第32話「射・手・覚・醒」
深夜。
勇士と鈴音が集中治療室に運ばれたと言う事を知り、仮面ライダー部はそこに集まる。
医師が告げたのは…。
「白石さんは今後の治療で回復が見込めますが…。鳳さんはっきり言って、深刻な状況です。ただ…ここまでの怪我を負いつつも、この状態で済んでいるのが奇跡としか…」
どうやら、本来ならば即死だったらしい。なのに、なんとか一命を取り留めている。
再び、治療に戻る医師。
「…多分、レオの仕業だよな。鈴音はスイッチャーを見たのかもしれない」
一夏の言うとおり、鈴音はこの中でいち早く、ヴァルゴとレオのスイッチャーにたどり着いたのだ。
だが、それを知る彼女は意識不明。スイッチャーの紫苑もあれから姿を見せていない。
「紫苑…大丈夫かな…」
シャルロットは不安そうに呟く。
彼女は紫苑がレオと知らない。紫苑はレオやヴァルゴに襲われているかもしれないと考えているのだ。
ただ、あの言葉が引っかかっている。
~次に逢うときは…完全に「敵」だね~
笑顔で述べた言葉だが、紫苑は深い絶望を感じていた。
「ボクが…ちゃんと返事をしていれば…」
「どういうことだ?」
礼がその小さな呟きを聞いていた。
言い逃れは出来そうもないので、そのことを全員に洗いざらい白状した。
「紫苑さんがシャルロットさんを…」
「確かに、あいつはシャルロットと何かと一緒にいることが多かったし、そのことで様子がおかしくなる事もあったな」
セシリアと箒は、彼の行動を思い出す。
そのとき、鈴音の担当医と一緒にいた看護婦が彼等のもとに現れて…。
「あの…鳳さん、こんなモノを持っていたのですが…」
そう言って手に見せたモノは…。
「これは…ナゲスト?」
ナゲジャロイカの端末、ツナゲットだった。
これはバガミールと連動して、映像を録画できる機能がある。
もしかすると、コレに何かが映っているかもしれない。
暫くして、ナゲストをラビットハッチのコンピューターにセットし、バガミールを介して映像化した。
そこに映っていたのは…。
激しく揺れる映像。どうやら鈴音は走っていたようだ。
声の上擦りや動きから、逃げているように感じられる。
そして…。
「鈴音さん。何をしてるの?」
目の前に紫苑が現れた。
「あ…あぁ…」
「とうとう見たんだね」
そういった紫苑は、今まで誰も見たことがないような無表情だった。
「あたしは…どうしても信じられない。紫苑が悪いやつには見えないの…。きっと…なにか理由があるんでしょ!?」
鈴音の叫びに顔を俯かせる紫苑。
「僕が悪い奴に見えないか…嬉しいよ…。でも…」
そして顔を上げるが…。
「勘違いするな」
やはり無表情だった。
彼はスイッチを押してレオに変化し、迫り来る。
「どうして…どうしてよぉっ!?」
画面一杯に振りかざされたツメ。
「ウオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!」
そこで映像は途切れた。
映像が途切れた瞬間、シャルロットは崩れ落ちた。
「嘘…紫苑が…レオ・ゾディアーツ…?」
誰も疑いもしていなかった。彼は人間の時とゾディアーツの時とまるで性格が違う。
理雄のような演技ではないように感じられる。
今でもセシリアや本音は、この映像が何かの改ざんではないのかと考えているくらいだ。
「そうか…あいつが…レオか…」
宇月は悲しそうに呟く。
彼の過去を知って、どうしても幸せになって欲しいと願っていた。
だが、その紫苑は倒さなければならない相手であり…そうでありながらも、未だ倒す事のできないほどの強敵であった。
礼は俯きながら、はっきりと言い切る。
「答えは一つ。あいつはホロスコープス最強のレオ。ならば、おれ達が力を合わせて倒すだけだ」
「…っ!」
確かに、彼を止めるにはそれくらいしかないだろう。
「幸い、今は宇月がコズミックステイツに到達している。箒の紅椿も一夏の白式との連携次第でコズミックとほぼ同等の力を出せると言う事は、上手くいけばコズミックが2体だ。他のIS全てとメテオストームで一斉に掛かれば、なんとか倒せるかもしれない」
今の彼に迷いはなかった。
だがそれは、仲間を守るためである。そのことに迷いがないだけの話だ。紫苑も仲間と思っていた。
しかし、彼はそう思っていなかった。ならば、敵として倒すしかない。
シャルロットが聞く。
「もし、紫苑を倒したら…紫苑は元通りになる?」
その質問に苦虫を潰すような表情で宇月が答える。
「…あいつは、ホロスコープスとして在り続けた時間が長すぎて、星の力に完全に飲まれてると思う。多分、倒しても…精神汚染の所為で、廃人になる」
その言葉で全員の表情が凍りついた。
つまりレオを倒しても、紫苑は元には戻らない。確証はないが、戻らない可能性が高い。
「…どうしようもないの?」
懇願するようなシャルロットの問いに…。
「…諦めてくれ」
宇月は先ほどと似た様子で頷いた。
「いやだよ…絶対にいやだ…!」
その言葉にシャルロットはどうしても拒絶する。
「みんなだって、知ってるでしょ!?紫苑は優しかった!身を挺してみんなを何度も守ってくれた!」
「それは分かってるけど…!」
「もしかしたら、ヴァルゴに操られてるのかもしれない!カプリコーンの力を、ヴァルゴが使う事だって有り得るよ!」
