東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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期末試験中なのに執筆している作者

はい、私はバカです


70 破壊

 「カオス」の姿はみるみるうちに「破壊神」の突き刺した背中から内部へ入る様に姿を消した。

 

 地面を駆けていたアダムはそれに間に合わず、途中で足を止めた。

 

「一体何?!」

 

「吸い込まれたのか?それとも入って行ったのか?」

 

 突然の出来事で霊夢と魔理沙が共に驚きの声を上げた。

 

「カイルさん、分かりますか?」

 

「......自分から入ったんだ。何故なのかは分からないが、奴「カオス」は「破壊神」を操りたいという願望を持っていた......。」

 

 カイルは一旦そう言い終えると「破壊神」を構成するインフォーミオンの構造を見始めた。

 

 体表から空間中のエネリオンを吸収しているが、脳ともう1か所に集中的にエネリオンが流れ込んでいる。

 

 通常トランセンデンド・マンが体表から吸収したエネリオンは一時体内に均一的に蓄える。

 

 それを必要な働きの都度、必要な部位や器官、組織や細胞を働かせる為にエネリオンを集中させる。

 

 それが今、「破壊神」のエネリオンは心臓の下辺りに集まっている。

 

 そこにある物質が何で構成されているのかカイルは分かった。

 

(ユニバーシウムだ。あそこに「コントローラー」の本体があるのか。そして......)

 

 ユニバーシウムから「破壊神」の脳へ、直接電気信号が送られている。

 

「直接強力な電気尊号を送ってコントロールを試みているらしい。「破壊神」の脳あるいは心臓にダメージを与えても「カオス」自体がその肉体を操る。だから止めるには心臓の真下にあるユニバーシウムのエネリオン供給機関を破壊しなくては。それには膨大なエネルギーが必要だ。だけどまずは作戦を練る必要がある。かと言って相手が待ってくれている訳では無い。さとり、「破壊神」と「カオス」の思考を読み取って僕に伝えてくれ。」

 

「あっ、はい。」

 

 丁度その時、

 

「ウガアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

 

 「破壊神」が苦しそうに叫び声を上げた。

 

 その声量に驚いたさとりだったが、気を取り直して自分の能力を発揮した。

 

『......。』

 

『お前もこれ程強力な信号には逆らえまい。最高だ。』

 

『......。』

 

 片方は完全に沈黙し、片方は喜びに満ちていた。

 

『カイルさん、もう完全に乗っ取っていますよ!』

 

『ああ、聞いたよ。』(不味いな、時間の問題だ。せめて向こうに攻撃の隙を与えない様にすべきか......。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最高の気分だ。

 

 何故なら目的と願望を達成したからだ。

 

 それは「破壊神」のコントロール。

 

 目的自体は既にあったが、何故そうしたいという願望が芽生えたのかは分からない。

 

 何時の間にかそう思う様になっていた。

 

 だが今は何もする気が無い。

 

 目的と願望を失い、あとはどうでも良い。

 

 しかし周辺に居る反乱軍と幻想郷の奴らは私を敵視している。

 

 自分に襲い掛かる危機は守らねばならぬ。

 

 生物としての当然の行為だ。

 

 彼の目的は自己防衛に変わった。

 

 自己を守りたい、という願望も目覚めた。

 

 ならばこの”力”を使おう。

 

 そしてその力はどれ程の物なのか興味が湧いて来た。

 

 彼は地面に手を置いた。

 

 その”力”を発揮する為だ。

 

 かつて一瞬にして400万人を葬った力を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「破壊神」が手を地面に着けたのはアダム達にも見えた。

 

(アダム、逃げろ......。)

 

 誰かがそう言った気がした。

 

 実はこの声がアダムに無い筈の知識を与えていた。

 

 その声に対する記憶は無いが、何か懐かしい気がした。

 

「......奴から離れろ!」

 

 アダムの叫び声は地霊殿に響き、その場に居る者全員の未知に対する恐怖を煽った。

 

 全員が警告通りに従い、「破壊神」から離れる。

 

「......間に合わない、何か遮蔽物に隠れろ!」

 

 各々そこら辺にあった岩や壁、窪みに隠れる。

 

「一体何でしょうか。」

 

「”見て”みる。」

 

 カイルが能力を使って”見た”事、「破壊神」が触れた土が「破壊」された瞬間だった。

 

「伏せて!」

 

0.000035g分の土がエネルギーに変換された。

 

 アインシュタイン方程式に当てはめるとTNT換算で75tものエネルギーだ。

 

 160年以上も前に作られたガンバレル型ウラニウム活性実弾 L11やM65 280mmカノン砲のW9砲弾の200分の1の威力である。

 

 一瞬で爆破地点付近の土砂が気化・液化し巻き起こされ、空気は加熱膨張し衝撃波を発生させた。

 

 核反応による放射線の発生や対消滅によるニュートリノがエネルギーを持ち去る現象は起きず、純粋な熱エネルギーが周囲に広がった。

 

