東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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76 新メニュー

「リョウ、居るか?」

 

 アダムと霊夢と魔理沙は喫茶店「ザイオン」の前に来ていた。

 

「おう、入れ入れ。」

 

 2階から入る様に促す声が聞こえて来たので3人は遠慮無く入り、階段を上る。

 

「相変わらず変な店ね。」

 

 霊夢がリョウの姿を認めて言った最初の一言がそれだった。

 

「そうか?私は雰囲気とか結構気に入ってるぞ。」

 

 魔理沙は逆に変だとは思っていないらしい。

 

 「ザイオン」は外側の装飾は周囲の建物に比べ大して違和感は無い。

 

 問題(という程の事でも無いが)はその内装にある。

 

 幻想郷は日本文化の影響が大きい、その為長いカウンターは幻想郷の住人達にとって見慣れない物だ。

 

 西洋風のテーブルや椅子や床、折角日当たりが良い立地なのにわざわざ窓を小さめにして店内を暗くし、アメリカ西部開拓時代の雰囲気を醸し出している。

 

 その一方でコンクリート(河童製)の天井には配線や配管がむき出しになっており近代感がある。

 

「「ぼくのひみつきち」的な奴だ。良いだろう。」

 

「統一感が無いわよ。」

 

「寧ろ自由で良いんじゃないか?アダム、お前はどう思う?」

 

 魔理沙がアダムに意見を求めるべく声を掛けた。

 

「早く本題に入ろう。」

 

 が、アダムにとって内装は無意味に等しい。

 

「オッケー、武器を持ってた奴は4人、それぞれ2つずつ持ってたから合計8個だ。自由に使いな。」

 

 リョウはそう言うと何処からか機械らしき塊を持って来て置いた。

 

 塊に見えたのは8つのTM専用武器、風神録にてEMOが送り込んだ人員から奪った物だ。

 

「3つ貰って良いか?」

 

「全然大丈夫だぜ。ところで何作るつもりなんだ?」

 

「極東格闘術に用いられる武具だ。」

 

「そりゃあ良いねえ。出来上がったら俺にも試させてくれよ。部品はそれで足りるか?」

 

「ああ。残りは香霖堂から仕入れる。」

 

「ところでうちの新メニューを試す気は無いか?自信作だ。」

 

 そう言いつつリョウはテーブルの上から皿を持って来た。

 

「何だこれ?」

 

「食ってみな。」

 

 まずは細長いフライらしき物。

 

「これは何かの魚かしら。身が引き締まって良いわね。」

 

「小骨が多いけど別に刺さる程でもないし、美味いなあ。何なんだこれ?」

 

 リョウは魔理沙の質問には答えず代わりに皿の上の別の料理を視線で示した。

 

 次は赤く辛そうなソースが目立つタコス。

 

「メキシコ料理のタコスだ。本来は牛肉使いたかったけど無かったから別の奴を使った。」

 

「別の奴って?」

 

「後でだ。まずは食えよ。」

 

 3人共タコスに齧り付く。

 

「結構辛いのね。でも悪くない味だわ。」

 

「この肉は鶏か?」

 

 リョウは何も言わず更に残っている最後の料理を指で示した。

 

 最後はトマトソースのパスタ。

 

 これはアダム達も以前「ザイオン」へ来た時に食べた事がある。

 

「うん美味い。これも材料が違うのか?」

 

「食べた感じ肉が鶏と魚の中間みたいな味だったけど。」

 

 霊夢が良い加減教えてくれ、という顔をした。

 

「それじゃあ言おうか。まずそのフライだがな......」

 

 リョウは焦らすようにわざと間を置いた。

 

「......マムシの肉なんだぜ。」

 

「......。」

 

「マジで?」

 

 霊夢と魔理沙が驚いた表情を浮かべたがアダムは表情1つ変えていない。

 

「じゃあそのタコスとパスタも?」

 

「その通り、タコスはカラス、パスタはウシガエルの肉だ。」

 

「こんな美味いのね。知らなかったわ......。」

 

「私は薬を調合するのに蛇の皮やら乾燥粉末やら使うが食べるなんて初めてだな。」

 