可能な限り思いつく可能性を、必死に述べるが…。
「いい加減にしろ!」
一夏が肩を掴んでやめさせた。
「一夏…!?」
「みんな、あいつを倒したくない!それにな…どう足掻いても、最後にトドメを刺すのはおまえじゃない…宇月なんだ!つらいのは、あいつなんだ!」
そう言って宇月を見た。彼もまた悲しそうに顔を俯いている。
確かに、レオの負のコズミックエナジーを浄化するのは彼にしかできない。箒の紅椿もコズミックと同等と言われているが、レオとの戦いで本領を発揮できるかどうかは分からない。確実にトドメをさせるのは、彼しかいないのだ。
「でも…!」
「あいつをレオのままにして良いのか?破壊活動を続ける怪物のまま、放っておいて良いのか!?」
その言葉でレオの行動を思い出す。
IS学園を襲撃し、コズミックに到達していなかったフォーゼや自分達をまるで赤ん坊を相手するかのように叩きのめした。そのとき、彼は笑っていた。
その笑っていたレオ・ゾディアーツは、間違いなく紫苑である。
「本当に、あいつを想うなら…止めるしかないんだ!どうなっても!」
一夏の言葉は正論なのだろう。
それでも…。
「…っ!」
シャルロットは彼を振り払い、走り去った。
彼女は一人で紫苑を探し続ける。どこかにいるはずだ。逢ったら、ちゃんと話したい。
きっと、分かり合える。自分でスイッチを捨ててくれるはず。あのときの彼が本物ならば…。
そう信じて…。
程なくして。紫苑は見つかった。
予想通り、母親の墓の前で立ち尽くしていた。
「紫苑!」「…シャル?」
振り返った紫苑の表情は、いつもと同じだった。
「ずっと…探していたの?」
「鈴が大怪我で一度、病院に戻ったけど…それ以外はずっと…」
鈴音が怪我をしたと言う言葉に、紫苑は全く表情を変えなかった。
「と言うことは、みんなにも知られたんだね。彼女、ツナゲットを隠し持ってたから…」
「気付いてたの?」
「うん。遅かれ早かれ、どうせ知られると思ってたし。理雄君と違って、ここまで隠せたのが幸運かな」
空を見上げ、そよ風を感じて、目を閉じる紫苑。
「ねぇ…紫苑。星の力に飲まれてなんか…ないよね?」
彼女の問いに…。
「…コレを見れば分かるよ」
紫苑はスイッチを押して、レオに変化した。
「グルゥゥゥゥ…!!!!!」
「紫苑…!?」
唸り声を上げ、彼女にゆっくりと近付いてくる。
「良く見ておけ。これがレオ・ゾディアーツだ。星の力は黄道十二星座の中でも高い部類だ」
声が変化している。先ほどの紫苑は年齢より少し幼げな少年らしい声に対して、レオは低い男の声だ。スコーピオンやリブラもそうだった。
これが、星の力に飲まれているということなのだろうか…。
「裾迫理雄や鳴滝は、星の力がまだ強くなかった。故にリミットブレイクを受けても、意識を保てていたが、オレは違う。万が一、オレがエナジーを浄化されようものならば…確実に元には戻れん。星の力に飲まれている」
レオの言葉で確定した。彼を倒しても元には戻らない。
彼が救われる道は…ない。
「スイッチを捨てても…だめなの?」
「捨てる気はない。これだけが、今のオレの存在意義だ」
踵を返し、レオは歩き去っていった。
「紫苑…」
「彼は特殊だ」
ふと、ヴァルゴが現れた。
「ヴァ…ヴァルゴ…!?」
「2人だけで話すのは、初めてだね。さて話に戻るが、レオは特殊な存在だ」
「特殊…?」
シャルロットは、ヴァルゴの言葉に疑問を抱く。
たしかにレオは今までのホロスコープスの中でも、最も強いと言っても良いだろう。
だが、彼女の特殊と言う言葉の意味は、どこか違うように感じる。
「彼の中には二つの人格が共生している。白石紫苑君としての人格と、獅子座の星の意思。今までのスイッチャーは、星の意思に飲まれるか、星の意思が存在しないか、星の意思に打ち勝ったかの3種類だ」
ヴァルゴの言う、星の意思に飲まれたのは、ジェミニのラウラ、ピスケスの夏樹、タウラスの勇士。
星の意思が存在しないのは、アリエスの礼、カプリコーンの八木、キャンサーの弐式、アクエリアスの満子。
星の意思に打ち勝ったのは、リブラの鳴滝、スコーピオンの理雄、ヴァルゴの美咲。
そして唯一の例外である、レオこと紫苑。
「彼は、星の力と意思に飲まれながらも、自分の人格を確立できている。…星と共存しているとも言えるな」
「星と…共存…?」
「ある意味…あそこまで星の意志が強い獅子座と共存している辺り、彼は最も意思が強いのかもしれない」
ロディアを地面に叩きつけ、シャルロットを見据える。
「この言葉の意味が…分かるか?」
そういい残して、ヴァルゴは姿を消した。
後に、レオとヴァルゴは合流した。
「ヴァルゴ様…射手座の運命を持つ者は、貴方も知っての通り…」
「あぁ、闇を全く持っていない。彼が闇を抱えなければ、サジタリウスに覚醒する事はないだろう」
2人の知る、射手座の運命を持つ者は、ゾディアーツになるのに最も相応しくない人間らしい。
「オレ自身では彼を力で追い詰める以外、どうにもなりません。残された手段は…」
「…私が動くしかないと言う事か」
ヴァルゴはスイッチを切り、美咲の姿へと戻った。
ラビットハッチでシャルロット以外のメンバーが集まった。
「本当に…白石君と戦わなければいけないんですね…」
山田もまた、彼と戦うことに迷いがあった。仮にも紫苑はIS学園の生徒であり、仮面ライダー部の仮入部員であった。
