仮面ライダーフォーゼ~IS学園キターッ!~   作:龍騎鯖威武

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第10話「恋・炎・隕・石」

レプスは自慢の脚力で、空中高く飛びながら、フォーゼBSに襲い掛かる。

「フッ!」「やべっ!?」

<SHIELD-ON>

攻撃を予測し、とっさにシールドモジュールを呼び出すが…。

ドガアアアアアアアアァ!

「がはああぁっ!?」

威力が強すぎた。シールドごと、遠くへ吹き飛ばされてしまう。

「うつき!うつきぃ!」

なでしこが焦りながら、フォーゼBSへ走りよる。

「うつき、だいじょうぶ!?」

「あ、あぁ…なんとか、かんとか…。うわっ!?ゆりこ、前!」

「え…?」

フォーゼBSがなでしこに叫びかけ、彼女は振り返ったが…。

「ハアアアアアアアアァ!」

ドゴオオオオオオオオオオォ!

「きゃああああああああぁっ!」「ぐあああああああああぁっ!」

一瞬でレプスの蹴りが、なでしこの腹に食い込み、その勢いはフォーゼBSも芋づるになって受けてしまった。

地面に激突したのだが、とっさにフォーゼBSがなでしこを抱きかかえたおかげで、なでしこのダメージはレプスの蹴りのみとなった。

「う、うつき、ごめんね!」「へーきへーき!伊達にフォーゼ、続けてないからな!」

フォーゼに変身している宇月は、肉体も幾分か強靭なものになっている。今の攻撃は普通の人間ならば気絶しているだろうが、フォーゼBSにとっては、痛みが強かった程度に留まったのだ。

「もう良いレプス、この2人の始末は私がやろう。次は、君が狙う者を倒せ」

傍観していたリブラがそう言い放ち、クロークを脱ぎ捨てる。

レプスはその言葉に頷き、一夏を睨む。

「織斑一夏…!」

「来ると思ってたけど、やっぱりおれかよ!」

一夏は毒づきながら白式を展開する。

レプスもそれを見ながら、大腿部に触れ、シュヴァルツェア・レーゲンを展開する。

「専用機…!」

「一夏さん、わたくし達も戦いますわ!」「あたしも!」

セシリアと鈴音は、ブルーティアーズと甲龍を展開し、一夏と共に並ぶ。

「よし、ボクも…!」

シャルルもネックレスに手を当て、「ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ」を呼び出した。これは第2世代ISだが、様々な追加装備やカスタムが施されている。

「キサマらが4人がかりだろうと、わたしは負けない!」

レプスはワイヤーブレードを幾つも作り出し、一夏達を襲う。

「みんな、避けろ!」

一夏の宣言と共に、4人全員がその攻撃を避ける。

「はぁっ!」

ドドドドドドドドド!

一通りの攻撃が止んだ後、シャルルのISが持つ重機関銃でレプスを狙うが…。

「無駄だ!」

その攻撃はAICによって、完全に防がれた。

だが、これはシャルルの作戦。AICは一方向にしか展開できない防御壁。

「ならば、こちらはどうです!」「はああっ!」

「うっ!?」

レプスが声に反応して振り向くと、セシリアのスターライトmkⅢと鈴音の龍砲が、レプスに直接ダメージを与えるべく、放たれる。

だが…。

「ムゥン!」

ドゴオオオオオオオオオオォ!

レプスを守った者が居た。

「げっ、サソリ怪人!?」「ホロスコープスが2体…!」

その者はスコーピオン。持っていたクロークには少々の焦げがあるが、全く効果的ではなかった。

この状況下でホロスコープスが、スコーピオンとリブラの2体に増えた。最悪の展開である。

「兎座の少女よ、私がこの者達の相手をする。君の狙いはブリュンヒルデの弟の筈だ」

「…あぁ」

クロークを脱ぎ捨てたスコーピオンの言葉を聞いて、レプスは一夏に向かっていき、スコーピオンはセシリア、鈴音、シャルルの3人に走り寄る。

「織斑一夏ァ!」

「ラウラ、そんなモノに頼ってどうする!?」

「黙れ!」

一夏の言葉も虚しく、レプスは攻撃の手を止めない。

「代表候補生の諸君、少しは強くなったかな?」

「ボクは決めたんだ…。ボクの在り方を探す。ボクを守ってくれた紫苑のためにも…。だから邪魔しないで!」

シャルルが叫びながら連装型のショットガンを放ち、スコーピオンに攻撃するが…。

「探しても仕方ない。君の在り方など…存在しないのだよ!」

ドガアアアアアアアァ!