 中心は瞬間的にプラズマ状態となり、熱が閃光と共に広がる。

 

 衝撃波はあらゆる物体を吹き飛ばし、それは周囲に居たアダム達も例外では無かった。

 

 吹き付ける岩石蒸気が壁や天井、岩、地面までも溶かす。

 

 暫くして熱風と爆風と閃光は止んだ。

 

「皆、無事?!」

 

 紫が叫ぶ。

 

 返事はある程度返って来たがどれも元気が無い。

 

「......危なかったわね。」

 

「いててて......今の何だ?」

 

「僅かな物質をエネルギーに変えたんだ。今のでも1mgにも満たないだろう。」

 

「ミリグラム?ええと1匁が3.75グラムだったっけ、ミリだからその1000分の1の更に......たったそれだけでか?!」

 

 魔理沙の質問にアダムが答え、それに驚く魔理沙。

 

「大丈夫かい?」

 

 カイルが傍に居た早苗の無事を確認する。

 

「あ、ええ大丈夫です......でもちょっと恥ずかしいんですけど......。」

 

 早苗が少し赤面しながらそう言ったのも無理は無い。

 

 何故ならカイルは早苗を庇う為に上から覆い被さる様な体勢だったからだ。

 

「ああ、すまない。」

 

 カイルの方はリアクションもする事無く退いた。

 

「怪我は無いかい?」

 

「ええ。他の皆さんは大丈夫でしょうか。」

 

 そう訊かれたカイルは辺りを見回すと言った。

 

「......皆命に別状は無いみたいだけど、気絶している人数が多い。」

 

 起きているのは、アダム、霊夢、魔理沙、紫、カイル、早苗、慧音、さとり、この8人のみ。

 

 中心近くの地面は溶けてクレーターが作られている。

 

 天井は高熱で溶け、キノコ雲が舞い上がっている。

 

 そして爆心地には依然として無傷の「破壊神」が立っていた。

 

「自分が爆発に巻き込まれて平気なんて......。」

 

「自分だけダメージを受けない様にエネルギーバリアを張ったのか。自分が影響を受けない様な爆発の仕方だったのか。質量から変換したエネルギーの一部を防御に利用したか......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バコーン!

 

 地面が衝撃に凹み、物体の速度が音速を超えた爆音だった。

 

 咄嗟にアダムが両腕を胸の前で交差させた瞬間、その姿が消えた。

 

 アダムは後方の岩壁に勢い良く叩きつけられ、そして次なる攻撃を避けるべく前に跳び上がった。

 

 ズドーン!という音と共にアダムが叩きつけられた岩壁が更に凹んだ。

 

 アダムは宙返りしながら「破壊神」が岩壁に拳を打ち付けていたのが見えていた。

 

 後ろを向き、2丁の銃を乱射する。

 

 「破壊神」は身動きせずまるで銃弾が当たるのを待ってその場に立って居る様だった。

 

 銃弾は「破壊神」の各部位に命中したが、ダメージを受けた様な素振りを見せない。

 

 突然相手の姿が消えた。

 

 次の瞬間アダムは背中に強い衝撃を受け、地面に叩きつけられた。

 

「アダム!霊符「夢想封印」!」

 

「なら私も!恋符「マスタースパーク」!」

 

「待て!攻撃......」

 

 カイルが攻撃するな、と促そうとするが台詞を言い終える前に霊夢と魔理沙はスペルカードを発動させていた。

 

 「破壊神」の周囲を大量の札が囲み、前方から高出力広範囲のレーザーが襲い掛かる。

 

 攻撃は全て命中し、爆風で周囲に塵を撒き散らした。

 

 突如、煙が中央から吹き飛ばされ、中心に居る無傷の男の姿が見えた。

 

「まるで効いて無い?!」

 

 驚愕の声を上げたのは魔理沙。

 

「やむを得ない、こうなったら......。」

 

 カイルが素早く銃を構え、銃にエネリオンを送り込み、狙いを定める。

 

 周囲の視界から「破壊神」の姿が消えた途端、カイルは引き金を引いた。

 

 音速の10倍を誇る銃弾は標的の肩を掠めた。

 

 外したのではなく躱された、それをカイルはハイスピードカメラの様に正確に見て知っていた。

 

「今度は僕が逃げる番か......。」

 

 銃を乱射して牽制し距離を取ろうと試みるカイル。

 

 不意にカイルが右足を勢い良く上に突き上げた。

 

 次の瞬間、カイルの踵落としが「破壊神」の駆け込みストレートにぶつかり相殺した。

 

 カイルは反動で後方へ宙返りしたが、次の瞬間腹に強い衝撃を受け、岩壁に叩きつけられた。

 

 痛みから解放され前を向くと、目の前には跳び蹴りが迫っていた。

 

「はあっ!」

 

 早苗の掛け声と共に「破壊神」に向かって空気塊が叩きつけられ、跳び蹴りの軌道を逸らしカイルを助けたが、相手には大したダメージは無い様だった。

 

「駄目だ、危険だ!」

 

「カイルさんこそ危ないじゃないですか!私じゃなくて自分の心配もして下さいよ!」

 

 「破壊神」の標的は早苗に移っていた。

 

(危ない!)

