仮面ライダーフォーゼ~IS学園キターッ!~   作:龍騎鯖威武

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ISの底力!
第28話「福・音・暴・走」


 

 

臨海学校の2日目、早朝である。

箒は、ふと海岸に出ていた。理由は姉に呼び出されているため。

「箒ちゃ~ん!」

「この前は感謝します」

嬉しそうに飛びつく束を押さえ、固い口調で答える箒。

ふと、束が辺りを見渡すと、宇月達も少しはなれた場所にいた。千冬も混じっている。

「…お!いっくん、ちーちゃん!」

「お、お久しぶりです…」「人に飛びつく前に、自己紹介でもしろ」

「めんどくさいなぁ…。はい、私が篠ノ之束です、おわり!」

その言葉を聞いて、面識のある一夏、箒、千冬以外の一同は驚く。

「あの…篠ノ之束!?」

「この人が箒のお姉さんか…」

自身ありげに胸を張っていた束が、ふと宇月を見た途端…。

「あれ…君って、みさ姐の子供の…宇月君?」

「みさ姐…?」

首をかしげている宇月に、千冬が説明をする。

「お前の母、城茂美咲のことだ。彼女には、私も束も世話になったからな」

城茂美咲は行方不明になる以前、束と一緒にISの研究を進めていた。更に千冬と、今は亡きある女性に続いて、世界で3番目のIS使いとなったのだ。

白騎士事件の時も、千冬や夫の城茂吾朗と共に戦った者である。

「それなら…そうっすけど…」

その言葉を聞いた途端、嬉しそうに宇月に飛びついた。

「うお!?」

「わぁ、そうなんだぁ!よぉく見ると、少し似てる~!」

バシィン!

「わたしの友達に気安く触らないで下さい。殴りますよ」

「うぅ…箒ちゃん、殴ってから言わないで…」

箒の竹刀の一撃によって、宇月は解放された。

「それより箒ちゃん、みんなに見せてあげなよ!」

「…はい」

束が促し、箒はISの紅椿を装着した。

「これ…!?」

「第4世代のIS「紅椿」。わたしが箒ちゃんのために作ったお手製だよ」

彼女のさらりとした発言にセシリアは驚く。

「第4世代!?…第3世代のISさえ、やっと世界に浸透し始めた頃といいますのに…!」

「まぁ、わたし天才だから!」

随分と簡単な言葉で返す束。そして、思い出したように伝える。

「そうそう。これ、対ゾディアーツも想定してるから、ISの中で唯一、負のコズミックエナジーを浄化できるよ。ホロスコープスだってね」

「何だと!?」「マジすか!?」

宇月と礼は驚いて飛びつく。そうなれば、彼女はフォーゼとメテオに続いて、仮面ライダー部の主要戦力になる。

「いっ君との連携次第では、フォーゼのコズミックステイツにも劣らないよ」

「コズミックステイツと同等…!?」

つい先日、ようやくコズミックステイツに到達したというのに、彼女はそれを簡単に追いつけるモノを作り上げたのだ。

箒もそのことに関しては想像をはるかに超えていたらしく、自身の紅椿をまとった手を見つめて驚く。

いつの間にか、横でケータイを耳に当て、誰かと通話をしていた千冬が彼等に告げ始めた。

「旅館に戻れ。起動試験中の無人ISが暴走を始めた。おまえ達には作戦の実行者になってもらう」

「ISが暴走!?」

一同は詳細を千冬から聞き、束を残してすぐさま旅館へと戻った。

残された束は…。

「見てたんだね」

後ろを振り返って、小さく呟く。

 

「やはり気付いていたか」

 

その声と共に、ヴァルゴが現れた。

「茶番だな束。「銀色の福音」の暴走を企て、箒に華々しい初陣を用意したというわけか」

「…さぁ、何のことかな?」

全てを見透かしたように言い放ったヴァルゴに、束は両手を挙げて白々しく応える。

「妹を愛する気持ちは理解できるが、そのために彼等を巻き込むのは…」

「貴方だって、自分の目的のためにIS学園を攻撃してるじゃん」

「…IS学園の上空にしか「ザ・ホール」が存在しないんだ。止むを得ない」

双方がそれぞれの不平を言い合う。

「本当、何考えてるのか分からないよ。ISをダメにしたいなんて…」

 