「うあああああああぁっ!」

スコーピオンはその攻撃を全て避け、シャルルに強烈な蹴りをお見舞いする。

その攻撃は凄まじく、シールドエネルギーを一気に半分以下にまで削る。

「シャルルさん!?」「こんのっ!」

鈴音が双天牙月を構え、スコーピオンに襲い掛かるが…。

「シッ…セアアアアアァ!」

ガギィ!

「きゃああああああぁっ!」

それすら避け、彼女にやはり強烈な蹴りを叩き込む。

「鈴さん!」

「戦いにおいて、余所見は禁物だ」

鈴音のことを案じて、彼女のほうを向いたセシリア。だが、スコーピオンの言葉にハッとして振り向くと、彼は既に目の前に居た。

ガシッ!

「かはっ…!」

ドガアァ!

そのまま首を強く握り、地面に叩きつける。

「わたしにも…変身できたら…専用機さえあれば…!」

目の前の状況に全く助力できない箒。自分の無力さを呪っている。

 

ドガアアアアァ!

「ぐああああぁっ!」

一方、フォーゼBSとなでしこ。リブラと戦っているが、相手は強すぎる。

スコーピオンすら超える速度で、ディケを2人に叩きつける。

「まずい…かなりまずいぞ!?」

「それはそうさ。そうなるために我々が立ち塞がったのだから」

ディケを地面に突き、不敵に言うリブラ。

「さて…彼女を渡してもらおう」

「う…つき…」

既にボロボロになって、地面に倒れ伏しているなでしこ。

彼女にリブラの手が向かっていく…。

「やめろっ!ゆりこに触るなぁっ!」

フォーゼBSが必死に手を伸ばすも、その手は届きそうにない。

「どうしよう、つっちー…!」「ちっ…やむを得ないか…!」

流石に状況がやばい事を理解したか、本音は心配そうに見つめる。

礼は最後の切り札である、「あるスイッチ」を取り出そうとした。

と、そのとき…。

 

「そこまでだ!」

 

<ADVENT>

「なにッ…!?」

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

ドガアアアアァ!

「グガアアアアアアアァッ!?」

突如、聞きなれない音声が鳴り響き、空から現れた赤い龍がリブラに体当たりを決める。

その威力は凄まじく、彼ですら遠くへ吹き飛ばされた。

「はああぁっ!」

「くっ!?」

そして、ほぼ同じタイミングで一夏とレプスの戦いに割り込んできた赤い影。

「あれは…」「な…何者だ!?」

レプスも見たことも聞いたこともないその存在。赤いスーツに大きな赤い瞳。額には龍のシンボルが刻まれている。

彼女の問いに赤い影は、こう答えた。

 

「龍騎…仮面ライダー龍騎!」

 

そう、仮面ライダー龍騎。リブラと接触し、SOLUを捜索していた戦士だ。

箒はその姿に見覚えがあった。

「赤い…都市伝説の仮面ライダー!?」

そう、山田が見せた資料の写真にあった「赤い戦士」だったのだ。

「あれは…『ISの世界』の住民「ラウラ・ボーデヴィッヒ」…。剣崎さんの言うとおりだ」

龍騎は独り言のように呟き、レプスと対峙する。

「邪魔をするな!」

レプスがワイヤーブレードを放ち、龍騎を捕縛しようとするが…。

<SWORD VENT>

「はあっ!」

ザァン!

そのワイヤーを全て、ドラグセイバーで断ち切った。

そしてレプスへ距離を縮め、ドラグセイバーを一気に振りぬく。

「であああぁっ!」

ズバァ!

