東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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テスト終わってやっと投稿でけた

サブタイを考えるのに苦しいです


78 はたらくトランセンデンド・マン

 リョウは背中に重そうな機械のバックパックを背負った。

 

 バックパックからコードが伸びた金属製の手袋と靴を装着する。

 

 手袋は肘まで、靴は膝まで覆う程長い。

 

 これは以前リョウが製作した装着型飛行マシンだ。

 

「取り敢えず試すか。」

 

 そう呟いたリョウは右手を前に伸ばした。

 

 前に伸ばした平手の中指と薬指を曲げる。

 

 手袋の手首部分から糸が伸びた。

 

 糸は壁に張り付き、リョウと繋がったままだ。

 

 リョウは手首から糸に向かってエネリオンが向かうのが感じ取れた。

 

 するとリョウは左手を手刀の形にし、勢い良く糸へ振り下ろした。

 

 糸は良く伸びるが全く切れない。

 

「よっしゃ、糸はちゃんとエネリオンによって強化されたな。」

 

 右手を握り締めると伸びていた糸は戻った。

 

 次は両手を握り力を込める。

 

 手袋の手の甲の部分から3本、合計6本の金属製の鋭い爪が伸びた。

 

 身体から爪へエネリオンの流れ。

 

 爪を近くにあった木の板へ振り下ろした。

 

 下ろしてから止めるまで何の抵抗も感じなかった。

 

 一方、木の板は3本の切れ込みが入っていた。

 

「すげえ切れ味だぜ。お次はと......」

 

 リョウが次に取り出したのは頭頂部がやたら大きい片手ハンマー。

 

 ハンマーを横に置いてある今朝狩ったイノシシの10kgはあろう肉の塊に向けた。

 

 エネリオンを送り込むと、ハンマーからエネリオンビームが発射され、肉塊へ命中する。

 

 大量の電気エネルギーを受け取った肉塊は電気抵抗によって熱を生み出し、その熱によって肉の水分は急激に気化する事で膨張し、肉は勢い良く破裂した。

 

 周囲に飛び散った肉片は全て焦げており、食べられそうにない。

 

 続けてリョウは見た目は何の変哲も無い西洋風の弓と矢を取り出した。

 

「何か無いかな?」

 

 そう呟き辺りを見回すリョウ。

 

 窓の外に山が見える。

 

 その一点を凝視するかのように視線を向ける。

 

 使用者からエネリオンを受け取った弓はその糸の張力係数と引っ張り強度を増加される。

 

 リョウが右手に矢を持ち弓へ掛ける。

 

 それに反抗する様に糸は力を入れても中々伸びず千切れる事も無い。

 

「硬えなこれ、スピードは出そうだが......。」

 

 弓矢の出来栄えに呟きを漏らす一方、視線を一点に定めた。

 

 右手を放す。

 

 同時に右手の引っ張られる抵抗が消えた。

 

 バゴーン!

 

 至近距離を衝撃波が走り、矢が途轍も無い速さで飛んで行く。

 

 衝撃波によって周囲のガラスや比較的脆い木の板が割れた。

 

 次の瞬間、山の一か所に爆発が起きた。

 

 里中から騒ぎ声が聞こえ始める。

 

「......また怒られるな......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドガッ!

 

 足を曲げ衝撃を吸収し着地したカイル。

 

 上を向けば地上へ続く穴は全く見えない。

 

 少し歩くと知り合いが見えた。

 

「よう、あんた、カイルだっけ。何の用だい?」

 

「どうも勇儀さん。ちょっと仕事でね。」

 

「仕事?一体何の?」

 

「科学者だよ。色々取りたいデータがあるからね。」

 

「ふーん、成程、確かにあんた頭良さそうだもんな。」

 

「ところで突然だけど、髪の毛を一本貰えないだろうか。」

 

「ん?髪の毛位別に良いが、何に使うんだい?」

 

 勇儀が頼みを承諾し髪の毛を1本抜いて渡したが、勇儀にはそれを何に使うのか見当も付かなかった。

 

「簡単に言えば、生物の体にはあらゆる所にその身体の設計図が存在する。髪の毛からそれを調べるんだ。」

 

「難しそうな話だな。調べてどうするんだ?」

 

「他にも幻想郷に存在するあらゆる種族から貰っているんだけど、それらを調べる事で幻想郷に住む者達の進化の過程やルーツを調べようという訳さ。僕には貴方がた鬼の角や天狗の羽等、疑問に思う事が沢山ある。それらの理由を知る事で僕達トランセンデンド・マンが存在する理由にも繋がるかも知れない。」

 

「......なるほどわからん......。」

 

「それでも結構。そこは専門家だから。」

 

 カイルが受け取った髪の毛を小さいプラスティック袋に入れ、苦笑しながら言った。

 

「ところで後ろの彼女は......。」

 

 カイルがそう言ったのも無理は無い、勇儀の背後の物陰から見知らぬ誰かから憎まれる様な眼差しで自分を見ているからだ。

 

「パルスィだ。いつも人が楽しそうにしている所を見るとああやって妬ましい妬ましいって言うんだ。」

 

「は、はあ......。」

 

 試しに敵意の無い視線を返してみる。

 

 物陰から少し飛び出た金髪は緑の目を睨ませ、聞こえない声で何かを呟き去って行った。

 

「心配すんな、何時もあんな奴だから。」

 

「......。」

 

 それはさておき、カイルは本来の目的の為に更に地底の奥へ進んだ。

 

 目的地に着くと同時にそこの住人の1人が駆け寄った。

 

「あっお兄さん。ちょっと待って、さとり様を呼んで来るね。」

 