「材料費が安く済むのも良い所だ。アダム、お前はあんまし驚いていないみたいだが。」

 

「別に食用可能だから驚く事では無い。毒さえ無ければ如何という事は無い。」

 

「何処のジオン軍の少佐だよお前は。何だ?モビルスーツ1機で艦隊を殲滅するのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カイルは早苗と共に永遠亭へ足を運んで来た。

 

「永琳さん、何か変わった様子は?」

 

「額の穴が目測できる程に再生しているわ。全く凄い修復能力ね。トランセンデンド・マンってのは皆こうなのかしら。」

 

 永琳が質問に答え、驚嘆を呟いた。

 

 だがカイルはそれを質問と思った。

 

「この場合は彼が僕達の平均を遥かに上回っているんですよ。少なくともエネルギー量では僕の3倍以上はありますし。いくらトランセンデンド・マンでも通常は脳組織を破壊されれば死にますよ。」

 

「それ程彼は強大な力を持っているのね。」

 

 するとカイルは目を閉じている男の傍に座り、”観察”し始めた。

 

 クオークやミューオンよりも遥かに極小なエネリオンを感知出来るカイルには、脳の構造を知覚する事は少なからず時間は掛かるが当たり前の様に出来る。

 

 銃弾は額から貫通し、順に前頭葉、脳梁、間脳、中脳、小脳の一部、後頭葉、を貫いた。

 

 どれも再生不可能な生命維持に重要な組織で、どれかが駄目になれば生きてなど居られず回復も出来まい。

 

 だが、目の前のこの男はその不可能を可能にしている。

 

「......脳細胞が増殖能力を持っているだけじゃない。分化済みの細胞が脱分化し破壊された組織の細胞へと変化を遂げている。原始的な生物と同じ能力を持っているなんて驚きだ......。」

 

 カイルが思わず感嘆の声を漏らす。

 

「それで、一体どれぐらいで目を覚ますんでしょうか。」

 

 早苗の質問にカイルは考え込んだ。

 

「......このペースであれば3ヶ月以内で完治し昏睡状態から回復するだろうね。」

 

「大事にならなければ良いのだけどね......。」

 

 永琳が心配を呟いた。

 

 誰もフラグだ、などとは言わなかったが、この場に居た3人は深刻な表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 喫茶店「ザイオン」の開店時間は午前10時から午後5時まで。

 

 現在はまだ10時前、にも関わらず客が1人来ていた。

 

「今日はどうする?」

 

「それじゃあ濃い目のコーヒー砂糖無しで。昨日は大変でまだ疲れが残ってる。」

 

「イタリアンだな。飲み過ぎて体が震えないようにな。」

 

 リョウが丁度フレンチプレス式のコーヒーメーカーの中の棒を押し終え、出来上がった黒い液体をマグカップに入れ慧音の座るカウンター席へ滑らせる様に配った。

 

「危ないじゃないか。何でお前はそんな粋がるんだ?」

 

「アメリカは大抵こうだぜ。今度クリント・イーストウッド映画でも見せてやる。」

 

「遠慮する。」

 

 冗談と分かっているので2人共笑い合う。

 

「それにしてもこの店は、何かと落ち着きが無いと言うか......統一感が無いな。」

 

「今日そのセリフを言われたのは2回目だぜ。俺の好きな要素だけを取り込んだからな。ところで新メニューでも味見するか?」

 

 リョウがそう言い終えた丁度その時、入り口から人の気配を感じた。

 

「あっ、もう10時か。いらっしゃい。」

 

 そしてその姿を確認した。

 

「......何だ、お前か。」

 

「何だとは失礼な!清く正しい射命丸文ですよ。」

 

「うわ、これだからナルシストは。」

 

「もう!どれだけ貴方の悪口の記事を書かなければならないんですか!」

 

「大体マスコミってのは金しか頭に無い連中だ。売れる情報だけを大げさに表現し、民衆を揺り動かす。そもそも偽の情報に騙される奴も悪いが、マスコミが加害者である事に変わりは無い。つまり......」

 

「もう良いです!......」

 

「ところでお前何しに来たんだよ。」

 