「ウアアアアァッ!」

レプスはその攻撃を受け、ISを解除して地面に叩きつけられる。

「龍騎は危険だ。それに今、兎座の最輝星を失うわけには行かない。スコーピオン、退こう」

「えぇ、分かりました」

リブラとスコーピオンは龍騎の出現を警戒し、レプスを連れて黒い霧の中に消える。

敵の撤退を確認して、フォーゼBSとなでしこは変身を解き、一夏、セシリア、鈴音、シャルルはISを解除する。

龍騎はまともな会話もせず、その場を去るために呼び出したドラゴンサイクルに跨る。

一夏が呼び止めるが…。

「お、おい…!」

「君達は『ISの世界』の住民達と『仮面ライダーフォーゼの異世界』の住民達だね。その娘を…守ってくれ。絶対にゾディアーツに渡してはいけない」

ゆりこを見ながら、そういった言葉を残し、走り去ってしまった。

 

宇月と礼の部屋に、一堂は集められた。

本音は礼についていこうとするが、仮面ライダー部ではないので無理矢理、帰した。

「あの仮面ライダー…ゆりこを知っているみたいだったな」

一夏は、龍騎のことを思い出しながら言う。

行動を見るからに、味方ではあるようだが、一緒に行動してくれるわけではないらしい。

「それに『ISの世界』と『仮面ライダーフォーゼの異世界』という言葉ですわ…。全く意味が分かりません」

彼の残した言葉は、聞き覚えはあるものの、全く意味が理解できないものであった。

一夏達の討論を遮り、礼がデータを、自前のコンピュータに表示した。

「なるほどな。ホロスコープスが狙うわけだ」

「どうした、礼?」

横になっているゆりこの傍に居た宇月は、彼の名を呼ぶ。

礼は振り返り、印刷したデータを見せ付けた。

 

「その女…人間じゃない」

 

「は…?」

「おまえなら知っているだろう。「SOLU」だ。高エネルギーのコズミックエナジーが凝縮された、宇宙生命体。本来は知性がないはずだが…」

「ゆりこが…SOLU…!?」

なでしこドライバーの使用者の履歴データの照合と、ゆりこ本人の検査で判明したのだ。全てにおいて、人間にはありえないデータが記録されていた。

SOLUについては宇月も知っている。

宇宙開発の研究中、とあるSOLUが飛来した事が「コズミックエナジー」の存在を人類に知らしめ、フォーゼシステムやゾディアーツ誕生の原因となったのだ。

「でも…どうしてサソリ怪人達がその娘をねらうのよ?」

「SOLUはコズミックエナジーの塊。元来のコズミックエナジーにもいえるが、利用次第で負のコズミックエナジーにも強い力を与えられる」

つまり、ホロスコープスに彼女がさらわれると、かなり状況は悪くなる。

IS学園を潰すとスコーピオンが言っていたので、もしかしたら本気で潰しにかかってくるかもしれない。

「ゆりこ…」

「うつき…ごめんね…。おなじなのは、ふぉーぜのちからなの」

宇月の声で目を覚ましたゆりこは、俯きながら述べる。

「そっか…そうだよなぁ…」

ぶつぶつと念仏のように呟いている宇月は、部屋を出て行った。

「宇月…」「ふん、恋なんかするからだ」

心配そうに見送るシャルルに対し、彼の行動を馬鹿にしたような発言をする礼。

「礼っ!なんでそうやって、人をバカにしたような言い方するの!?」

鈴音がその態度に怒り、またしても詰め寄る。

「人を愛すると言うのは、確かに心の支えを作る。だが同時に、弱点を作るのと同じだ。いざと言うとき愛する者が居ないと、支えられていた心は崩壊する」

彼の言葉に、箒は近付きながら口調を強めて問う。

「じゃあ、おまえは支え無しでも強いと言うのか?」

「当然だ。おまえ等なんかよりも、ずっと強い。心も力もな。支えてもらう者など、必要無い」

そう言って、礼はポケットにあるアリエススイッチを握り締めながら、部屋を出て行った。

「今日は解散だ。全員、自分の部屋で寝ろ」

そう言い残して…。

 

箒は自室に戻る途中、あるモノに出くわした。

「あれは…」

遠くの窓から見える3つの影。ラウラ、スコーピオン、リブラだった。

気になって、まじまじと見つめる。

「どういうことだ!最強の存在になれるのではないのか!?」

ラウラはスコーピオンの胸倉を掴んで責める。

「落ち着きたまえ。君は最輝星と言えど、ゾディアーツになったばかり。そうすぐに結果は得られない」

彼女に対して、全くあせる様子も見せず、淡々と告げるスコーピオン。

「大丈夫だ。君には期待している。じっくりと成長し、我々と同格になれば、IS学園最強など、思いのままだよ」

「同格…?」

ラウラの疑問に、リブラが答える。

「ホロスコープスの事だよ。ヴァルゴ様に仕える、神聖な「十二使徒」の1人。君はその素質があるかもしれない」

 