 嬉しそうに走りながら主の元へ向かう燐。

 

「わざわざ行って来なくても僕から行けば良いのに......。」

 

 一方、カイルは意識を五感から外し、脳が受け取る周囲のエネリオンに向けた。

 

(やはり地上に比べユニバーシウムが遥かに多い。だが問題は......。)

 

「あの、カイルさん。こ、こんにちは。」

 

 声を掛けられ意識を戻すカイル。

 

「やあ、さとり、早速だけど研究の為にこの場所を使っても良いかな?」

 

「構いませんよ。研究ってどんな事をされるんですか?」

 

「エネリオンとユニバーシウムについては昨日既に話したっけ。」

 

「はい。」

 

「それで、地球管理組織が人員を送り、やがて此処に辿り付いた。その理由はやはりこの付近一帯の岩石にユニバーシウムが大量に含まれている事だ。ユニバーシウムによって出来るエネリオンの流れが外からの知覚阻害になるし、岩石に含まれるユニバーシウムを取り出し戦力を拡大する事も出来る。でも僕は何故此処にそれ程大量のユニバーシウムが含まれているのか、それが僕にとって疑問なんだ。なら試しに見せようか。」

 

「じゃあ見てみます。」

 

「それじゃあ僕の知覚を通してユニバーシウムの分布を送るよ。脳に負担が大きいと思うから気分が悪い時は言ってくれ。」

 

 途端にさとりの視界に大量の光点が現れた。

 

 光点は疎らに広がっていたり一か所に集まっていたり、夜空の星々の様に大量に存在している。

 

「凄い......この光っているのが?」

 

「その通りユニバーシウムだよ。でもこれだけじゃあまだ不十分だ。僕はここに存在するユニバーシウムがある可能性を示していると思っている。」

 

「その仮説って何ですか?」

 

「そうだね......観測が終わったらまとめて教える事にしようかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カフェ「ザイオン」に客が1人入って来た。

 

「いらっしゃい、って珍しいじゃねえかお前。」

 

「私だってそりゃあ来ますよ。」

 

 リョウが珍しいと言ったのは紫のショートヘアーが特徴的な少女。

 

「それで阿求、何食う?ブラックバスのソテーでもどうだ?まさかブラックバスが幻想郷に居たなんて思わなかったぜ。」

 

 阿求と呼ばれた少女の名は稗田阿求、先代の記憶と自分が生まれてからの記憶全てを記憶する少女。

 

 普段は自宅に籠り本やら書いているらしい。

 

「ブラックバスってあの最近湖で大量発生している大型魚ですか?幻想郷の生態を脅かしているあの魚が食べられるなんて考えもしませんでしたよ。」

 

「外界で元々食うために輸入されていたのが野生化し、環境の変化によりそいつらが幻想入りしたらしいな。環境悪化はマシになったとはいえ、今続いている戦争の戦術兵器による環境破壊がそりゃあ凄いのなんの、山が消し飛ぶ位だ。」

 

「そんな兵器があるのですね、外界には。というか他に料理無いんですか?」

 

「じゃあスズメの丸焼きでもどうだ?うまかばい。」

 

「何処の方言ですかそれ。」

 

「納豆小倉サンドイッチはうみゃーよ。」

 

「だから......というかこの店そんな変な料理しか無いんですか?!」

 

「まずは食えよ。味が良けりゃ文句は無いだろ。」

 

「普通ので良いです!」

 

 阿求が遂に啖呵を切らし、からかうのを止めたリョウは大人しく注文に応える事にした。

 

「良い奴があるんだ。スパゲッティをタコスに挟んだ奴何だが、それで良いか?」

 

「良いですよ。」

 

 厨房へ入り、手際良く材料と調理器具を取り出す。

 

 丁度その時別の客が入って来た。

 

「おう待ってくれ、誰だ?当ててやる......ピンクちゃんだな。」

 

「もう、何でまたそんな名前で呼ぶんですか!ちゃんと本名で言って下さいよ!」

 

「ピンク頭だから別に良いんじゃね。」

 

「良くないです!」

 

 リョウは右手で麺を鍋に入れ左手でトルティーヤをフライパンに乗せながらその顔を確認した。

 

 桃色の髪をシニヨンにし、赤い目と赤系統の服が特徴的な女性、茨木歌仙だ。

 

「何食う?」

 

「あ、コーヒーとお菓子だけで良いです。浅めの煎りをお願いします。お菓子はお任せで。」

 

「了解、アメリカンだな。エッグタルトにしとくぜ。」

 

 パスタを茹でる間にコーヒーを入れ歌仙のカウンター席に渡す。

 

 タコス生地を焼き終え、タルト生地を準備する。

 

 タルトを焼きながら茹で終えたパスタにソースを掛けタコスに挟む。

 

「おらっ、でけたぞ。ソースは辛いから気を付けろよ。」

 

「どうも。」

 

「タルトはあとどれぐらいですか?」

 

「少し待ってろ。」

 

 リョウはまだ焼き終えていないタルトをオーブンから取り出した。

 

 調理台に乗せられたタルトに右手を向けた。

 

 次の瞬間、掌からタルトへエネリオンの噴流が吹き付け、エネリオンは熱に変換されタルトはあっという間に焼き上がった。

 

 不思議と調理台は溶けても焦げてもいなかった。

 

「早いですね。」

 

「俺のこの「加熱」という能力が無ければこんな喫茶店営業なんて出来ないだろうね。料理は速攻で出来るしバイトも雇わないで済む。」

 

 リョウのジョークに不機嫌だった阿求と歌仙は笑った。

 




アダム君の働きは以前書いていたのでもう書くまでもあるまい
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