「貴方は女性でしょ?」

 

ヴァルゴは空を見上げ、呟く。

「女尊男卑など興味がない。私はただ、この宇宙に広がる無限のコズミックエナジーで、人類を宇宙へと向かわせる。そのためにはISが邪魔なのだ」

そう言った後、ロディアを束に向ける。

「今ここで、君を消したほうが良いか?君はなかなか姿を見せない。ここで消せば新たなISのコアは作られず、今回のような自分勝手なISの暴走もさせない」

「わぁお、怖い…。首領のヴァルゴに目をつけられたんじゃ、外も満足に出歩けないよ。ま…大丈夫だよね?」

束はヴァルゴの脅迫ですら、おどけたように返す。どうやら、脅しは効かないようだ。そう分かってか、ヴァルゴはロディアを下ろす。

「覚えておいて欲しい。私は君の姿を見かけさえすれば、いつでも消せる。何だったらレオに頼む事もできる」

「それは無理でしょ?レオ君は人殺しが出来ないもの」

束は薄く笑い、姿を消した。

「まさか彼女、レオのスイッチャーにも気付いたか…?」

少しだけ不安な表情を浮かべ、ヴァルゴも姿を消した。

 

旅館では、千冬が指令役となり、今回のIS学園の生徒が担う任務についての説明を仮面ライダー部のメンバーに伝えている。

「暴走しているISを、以降は「銀の福音」と呼ぶことにする。作戦の主な実行を担うのは織斑と篠ノ之の二人に行なってもらう。ゾディアーツの襲撃も可能性として考慮されることから、オルコット、鳳、デュノア、ボーデヴィッヒ、白石には、織斑達のサポートに徹して欲しい」

「僕も行くんですか…」

千冬の指示に、紫苑は不安そうな表情をみせる。学園での実践訓練もまともに出来ないのに、今回のような本当の任務を負かされることに、大きな不安を感じているのだ。

「大丈夫だよ紫苑。ダスタードの襲撃でも、頑張ってたでしょ?」

「そう…だね。…やってみるよ」

シャルロットに励まされ、ようやく勇気が出たようだ。

ただ、この作戦内容に異議を唱えるものがいた。

「ちょっと待ってください、おれ達の出番は?」

「メテオもフォーゼも、この任務で幾分かの役割は担えると思いますが…?」

宇月と礼である。

二人は、仮面ライダーとして学園を何度も守ってきた。その戦いぶりは千冬も理解している。

しかし、山田が代わって説明を始める。

「今回はIS学園が任された任務で、正式に学園に属していない「仮面ライダー」を任務のメンバーにする事は出来ないんです。二人は布仏さんと一緒に待機してもらいます」

「そういう事だ」

確かに、仮面ライダーは千冬や山田に詳細を知られているとは言え、基本的にはIS学園の目を掻い潜って活動をしている。そんな存在が一緒に学園の任務を遂行するものなら、フォーゼとメテオの存在が戦いにくい状態に追い込まれるであろう。

「…止むを得ないか」「みんな、ごめん!今回はお預けだ…。おれ達の分まで頼むぜ!」

納得した宇月と礼は、しぶしぶ戦いへの不参加の意思を示した。

これも、ゾディアーツの対策のためである。

「大丈夫だよ、3人で見守ろ~」「あのな…くっつくな、本音」

本音が腕に抱きついたため、礼は少し困ったような表情で引き剥がそうとする。

その理由は…。

「むぅ…」

ラウラだ。先ほどから彼女が嫉妬を向けた眼差しで見ているからだ。

その眼差しは心地よくないため、それから逃れようとしているのである。

千冬は腕を組んだまま、宣言した。

「作戦実行の時間は正午、それまでは待機だ。各自、準備を整え、万全の状態で望めるようにしておけ。以上だ!」

 

旅館の個室で…。

箒は自身のIS「紅椿」を見ている。

「本当に、受け取って良かったのだろうか…?」

関係に大きな溝のある自身の姉。彼女は自ら与えてくれたとは言え、今の家族を離れ離れにした元凶である束の力を借りるのは、やはり気が引ける。

「ただ…これを使えば、宇月や礼と共に戦うことも出来る。コズミックステイツとほぼ同等の力を持つのならば、その力で今回の任務も完遂できるし、あのレオやヴァルゴにも肉薄できるかもしれない」

