第24話「休・日・来・訪」
今日は土曜日。
IS学園の生徒は週末に自宅へ帰るものも少なくなく、宇月達も例外ではなかった。
今回は、彼等の休日にスポットを当ててみよう。
まずは宇月。
「さぁて!学園の学食や鈴音の酢豚の量じゃ、美味くても腹は膨れねぇ。美味い食い物をたらふく喰って、ゾディアーツとの戦いに備えるぞ!」
彼の自宅に戻った理由は一つ。食欲を満たすためだ。
実際、フォーゼとして戦っているがために肉体の消耗は激しく、彼の身体は栄養を強く求めているのだ。その飢えは学園では完全には満たされないらしい。
「何作るかな…?」
宇月はそこそこに料理の腕はあり、自身が美味しいと感じるものを大量に作る程度ならば出来るらしい。
そのとき、家にノックをする者がいた。
「礼か?」
彼の家にやってくる者は多くはなく、ここ最近では礼がほとんどである。
扉を開けた先には…。
「あの…こんにちは、城茂君」「こんにちは、うっちー!」
本音と簪だった。随分と珍しい来客だ。
「おぉ、簪に本音!よくここが分かったな!?」
「本音に場所を教えてもらったの」「わたしはつっちーから。簪ちゃんがどうしても来たいって」
本音の何気ない発言に、簪は顔を真っ赤にする。
「そ、それは言わないって…!」「あ、ごめん、忘れてた」
「まぁ入れよ。来客なんて、礼を除いたら随分久しぶりだなぁ!」
しかし、宇月にはそんなことはどうでも良かった。とにかく、友達が家にわざわざ来てくれることが嬉しかったのだ。
彼はすぐに2人を家にいれた。
続いて一夏。
「仮面ライダー捜索会?」
彼は友人の家にいる。名前を五反田弾という。
「そう。蘭と一緒に入ってな、都市伝説の仮面ライダーを探そうっていう会なんだ」
これは少し厄介かもしれない。仮面ライダーは身近にいる宇月なのだ。
「おにぃ!捜索会の…」
突如ドアが開かれ、彼の妹の蘭が入ってきた。随分と乱れた部屋着である。
「あ、あれ…一夏さん…!?」
しかし、一夏を見て様子が変わる。
「な、なんで…」
何かを呟きながら、急いで部屋を出て行った。
「なんだったんだ、蘭…」
「おまえ、まだ分からないのかよ」
「は…何が?」
蘭は一夏に好意を寄せているらしいが、当の本人は全く気付いていない。鈍感にも程があると弾は呆れているが、口には出せない。
恋をする妹を持つ兄は、苦労人である。
「まぁ、いいや。仮面ライダーって、IS学園でかなり出てくるって聞いたからさ、なにか知ってる事あったら教えてくれよな?」
「わ、分かったらな…」
冷や汗をかきながら、そっぽを向く一夏。秘密は隠し通せるかどうか…。
その頃、一夏の家では…。
「どうして…」「誰も…」「いないのよ!?」
一夏に会うためにやってきた、箒、セシリア、鈴音の姿があった。
結論を述べると、弾の家に向かったため、留守になっていたのだ。
彼女達の足元では、バガミール、ポテチョキン、フラシェキーが落胆しているような仕草を見せていた。
同時刻、ラウラは電話をしていた。
「クラリッサ、わたしだ。辻永礼の家は見つかったか?」
「はい。隊長の送信されたプログラムデータを、衛星で探索した結果、隊長のいる位置から直進で、南南西1kmの距離にあります」
なんと彼女は自分の国にある黒ウサギ隊の副隊長クラリッサに、礼の家を探知させたのだ。ちなみにプログラムデータとは、メテオドライバーのことだ。と言っても、礼の目を盗んでデータを入手しなければならないこともあって、彼女ではメテオの深いデータまでは入手できなかったため、ドライバーの表面上のデータのみではあるが。
「了解した、感謝する」
「とんでもありません。我々は常に、隊長と共にあります」
優秀な部下の働きに感謝しつつ、ラウラは礼の自宅を目指す。
そんなことも知らない礼は…。
「39番までのスイッチを全てロールアウト完了。こいつ達も起動だな」
目をやると、そこにはホルワンコフ以外に、2体のフードロイドがいた。
ソフトクリームの形をしたソフトーニャと、チキンナゲットとその箱の形をしたナゲジャロイカだ。
「箒の後方支援、少しでも充実させたほうが良い。その方があいつも自分が非力だと感じないだろうし…」
礼は彼なりに、箒を気遣ってフードロイドのロールアウトを早めたのだ。
そして、残るアストロスイッチで規格されているモノの中で最後に登録されている、40番目のスイッチ。