そして何より、それを果たす者は同じIS学園の生徒だ。
教師として、当然の迷いである。
そこに、千冬もやってきた。今回はいつもとは違い、やけに焦っている様子で。
「城茂!いるか!?」
「は、はい」
戸惑いつつも、彼女の言葉に返事をした宇月。
そこから発せられた言葉は…。
「城茂美咲さん…お前の母が見つかったぞ!」
「母さん…!?」
千冬から知らされたことに飛び上がり、ラビットハッチをいち早く抜けて駆け出した。
母が見つかった。
生きていたのだ。
母に会いたい一心で、学園の外まで駆け抜けていく宇月。
校門のすぐ外に…。
「逢いたかったよ、宇月」
母はいた。少しずつ彼女に近付いていく宇月。
彼の背後から、一夏達も後を追って現れた。
「母さん…!」
「お父さんの使ってたフォーゼを改造して、戦っていると聞いてる。見ないうちに、立派になったね」
美咲は宇月の頬を優しく撫でる。母のぬくもりを久しぶりに感じた。
「でも、母さん…。おれが戦えているのは、みんなのおかげでもあるんだ。ここにいる、仮面ライダー部のみんなが、おれを支えてくれた」
宇月の振り返った先にいる一夏達を見て、優しく微笑みながら会釈する。
「そう…息子が、本当にお世話になって…」
「しかし…貴女は何故、今まで姿をくらましていたのですか?」
千冬の疑問に美咲は俯く。
「…城茂吾朗の妻として、ゾディアーツに狙われていた。だから、行方をくらますしか無かった」
確かにフォーゼ等、コズミックエナジーを研究し、ゾディアーツの対抗策を造っていた者の妻なら、狙われかねない。
彼女がゾディアーツでない限り。
再び、ラビットハッチに美咲を連れて戻ってきた。丁度、そのときにシャルロットも帰ってきたため、全員で話をする事になる。
「これから、母さんはどうするんだよ?」
「私は、あなたを支える。ISを使いたいところだけど、パワーダイザーに改造するしかなかったからね…。今は戦力にはなれない」
そう言いながら、パソコンのコンソールを指で叩き続ける。
映像にある「地球儀を模した形のスイッチ」を見て、本音が尋ねた。
「うっちーのお母さん、何をしてるの?」
「これはね…ISとコズミックエナジーを同調できるアストロスイッチを作ってるの。まだ、始めたばかりで素体しか出来上がっていないけれどね」
彼女はコズミックエナジーと同時に、ISも想定した開発をしていたのだ。以前、バガミールがセシリアのブルー・ティアーズを解析できたのはそれが理由である。
「これはステイツチェンジのスイッチ。おそらく宇月の感情が、最後の鍵になる」
さらに別のシステムを作っている。様々な機械が取り付けられ、その中心にスイッチをセットする窪みのようなものがある。
「そしてこれが、ゾディアーツになった者を癒すモノ。負のコズミックエナジーを、本来のコズミックエナジーに変換させる」
「それって…!」
彼女の言葉に喰い付いて来たのは、シャルロットだった。
「レオも…紫苑も助けられるんですか!?」
「完成すればの話だがね…。さらにレオは星の力が強い。この装置で癒せるかどうか…」
美咲であっても、不安要素が残る装置らしい。
「ヴァルゴはレオほど、星の力が強くない。彼女は癒せるだろうが…レオとなると…」
「まるで、ゾディアーツを助けようとしているように見えますね」
不意に千冬が話しかけた。
「織斑先生…?」
「不思議です。ゾディアーツ…ましてやホロスコープスが発生しているのに、姿を急に見せた。さらに今、ゾディアーツのデメリットを克服するモノを開発している」
「千冬…」
「貴方がヴァルゴだったんですね」
「な…!?」
一同は驚愕の目で美咲を見つめる。
当の本人は、パソコンから目を逸らさずに作業を続けている。
「レオとヴァルゴの星の力を見定めることなど、どんなにコズミックエナジーに精通していても出来ないはず。もし、ホロスコープスならば別ですが」
「私が動くしかないとはいえ、少々、早計過ぎたね」
そう言って立ち上がり、宇月達を見据える。
「母さん…?」
「ごめんなさい、宇月。貴方を支えると言うのは…ウソなの」
そう言って、取り出したのは…。
「な…!?」
ホロスコープススイッチ。
スイッチを押した途端、彼等は採石場のような場所へと移動させられていた。
「母さん!どこだ!?」
「私はここだ」
その声に振り返ると…。
ヴァルゴ・ゾディアーツが立ち尽くしていた。
「ヴァルゴ…!?」
「これで分かったか?ゾディアーツスイッチを渡していた元凶は…貴方の母である私」
宇月は膝をついた。
「宇月っ!」
一夏達が走り寄ってくるが…彼の表情は絶望で歪んでいた。
「そんな…母さんがヴァルゴ…!?」
「現実を受け止めろ」
そこへレオも現れた。
「オマエは周りでホロスコープスが生まれている。それを止める事は出来なかった。そして…最後の射手座の誕生も止める事は出来ない」
「貴様等…宇月の心を傷つけやがって…許さんっ!!!!」
礼は遂に我慢の限界に達した。
<METEOR-STORM><METEOR-READY?>
「変身!」
直接メテオSに変身し、メテオストームシャフトで襲い掛かる。
「まて、礼!」「一人で向かっても…!」
一夏と箒が止めるが、メテオSは収まらない。
「アタアアアアアアァッ!!!」
ガキィンッ!