そう、この紅椿はとんでもない力を有している。あれだけ苦戦を強いられたレオに、コズミックステイツでダメージを与える事が出来たという事は、そのレオにも対抗できる力を秘めているのだ。

ただ、レオが全ての力を出し切ったわけではないので、確証はないのだが…。

不意に、扉をノックする音が聞こえる。

「箒、いるか?」

「い、一夏…!?」

声の主は一夏だった。少し焦るが、いつもの調子を何とか取り戻し…。

「大丈夫だ、入れ」

落ち着いた声で返事をした。

扉が開かれ、一夏が入ってくる。いつもより凛々しいような表情を浮かべる彼に少し心拍数を早める。

「箒。初めての実践がこんな任務だけど、大丈夫か?」

「も、問題はない。至って平気だ」

平静を装って取り繕うが、一夏にはすぐに見抜かれた。

「声、震えてるぜ?落ち着いていこう、みんなもいるから。頼りないかもしれないけど、おれだっている。箒の事は絶対に守るから」

「あ、あぁ…そうだな」

緊張しているが、穏やかな笑みを浮かべて返す。今の箒に出来る精一杯のことだった。

「…なぁ箒」

「なんだ?」

「やっぱり、束さんとはちゃんと話し合わないのか…?」

やはり、このことも気にかけられていた。先ほどの会話では、たしかに姉妹らしきものを感じられなかった。自分でも自覚していたし、敢えてそうしていたのだが、どうしても一夏を心配させてしまう結果となった。

だが…。

「まだ…あの人と話し合う勇気はない。でもいつか…いつかは、ちゃんと話し合いたいと思ってる」

「そっか…。誰にでも言えるようなことだけど、おれに出来る事があれば、なんでも言ってくれよな」

「ありがとう一夏。わたしも出来る限り、頑張って見せる」

一つの戦いの前に、二人は改めて心の安定を高めた。

 

11時55分。

作戦実行の時間がせまりつつある。

通信機の無効では、画面いっぱいの宇月が見える。

『おい、みんな!絶対に勝てよ!仮面ライダー部の意地…!』

スパァン!

『ぶっ!?』

小気味良い音が響き、宇月の顔がカメラに押し付けられたかと思うと、それを引き剥がされ、千冬が顔を見せた。

『しつこいだろうが、今回の任務は訓練などではない。下手な戦い方をすれば、身の安全も保障は出来ないかもしれない。そのことをしっかりと覚えておいて欲しい』

その言葉に、全員が強く頷いた。

「いくぞ、みんな」

一夏の一言で、一斉に動き始めた。

 

動き始めて暫くしないうちに、銀色の福音が見えてきた。

「目標、発見。これより作戦を実行す…」

ラウラが言いかけたとき、銀色の福音を見て口が自然と止まった。

「おいラウラ、どうしたん…!?」

その姿が気になって尋ねた一夏も、銀の福音をみて絶句した。

銀の福音は無人機ではなかった。

 

搭乗者として、ヴァルゴ・ゾディアーツがいたのだ。

 

正確に言えば、暴走している銀の福音をヴァルゴが無理矢理中心部を占拠して、乗り込んだのだ。

以前、スコーピオンがゴーレムにしたことと似たような事例である。

「ヴァルゴ・ゾディアーツ…!?」

「追いついたようだね。予定よりは遅かったか…」

独り言のように呟き、ヴァルゴはロディアを一同に向ける。

「このISはまだ利用価値があるのでね。君達に破壊させるわけには行かない」

ドォッ!!!!!

ロディアから赤いエネルギー波が発射され、一夏に向かっていく。

「みんな、避けろっ!」

言うが早いか、一気に蜘蛛の巣を散らすように全員が離れた。

「…君は邪魔だ」

ドオッ!!!!!