「特にスコーピオンは、このIS学園の者だ。君も同じならば、可能性は十分にあるのだよ」

 

箒は、その言葉を聞いて唖然とした。

「蠍座の十二使徒が…IS学園の誰か!?」

リブラの言葉が正しければ、スコーピオンはこの学園に居る生徒か教師、または関係者のいずれかになる。

つまり、自分たちの近くにスコーピオンは潜んでいるのだ。

「大変だ…!すぐに、スイッチャーを探さないと!」

そう心に決めて、自室に戻る。

彼女が去ってすぐ…。

ラウラやリブラとも別れたスコーピオンは、セシリアの居た窓を見つめる。

「ネズミが一匹、聞いていたようだね…。篠ノ之箒…」

そう、スコーピオンは彼女が盗み聞きをしていたことを知っていたのだ。だが敢えて、それを甘んじて受け入れた。

自分の正体を知られるヒントを与えてしまったとしても…。

手に持っていたスコーピオンスイッチをオフにして、人間に戻る。

 

その姿は…。

 

その日の夜中。箒がスコーピオン達の姿を見て2時間後のことである。

「はぁ…」

紫苑は、窓を見つめながら溜息をつく。

「ただいま」「おかえり、デュノアさん」

シャルルが自室に戻ってきた。ただ、紫苑の一言が気になって…。

「ねぇ、紫苑。どうしてそんなに他人行儀なの?」

「…ダメだったかな?」

紫苑は、基本的に誰かを苗字で呼んでいる。心の壁を作っているのかもしれない。

それはシャルルにとって、どこかむず痒い感覚だった。

「ボクのこと…そろそろシャルルって呼んで欲しいな」

「え、でも…」

シャルルの頼みに、紫苑は戸惑った。

「だめ?」

割り切れない紫苑に、シャルルは上目遣いで聞く。

彼女の気持ちを無駄にしてはいけないと思った紫苑は、俯きがちになるが、小さく言う。

「…しゃ、シャルルさん…」「やっぱり、なんだか他人みたいだよ」

紫苑が考えた呼称は、シャルルにとってあまり良いものではないようだ。

「じゃあ、シャルルちゃん…」「子ども扱いされてるみたい…」

もう少しだけ親しみを込めた呼び方を考え、提案した紫苑だが、それもシャルルはお気に召さない。

「それじゃあ…シャルル…?」

人を呼び捨てにしなかった紫苑が、初めて呼んだ名前。

彼自身、凄く恥ずかしかったらしく、顔を赤らめて更に俯くが…。

「うん、それが良い!」

シャルルは気に入ったようだ。

それと同時に…。

くぅ~…。

腹の音が鳴る。紫苑は既に食事は済ませているので…。

「あはは…そういえば、何も食べてなかったっけ…」

シャルルだ。顔を少し赤くして、頭をさする。

「あ、そうだ。デュノアさ…シャルルがご飯を食べてないかなと思って…」

引き出しを開けると、少なめではあったが食事があった。

「わぁ…ありがとう!」

シャルルは紫苑の心遣いに感謝し、食べようと手を伸ばしたが…。

箸を見て、少しだけ汗を流す。

「あ…お箸か…」

手にとって一生懸命、上手く持とうとするが…。

「れ、練習してるんだけどね…」

不恰好な持ち方になってしまう。

紫苑は自分の至らなさを痛感し、落胆しながら言う。

「あぁ…やっぱりボクはクズだ。シャルルが箸を使えないかもって考えなかった…」

「もぉ!紫苑はクズじゃないんだよ!」

その紫苑を、シャルルは強く注意する。

「…そうだったね…」

「そうそう、考え方は大事だよ」

少しだけ…少しだけだが、紫苑は考えを改めた。塞ぎこまず、自分がクズだと言う事実を否定する言葉を受け入れているのだ。

「あ、フォーク持って…」

「紫苑…!」

フォークを持ってこようと立ち上がった紫苑を、シャルルが引き止める。

「紫苑が…食べさせて」

「っ!?」

箸を紫苑に渡すシャルル。少しの間迷ったが、紫苑はおずおずと箸を受け取る。

「じゃ、じゃあ…はい、口を開けて…」

「あーん…」

どちらも顔が真っ赤。紫苑に関しては、箸を持つ手がかなり震えている。

それでも、なんとか口に運んだ。

「うん、おいしいよ」

「そっか…よかった」

ちょっとずつ、2人は心の距離を縮めていく…。

 