攻撃はあっさりとレオに防がれる。
「ウオオオオオオオオオォッ!!!!!」
ドゴオオオオォッ!!!!!
「ぐああああああああああぁっ!」
咆哮で吹き飛ばされ、一夏達の下へ転がった。
「こんなモノなんだよ。オマエ達に万が一にも、勝ち目はない!!!」
ドガッ!!!!!
「がっ…!?」
高速移動でメテオSに近付き、腹部を強く蹴飛ばされる。呼吸が止まり、意識が危うく飛びそうになった。
危機的状況にも拘らず、宇月はショックで呆然としている。
だが、一夏達は違う。礼の危機にISを纏って戦いの加勢をした。
しかしそれは…。
「無駄な事を…。今、楽にしてやる!!!」
彼の言うとおりだった。
「行くぞ、箒!」「はああああああああぁっ!」
一夏と箒が同時にレオに襲い掛かるが…。
「フォーゼやメテオ、ISが進化するように、ゾディアーツも進化する。オマエ達がオレに追いつくことは出来ぬ!!!」
そう叫び、2人を捕らえる。目にも止まらぬ速さだ。
ガッ!!!!
「うっ…!?」「あっ…!」
首をつかまれ、強い力で締め上げられる。
「一夏さん、箒さん!」「二人を放せ、紫苑!」
一夏達を救うべく、セシリアとラウラが追撃を仕掛けるも…。
「フンッ!!!」
ヴァルゴの放つ空間の圧縮によって、防がれる。
「グワアアアアァッ!!!!!」
ドガアアアアアアアアァッ!!!!!
「「うああああああああああぁっ!!!」」
レオが手の力を緩めて2人を開放した途端、ゼロ距離から咆哮を放ち、一夏と箒はISを解除され地面に倒れた。
「紫苑っ…!」
箒が彼の名を呼ぶ。だが…。
「オレが紫苑…?違う、オレは悪魔だ!ハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
彼はもう、人間の名を捨てたのかもしれない。自身を悪魔と自称し、嗤った。
ずっと立ち尽くしていたシャルロットが、彼に歩み寄った。
「デュっちー?」「デュノア君…?」
本音と山田が声をかけるが、彼女は反応しない。
代わりにレオに声をかけた。
「もう、元の紫苑には戻れないんだね。もう…紫苑じゃ…なくなったんだね」
「元など存在しない。これこそが、本当のオレなのだ」
彼女は涙を流して俯く。
そして…。
「ボクが…ボクが君を…レオ・ゾディアーツを倒す!!!」
ISを纏って、強く宣言した。
「笑わせるな…!IS一機如きで、このオレに敵うとでも思っているのか!?」
嘲笑し、レオは動き始めた。
速い。
シャルロットはその動きに全く反応できずに攻撃を受け入れてしまう。
ドガアアァッ!!!!!
「うああああぁっ!!!」
その衝撃に吹き飛ばされる。
「…っく!」
しかし、身体中の苦痛にも耐えて立ち上がる。
「よせ、シャルロット…!死ぬぞ…!」
倒れ伏したメテオSが必死に手を伸ばすが、それは届かない。
「…ぅああああああああああああああああああああああああああぁっ!!!!!」
ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの全ての力を引き出して、レオに攻撃を仕掛ける。
だが、全く効いていない。
「ウオオオオオオオォッ!!!!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!
逆に咆哮で全てを弾き返され、再び吹き飛ばされてしまう。
「う…うぅ…」
「…何故そこまで抵抗する?無駄だと心の中では分かっているはずだろう…?」
レオが唐突にシャルロットに問う。
必死に立ち上がり、彼女は答えた。
「あ、諦めたくないから…」
その姿を見て、動きを止めたレオ。何かを思いとどまっているように感じた。
「レオ、もう良い。退こう」
「…はい」
ヴァルゴに声をかけられてレオは小さく頷き、共に姿を消した。
数日後。
鈴音は体に包帯を巻いている状態ながらも、なんとか退院することが出来た。
「とりあえず、致命傷にならなくてよかったな、鈴」
「うん、心配かけたわね」
申し訳なさそうに笑いながら一夏と会話をする。
そして…。
「結局…みんな、知っちゃったんだよね。レオとヴァルゴの正体…」
「シャルロットはなんとか頑張れてるが…宇月がな…」
宇月は実の母がホロスコープス…しかもその首領であったのだ。精神的ショックが大きすぎて、未だ立ち直れていない。
「計り知れるものではないな…親が黒幕という衝撃は…」
傍にいた箒も呟く。
「わたくし達が、立ち上がらなければいけませんわね」
セシリアが決意したように立ち上がって言った。
「だって…わたくし達だって、宇月さんや他の人に助けられてきました。だから、今回はわたくし達が立ち上がる番ですわ!」
「みんな、考えは同じって奴だよな」
一夏は彼女の言葉に頷く。箒もそうだった。
ラビットハッチ内で宇月は頭を抱えていた。
「おれが、やってきたことは…母さんと父さんが戻ってきたときのためだったのに…」
無駄に終わってしまったのかもしれない。
結局、ホロスコープスも11体覚醒しており、残りは一体だ。
本当に、このままではヴァルゴの…美咲の思惑通りになってしまう。
「宇月」
シャルロットが彼の隣の椅子に座る。
「これから、どうするの?」
「どうするって…それは…」
言葉に詰まってしまった。今までは、戦うと答えたはずなのに。
「やっぱり、迷っちゃうよね…仕方ないよ。相手は、宇月のお母さんだもん」
「そっちも随分、迷っただろ?紫苑が相手じゃあな…しかも2人はレオとヴァルゴ…」
「はぁ…バレちゃったか」
「隠してたのかよ?」