「あ、そうだった。私だって人生を楽しみますからね、コーヒーを飲みに来たんですよ。砂糖無しのカフェラテでもお願いします。」

 

「おう、濃さはフレンチ程度にしとくぜ。」

 

 普通よりも高温で熱し短時間で淹れるのがエスプレッソ、それに牛乳やクリームを加えればカフェラテの完成。

 

 カップを受け取った文は匂いを嗅ぎ、口を付けて2口飲んだ。

 

「砂糖が無いのが効いて目が覚めますね。牛乳のまろやかさがコクと苦みを丁度良く抑えてくれますし。酸味が少ないのも良いですね。」

 

「ほう、分かってるじゃねえか。マンデリンって品種でアラビカ種だがロブスター種寄りの苦みとコクのある味が特徴的だ。」

 

「前無縁塚にコーヒーの木があるって言ってたけど、そんなにあるんですか?」

 

「まあな。そうそう、新商品を試すつもりは無いか?慧音も、話が進んでなかったな。少し待っとれ。」

 

 リョウはカウンターの奥へ行き、慧音達からは何をしているのか見えない。

 

 やがてリョウは料理の乗った皿を抱えて戻って来た。

 

 皿に盛られているのはパッと見はケーキ、だが良く見ると違う。

 

 上にフルーツや生クリームが飾られているが、一番の存在感を誇っているのはその下にある細長い緑色の物体、いや、麺。

 

「これ何だ?」

 

「抹茶小倉スパゲティ、うめえぞ。さっさと食えよ。」

 

 2人はリョウに強要されおずおずとフォークを持ち一口食べた。

 

 だが2人は揃って顔を歪めた。

 

「......何とも言えない味だな......。」

 

「......美味くも不味くも無いです......。」

 

「......出すのは止めとくぜ。やっぱ名古屋名物は好き嫌いが激しいか。アダム達には別の料理を食わせたが、そちらは出すつもりでいる。」

 

「どんな料理なんですか?」

 

 リョウは言うのを少し躊躇った素振りを見せたが、一瞬だけ面白がる顔をして言った。

 

「チキンタコスだ。」

 

 リョウが何処からか取り出したタコスを齧り付きながら言った。

 

「鳥ですか?それじゃあ共食いになるじゃないですか。」

 

 文が突っ込みを入れたが、リョウは更にその先を行った。

 

「ただ鶏肉は仕入れ辛いからカラスの肉を使ってあるがな。美味いもんだぜ、他の料理でもイケるし、特に丸焼きにして脳味噌をほじり出して食うのが最高だな。カラスってのは鳥類の中でも高い知能を持つから......」

 

「ちょっとストップストップ!カラスですって?!動物虐待はんたーい!!!!!」

 

 文が驚きの表情をし、リョウは満足した様な顔をした。

 

「そもそもカラスなんて料理に使うのか?」

 

 慧音も疑問を口にする。

 

「ハハハ、その反応が見たかった。食えるぜ。他にもヘビやらカエルやらスズメやらの料理も出す予定だ。かくいう日本料理も、生魚食べる事は海外からしたらゲテモンなんだぜ。食ってみろよ。」

 

 別の更にあったヘビのから揚げを渡された慧音は一口食べた。

 

「......美味い、魚みたいな、いや、ウナギみたいな味なんだな。」

 

 釣られる様にして文もから揚げをつまむ。

 

「あっ、本当ですね。小骨が多いみたいですけど。」

 

「そこもウナギと同じなのさ。何なら蜂の子チャーハンも食うか?」

 

「いや......止めておくよ。」

 

 蜂の子は名前の通りスズメバチの幼虫だ。

 

 食べた事は無くとも見た目は用意に想像できる。

 

 流石に見た目に抵抗があれば食欲も無くなるだろう。

 

「でも鴉を料理に使うのは止めて下さいよ......。」

 

「だが断る!」

 

「記事デタラメに書こうかな~。」

 

「あの天人みたいにプロレス技50連発掛けてやろうか?キン肉バスターで股関節をほぐしてやるからさ。」

 

「......高評価しておきます。」

 




この前部活動でザリガニを茹でて食べました

肉は少なかったけどしっかりエビの味がして美味かったです
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