防空棲姫になっちゃったんだが、どうしよう   作:防空棲姫(憑)

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 続いてしまった……。
 おもしろいかどうかは置いといて……。


二日目

 ――戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 「攻撃隊、発艦始めっ!」

 

 まずは空母による先制攻撃。放たれた数十にも及ぶ艦載機が敵艦隊に向けて次々と飛来していく。

 

 しかし、今作戦の攻略対象である深海棲艦――防空棲姫は禍々しい艤装に腰掛けたまま表情を崩すことはなかった。身体を預けるその巨大な艤装から砲身が次々と飛び出していき、対空射撃を開始する。

 

 爆発音に次ぐ爆発音。その名が示す通り、防空性能に優れた彼女を前に艦載機はその殆どが撃墜され、彼女に開幕攻撃を喰らわせることすらできなかった。

 

 「なっ……!?」

 

 たった一人の深海棲艦に、放った艦載機のその全てを撃墜される――そんな異常な光景を信じ切ることができず、連合艦隊の空母たちは絶句してしまう。

 

 そして艦載機の全滅は即ち、艦娘サイドの制空権喪失を表していた――。

 

 「まだです! まだ戦いは始まったばかりです!」

 「「「「っ!」」」」

 

 一人の戦艦艦娘の掛け声に我に返った連合艦隊はすぐさま態勢を整えようとするが、その時には既に深海サイドの二人の戦艦棲姫が砲撃を開始していた。

 

 「きゃあ!」

 

 吹き荒れる水飛沫。揺れる海域。数いる深海棲艦の中でも屈指の火力を誇る戦艦棲姫――それも二人による一斉放火の破壊力は絶大であった。

 しかし艦娘たちも人ならではの身軽さを生かし、戦艦棲姫の砲撃を避けると反撃の砲撃を行っていく。

 

 「てーっ!!」

 

 戦況を静かに見つめていた防空棲姫に艦娘たちより放たれた無数の砲撃が迫り来る。

 それはいかに姫クラスと言えども喰らえばひとたまりもない砲弾の嵐。

 しかし、防空棲姫の表情は微動だにしない。ちらりと迫り来る砲弾を視認したがそれだけだった。

 

 ズガン! ズガン! ズガン! と容赦なく防空棲姫に砲弾の雨が降り注ぎ、煙を上げる。

 

 「や……やった……!?」

 

 立ち込める煙の向こうから声が聞こえてきたのはその時だった。

 

 「フフ……」

 「っ!?」

 

 ゆっくりと煙が引いていく。

 そして現れたのは、艤装に女王のように腰かけたままの防空棲姫の姿。

 歪でありながらも妖艶な、それでいて見る者を嘲笑うかのような笑みを浮かべた防空棲姫の姿だった。

 そしてその姿は――

 

 「アハハ……ア――――ッハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

 ――あれほどの砲弾を受けたのにも関わらず傷一つついていなかった。

 

 「そんな……馬鹿な……!」

 

 防空棲姫の狂ったかのような笑い声を前に、対峙する艦娘たちの間に絶望が滲み出ていく。

 

 勝てない――それだけで済むならまだいいのだろう。

 問題なのは、戦艦の砲撃を受けてなお傷一つつかない彼女を前に――数十の艦載機をたった一人で撃ち落とせるこの怪物を前に、自分たちは生きて愛する提督の待つ鎮守府に帰ることができるのかということ。――いや、おそらく、きっと――

 

 「ヤッタナァ……オマエタチモイタクシテアゲル……」

 「「「「「っ!!」」」」」

 

 ――生きて帰ることは、叶わない。

 

 

 

 

 

 やっべー。何かやばくね? 向こうからめっちゃ艦載機飛んでくるんですけど。

 

 俺はおそらく相手の艦娘たちの先制攻撃であろう艦載機の大軍を前にどうすることもできないでいた。外見こそは優雅に艤装に腰かけて余裕に見えているかもしれないが、内心やばいです。パニックに陥りまくりです。

 

 「……(ちょっ、これどうしよ?)」

 

 他のみんなはどうするのか目配せすると、なぜかそれと言ってパニックに陥っている様子はなかった。戦艦棲姫の姐さんなんか、任セタと言わんばかりに見つめ返してくるし。えっ、なに? これ、俺がどうにかする状況なの? ちょっ、無理なんですけど。

 

 「フフ(焦)」

 

 そんな俺の内心と裏腹に艤装から一斉に砲身がガシャンと展開され、艦載機に砲撃を開始した。あっ、自動迎撃システムですか、そうですか。

 やはり、ゲームにおいてもずば抜けた対空性能を誇っていたためか、俺(というよりは艤装)は相手より放たれた艦載機の……なんとその全てを撃墜していた。ちょっとなに、この対空能力。チート?