間もなく、そのスイッチの調整も終わるようだ。
そのとき…。
「礼っ!」
大きな声と共に、ラウラが入り口のドアを突き破って入ってきた。
「うお!何やってんだ、おまえ!?」
「嘘を吐いたな!今週の週末は…ふ、2人だけで…」
ラウラは礼と週末に出かける約束をしていた。彼が学園からいなくなったために、約束を破られたと思い込んでいたのだ。
「今、何時だ?」
「昼の11時だ」
「約束は3時だろ!それまでの時間くらい、自由にさせろ!」
実際、彼女が家に来てくれることについて悪い気はしないのだが、このまま放っておくとラウラの行動はエスカレートしそうだと感じ、叱り上げる。
「大体なんで、おれの家の場所を知ってるんだ!」
「ふっ…愛の力だ」
「マジメに答えろ!」
彼女の扱いは難しい。礼はメテオを隠していた時よりもさらに困り果ててしまった。
「とにかく日本では、善は急げというらしい。すぐに出かけるぞ!」
「ま、まて!気が早い!まだ40番目のスイッチが…!」
ラウラに引っ張られ、礼は40番目のスイッチ調整を残して家を後にしてしまった。
残った紫苑だが…。
「…前よりも鈍痛が増してる…」
右腕をさすりながら、小さく呟く。彼の肉体の中の、母親の肉体部が今まで以上の拒絶反応を示しているらしい。
「専用機を使ったからかな…?」
彼に考えられる可能性は、それが大きかった。理雄の使っていた霧裂を使い始めた途端に症状が悪化し始めたのだから。
「痛み止め、増やしてもらったほうが良いかも…」
今後の事も考え、医師との相談をしようと決めたとき…。
彼の家にもノックをする者がいた。
彼に関しては、家に来る者は皆無だ。来るとすれば何かの勧誘程度だ。今回もその類かと思い、ドアを少し開けたとき…。
「来ちゃった。紫苑、こんにちは」
「シャル!?」
シャルロットが立っていた。想像もしていなかった出来事で、紫苑は気が動転する。
「唐突すぎるよ…!」
「どうかしたの?」
「あ~その~、い、家は片付いてないし、殺風景だし、空は青いし、風は気持ち良いし…あれ、何言ってるんだ僕?あああああああぁ!」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫、大丈夫!怪我ならないよ!」
さっきから会話が、微妙に噛み合っていない。
シャルが本題を切り出した。
「あの…紫苑、今日は忙しい?」
「え?」
「もうすぐ、臨海学校でしょ?もし暇だったら、一緒にいろいろと買い物に行きたいなぁって」
少し照れながら言い切ったシャルロット。
紫苑はそれを聞いた途端、動転していた様子からいつもの雰囲気になった。
「…どうして僕を?他に人はいるんじゃ…」
「紫苑と一緒が良いって思ったから。紫苑をもっと知りたいから」
本心だ。シャルロットは紫苑のことをもっと知りたい。もっと関わりたいと思っているのだ。ただ、彼は引っ込み思案であり、動くなら自分からとシャルロットは考えたのだ。
「…僕もシャルと、もっと仲良くなりたいと…思ってるのかな…?自分でも、ちゃんと分からないけど…」
「じゃあ、行こう!」
紫苑の服装も出掛けるに丁度良い格好だったので、シャルロットは彼の手を引いて買い物に出掛けた。
千冬と山田は休日ということで、顔を合わせていた。
「すまないな、真耶。休みの日に付き合ってもらって」
「良いですよ。でも…ちょっと言いたいことが…」
バツが悪そうに山田は答える。
「どうした?」
「その…ホロスコープスのことです」
千冬は彼女の雰囲気から、ある程度は予測していた。
「織斑先生って、独自にヴァルゴ・ゾディアーツを探してますよね?」
「あぁ。正体を知っている奴は見つけたが、どうにも口を割ってくれなくてな」
どうやら、山田には感づかれていたようだ。確かに彼女は仮面ライダー部の顧問であり、それを知る可能性は十分にあった。
「それとは別の十二使徒、レオ・ゾディアーツは知ってますよね…?」
「あぁ…龍崎君達の話では、ホロスコープスで事実上のナンバー2らしいな。実力はヴァルゴにも劣らないとか」
「はい。そのレオが城茂君達に襲い掛かってきたことがあるんです。一度でしたが」
それはラウラが再びジェミニに仕立て上げられようとして、無理矢理連れて行かれたときだ。山田は直接いたわけではないが、バガミールの映像を見たことで知っている。