この2人が大切にしたいと思う人々が、ホロスコープスだったのだ。
「でもなぁ…すげぇよ、シャルロットは」
「どうして?」
宇月の言う凄いという意味が理解できずに聞いてみた。
「…レオ相手に「倒す」って宣言したんだぞ?フォーゼでもメテオでもないのに…」
「あれか…。でも内心、勝てる気はしなかったよ」
「勝ち目ないのに、あの言い切りは尊敬しちまうよ」
宇月は対照的な、あのときの自分を思い出し、溜息をつきながら感想を述べた。
暫く沈黙があり、シャルロットは立ち上がった。
「結局、どうするの?答えを聞いてないけど…」
「…おれは」
シャルロットの問いに、宇月はコズミックスイッチとフォーゼドライバーを見つめる。
その答えは…。
礼は一人、マシンメテオスターに跨ってエンジンを起動させようとした。
「まて、礼」
ラウラに声をかけられて振り返った。
「何処へ行くんだ?」
「おれが、レオとヴァルゴを倒す。勝ち目がないかもしれないが…このままじっとしているつもりもない」
ヘルメットを被り、強い意思を持ちながら言った。
レオとヴァルゴの居場所は、ナゲジャロイカのレーダーで判明済みだ。
ラウラは表情を硬くしながら、再び質問した。
「一人だけで行くと言うのか?」
「着いて行きたいとでも言うんだろう?…もう良い、止めたところで聞きそうにもないしな」
礼は呆れつつも、後ろのシートを手で叩く。
「乗れよ。ツーリングと言うやつだ」
「あぁ!」
ラウラは礼の言葉に喜んで頷いて後ろのシートに跨って、礼の体に手を回した。
そこへ…。
「結局、全員かよ」
他の仮面ライダー部の者達も現れた。宇月はマシンマッシグラーを押している。
「みんな、自分達がやらなきゃって考えてたらしいぞ」
一夏が優しい笑みを浮かべつつ、礼の肩に手を置く。
「母さんとのケリは、おれがつける。紫苑も止める。おれはゾディアーツを止めるために、何度も戦ってきたんだ。それは変えられない!」
フォーゼドライバーを装着し、マッシグラーに跨る。
「みんな~!」
そこへ、大きな足音と共にパワーダイザーも現れた。
「パワーダイザー…まさか、本音か!?」
そう、ここには本来の搭乗員である鈴音とラウラが両方いる。となると、彼女くらいしかいない。
「わたしも頑張るよ!」
「みんな本気だな。よし、頼むぜ!」
全員の準備が整ったとき…山田と千冬が歩いてくる。
「この戦いを最後の戦いにしましょう。わたしは何も出来ませんでしたけど…ここで待ってます」
彼等の勝利を祈る山田。しかし、自分の至らなさを痛感している。本来ならば一緒に戦いたい。
「何も出来てないわけないっすよ、山田先生。だって、学園で頑張ってくれたじゃないっすか。織斑先生から、先生が一緒にヴァルゴのスイッチャーを探したりしてたって」
「城茂君…」
「絶対、無事に帰ってきます!紫苑と母さんも連れ戻して、みんなで思いっきり文句言ってやりましょう!」
「…はい!」
山田は笑顔で頷いた。
続いて千冬は一夏と向かい合う。
「本当はこんな戦いをして欲しくはなかった。姉として…残された家族は、お前だけなのだから…」
「千冬姉…」
彼女の本心は、やはり心配なのだ。それは家族として、姉としての本当の気持ちである。
「だが…「獅子は千尋の谷に子を落とす」と言う。そうして大人になっていく。だから、見送ろう。姉としてな」
「心配してくれてありがとう、千冬姉。千冬姉はおれの自慢の姉だし、家族として本当に大好きだ。帰ってきたときは…笑って出迎えてくれ」
「あぁ」
これで、本当に準備は整った。
一夏は白式、箒は紅椿、セシリアはブルー・ティアーズ、鈴音は甲龍、シャルロットはラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ、ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンをそれぞれ装備する。
そして宇月と礼は、ドライバーのスイッチを起動させた。
<METEOR-READY?>
構える。
<3>
バイクのライトが強く輝く。
<2>
ハンドルを強く握り…
<1>
エンジンをふかした。
「変身っ!」
掛け声と共に、バイクは走り始め、2人をフォーゼBSとメテオに変身させた。
「行くぞ、仮面ライダー部!!!!!」
『おおおおおおぉっ!!!!!』
紫苑とヴァルゴは採石場で、空を見上げていた。
「来るよ、紫苑君」
「…」
ヴァルゴの言葉で、レオが振り返ると…。
「うおぉりゃあああああああぁっ!!!!!」
それぞれのバイクに乗ったフォーゼBSとメテオ、ISを纏った一夏達やパワーダイザーが向かってきていた。
それを見て、紫苑はスイッチを押してレオに変化した。
「クズ共が…性懲りもなく!!!!!」
怒りのままにクロークを脱ぎ捨てる。ヴァルゴは敢えて戦わず、戦いの傍観をするようだ。
レオの周りに凄まじい数のダスタードが生まれる。その中には、鬣のあるレオ・ダスタードもいた。
「ムゥゥゥゥゥッ…!」
「露払いは、わたくし達にお任せ下さい!」
セシリアの言葉で、箒、鈴音、ラウラ、パワーダイザーは、その群れに突撃していった。
「頼んだ!礼、一夏、シャルロット!レオを倒すぞ!」
<ROCKET-ON>
フォーゼBSはバイクから離れ、ロケットで突進していき、メテオも青い発光体となり、レオに向かって推進していく。
「ぬおりゃああああああああああああああああぁっ!!!」
「オオオオォ…アタアアアアアアアアアァッ!!」
「グルゥアアアアアアアアァッ!!!!!」
ドガアアアアアアアアアアァッ!!!!!