同時刻。

アリーナの1席で座っていた宇月。うつらうつらと眠りかけている。

「起きろ」

その声と共に現れたのは…。

 

アリエス・ゾディアーツだ。

 

手に持っている杖「コッペリウス」から放たれるオーラで、宇月の生態活動を活性化させて目覚めさせる。

「ん…礼!?おまえ、アリエスに!?」

「寝ぼけ状態で聞かれるよりも、ずっとマシだ」

そういいながら、アリエスはスイッチをオフにして礼の姿に戻る。

「おまえ…あの女になでしこを託す気か?」

「…わかんねぇよ。でも、あいつ以外になでしこを扱えるやつはいない」

礼は宇月の言葉を黙って聞く。その答えに鼻で笑う。

「どうでも良いクセにな。本当は、あの女に現を抜かしているんだろ。そんなことでフォーゼが務まるか?」

「…だよな」

いつもなら食って掛かるのに全く反論せず、軽く笑っていた。

それが礼には気に喰わず、嘲笑しながら続けた。

「…面白みがないな、もっと喰らいつけよ。感情に流されるのが城茂宇月だろう?」

「感情に…?」

宇月は礼の顔を見ながら問う。アリエススイッチを見せつけて、強く言い放つ。

「おれが今、アリエスになった理由が分かるか?おまえがおれを改心させた時の、あの感情を失っているからだ。相手の都合を考えずにどこまでも、自分の意志を貫き通すのがおまえのはずだ。相手がSOLUだろうとなんだろうと、感情をぶつけなくてどうする!?」

次に礼は宇月の胸倉を掴み、更に叫ぶように言った。

「ゆりことケリを着けろ。そうでないと、おまえはフォーゼの役目を果たせない。もし往生するようなら…おれは再び、ホロスコープスに戻るぞ!」

礼は感情を高ぶらせたりする事は、基本的に少ない。ここまで爆発したのは、アリエスとフォーゼとして最後に対峙したとき以来だ。

宇月は礼の言葉を受け、少しだけ笑った。

「…礼がアリエスに戻るのを、放っておくわけにはいかねぇよな!それにおまえの言うとおり、ケリをつけようか。恋は熱く燃え滾るぜ!」

礼は彼の表情を見て安堵し、アリエススイッチをポケットに入れた。

「やっと、その気になったか。「アレ」もそろそろ動く。あのレプス女も、とっとと止めるぞ」

「おう!」

 

翌日。

あれから、ようやく自室に戻った宇月と礼。

だが…。

「あれ…ゆりこ?」

ゆりこが居ない。

彼女がいたであろうベッドには、小さな赤い点が描かれていた。

その配置は…。

「天秤座…リブラか!?」

そう、彼女を攫ったのはリブラ。SOLUであるゆりこを奪い、彼等の力に変換されようとしているのだ。

「まずいぞ宇月!」

「ゆりこを奴らに利用させたりしない!絶対に取り戻す!」

そう言って宇月は走り始めた。なぜか礼は走ろうとしない。

「…」

黙ったまま、あるモノを取り出す。

 

それは…。

 