レオは一瞬で、宇月達全員を戦闘不能に陥らせたのだ。
「正直…歯が立ちませんでした。多分、今の城茂君や織斑君達がどんなに力を合わせても、きっと太刀打ちできる相手ではありません」
「つまり、何が言いたい?」
「そのレオとほぼ同等か、それ以上の強さを持つヴァルゴですよ!?一人では関わらないほうが良いと思います!もし織斑先生が探している事がヴァルゴ達に知られたら、例え貴女でも…」
「おそらく、知られている」
「えっ…!?」
彼女から聞いた返事は意外なものだった。千冬は既にヴァルゴに自分の行動を読まれていると感じているのだ。
「奴の方から、正体を探させるような誘導をされた。確証はないが本人曰く、ヴァルゴは私の知っている者の誰からしい。…もしかしたらIS学園の人間でもおかしくはない」
山田は絶句した。スコーピオンに続き、首領のヴァルゴまでもが、千冬もしくは自分たちの身近に潜んでいるかもしれないのだ。
「それなら余計に…!」
「真耶。私はIS学園の教師であり、世界初のIS使いであるが…それ以前に、一夏の「姉」なんだ。弟の危険を黙って見ているほど、冷酷ではないつもりだ」
どうやら説得は無理らしい。
「やっぱり…織斑先生は、お姉さんなんですね。わかりました。でも…織斑君に心配させるような事は…」
「しないようにするつもりさ。今の一夏には、私を気遣う余裕はないはずだからな」
そのころ…。
「冷蔵庫に食べ物が無いなんて、考えてなかった!」
「それくらい考えて」「まぁ、うっちーらしいねぇ~」
あの後、宇月は二人にも食事を振舞おうと思ったが、冷蔵庫の食料がなかったので、買出しに出掛ける事になった。
「ところで宇月って、どうやってお金を…?」
「あぁ、コズミックエナジーの研究でちょいとばかり。父さんと母さんの貯蓄もあるけど、出来れば使いたくなくてな」
宇月はこの年齢ですでにコズミックエナジーの専門的な研究を進めている。その成果も幾つか挙げており、それによる収入で今は生活している。
「と言うわけで、心配するな!今日は、おれのおごりだ!」
「わぁい!うっちー太っ腹~!」
正直言って、あまり財布が潤っているわけではないが、彼女達にそれくらいのもてなしは必要だろう。
「あ、簪のほうはどうなんだ?一夏達とIS作ってるんだろ?」
「うん、順調。近いうちに完成するかも」
比較的、明るい表情で頷く簪。現在、一夏達が時間を見つけては、彼女の専用機の製作を手伝っている。宇月も本来は手を貸したかったのだが…。
「そうか!おれ、ISの知識はダメダメだからなぁ…。手伝えなくて悪い」
「宇月はしょうがない。みんなのヒーロー、仮面ライダーフォーゼだから…!」
簪はそう言ったとき、顔を赤くする。目の前には憧れのヒーローがいるのだから。彼らが学園を守ってくれる。だから何も言う事はなかった。
「完成のときは、見せてくれよな!」
「うん…!」
賑やかな会話の途中…。
「あ」
宇月達は箒達とバッタリ遭遇した。
「よぉ!箒、セシリア、鈴音!3人でお出かけか?」
「い、いや…そういう訳では…」「ぐ、偶然ですわ…」
理由が理由であり、結果もあまり格好がつかないため、なんとなく言いづらかった。
「あんた達こそ、どうしたの?」
「うっちーがね、ご飯作ってくれるんだって~!」「それで買い物をしてる」
その言葉で箒達は驚く。
「宇月、料理が出来るのか…」
「おまえ、おれを何だと思ってるんだよ!自分の腹くらい満たす腕はあるぜ?」
袖を捲り上げ、自信たっぷりに宣言する宇月。
その後ろから…。
「あ、一夏さーん!」
一夏、弾、蘭がやってきた。それに気付いたセシリアは小走りで近付く。
「あれ、セシリア。それに箒達も…」
少し驚いた表情で彼女達をみつめる一夏。
その横では…。
「あ、鈴さん…!」「蘭!」
また別の古い知り合いの再会があった。
「なんだよ、知り合い?て言うか一夏、その2人は誰?」
「あぁ、中学時代の友達だ。五反田弾と、その妹の蘭。休みの日には、たまに会ってるんだ」
「一夏の知り合いって所から…おまえらIS学園の生徒だよな」
ここは双方と知り合いである一夏がそれぞれの紹介を行なった。
「…それで、弾と蘭は仮面ライダー捜索会ってやつに入ってるんだ」
「仮面ライダー捜索会?」