しかし、それをレオは難なく防ぎ、吹き飛ばした。
<DLILL-ON><METEOR-ON READY?>
<ROCKET-DLILL LIMIT BREAKE><METEOR-LIMIT BREAKE>
「ライダァァァァァァ…ロケットドリルキィィィィィィィィィック!!!!!」
「オオオオオオオオォ…ホワチャアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
フォーゼBSとメテオのリミットブレイクが同時にレオに激突した。
「ウオオオオオオオオオオオォッ!!!!!」
ゴオオオオオオオオォッ!!!!!
だが、それもレオには通じない。咆哮で逆襲する。
「くっそ!こいつで!」
<CHAINSAW-ON><HANMER-ON>
ロケットで推進しながら、ハンマートチェーンソーで畳み掛ける。
「うらあああああああぁっ!!」
ガギィッ!!ドガアアァッ!!!
「…効くと思っているのか!?」
ドガアアアァッ!!!!!
「どわあああああああぁっ!?」
それも全く効き目がなく、逆にレオのツメがフォーゼBSの胸に抉りこまれた。
「だったら!」
<ELEKI-ON><WINCH-ON><WHEEL-ON><STEALTH-ON>
「エレキステイツ!いくぞ、一夏、シャルロット!」
「おう!」「うん!」
ホイールでレオと距離を置いた上で、ウインチを使い拘束する。
ギリィッ!
「2人とも、今だ!」
「「はあああああああぁっ!!!」」
一夏は雪片弐型でレオの懐に入り込み、シャルロットはガルムを構える。
ドガアアアアァンッ!ズバアアアアァッ!
彼の最輝星目掛けて、攻撃を連打するが…。
「面白くない」
やはり、無傷だった。
だが…。
「こっちに気付けなかったな!?」
「何!?」
2人に集中しすぎて、ステルスで迷彩化したフォーゼESに気付かなかった。
<LIMIT-BREAKE>
「ライダァァァァァァ…100億ボルト・ブレェェェェェェェェェイク!!!」
バリイイイイイイィッ!!!
至近距離で、リミットブレイクを発動。だが、それでもレオに効果的な一撃を与える事はできない。
「グルアアアアアアァッ!!!!!」
ズガガガガガガァッ!!!!!
「がはぁっ!?」「ぐうっ!!」「きゃあぁっ!!」
高速移動で、3人を退ける。それでも、彼等は諦めない。
「おれ達は…まだ終わらない!」
<FIRE-ON><SMOKE-ON><HOPPING-ON><RADER-ON>
「ファイヤーステイツ!礼っ!」「分かった!」
フォーゼFSの言葉に頷いたメテオはギャラクシーを起動させる。
<JUPITUR-READY?><OK-JUPITUR>
「アタアアアアァッ!!」
ドガアアアアァッ!!!
「ムゥンッ!」
ジュピターハンマーを難なく防ぐ。だが、戦法は尽きていない。
<MARS-READY?><OK-MARS>
「ホワチャアアアアアァッ!!!」
ゴオオオオォッ!!!
マーズブレイカーで、レオの腹部を強く殴る。
「フン…!」
やはり効き目はなく、その右手を掴んで高く持ち上げた。
<SATURN-READY?><OK-SATURN>
「喰らえっ!アチャアアアアァッ!!!」
ズバアアァッ!!!
それにメテオは屈することなく、遠隔操作のサターンソーサリーでレオの顔面を切り裂いた。
「…効くものかァッ!!!!!」
レオは、握っていたメテオの右手を思い切り振り回し、壁に叩きつける。
ドガアアアアァッ!!!!!
「ぐはぁっ!…がはっ!」
咳き込みながら、メテオは立ち上がろうとする。
「潰してやるぞ…!」
シュウウウゥ…
「…ムゥッ!?」
メテオに襲い掛かろうとしたとき、あたり一帯を煙幕が覆う。フォーゼFSのスモークによるものだった。
「これなら、どうだああああああああぁっ!!!」
ドガアァッ!
「ッ!?」
ふと、上部から強い衝撃を受ける。フォーゼFSのホッピングだ。
レオにとって、その威力は微々たるモノであったが、煙に包まれて攻撃の方向が予測できない。
一方のフォーゼFSは、レーダーによりレオの居場所を正確に把握できる。攻撃は確実に命中するのだ。
<LIMIT-BLEAKE>
「ライダァァァァァァァァァ…爆熱・シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥト!!!」
ゴアアアアアアアアアアアァッ!!!
煙には引火性の物質も含まれている。レオの周りは大爆発を引き起こした。
だが…。
「その程度の火力で、オレを倒せると思っていたのか!?」
ガシィッ!!!
爆風の中からレオが現れ、フォーゼFSに掴みかかった。
ミシミシィッ…!!
「ぐ…あっ!」
凄まじい腕力で体を締め付けられている。このままでは意識を失うだろう。
だが…。
「させるかっ!」「宇月を放してっ!」
それを一夏とシャルロットが許さない。レオに体当たりをする。
ドガアアァッ!!!
「そんなモノで…」
「零落白夜っ!!!」
「な…!?」
ぶつかった状態で、ゼロ距離からの零落白夜を発動する。危険ではあるが一夏にとって賭ける価値はあったのだ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!」
ズバシャアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!
「チィッ…!!!」
さすがにこれは堪えたのか、レオはフォーゼFSを離してしまう。
「がはっ…!た、助かったよ一夏、シャルロット!」
「油断しないで、来るよ!」
シャルロットが叫んだそのとき、メテオが彼等の横を走り去った。
ドガアアアアアアアアアァッ!!!
