家庭教師ヒットマンREBORN! 夜の守護者 作:tomato88
「本日は転校生を紹介する。 イタリアからの帰国子女の獄寺隼人君だ。 質問などは休み時間にするように。 獄寺君の席はあそこだ」
教師の言葉を無視し机へと向かう獄寺隼人。その途中、沢田綱吉の机を蹴っ飛ばしていった。 女子が獄寺隼人ことをかっこいいと思っている中、姫は別のことを考えていた。
(あれがスモーキン・ボム・隼人、 リボーンさんが呼んだファミリー候補か……)
なぜ姫がこのことを知っているのかというと少し話は過去に遡る。
姫が初めてリボーンあった後からリボーンは毎日のように姫をボンゴレへと勧誘していた。 リボーンのあまりのしつこさに姫はある1つの提案をしてしまった。
「私はまだ、どこのファミリーにも入る気はありません。 ですが、リボーンさんのお友達としてなら沢田君を助けてもいいですよ」
その姫の発言にリボーンは1人、笑みを浮かべる。 彼は元々、姫が代案を出すことを目的としていたのだ。 そして、自分が想像していたものではなく、ただ友達としてという甘い考えも笑ってしまった理由の1つだ。 彼女は元々、復讐を成そうとしている少女だ。 だが、根は優しい子なのだろう。 リボーンはそう感じた。
「なら、友達として頼みがあるんだが、聞いてくれるか?」
「早速ですか!? まぁ、いいですけど……」
「今度、1ーA組に転校生が来るはずだ。 そいつは俺がファミリー候補として俺が呼んだやつなんだが、ちょっと難しいやつでな。 さりげなくツナをフォローして欲しいんだ」
姫は露骨に嫌な顔をする。 だが、友達として助けてもいいと言ってしまった以上、断るわけにはいかない。 しぶしぶと言った感じでその頼みを聞き入れる。
「それぐらいなら…… だけど、私は沢田君とは全く関わりないからあんまり大きくはやれないよ?」
「あぁ、それでいい。 頼むぞ」
こういう経緯があり、姫は獄寺隼人についての情報も手に入れていた。
(でも、予想以上だよ〜! ここまで沢田君を敵視するなんて〜!)
姫は騒がしくなっているクラスの中で1人、ため息をこぼした。
▽▽▽
球技大会も無事終わり、部活も委員会にも属していない姫は夕食のメニューを考えながら帰り支度をしていた。 沢田綱吉に対するフォローは特になく。 リボーンも姫の前には現れなかったので、姫は油断していた。
「おい、てめぇが大空姫だな。 話がある。 ついてこい」
獄寺隼人に捕まってしまったのである。 いつもならこんなことにはならなかっただろう。 表には出さなかったが、姫は今日は何もないと甘く考えていた自分に腹が立った。
「私、ちょっと急いでるから今度でいいかな?」
「あぁん? 俺が来い言ってんだよ! さっさと来い!」
「ちょっ! 痛いって!」
姫は獄寺隼人に引きづられて行った。
▽▽▽
その光景をツナも見ていた。 彼も獄寺隼人に呼び出されていたのだが、自分以外に人が呼ばれるとは想像もしていなかった。 周りは獄寺隼人が大空姫に告白するのでは? と話題になっているが、ツナとしては絶対にそんなことないと確信している。 ツナは最初、カツアゲでもされるのではないかと心配していたが大空姫が連れ出されたことでその可能性を排除していた。 それでも、怖いことには変わりなかったのだが。
(行くしかないのかよ〜!)