宇月はその言葉に少し表情を変えた。
「都市伝説の仮面ライダーを探すって言う会だ。何かあったら、連絡くれよな」
「都市伝説も何も、仮面ライダーは…」
「だああああああああああああああああああああぁっ!!!!!」
本音が真実を言おうとしていたところ、宇月が絶叫で止めた。
「本音、ちょっと来いいいいいいいいいいぃっ!」
「え、え、なに!?」
首根っこを捕まえ無理矢理、物陰に連れ込む宇月。
「どうしたの?」
「IS学園内以上にフォーゼを知られるのは、さすがにヤバイ気が…。外部にゾディアーツのことまで知られたら…警察の捜査とかも…」
宇月の説明で、ようやく本音は事の重大さに気付いたようだ。
「そ、そうだね…ごめん」
「気をつけてくれるなら良い。まぁ、うっかり滑りそうになったら、上手くはぐらかしてくれ」
その後、弾と蘭には上手く説明し、仮面ライダーフォーゼは知られずに済んだ。
同時刻。
「何処に出かけるんだ?」
礼が尋ねる。彼は40番目のスイッチに集中しすぎて、何も考えてなかったのだ。
「特にない」
「はぁ?おまえが言いだしたんだろ!?」
ラウラの言動に、礼は苛立ってきだした。
だが…。
「わたしの話だ!」
「…どういうことだ?」
言葉の意味が分からず、礼は首を傾げる。
「礼…メテオやスイッチ調整が忙しいから、自分の生活のことまで気が回らないんじゃないのかと思ってな。シャルロットに聞いたら、手伝うと良いって…」
理由に納得して、礼はラウラの頭に手を置く。
「そうだったのか…。すまなかった、邪険に扱って。やはり、仮面ライダー部の人間は例外なく良い奴だ」
礼は少しだけ顔を赤くして、ラウラの手を握る。
「礼…?」
「その…なんだ…手を貸してもらってばかりじゃ申し訳ない。おまえも何か行きたいところがあったら、付き合う。おれで…よければな」
「…あぁ、良いぞ!行こう!」
そう言って二人、意気揚々と出かけていた途中…。
「あ」
紫苑とシャルロットに遭遇した。
「ラウラ、上手くやってるんだね!」
「まぁな。そっちもか?」
「う、う~ん…まだまだ難しいけど…」
双方、互いにアドバイスを出し合って、礼と紫苑に関わっている。
二人が盛り上がる中…。
「なんだろう…これ?」「さぁ…」
残された礼と紫苑は複雑な表情をしている。
結局…。
「こうなるんだね…」
4人で買い物に行くことになった。
その先で…
「あ」
宇月達と遭遇する事になった。
「偶然の鉢合わせって、存在するんだね…」
結局それぞれ別行動のはずが、全員集まった事になった。
「まぁ、大勢いたほうが盛り上がるってもんよ!」
宇月はこれまた豪快に笑い、両隣の一夏と礼の肩を抱き寄せる。
「それもそうだな!」「大勢過ぎるのはどうかとおもうが…」
礼だけは少し気が進まないらしいが、彼以外は殆どが賛成意見。
「そうだそうだ!みんなさ用事が済んだら、おれの家に来いよ!メシを振舞ってやる!」
買い物カゴにある大量の食材を見せて、一夏達を誘う。
「それも良いですわね!」「でもこんなに来て、家は大丈夫なの?」
「平気だ!むしろ一人じゃ広すぎるくらいだぜ!」
後々の事が決まり、一旦各自で用事を済ませることになった。
まず一夏、箒、セシリア、鈴音、蘭。
彼等は何の脈絡もなかったので、宇月での食材を追加で買うことにした。
「この赤いもの…どう違うのです?」「それ、ケチャップとタバスコです…」
相変わらず、庶民的な調味料の区別もつかないセシリア。蘭がそっと指摘する。
「ねぇねぇ、一夏!二人で何作るか決めてよ!」「おい、何故、二人限定なんだ!?」
隣で言い争いをしている箒と鈴音。その横で食材を品定めしている一夏。
「何作るかな…?」
さらに、宇月、本音、簪、弾。
「う~ん、季節モノとしては冷やし中華を、だが一方で濃厚な味を好む高校男児としては、あっつあつのハンバーグが食べたいところだ。だが、コレは女性の反感を買う可能性がある。ならいっそ冷やし中華に、いやいや待て待て…」
「独り言…長いなコイツ」
品物を見ながらぶつぶつと一人で呟く宇月をみつつ、弾は一歩引いた目で見ていた。
「食べ物の執着は、結構すごい」「うん、うっちーは凄いんだよ~。みんなの5人分はぺロリだから!」
仕方ないとは言え、どうして食欲が旺盛なのかを知らない二人は、それを彼の執着と解釈していた。