「ぬううぅっ!!!」
「ウウウウゥゥッ…!!!」
「礼っ!?」
彼等に攻撃が当たる前に、メテオが防ぎきったのだ。だが、そのことで彼の体には大ダメージが残る。
<LIMIT-BREAKE LIMIT-BREAKE><OK>
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!」
ドガガガガガガガガアアアアアアアアアアアァッ!!!!
満身創痍の体に渾身の力を込めて、スターライトシャワーをレオに叩き込んだ。
「ウオオオオォ…!!!!」
「くそ…これも効かないか!?」
「こっちは片付いた!」
その声に振り向くと、ダスタードを一掃した箒達がフォーゼFS達の援護に現れた。
「ムシケラがァッ…!ウオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!
レオの咆哮が彼女達を襲う。
「ここはわたしが!」
そこに、ラウラはAICで防御の体制をとった。
だが、攻撃は強すぎる。全てを防ぐことは出来なかった。
バキィッ!!!!!
「ぐあああああああぁっ!!」
AICは破壊され、ラウラは吹き飛ばされる。
だが、隙はつくることができた。
「はっ!うぅぅ…やああああああああああああああああぁっ!!」
パワーダイザーは上空高くジャンプし、レオを押しつぶそうと落下してくる。
「フンッ!!!!」
ドガアァッ!!!!!
しかし、レオにとってパワーダイザーを受け止めることなど造作もないことなのだ。
「グワアアアアァッ!!!!」
「うわわああああぁっ!?」
ドガアアアアァッ!!!!
逆に投げ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「いたたぁ…!」
「笑わせるな!そんな戦い方でこのオレを…!」
ギュルル!
「ウゥッ!?」
そのとき、レオの身体をワイヤーブレードが拘束する。
「箒、セシリア、鈴音!」
「あぁ!」「了解ですわ!」「いっくわよぉっ!」
身動きの取れないレオに向かい、箒は雨月と空裂を振りかざし、セシリアはインターセプター、鈴音は双天牙月をそれぞれ、いっせいに振り下ろした。
「「「はあああああああああああああああぁっ!!!!!」」」
ズバアアアアアアアアアァッ!!!!!
彼女達にとって、全てを込めた一撃だったが…。
「…その程度かアアアアアアアアアアァッ!!!!」
ゴオオオオオオオオオオォッ!!!!!
「ううぅっ…!」「きゃあああぁっ!」「あああぁっ!」
彼の耐久力と防御力は凄まじいのだ。
反撃され、岩肌に叩きつけられる。
「分割・セット!」
<N・S MAGNET-ON><RAUNCHER-ON><GATLING-ON>
彼女達がレオと交戦している間に、フォーゼはマグネットステイツへとステイツチェンジした。
<METEOR-STORM><METEOR-ON READY?>
さらにメテオもステイツチェンジを行なう。
「マグネットステイツ!」「闇に蠢く星の運命…この嵐で打ち砕く!!!」
<LIMIT-BREAKE><LIMIT-BREAKE><OK>
「ライダー超電磁ボンバー!一斉掃射あああああああああああああぁっ!!!!!」
「メテオストームパニッシャアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!
エネルギー波とストームトッパーがレオの体に食い込んでいくが…。
「無駄だアアアァッ!!!!!」
それを弾く。しかし、それだけではフォーゼMS達も終わらない。
メテオSはストームトッパーをキャッチして…。
<LIMIT-BREAKE><OK>
「倍にして返す!!!!!」
「ライダァァァァァァァ…超電磁・タァァァァァァァックル!!!!!」
再びメテオストームパニッシャーとリミットブレイクを発動し、レオに攻撃をした。
ドゴオオオオオオオオオオオォッ!!!!!
「ヌウウウゥッ!?」
レオが退いた。数歩下がり、胸を押さえる。
僅かながら、勝機を感じた。
「一気に畳み掛ける!力を貸してくれ、ゆりこ!!!」
<ROCKET-SUPER><ROCKET-ON>
「ロケットステイツ!」
スコーピオン戦以来、一度も使わなかったロケットスイッチ・スーパー1を使った。ゆりこもまた、仮面ライダー部の一人として…。
<ROCKT LIMIT-BREAKE>
「ライダァァァァァァァァァァァ…錐もみシュゥゥゥゥゥゥゥゥト!!!!!」
ガガガガガガガガガガガガァッ!!!!!
「ウウウウウウウウウゥッ!!!!!」
超回転するフォーゼRS。レオはそれを必死にツメで防ぐ。
「雪羅っ!!!!」
その間に、一夏の白式は第二形態へと移行する。エネルギーの減りは箒の絢爛舞踏によって補われている。
「元に戻れ、紫苑!!!!!」
ズバアアアアアアァッ!!!!!
「グガアアアアァッ!!!??」
度重なるリミットブレイクや攻撃の嵐で、レオは遂に地面に膝をつく。
「これで最後だ!」
<COSMIC-ON>
コズミックステイツにステイツチェンジし、バリズンソードを開く。
<ELEKI-ON><FIRE-ON><N・MAGNET-ON><ROCKET-ON>
胸のボタンを押し、全てのステイツチェンジスイッチのパワーをバリズンソードに込め、コズミックスイッチをバリズンソードに挿す。
あまりの無茶な行動に、バリズンソードは火花を散らした。
<LIMIT-BREAKE>
「ライダァァァァァァァァァァ超銀河!!!!オールステイツ・フィニィィィィィィッシュ!!!!!」
虹色に輝くバリズンソード。そこから発せられたありったけのエネルギーを、レオにきりつけることで浴びせた。
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!!!!!
