家庭教師ヒットマンREBORN! 夜の守護者 作:tomato88
今回はオリジナル話。 色々とツッコミどころはあると思いますが、よろしくお願いします。
時刻は夜。夏休みも終わりに近づき、夏休みの課題が終わっていない者は焦り始める時期、ツナたちは姫の家を訪れていた。
「しっかし、いつ見てもすげーな、この家は」
「そうだね。 あぁー、なんか緊張するぅー」
「大丈夫ですか!? 10代目!?」
メンバーはいつも通り。 ツナ、リボーン、獄寺、山本、ハルの5人。他にも誘いを受けていたが、ビアンキは食材を探しに、ランボは奈々に連れられて外に出ることができなかった。
「それで、姫ちゃんはどうしてハルたちのことをお家に招待したんでしょうか? 聞いても「ナイショ!」の一言だったんですけど……」
「実はオレたちも知らないんだよなぁ。 リボーンは何か知ってるみたいなんだけどさ。 教えてくれないんだよ」
「すぴー、すぴぴぴー」
「寝てるし!?」
そんな話をしていると、門の横にある扉が少しだけ開いた。
「えっと、お待たせしました。 あの、ハルちゃんだけ先に来て…… ごめん、ツナくんたちはまだそこで待ってて……」
少しだけ開いた扉から姫の声がした。実は5人が外で待っていたのは理由がある。 早く着きすぎて姫側の準備が終わってなかったのだ。 それに、今日は信明もいない。 だから、家の外で待つしかなかったのだ。
「姫ちゃん? どうかしました?」
他の3人も頭に疑問符を浮かべながら恐る恐る家の中に入っていくハルを見ていた。
「どうしたんだろうね、姫」
「あいつのことだから何か企んでんじゃないっスかね?」
「ははっ! 何だか面白そうだな!」
ツナは姫に何かあったんじゃないかと心配し、獄寺はどんなトラップがあって、どのようにしてツナを守るかを考え、山本はこんな屋敷で肝試ししたら楽しそうだなー、と思っていた。
「はひ!? 姫ちゃん!?」
「ハル!? どうした!?」
呑気に考え事をしていた3人に緊張が走る。
「どうしますか? 10代目。 爆破しますか?」
「そ、それはダメだよ!?」
「そうだぜ、獄寺。 まだ何かあったわけじゃないかもしんねーだろ?」
とりあえず、3人は家の中に入ることを決め、勢いよく扉を開け放った。
「ベリーベリーキュートです!」
「そ、そうかな……? 変じゃない……?」
「はい!!」
「よかったぁ……」
その時、姫は先頭で家に入ってきたツナとバッチリ目が合ってしまった。
「「あ……」」
姫は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、謝るツナに対して説教を行うのだった。
▽▽▽
「つまり、姫は上手く化粧が出来ているか心配で、確認してもらうためにハルだけを先に家にあげたってこと?」
「うん…… 昔、お母さんに習ってたけど、自分ではしたことなかったから……その、みんなに見せるのは恥ずかしくて……」
姫のツナたちへの説教がひと段落したところで、我に返った姫が申し訳なさそうに理由を説明した。 獄寺は納得していなかったが、山本が止めた。
「それで、今日はどうしてそんな格好を?」
姫の現在の格好は薄化粧をし、前回、ツナたちが見た着物に似て黒一色に桜が描いてあるものだったが、何かが違っていた。 ツナたちは何が違うかわからなかったが、なんとなく雰囲気でこの前のものとは違うと感じていた。
「そろそろ教えても大丈夫ですか? リボーンさん」
「大丈夫だぞ。さすがにここまで来たら隠す必要もねーしな」
「わかりました」
リボーンの了承を得た姫は今回、4人を招待した理由を話し始めた。
「これから、みんなには私の発表を見て、意見を言って欲しいんです」
「発表……?」
うん、と姫は頷き、言葉を重ねる。
「お母さんの家はね、日本舞踊と言うか何というか、踊りを伝えているの。 それで、リボーンさんがみんなにそれを見せたいって言ってくれて…… それに、私も今度、発表会みたいなのがあるからちょうど良かったの」
「姫、踊りなんてやってたの! 学校でもそんな話、聞いたことなかったよ!」
「あぁ。 最近、よく大空の名前を聞くけど、オレも聞いたことないな」
ツナと山本はそのことを知らなかった。 それに、獄寺とハルの反応を見るに2人も知らないようだった。
「隠してるつもりはなかったんだけど、お母さんの出来と比べちゃったら、ちょっと、ね?」
そう言いながら苦笑いをする姫。 どうしたらいいかわからず4人はあたふたするが、山本の肩に乗っていたリボーンが姫の肩に移動し、耳元でコショコショと何かを伝えた。
「ありがとうございます、リボーンさん。 私、頑張ってみますね」
姫のその言葉を聞いたリボーンは満足気に頷き、再び山本の肩へと戻っていった。
「何を言ってたんだ? 小僧」
「大したことじゃないぞ。 ただ、励ましただけだ」
山本の質問にリボーンは曖昧な答えをした。気づいてか気づかずか、山本がそれ以上、リボーンにそのことについて聞くことはなかった。
「本当は外でやりたいんですけどねぇ。 季節が合いませんから、中でやることにしました」
「こればっかりはな」
姫さリボーンと話しながら、4人を案内する。
「この中でやるから、みんな入って」
「ここって、舞台……だよね?」
「うん、そうだよ」
そこは木造の小さめな建物。 中の壁には一面、黒い風景に桜が咲き誇っている絵が描いてあった。
「実はね? うちの演目は1つしかないの」
「1つだぁ? それだけだったらすぐに飽きが来ちまうんじゃねぇのか?」
「まぁ、ちょっと事情があって、1つしかないんだ。 それでも、昔からあるものだからそれなりに人気はあるんだよ?」
姫は獄寺の質問に答えながら、みんなに座るように促す。 そして、姫自身は舞台に上がった。
「それでは、これより演目『夜桜姫』を始めたいと思います」
▽▽▽
「ありがとうございました」
演目が終わり、姫はみんなに一礼した。 そして、人数の少ないながらも大きな拍手が聞こえた。
「いやぁ、すげーな。 踊り、つーより、演劇に見えたぜ。踊るだけでこんなにストーリーが広がるもんなんだな。なぁ? 獄寺はもそう思うだろ?」
山本が自分なりの感想を述べる。 しかし、話を振られた獄寺はそれどころではなかった。
「うぅ…… なんて、なんていい話なんだ……ッ! 見る前のオレをぶん殴りたい気分だぜ……」
「はい……ッ! ハルも、ハルも感動しました!」
「うん! 凄いよ、姫!」
「あ、ありがとう……」
皆、口々に感想を言っている。 リボーンも満足気だ。
「オレの予想以上だったぞ。 かなりいい具合で仕上がってんじゃねぇか?」
「お母さんに比べたらまだまだです。 でも、もっと上手くなって、その時にまた、みんなに見てもらおうと思います」
「その意気だぞ」
「はい!」
その後、程なくして解散の運びとなった。 帰り道、みんなと別れたツナとリボーンは姫について話していた。
「そういえば、どうして俺らに姫の踊りを見せようとしたんど? それも内緒で」
「偶には芸術鑑賞でもしようかと思ってな。 それに、お前たちには芸術のセンスがカケラもないからな。 そういう面もこれからビシバシ鍛えていくからな」
「そ、そんな〜!?」
リボーンは本当の意味を隠したまま、ツナにネタばらしをする。 ツナはそのとこに気づかず話続ける。
そろそろ、夏が終わろうとしていた。