミジンの左腕を裂いた。

 

 体を1回転させて着地したアダムと左腕の痛みを振り切ったガミジンは対峙する。

 

(感情を持ち始めた割には動きが読めない......そうだ、行くか。)

 

 銃を左手に持ちアダムへと乱射し、沈黙を破ったガミジンは何処かへと走って行った。

 

 突如発射された銃弾をナイフで防ぎ、ガミジンを追う。

 

 ガミジンへと飛び蹴りを繰り出すアダム。

 

 それに対し、蹴りを避けアダムの突き出された足へカミソリを振り下ろす。

 

 自分の足をガミジン側に逸らす事によって斬撃を躱し、同時に回し蹴りを放つ。

 

 アダムの蹴りを左腕で受け止め、アダムへ膝蹴りを繰り出す。

 

 アダムは体を地面と水平にする事によって蹴りを避け、同時に足をガミジンの首に引っ掛けた。

 

 そのまま回転を利かせ、ガミジンを地面に叩き下ろす。

 

 倒れたガミジンへナイフを振り下ろすが、負けじとガミジンがカミソリで防ぐ。

 

 ガミジンは仰向けの状態でアダムに蹴りを決め、立ち上がると再び走り去って行く。

 

 それに対し、アダムは両手に銃を持ち、乱射する。

 

 ガミジンは前に進みながら体を捻り、カミソリを動かし、エネリオンの銃弾を放ち、銃弾を防ぐ。

 

 逃げるガミジンを追い、容赦無く銃弾を吐き出すアダムと、何か思い付いて、ひたすらアダムから逃げようとするガミジン、どちらにも表情に余裕が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リョウは何処かの森の中に居た。

 

 その存在に気付く者は誰一人居ない。

 

 そして、その左腕はひたすら右腕を抑えていた。

 

「......ハァ、ハァ......やり過ぎたかな。やはり簡単に隠し通せる事では無いな......バレない様に奴らを何とか出来るかなあ......。」

 

 リョウは荒い息遣いのまま右腕を抑えながら歩いて行った。

 

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