「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
フォーゼCSの最大の攻撃の前に、レオは身体中から黒い霧が溢れ出す。負のコズミックエナジーが漏れ始めたのだ。
「馬鹿なァッ…このオレが…!!!?」
「紫苑っ!!!!」
地面に倒れ伏し、必死に立ち上がろうとするレオに向かって、シャルロットが叫びかけた。
「ボクらは絶対に負けない!君がどんなに強くても、どんなに傷つけられても、絶対に立ち上がる!!!!」
彼女の言葉を背に、フォーゼCSはレバーを引き、メテオSはドライバーにメテオスイッチをセットする。
<METEOR-ON READY?><LIMIT-BREAKE><METEOR LIMIT-BREAKE>
それにあわせ、パワーダイザーやISを装備した者全員が、攻撃の準備に入り、全ての仮面ライダー部の者達が大きく言い放った。
『それが…仮面ライダー部だっ!!!!!!!!!!』
「「ライダァァァァァァァァァァァァキィィィィィィィィィィィック!!!!!」」
『はあああああああああああああああああああああああああああああああぁっ!!!!!』
彼等の持てる、最大最後の攻撃。
紫苑を止めるために、学園を守るために、負けられない戦いのために…。
全てを賭けて放った。
だが。
「…超・新・星ッ!!!!!」
「な…!?」「うそ!?」
レオの前に赤黒い光が集まる。彼の残していた、最後の力だ。
それがレオの体に入り込んだ途端、辺り一体を破壊する、凄まじい衝撃が起こった。
「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!!!!!!!!!!!」
見た目には変化が見られない。だが、彼の体に凄まじいコズミックエナジーが貯蓄された。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!!!!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!!!!!
『うわあああああああああああああああああああああああぁっ!!!??』
フォーゼCS達の全てを賭けた攻撃を、完全に弾き飛ばしてしまった。
全員が変身やISを解除される。
レオは満身創痍であったが、地面をしっかりと踏み、地に立っている。
仮面ライダー部は完全に敗北した。
「ハァッ…ハァッ…超新星を…使ったのは…オマエ達が初めてだ…!!」
スイッチを切り、紫苑の姿に戻る。彼もまた、身体中が傷だらけであった。
仮面ライダー部も健闘したが、レオである彼が上回っていたのだ。
「ヴァ…ヴァルゴ様…」
「本当にご苦労だった。これで始められる」
その死闘を見て、ヴァルゴも紫苑に労いの言葉をかけ、宇月に近付いた。
彼女の目的を果たすため。
精神も体力も完全に擦り切れてしまった宇月。
ヴァルゴは彼の耳元に近付いて、こう囁いた。
「宇月、良く聞いて。あなたの父、城茂吾朗は…死んだ」
「父さんが…!?」
父の死を伝えられ…宇月の心に悲しみと絶望が深く刻み付けられた。
「殺したのは…ISを作った篠ノ之束。彼女がISを世界に知らしめようとする、身勝手な計画で…あの人は死んだ」
同時に…彼が持ちえてはいけなかった感情を抱いた。
それは憎しみ。
宇月は頭を抱えて、呻く。
「あぁ…あ…」
「憎いだろう…ISが」
ヴァルゴは何処からか、ゾディアーツスイッチを取り出す。
「まさか…!?」
そこで一夏達は気付いた。
「そう…私の息子、城茂宇月が…」
「最後の使徒、サジタリウス・ゾディアーツなのだよ」
「構わないよ、宇月。憎むのは自然な事だ。父親を殺されて…」
「やめろ宇月!!!!憎むな!!!!」
礼が必死に彼を引きとめようとするが、宇月の心には届かない。
「私も夫を殺したISが憎い。そして、ISを認めた世界が…」
「ISが…ISが…!」
「まて、宇月!!」「落ち着いてください!!!」「ヴァルゴに騙されんな!!!」
箒、セシリア、鈴音も必死に呼びかける。
「私も願う。だから、貴方も願いなさい」
「星に…願いを…」
宇月の瞳から光が消えた。
ヴァルゴの手にある、ゾディアーツスイッチを握り締める。
「やめて!!宇月、やめて!!!」「やめさせろ、ヴァルゴ!!!!」「うっちいぃぃぃ!!!」
シャルロット、ラウラ、本音は必死に手を伸ばす。
そして…。
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
宇月はスイッチを押してしまった。
その体はみるみる黒い影に包まれ…。
射手座の使徒…最後のホロスコープス「サジタリウス・ゾディアーツ」となった。
「遂に…遂に揃った!!!!十二使徒が揃った!!!!」
絶望的な状況の中、ヴァルゴの歓喜の声だけが響き渡った。
続く。
次回!
さぁ…迎えよう!!!
ヴァルゴ様…何故!?
もっと早く気付くべきだったね…
僕は全部、失った…
スイッチを捨てろ!捨ててくれ!!!
第33話「星・座・勢・揃」
青春スイッチ・オン!
キャスト
城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ/サジタリウス・ゾディアーツ
織斑一夏
篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音
辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音
シャルロット・デュノア
織斑千冬
山田真耶
白石紫苑=レオ・ゾディアーツ
城茂美咲=ヴァルゴ・ゾディアーツ
いかがでしたか?
さぁ、遂に最後の使徒、サジタリウスが覚醒です。
その運命は宇月にありました。
ちなみにアナグラム(?)として
城茂宇月→うつき→うつ
です。弓を打つって言うから…ちょっと無理矢理ですが。
次回、フォーゼは出てきません。
絶望的な状況の中、一体どうするか…お楽しみに!