同時刻、一夏と箒はラウラと対峙していた。

「また来たか、ラウラ!」

「今度こそ倒す!」

<LAST ONE>

ラウラのスイッチはラストワンに到達する。

自身の力が進化したことを感じ、ラウラは邪悪な笑みを浮かべる。

「ラストワン…!よせ、押すな!」

「黙れ、キサマの指図など受けん!」

箒が説得しても、理解を示してくれないラウラ。箒は宇月から聞いた言葉を言う。

「人間に戻れなくなるぞ!その肉体と分離して…自分の意志で元には…!」

「構うものか…わたしは元より、人間とはいえない存在だ!」

そしてスイッチを押し、レプスとラウラの肉体は分離した。

「…わたしは最強になる。もう、あの頃のようになってたまるか!」

「あの頃…?」

一夏の問いに反応せず、すぐさま襲い掛かるレプス。

「ハアアアァッ!」「うおっ!?」

速かったが、一夏はとっさに白式を展開して避けたため、攻撃を受ける事はなかった。もし直撃していたらと考えると、冷や汗が流れる。

「くそ…やるしかないか!」

「一夏、絶対に勝て…」

雪片弐型を展開し、構えながら距離を置く。箒は戦力にはなれない。祈りながら見守る事だけが彼女に許される事だ。

そこへ、宇月がやってきた。

「一夏に箒、ゆりこを見なか…って、レプス!?」

「たぶん、ゆりこにはこいつが絡んでる。手を貸してくれ、宇月!」

「わかった!」

箒に応え、フォーゼドライバーを装着し、スイッチを起動する宇月。

<3>

「ラウラ、ゆりこはどこだ!」

<2>

「フン、誰が言うものか!」

<1>

「簡単には口を割らないか…変身っ!」

少しの対話を行い、宇月はフォーゼBSへと変身した。

「はあっ!」

「彼女の邪魔はしないで貰おう」

一夏とレプスの戦いを妨害させまいと、クロークを脱いだスコーピオンも現れた。

「スコーピオンっ!ゆりこを返せ!」

「それは私の管轄外だ、リブラ様に聞きたまえ。もっとも…聞くことが出来ればの話だがな!」

そう言って、フォーゼBSに向かって駆けた。

一夏とレプスも同時に戦闘を開始する。

「こっちの利点は…!」

ラストワンのゾディアーツのため、レプスはISを装備していない。シュヴァルツェア・レーゲンは抜け殻のラウラにあるのだ。勝機を狙うならそこしかない。

「フンッ!」

レプスは地面を蹴り、空中高く飛ぶ。脚力で蹴りを放つつもりなのだろう。おそらく、真正面から受ければ、大ダメージは免れない。本能的に感じた一夏は、それをすぐさま避ける。

「…こっちは雪片弐型だけ…。近距離で勝ち目があるか…?」

考えている暇を、レプスは与えない。

「どこを見ているッ!」

ドガアアアアアアァ!

「うおああぁ!?」

「一夏!?」

一気に間合いを詰められ、強烈な蹴りが一夏を襲う。シールドエネルギーの残量は著しく、長丁場の戦いには出来ない。

「一夏さん!」「次はパワーダイザーでリベンジよ!」「ボクらもいっしょに戦うよ!」

その声と共に、ブルー・ティアーズを装備したセシリア、鈴音が搭乗したパワーダイザー、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを装備したシャルルが現れた。

「こんな男にうつつを抜かす貴様らのような者たちに、わたしは負けない…!」

「一夏さんを侮辱するのは…わたくし達、絶対に許しませんわ!」

「何も知らないのに、否定してんじゃないわよ!」

「一夏は…君が思っている以上に、良い人だよ!」

スターライトmkⅢとパワーダイザーの拳が、レプス目掛けて放たれる。

「ハアァ!」

しかし、それすら避け、空中高く飛ぶ。

それが隙を作った。

「今だっ!」「いくよ、一夏!」

「なッ…!?」

一夏が雪片弐型を振りかざし、レプスに向かって振り下ろした。

ズバアアァ!

「グアアアアアァ!?」

間違いなく、ダメージを負わせることが出来た。

そこへシャルルが追い討ちをかけるため近接ブレードの「ブレッド・スライサー」を構え、大きく右に振りぬく。

「はあああぁっ!」

ズバアァ!

「グガアアアァ!?」

だが、フォーゼBSは一方的に負けている。

「ゼェアアァ!」

ドガアァ!ガゴオオォ!

「がはっ!ぐあああぁっ!」

吹き飛ばされ、壁に叩きつけられてしまう。

「…ゆりこを取り戻すどころか…こんなところで…!」

「くそ…これじゃ、ラウラを元に戻せない…!」

一夏達が優勢とは言え、フォーゼがリミットブレイクを使わねば、ゾディアーツを止める事は出来ない。

と、そのとき…。

 

ドガアアアアアアアアァン!

 

「なんだ…!?」「隕石ですか!?」

突如、空から人の大きさほどの青く輝く発光体が地面に着地した。

その光が消えたとき、そこにいたのは…。

黒いボディに散りばめられた、星を思わせる無数の輝き。青い軌道を髣髴とさせるマスク。

「次から次へと…今度は何者だ!?」

レプスの問いに、その者は静かに言い放つ。

 

 

 

「おれの名は…仮面ライダーメテオ…!」

 

 

 

「メテオ…!?」「龍騎やなでしこに続いて…また新たな仮面ライダーが!?」

「星座の運命に惑わされた、愚かな者よ!貴様の星の運命…おれが消し去る!」

鼻を拭うような仕草をしながら言う「仮面ライダーメテオ」。

「調子に乗るな!」

レプスは吐き捨てて、メテオに襲い掛かる。

だが彼は、全く動じる様子を見せず、静かに構える

「オオオォォォ…アタアアァ!」

ドガアァッ!