そのころ、シャルロットと紫苑は、臨海学校の準備品を選びに行っていた。
「こうしてると…お母さんと買い物してたころの事を思い出すな…」
彼女の懐かしむ表情。亡き母との思い出と今を重ねている。
紫苑はその様子を見て、微笑みながら問う。
「シャルは本当にお母さんが好きだったんだね」
「うん。子供の頃、いろんな思い出をくれたんだ」
優しく褒めてくれたとき、悪い事をして叱られたとき、いろんなときに母は傍にいて、支えてくれた。それが今では懐かしい。
「紫苑はお母さんのこと、好きだった?」
共感を求めるためか、シャルが問うと、紫苑は急に表情を暗くした。
「…嫌いだよ」
「え…?」
落ち込んでいたり、自棄になっている雰囲気ではない。
明らかに、憎悪や怒りが込められていた。
「お母さんは大嫌いだ。僕を生かしたかもしれないけど、その所為で、僕の周りは崩壊した…」
そう言いながら、左拳を握り締める。
シャルロットはそれを見てギョッとした。
握った左拳に爪が食い込み、おびただしい血が溢れていたのだ。
「僕に与えた代わりに、いろんなものを奪った…」
「全部、お母さんの所為だっ!!!!!!!!」
「し、紫苑!?」
シャルロットが必死に方を持って揺すっていたところ、はっと我に返ったような表情になり、困った様子を見せる。
「…あっ!?ご、ごめんね、大きい声だして…」
「大丈夫だよ。それより、手当てしないと…」
近くのベンチに座らせ、薬局で買ってきた包帯を左手に巻く。
「ごめん、いきなり無駄になっちゃった…」
「怪我したときのためだから、無駄じゃないよ」
二人は顔を見合わせて、照れ笑いをした。
それをみているラウラ。
「礼っ!わたし達もいい雰囲気を作るぞ!」
「それって、言って作るものじゃないだろ?」
礼の突っ込みも見事にスルーされ、ラウラは彼の手を引っ張っていった。
「そうだ!礼、ご飯は作れるのか?」
「基本的にはインスタントで済ませている」
礼は料理の技術はあまりなく、すぐに作れるようなもので済ませていた。
「そんなことではダメだ!…と、シャルロットに聞いた」
「おまえの意見、ないな…」
何を隠そう、ラウラも軍で生きてきた身であり、常識的な生活とは少しズレている。それをシャルロット等に教えてもらって、自分で矯正しているのだ。
「わたしも軍で食事係を任されたことがあり、料理の腕には多少の自身がある。今日は宇月の家で、腕を振るって、礼にご飯を作る!」
「なんか…悪いな。そんなところまで面倒を見てもらって」
「心配するな。おまえはわたしの「最初の友達」なんだからな!」
振り返ったラウラの表情はとても明るかった。
それを見ていた礼は…。
「おかしい…最初はなんにも感じなかったのに…」
自分の感情に変化を感じ、胸に手を当ててつぶやく。
「何か言ったか?」
その呟やきをかすかに聞かれるが、そっぽを向いて適当にはぐらかす。
「いや、何も言ってない。早く決めよう。宇月達も待っているはずだ」
そう言って早々に買い物を済ませ、宇月達のもとへ急いだ。
続く…。
次回!
ここに…ゆりこや理雄がいたらな…
あれって…フォーゼ!?
やべっ、バレた!?
仮面ライダーが戦う意味って…!
まぁ、止まれないもんな
あの男は…
私の名は勇士だ。
第24話「過・去・回・想」
青春スイッチ・オン!
キャスト
城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ
織斑一夏
篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音
辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音
シャルロット・デュノア
白石紫苑
更織簪
クラリッサ・ハルフォーフ
五反田弾
五反田蘭
織斑千冬
山田真耶
如何でしたか?
今回は戦闘描写を抜きにしました。ただ…単調ですね…。
五反田兄妹は、次回に活躍する…かも…?
そして、次回登場する「勇士」という男。彼は物語でも結構重要なキャラです。一応、名前では登場しませんでしたが、あるキャラに関わりがあります。
名前で気付く人もいらっしゃるかもしれませんが(汗)。
次回は過去の登場キャラを少しだけ振り返ったり、弾達にフォーゼがバレたり…お楽しみに!
それでは…。