「ひぃっ!?」

ヴァルゴの最初の標的は紫苑のようだ。必死に霧裂で避けるが紙一重だ。

「無理だっ!あんなの倒せるわけがないっ!」

自身の力でどうしようもない事を悟り攻撃には移らず、ひたすら逃げ続ける。

「助けてええええええええええぇっ!」

「紫苑っ!」「世話の焼けるやつだ…!」

シャルロットとラウラが彼を助けに行こうとする。

そのとき…。

 

「絆を大切にする君達なら、そうすると思ったよ」

 

突如、ヴァルゴは紫苑から狙いを外し、助けに来た二人を標的にした。

「え…うそ!?」「まさか、最初からこれを!?」

そう、紫苑はこのメンバーでも最低の能力である。

そんな者よりも、より強い力を持っている代表候補生を先に狙ったのだ。

つまりこれはヴァルゴの考えた、彼等の絆を利用した囮作戦だったのだ。

ドオオオオオオオオオオオォッ!!!!!

今度は福音で攻撃を仕掛けるようだ。

だが、今度は…。

「シャルっ!ボーデヴィッヒさんっ!」

逆に紫苑が彼女達を突き飛ばして、自らを犠牲にした。

「しお…っ!」

ドガアアアアアアアアアアアァッ!!!!!

福音の放つ爆発に巻き込まれ、姿が見えなくなった紫苑。

煙が晴れたとき、シャルロットの目には、彼が意識を失って海へ落下していく姿が映し出された。

「紫苑っ!しおおおおおおおんっ!」

「よせ!今、彼を追えばヴァルゴの餌食だぞ!ISが装備されているから、紫苑は平気だ!」

シャルロットは紫苑を助けに向かおうとするが、箒に止められる。

「このやろおおおおおおおおおぉっ!」

一夏は紫苑を傷つけたヴァルゴに怒りを感じ、雪片弐型を構えて一気に距離を詰める。

「…これが初のISの改造品か」

ガキィッ!

一気に振り下ろすも、ヴァルゴはロディアで簡単に防ぎきる。

ドッ!!!!!

「うああぁっ!?」

突如、なにか壁に押されるような感覚を感じ、一夏はヴァルゴから強制的に距離を置かされた。

これがヴァルゴの能力、空間を自在に操る力なのだ。

ロディアを一振りすれば、空間内に存在する物質を一気に圧縮したりして、何者も通さない鉄壁の防御が作り出せるのだ。

「そろそろ頃合いだな。…来い、レオ!」

 

「ウオオオオオオオオオオォッ!!!!!」

 

ヴァルゴの声と共に闇が出現し、その中からレオが現れて鈴音に飛びついた。

「なっ…やめてよ!?」

振りほどこうとしたが、レオの力は強い。全く意味を成さなかった。

「鈴さんから離れなさいっ!」「やめろぉっ!」

セシリアと箒が、鈴音を救うべく攻撃を放つが…。

「グオオオオオオォッ!!!!!」

ドガアアアアアァッ!!!!!

「きゃあああああああぁっ!」「くぅっ…!?」

セシリアは簡単に吹き飛ばされてしまい、箒もセシリアほどではないが大きくダメージを受けた。

「このIS…貰う!」

そういうと、レオは鈴音の持つ甲龍のコアが存在していると思われる部位に手を当て…。

 

ISを解除させた。

 

「鈴っ!」

「な…なんで…!?」

滞空する手段を失ったが、かろうじて一夏が彼女を抱きかかえたため、落下は防げた。

一方の鈴音はレオの行動が理解できずにいた。それはヴァルゴ以外の全員に言えたことなのだが。

「オレは特異体質。他のホロスコープスに変身することが出来る…」

 

「さらに他者の専用機ISを同調させる事も可能だ!!!!!」

 

そう言って待機状態のISを展開し、鈴音とは違うような姿の甲龍を装備した。

「ライオン怪人が…あたしのISを…!?」

「ウオオオオオオォッ!!!!!」

ドガアアアアアァッ!!!

龍砲を放ち、一夏達を攻撃する。

一瞬の出来事と、驚いていた状態が重なり、攻撃を避けることが出来なかった。

「うああああああああぁっ!?」

鈴音も巻き込み、一夏も龍砲の餌食となった。

 

「きさまああああああああああああぁっ!」

激情したラウラがレオに攻撃を仕掛ける。

だが…。

「ジェミニの残りカス如きで…!!!!!」

甲龍を捨てることで攻撃を避け、ラウラにツメで反撃をする。

だが、彼女のISにはAICがあり、防御に関してはかなりのモノがある。

にも関わらず…。

ビギィッ!!!!

「そんな…AICが!?」

なんと、AICの防御壁が一瞬で砕かれてしまった。

「無駄だァッ!!!!」

ガッ!!!!