「グゥッ…!?」

怪鳥音を叫びながら、レプスに拳を叩き込むメテオ。

決して、ISのような強大なエネルギーなどを使っているわけではないが、その拳は光の如き速度だった。

「速い…!」

「アタァ!アチャァ!ウゥゥアタアアアァ!」

ガッ!ドゴォ!バキィ!

「ガッ…!グッ!ガハッ!?」

全く攻撃が休まる事はなく、次々と拳や蹴りを叩き込んでいくメテオ。

レプスでさえ、その攻撃に対処は出来なかった。

「トドメだ…!」

<METEOR-ON READY?>

ベルトに挿されている青いアストロスイッチをオンにし、天球儀のような部分を回転させる。すると、とてつもない量のコズミックエナジーがメテオの右足を包む。

<METEOR LIMIT-BREAKE>

「ハアアァ…セァッ!」

その音声が響き渡ったとき、メテオは地面を蹴ってとび、左足を前に突き出す。

「貴様なんかにィ!」

恨みを込めたレプスの言葉。それを無視して、メテオは突っ込んでいく。

「ウォォォォォ…アアアチャアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアァ!

「グアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

メテオの必殺技「メテオストライク」。それを受けたレプスは地面を転がり、身体中から火花を散らす。

「負けるか…!この程度で…!」

「しぶといな…」

 

一方、フォーゼBSとスコーピオン。

「此処で、君を倒しておくのは得策だな」

もはや、全く攻撃が当たらない。この状況を打破するには…。

「くそ…エレキで!」

「待つんだ、フォーゼ!ファイヤースイッチを使うんだ!」

そこに現れたのは龍騎だ。だが、彼の助言は意味がなく感じる。

「りゅ、龍騎…。でも、ファイヤーは…」

「おれが手を貸す!あとは君の気持ち次第だ!」

「…おし、やってやるか!」

何故だか確証はないが、龍騎の言葉は信じられた。

<FIRE-ON>

ファイヤースイッチを起動し、ヒーハックガンを構える。

<STRIKE-VENT>

そして龍騎はドラグクローを装備し、フォーゼFSに向けて構える。

「はあああああぁ…」

「お、おい、ちょっと!?」

「だあっ!」

そのまま、ドラグクローファイヤーをフォーゼBSに放つ。

ゴオオオオオオオオオオオォ!

「あっぶね!…て、あれ?」

だが、フォーゼBSは全く苦痛を感じない。それどころか、エネルギーが増大していくのを感じた。

「成功だ!」

「そうか、そういうことか!」

そう、ファイヤーはスイッチに炎に類する攻撃を受けることで使用可能となるのだ。龍騎の炎を受けて、フォーゼBSの身体は赤く輝いた。

「いくぜ!ファイヤーステイツ!」

フォーゼは新たな姿「仮面ライダーフォーゼファイヤーステイツ」にステイツチェンジした。

「ほう…炎か」

「喰らえ!」

<LIMIT-BREAKE>

「ライダァァァァァァ…爆熱シュウゥゥゥゥゥゥゥト!」

フォーゼはすぐさまこの状況を打破すべく、リミットブレイクを発動。

「フッ!」

だがスコーピオンは、脱ぎ捨てていたクロークを使い、別の場所へ弾く。

その場所は…。

「す、スコーピオン、キサマァ!?」

満身創痍で立ち尽くしていたレプス目掛けてだ。

ドガアアアアアアアアァ!