 

 条件反射的に引き金を引いたカイル。

 

 銃弾は命中したが致命傷には全く届かない。

 

 「破壊神」が振り向いた。

 

(攻撃した者に対して即刻反撃、単調なのはせめてもの救いか。だが効かないんじゃあ千日手だな......。)

 

「境符「四重結界」!」

 

「未来「高天原」!」

 

 紫と慧音が唱えたスペルカードは「破壊神」の気を引いたが、その体は支障無く動いている。

 

(やはり面倒臭い。さっさと消すべきか。)

 

 すると「破壊神」が2人へ右手を差し伸べた。

 

「不味い!想起「テリブルスーヴニール」!」

 

 さとりは切り札を放った。

 

 「破壊神」のトラウマが蘇る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西暦2060年、アメリカ合衆国ニューヨーク市。

 

 その中の高層ビルが建ち並ぶマンハッタン区。

 

 少年はそのど真ん中に居た。

 

 それを囲むのは、数え切れない程の小銃や機関銃やライフルやロケット砲を構えた兵士、何十台もの戦車や装甲車、何十機ものヘリコプター。

 

 見えない所からは遠距離ミサイルや衛星兵器も狙っている。

 

 その外側では大量の住人が逃げ惑っている。

 

 そして、少年は腕に少女を抱えていた。

 

 動いていない、恐らくは死体。

 

 少年は涙を流していた。

 

 少年は怒り狂っていた。

 

 少年は無意識の内にその”力”を発揮した。

 

 人類進化の延直線上にあると言え、最も優れた”力”だ。

 

 少女の身体を構成する物質が"破壊"され、エネルギーに変換された。

 

 周辺の兵士や兵器やビルディングスは蒸発した。

 

 ニューヨーク市は一瞬にして灼熱に包まれた。

 

 当時ニューヨーク市には約1200万人もの住民が居た。

 

 その内、死亡者は400万人以上、残りおよそ800万人は何らかの重軽傷を負った。

 

 更に周辺市も少なくない被害を受けた。

 

 そして、爆心地に少年が無傷のまま1人だけ立って居た。

 

 たった1人で、涙を流しながら、怒り狂いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何これ......?」

 

 「破壊神」が大きく動揺した。

 

(何だ?コントロールが効かない!)

 

 慌てる「カオス」だが、それはすぐに収まった。

 

 強力な電気信号で「破壊神」の脳を直接コントロールし、感情を抑えた。

 

 落ち着きを取り戻した「破壊神」は右手をさとりへと向けた。

 

「......!」

 

 エネリオン塊が発射される。

 

 さとりが自分の体が崩れてしまうという恐怖に目を瞑った。

 

 私は消える。

 

 死を覚悟した次の瞬間、何か大質量体が動く様な音がした。

 

 ゆっくりと目を開ける。

 

 目の前には土の壁が立っていた。

 

「え?」

 

「皆、お待たせ。」

 

 声のした方を振り向いた。

 

 声の主は洩矢諏訪子だった。

 

 この土の壁は彼女の「坤を創造する程度の能力」、つまり大地を操る力による物であったのだ。

 

 そしてその隣に立つ女性、八坂神奈子が居た。

 

「空、出番だよ。」

 

「うん、分かったよ。」

 

 更にその隣にはさとりのペットである霊烏路空が居た。

 

「神奈子様に諏訪子様じゃないですか。何時の間に?」

 

「神奈子1人じゃ頼りなくてさ。」

 

「ちょっと質問は後でだ。」

 

 冗談込みで質問に答えた諏訪子と早苗の質問を断った神奈子。

 

「空、その格好どうしたの?」

 

「ん?この神奈子って人からもらったの。」

 

 全体的な容姿は以前と変わり無かったが、大きく違っている物があった。

 

 右足は固い金属の様な物に覆われ、左足は見た目はそのままだが何か強いエネルギーを持っている。

 

 右腕には多角形のSF作品に出て来る様なアームロケットらしき物。

 

 そして胸に真紅の大きな目。

 

 この姿こそ、神奈子が磁気閉じ込め方式の核融合を実現する為に空に与えた八咫烏の力が及ぼした姿だ。

 

 八咫烏とは日本神話における太陽の化身とされる。

 

 3つの目と3本の足、つまり胸の第3の目とアームロケットもどきの第3足はその八咫烏の容姿を表している。

 

「だからさとり様、任せて。核熱「ニュークリアフュージョン」!」

 

 地底に小さな太陽が生まれた。

 

 本質は「破壊神」と同じ。

 

 原子核同士を衝突させ結合させる点はまるっきり違うが、その際に失われる質量はエネルギーに変換される。

 

 そのエネルギーの塊が「破壊神」に襲い掛かる。

 




多分今後設定集と過去編書くのに酷く後悔しそう
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