「うぐっ…!」

首を握られ、呼吸が出来なくなった。必死にもがくラウラ。

「ヌゥゥ…!!!」

レオはラウラの意識が飛ぶまで、手に込める力を緩めない。

「かはっ…」

酸欠によって意識を失いかけた瞬間、シュヴァルツェア・レーゲンを強制解除し、彼女を投げ捨てた。

「ラウラ!」

ラウラはシャルロットによって抱きかかえられる。

「けほっ…!すまないシャルロット…!」

「意識は戻ったんだね…よかった…!」

どうやら、死ぬほどのものではなかったようだ。

「少しは、女の子相手に手加減したらどうですの!?」

セシリアが怒鳴るが、レオはそれを鼻で笑う。

「勘違いするな。今、手加減してるんだよ。オレが本気になれば、オマエ達など一瞬で消せる」

 

待機しろといわれ、通信でこの状況を見ていた宇月と礼は…。

「やっぱ見てられねぇ!」「このままでは…!」

「うっちー、つっちー!?」

立ち上がり、彼等の元へと向かおうとしたが…。

スパァンッ!

「いでっ!?」「ぬあっ!?」

「待機と言ったはずだ」

やはり千冬に防がれてしまった。

だが、二人もそんなことでは引き下がれない。

「状況は理解できるでしょう!」「相手はホロスコープス最強の、レオとヴァルゴですよ!?」

「おい、待たんか!」

千冬の制止も聞かずに、二人はフォーゼドライバーとメテオドライバーを装着する。

<METEOR-STORM><METEOR-ON READY?>

「本音、待機役は任せた!」

<3>

「…わかった、行ってきて!」

<2>

「待てと言って…!」「織斑先生っ!」

<1>

「「変身っ!」」

礼は青と黄色の発光体となり、宇月はフォーゼBSになって…。

<COSMIC-ON><LIMIT-BREAKE>

コズミックステイツのワープドライブで彼等の元へ急いだ。

 

レオはシュヴァルツェア・レーゲンを装着し、一夏達に迫る。

背後ではヴァルゴがそれを見つめている。

絶体絶命のピンチだ。

そこに青白い空間が現れ…。

 

「させるかあああああああああああぁっ!!!!!」

「アチャアアアアアアアァッ!!!!!」

 

メテオSとフォーゼCSが飛び出してきた。彼等の背中には空中推進用の装置が備えられてあり、空中での戦いにも対応しているのだ。

どちらもこのステイツにのみ備えられた能力である。

バリズンソードを開き、レオに斬りかかるが…。

キィンッ!!!!

「これって…ラウラのAIC!?」

シュヴァルツェア・レーゲンの作り出すAICに阻まれる。

「オレが使用したISは、元の使い手よりも強力なものに変化しているんだよ!!!!!」

ドォッ!!!

「うわっ!?」

至近距離からの攻撃だったが、フォーゼCSはとっさにコズミックエナジーで生成した結界を張り、攻撃を防ぎきった。

「ならば、これはどうだ?」

ワイヤーブレードが現れ、フォーゼCSを拘束する。

「こんなもので…!」

<ELEKI-ON>

「おりゃぁっ!!!!!」

バリイィッ!!!

エレキの力を体にめぐらせ、ワイヤーブレードを通して電撃をレオに送ろうとする。

「フンッ!」

しかし、シュヴァルツェア・レーゲンを解除することで逃れる。

ISを装備しなくなったことで空中に滞空できる手段を失ったレオだが、常時的にヴァルゴがレオの足元の空気を圧縮する事により、空中での戦いを実現させている。

それぞれ、甲龍とシュヴァルツェア・レーゲンが戻ってきたため、鈴印とラウラは再び装備して戦線にたとうとするが…。

「わたしがやる!」

「箒!?」

箒がフォーゼCS達を押しのけ、レオに攻撃を仕掛けた。

続いて、彼女の身を案じた一夏も向かう。

「レオ、ヴァルゴ!これ以上、おまえ達の好き勝手にはさせない!」

「ISを貰った分際で良い気になるなよ!?」

レオは箒の攻撃を防ごうと、ツメを前に構えるが…。

「はあああああああああああああぁっ!!」

ガッ…!!!