「ウアアアアアアアアァ!?」

2度もリミットブレイクを受けたレプスは、身体がボロボロと崩れていく。

 

 

「負けたくない…あの頃に戻るのは嫌だァ…!」

 

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!!!」

突如、レプスは絶叫を上げる。まるで、自身の中にある怒りを吐き出すかのように。

「計画通りだ…。遂に覚醒の時がきた…!」

そう、これはスコーピオンの作戦。レプスに強力な攻撃を与え極限状態にし、彼女の心から生まれる負の感情を増幅させたのだ。

ホロスコープス覚醒のために。

異変に気付き、抜け殻となったラウラの肉体を抱えてきたスコーピオンは、彼女をレプスに向かって放り投げる。

そして…。

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!」

レプスとラウラが一体化した瞬間、身体の皮膚は剥がれ落ち、新たな肉体を形作る。

「嘘だろ…ラウラが…!?」

痛みをこらえながら立ち上がったフォーゼFSの表情は、凍り付いていた。

白と黒の身体に、金色のマフラーを纏った小柄な姿。

それを見たスコーピオンは惜しみない拍手を送り、彼女の肩に手を置く。

「おめでとう…!今日から君は我々と同格である、十二使徒の1人…」

 

「双子座の使徒「ジェミニ・ゾディアーツ」だ…!」

 

「来たまえ…。新たな同胞よ!」

スコーピオンと「ジェミニ・ゾディアーツ」は共に姿を消した。

「逃げられたか…ゆりこの行方も分からなかった…!」

ふときづくと、龍騎は忽然と姿を消していた。

残された新たなライダーのメテオに、変身を解除した宇月は近付く。

「久しぶりだな」「おう、これから此処で戦うのか?」

まるで知り合いのように会話をする2人。

「別行動は取るがな。SOLUの件も辻永礼から聞いている。一応、捜索をしておこう」

そう言い残して、メテオは再び青い発光体となって消えた。

箒は、宇月に声をかける。

「…メテオと知り合いなのか?」

「あぁ。メテオはフォーゼの試作品。当然、おれが渡したんだからな」

「じゃあ…」

つまり、宇月はメテオの正体を知っているのだ。

「メテオって一体、誰なのよ?」

「それは言えない。あいつの意志を尊重してな」

鈴音が聞くものの、宇月でもメテオの正体は話すことができないのだ。

「まずはゆりこを取り戻す手段を考えないと…戻ろう!」

そう言って全員、宇月と礼の部屋に戻った。

 

それから暫くして…。

千冬と山田は、ある人物達と出くわしていた。

「君達は…」

「えっと…」

「この学園の危機を知ってるでしょう?ゾディアーツから守らなければなりません」

「ボク達も協力します!ゾディアーツを止めるのに手を貸してくれませんか!?」

竜也とあゆだ。2人とも強い眼差しで、千冬達を圧倒している。

山田は彼等が協力してくれる理由を聞く。

「あなた達は、なんのために…?」

「ある人達から託されたから…。守らなければいけないんです、この世界を…」

あゆが必死に説得する。

「あなたも知っている生徒、ラウラ・ボーデヴィッヒがゾディアーツの幹部として覚醒してしまいました。彼女を救いたい…」

「ボーデヴィッヒが…?」

少しだけだが、千冬の表情が変わる。

「…わかった。君たちにも教えてほしいことが幾つかある」

千冬と竜也は互いに頷き、山田とあゆと共に、学園のある場所に向かった。

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

次回!

 

                   今日から少しの間、此処で教師をします

 

龍崎先生と月宮先生って、結婚してるんだ…

 

                   ツーマンセルトーナメントでケリをつける!

 

ようこそジェミニ…

 

                   最悪のコンビだ…理雄とラウラ…

 

僕は…シャルルと出たい!

 

                   ゆりこを返せ!

 

 

 

 

 

 

第11話「双・子・覚・醒」

 

 

 

青春スイッチ・オン!

 

 





キャスト



城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ

織斑一夏

篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音

???=仮面ライダーメテオ

辻永礼=アリエス・ゾディアーツ
布仏本音

シャルル・デュノア
白石紫苑

ラウラ・ボーデヴィッヒ=レプス・ゾディアーツ/ジェミニ・ゾディアーツ
ゆりこ/SOLU=仮面ライダーなでしこ

織斑千冬
山田真耶

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ

???=スコーピオン・ゾディアーツ
???=リブラ・ゾディアーツ




あとがき
如何でしたか?
ファイヤーステイツの登場方法、結構がんばったつもりです。どうでしたかね?
メテオが登場です!正体は引っ張ります、しばらく判明しません。
逆に、今回でスコーピオンの正体が少しだけ明らかになりました。発言どおり「IS学園にいる誰か」です。
ゆりこはもうちょっと持越しです。さて、どうしたものか…。
次回はトーナメントです!

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