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毎週土日。私は仕事場へ出かける。
ある喫茶店で、若干23歳ながらオーナーをやらせてもらっている。住む家も、最低限のお金さえもないとき、そこの店長に色々と面倒を見てもらったのが4年前。何か恩返しをしたいと思い働かせてもらった。
そんな考え事をしながらも歩いていく。早朝の陽光が街路樹の葉を照らして輝いている。まるで私の心の内を表しているようだ。なんて、私のキャラではないことは理解している。
無表情というほどではないが、感情を表に出すことが不得意な私は、当然コミュニケーション能力も低い。誰かをからかっている時にしか笑顔を見せない(知り合い曰く、かなりの悪人顔だそうだ)というのだから、そんな比喩表現を使うような洒落た真似は、柄ではない。
しかし、そう思える程度には心が弾んでいるのは事実で、その喫茶店が最も心の休まる居場所になっていることも、また事実だ。
その証拠にほら。いつもより少し早く到着した。
「おはよーございまーす」
挨拶をして中へ。少し声が上ずってしまった。数少ない良い思い出を思い出していたからだろうか。
「やあ、おはよう。機嫌が良いね。何か良いことでもあったのかな、咲ちゃん?」
店長の芳村さん。前述の通り、私の恩人だ。
ここで働いて2ヶ月たったとき、経営と交渉を試しにやらせてもらって、芳村さんが自分より向いていると言うので、それ以降も私が経営と交渉を行っている。そのままオーナーになってしまっていた。周囲に反対する人がいないどころか、みんな諸手を挙げて賛成してくれたので、期待に応えられるように勉強したものだ。
「んー、そうですかね。自覚はないんですけど」
嘘である。ばれていたことが、何故か少し小恥ずかしかったので、誤魔化してしまった。
「ふふ。そうかい。そういうことにしておくよ」
長い付き合いだから、芳村さんは感情に乏しい私の声色から微妙な差を感じ取ることができる。いつもはありがたいが、今だけは少しうらめしかった。
「古間さんと入見さんもおはよーございます」
古間さんは少しサル顔の店員さん。陽気な性格でムードメーカーだ。昔のことを自慢する癖が玉に瑕だけど……。
入見さんは長い黒髪の綺麗なお姉さんだ。落ち着いていて、クールビューティという表現がぴったり。
「おはよう咲ちゃん。今日もよろしく」
「ふふ、おはよ」
オーナーとはいえ、経営等だけだと流石に仕事量が少なくて申し訳なく、稼ぎどきの土日だけ店員としても働いている。
「ほんと、咲ちゃんが手伝ってくれて助かるわ」
「そんなことないです。まだまだ迷惑をかけてばかりですよ」
「なに言ってるのさ。とてもありがたいよ、自信持って」
「そう言ってくれるとありがたいです、古間さん」
さあ。今日の仕事を始めよう。喫茶店『あんていく』のオープンだ。
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