「ヌゥ…!?」

紅椿の刀状の武器、雨月と空裂の2つを防いだ瞬間、痛みはなかったが何か不思議な感覚を感じた。

「どうした、レオ?」

「このIS…常時、武器に負のコズミックエナジーを消滅させる力があります…」

レオの体からは無尽蔵に負のコズミックエナジーが作り出されるため、脅威ではないが…。

「このIS…早々に破壊する。ウオオオオオオオオォッ!!!!!」

「くっ…!?」

ゴオオオオオオオオオォッ!

至近距離からの咆哮を受けるが、箒はすぐさま距離を置いた。

その速度は今までのISの中で比類なき速さだった。

「速い…!」

そのまま、展開装甲を発動する。離れたそれはエネルギーソードやスラスターとなり、レオだけでなく、ヴァルゴまでも攻撃する。

ドガアアアアアアアァッ!

それぞれ、さほどのダメージにはならなかったが、確実に彼等を驚愕させる能力だった。

「小賢しいマネを…!」

「篠ノ之束め…これほどのISを創り上げるとは…!」

「今ならいける!一夏、宇月、礼!トドメだ!」

箒の言葉で3人は頷き、空中に高く飛ぶ。

メテオSはメテオストームスイッチを一旦外し、メテオスイッチをセットする。

<METEOR-ON READY?>

「零落白夜、発動!」

一夏は零落白夜を発動し、同時攻撃に備える。

「離脱・セット!」

<LIMIT-BREAKE>

フォーゼCSはバリズンソードにコズミックスイッチを抜き差しして、身体中を青白く光らせる。

箒も彼等と共に、大きな一撃を放とうとする。

「オオオオオオオォ…!!!!!」

「ライダァァァァァァァァ…」

「これで…!」

 

「まてっ!」

 

突如、一夏が制止を指示した。

「何やってるんだよ!?」「そうだ、今なら…!」

「アレを見ろよ!」

フォーゼCSや箒の批難を押しのけ、彼が指差す先には…。

 

避難指示が出ているにも関わらず船が一隻、波に揺られていた。

 

「避難勧告は出ている…これは密漁船!?」

箒と一夏のISにはそう表示された。

「この非常時に…!」

メテオSが躊躇するのもそのはず、もしこの攻撃がヴァルゴとレオに直撃しなければ、その攻撃は間違いなく船に当たり、船員は一人残らず、生きて帰れないだろう。

だが…。

「…やるぞ、みんな」

箒は攻撃をとめようとはしなかった。

「箒!?」

「このチャンスを逃せば、レオとヴァルゴは倒せないかもしれない!それに、あの船の人は犯罪者だ。構うものか」

「箒、何言って!?」

一夏が反論しようとするが、箒は睨むことで怯ませた。

「奴らを野放しにすれば、またゾディアーツやホロスコープスが生まれる!ここで倒せば、犠牲となる者達もいないんだぞ。あんな犯罪者のために…」

「箒っ!!!!!」

今まで聞いた事のないような努声で一夏は箒を戒めた。

しかし、顔を上げたときの表情は悲しそうだった。

「…そんな悲しいこと言うなよ。そんな…悲しいこと…」

「い、一夏…?」

その表情に、箒も一瞬の迷いが生じた。

 

「話は終わりか?」

 

ふと気が付くと、レオが箒の至近距離にいた。

「ウオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!」

咆哮を放ち、箒を窮地に追いやろうとするが…。

「箒、危ないっ!」「一夏!?」

ドガアアアアアアアアアアアァッ!!!!!

一夏が庇い、彼がその咆哮の餌食となった。

「うわああああああああぁっ!?」「ぐあああああああああぁっ!」「くううぅっ…!」

凄まじい爆発が起こり、フォーゼCS、メテオS、箒の3人はかなりと置くまで吹き飛ばされてしまう。

煙が晴れたとき、一夏は意識を失い、ISも解除されてしまった。

「一夏っ!一夏っ!」

とっさに箒が彼を抱きとめるが、ゆすっても意識は回復しない。

メテオSはそれを見て、完全に怒りに支配された。

「きさまらあああああああああああああああああああああああああああああぁっ!!!!!」

発動しかけていたリミットブレイクを再発動し、単身でレオに襲い掛かった。

ストームで強化した、メテオストームストライクである。

だが…。

「ムンッ!!!」

ガギィッ!