ツナは心の中で叫びながら獄寺隼人に呼び出された校舎裏へと向かっていった。
▽▽▽
「なんで、てめぇを呼ばねぇと沢田綱吉と戦っちゃいけねーんだよ!」
「私が知るわけないじゃん! そんなこと誰に言われたのさ!!」
「決まってんだろ!? リボーンだよ!!」
そんなやり取りをしている2人をリボーンは木の中から観察していた。 獄寺がここまで早く行動するとは思わなかったし、約束もしっかり守るとは考えていなかった。
「はぁ…… やっぱりかぁ……」
姫がため息をついた。 あの約束の真の意味をわかってくれたようだ。 今回の目的は姫を他のファミリーと接触させること、ツナのボスとしての資質を確認するためのものだ。
ツナの資質はリボーンの中で間違いないと直感しているが、確認しておいて損はない。
「き、きたよ……ご、獄寺君……」
ツナが現れた。 リボーンは自分の出るタイミングを静かに待つ。
「てめぇ見てぇなカスがボンゴレ10代目になったらボンゴレは終わりだ」
「な、なんでボンゴレのこと知ってるのー!?」
「俺が呼んだからだぞ」
「り、リボーン!? 呼んだってどういうことだよ!?」
ツナがリボーンの発言に驚いている。 ツナは姫がいることを忘れているようだ。 姫が気配を消すのが上手いということもあるのだろう。 リボーンはそう結論付けた。
「俺がこいつを殺れば俺がボンゴレ10代目になれるって話は本当だろうな」
「あぁ、本当だぞ。 しっかり約束も守ったしな」
「約束……? あ! そうだよ! どうして大空さんを連れて来たの!?」
リボーンがツナに姫の存在を思い出させる。
「こいつの監視の下、お前と勝負する。 これが条件だったんだよ」
「ど、どういうことだよ!? リボーン!!」
「姫はファミリーに必要な人材だからな。 とりあえず、ボスがどんなやつか知ってもらおうと思ってな」
そう言いながらリボーンはツナの頭の上から姫の肩へと移る。
「もう…… 私はまだ、ファミリーには入らないって言ったじゃないですか……」
「まぁ、いいじゃねぇか。 お前が戦うわけじゃねーんだ。 それに、入るときになってボスがどんなやつかわからなかったらお前が困るぞ」
「まぁ、約束しましたし、観戦するぐらいなら別にいいですよ」
リボーンと姫のやり取りにツナは驚愕する。 ツナの中での姫は京子と仲がいい。そしてまた、可愛く、性格がよく、家事万能ということで多くの男子からモテている、というものだ。 ツナはそんな姫がマフィアに関係があるなどと夢にも思っていなかった。
「おい、もういいか?」
「え……?」
「いいみてぇだな! 果てろ!!」
そう言って獄寺隼人はダイナマイトを取り出し、口にくわえていたタバコの火を導火線に付けた。
「だ、ダイナマイト!? ひぃ〜!? に、逃げなきゃ!?」
ダイナマイトを確認したツナはすぐに逃走する。 そして、獄寺隼人は逃げたツナを追いかける。 そして、ツナが壁際に追い詰められた時、姫は獄寺隼人に非難の声を上げた。
「武器も持っていない沢田君に対してダイナマイトって卑怯じゃないかな?」
「んだと!?」
姫は当然、同じ条件で対決すると思っていた。 だが、蓋を開けてみればどうだ。 勝負なら正々堂々勝負する。 姫は卑怯ものが嫌いだった。 母親を殺した男を思い出すからだ。
そう思い、姫は獄寺隼人を非難したのだが、獄寺隼人にはただ、自分を侮辱されたという認識しかできなかった。 つまり、矛先が姫に向いてしまったのだ。
「気に入らねぇ! まずはてめぇからだ!! 果てろ!!」
姫に向かれて放たれたダイナマイト。 それを見たツナは無意識に駆け出していた。
そして、リボーンは
「ファミリーを守るのはボスの役目だぞ」
ツナに向けて死ぬ気弾を発射した。
「復活!! 死ぬ気で消火活動!!!」
そう叫んだツナは姫に迫っていたダイナマイトの1つ1つの火を素手で消していった。
獄寺隼人はその光景に絶句した。 そして、獄寺隼人はまだ完成もしていない技を繰り出そうとした。
「仕方ねぇ! 3倍ボム!! あ……っ!」
焦った獄寺隼人からダイナマイトが1つ、2つと次々と手からこぼれ落ちていった。
「ジ・エンド・オブ俺……」
獄寺隼人は自分の命の終わりを悟った。 だが、ツナはそのダイナマイトをも消していった。
死ぬ気状態が解けたツナはまずは周りの安否を確認した。
(獄寺君もリボーンも大空さんも無事……だ……)
ツナは見た。姫を。姫の中身を。 その冷たい黒い炎を。だが、その感覚はすぐに忘れることとなる。
「じゅ、10代目! 俺は感動しました! こんな俺を助けてくれるなんて…… 今までの無礼、どうかお許しください! 俺はあなたに一生ついていきます!!」
「え!? ちょっ!? 獄寺君!?」
それに姫は便乗するように声をかける。
「ありがとうっ! ツナ君!」
「う、うん……って、今名前で!?」
「京子がそう呼んでるから…… 私もそう呼んでいいかな?」
「そ、そんな……も、もちろん!」
「ありがとうっ! 私のことも名前で呼んでくれたら嬉しいな」
照れているような笑顔で姫はそう伝える。 それにツナは慌て、獄寺はキレる。
(微笑ましい光景だな……)
姫の肩から降りたリボーンは少し離れたところでその光景を見ていた。 リボーンの目論見は成功した。 ツナの力で獄寺を仲間にでき、姫と2人は仲良くなった。 だが、1つだけ失敗したことがある。 それはツナが姫の炎を一瞬でも見てしまったことだ。 ツナがここまで早く、超直感の片鱗を見せるとは思っていなかった。
(これが今後に影響を与えなきゃいいが……)
リボーンが1人、そう考えている間も3人は仲良く喧嘩していた。 この光景がいつまで見れるか、リボーンはそう考えるのであった。