 

 「なっ……!?」

 

 相手方も結構驚いているようだが、張本人の俺が一番驚いてるよ。本人の意図と裏腹に勝手に艤装が動き出して撃墜してくれちゃったんだから。っていうか驚いてるあの艦娘、蒼龍だよね? 二航戦の。うわ、生で初めて見た(たりめーだ)。

 

 「まだです! まだ戦いは始まったばかりです!」

 「「「「っ!」」」」

 

 味方を鼓舞したあの艦娘は――はははは榛名ですよ(興奮)! あれだよね、バーニングラブの金剛姉さんの妹だよね!? ああ、あの太ももに膝枕をされたい……(錯乱)。ちなみに金剛型四姉妹の中では最後に手に入れた艦娘だったなぁ……(走馬灯?)。

 

 ちなみに俺が前世(なのか?)の記憶にしみじみ浸っている間にも戦艦棲姫の姐さん二人は艦娘たちに砲撃を開始していた。あの巨人のような生態的な艤装はどこかバーサーカーを彷彿とさせる。――やっちゃえ、バーサーカー!

 

 「きゃあ!」

 

 やはり戦艦の火力って凄まじいね。アニメでしか見たことがないような水柱がバンバン上がってるもん。艦娘たちもふっとばされてるし。俺は何もしないのかって? ……戦いのシロートが参加したところで邪魔なだけデショ?

 

 「てーっ!」

 

 そんな戦況を傍観していた俺の元に無数の砲弾が飛来してきたのはその時だった。

 

 「……(ゑ?)」

 

 避ける間もなくガンガンぶつかってくる。こええええええええええっ!? 痛くはないけど、フツーにこえーわ!!!

 瞬く間に俺は煙に包まれたわけだが、身体を確認すると何ともなかった。やはりあの333という異常な装甲値のおかげであろうか?

 

 「フフッ……(安堵)」

 

 思わず笑みがこぼれる。

 煙が晴れると、こちらを見つめる戦場の皆の姿が目に入った。

 

 「アハハ……ア――――ッハハハハハハハハハハハハ!!!!!!(←先ほどの砲撃命中によるあまりの恐怖とショックで自分でも訳が分からなくなっている)」

 

 いや、本当によかった何とも無くて。あと痛くなくて。なんか戦場の皆さんが味方側は頼もしいな、と言わんばかりの目で笑う俺を見つめてくるが、ただ単に恐怖のあまり逆に笑ってしまっているだけですからね? そこの所は誤解しないように。

 

 恐怖による笑いがようやく収まり、俺はようやく一息つき、艦娘たちを見やる。

 今のでわかった。俺には戦いなんて無理だ。無理無理もう無理、恐すぎる。味方の深海棲艦たちには悪いけど、頭下げて土下座でもして艦娘さんたちと和平の交渉でもしよう。争う、ダメ、ヨクナイ。

 

 「ヤッタナァ(ああ、マジでこわかったぁ~)……オマエタチモイタクシテアゲル(ホント、もうやめてくださいお願いします)……」

 「「「「「っ!!」」」」」

 

 俺の言葉に艦娘たちの顔からサッと血の気が引く。

 今、全然意識しないで言葉を発してしまったんだが、なんて言ったんだ、俺? まさかの防空棲姫仕様?

 

 とにかく言えるのはこの日、俺はとりかえしのつかないミスを犯した。それだけだ。




 戦艦棲姫
・15夏イベにおいて、防空棲姫の随伴艦として現れた戦艦棲姫(保護者)。ゲージ破壊まで行くとダブルダイソンとなって攻撃を吸い込みます。ちなみに本作では最初からダブルダイソン♡

 ステータス
耐久:400
火力:227
装甲:160
雷装:0
対空:93
射程:長

 凄まじきスペック……でも防空棲姫(憑)と比べると…………ねぇ?
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