「グワアアアアアアアアアアァッ!!!!!」

「うああああああああああああああああああああああぁっ!!!!」

それを防がれ、逆に咆哮を浴びせられたメテオS。

意識を失うまでは行かなかったが、大ダメージを負って今にも倒れそうであった。

「もう良い。行くぞ、レオ」

「はい」

ヴァルゴの指示を受け、自身とレオは銀の福音もろとも、姿を消した。

 

数時間後…。

ISのシールドエネルギーでかろうじて助かった紫苑が海上で発見された。

意識はあるものの、怪我は重体である。

一夏は更に酷かった。何しろ、至近距離でレオの咆哮を受けたのだ。零落白夜で消耗したシールドエネルギーは0になり、生身でその攻撃を受けたのだ。

彼は救出されてからずっと、意識がない。

「あ…あぁ…」

その惨状をみた箒は、座り込んで肩を震わせていた。

 

何処かの場所。

ヴァルゴとレオは、銀の福音を見つめていた。

今はヴァルゴのコズミックエナジーで強制的に停止させている。

「このISに何が?」

「おそらく篠ノ之束が暴走させている。彼女が使うくらいのISだ、相当強力だったよ」

銀の福音を撫でながらヴァルゴは呟いている。

「それで、これからは?」

「彼等の傷が癒え次第、もう一度、戦わせる。今度は自動操縦でな」

レオは彼女の言葉の真の意味を理解した。

「…ISを進化させるつもりですか?」

「もちろん、今の状態ではダメだ。今以上の力をISが手にしなければ…」

ヴァルゴはスイッチを押し、人間の姿に戻った。

 

後姿は腰までの長い髪をした細身の女性。

 

ヴァルゴであった女性は、踵を返して歩き去った。

残されたレオは、ふと今の時間を思い出した。

「…戻らなければな」

そう言って、スイッチを押しながら闇の中に消えた。

 

その夜。

旅館の一室に宇月達は集められた。

全員が怪我を負っていたため、身体中に絆創膏や包帯がある。

目の前には、意識不明の一夏と、包帯だらけの紫苑がいた。

「紫苑…!」

シャルロットは紫苑を抱きしめた。

「しゃ…シャル…痛い…!」

「ごめんね…ボクを庇った所為で…。守ってくれたのに、無事に帰って来れなかった…」

結果的に、ヴァルゴとレオに惨敗したのだ。

「し、仕方ないよ…。相手がヴァルゴ・ゾディアーツとレオ・ゾディアーツじゃ…。それより、織斑君が…」

紫苑の目線には、一夏がいる。

まるで眠っているように…。

「…っ!!!」

「あ、おい箒!?」

宇月が呼び止めるも、箒はそれを無視して部屋を出て行った。

「しかたないな…」

鈴音が溜息をついて、後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

次回!

 

やっぱり、受け取るべきではなかった

 

                         自分勝手ね…!

 

またかよ!?

 

                         力を欲しますか?

 

あれが…白式の新しい形態!?

 

                         IS側は準備完了だ

 

 

 

 

 

第29話「不・屈・之・魂」

 

 

青春スイッチ・オン!

 

 






キャスト

城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ

織斑一夏

篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音

辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音

シャルロット・デュノア
白石紫苑

織斑千冬
山田真耶
篠ノ之束

???=レオ・ゾディアーツ

???=ヴァルゴ・ゾディアーツ


今回、少しだけヴァルゴの正体に近付きました。スイッチャーは女性です。まだ、コレだけですが…。
さらに銀の福音にも、オリジナル要素を入れました。
ヴァルゴはスコーピオンのように無理矢理破壊してというわけではなく、無傷で乗っ取ったということです。これ、結構重要です。
ただ、紅椿にはオリジナル要素が加わっています。現時点ではISで唯一、ホロスコープスに単体で対抗できます。
さて、強さ関係も分かったかもしれませんが、現時点では全力の仮面ライダー部とそこそこの力を見せた、レオとヴァルゴが互角です。つまりレオ達が本気を出せば、今の状態でも勝てないんです。
次回は銀の福音との決戦と、タウラスが少~しばかり登場します!
タウラス編では、紫苑が隠してたことや、他にもいろんな謎が結構解けると思います!
お楽しみに!
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