仮面ライダーフォーゼ~IS学園キターッ!~   作:龍騎鯖威武

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第34話「獅・子・優・心」

 

 

ダークネヴュラから弾き出された4人は病院に搬送され、一夏と箒は、理雄と夏樹の面会に来た。

理雄は再びコズミックエナジーの大半を失い、動けない身体となっている。

ただ、以前ほど動かないわけではなく、両手は何とか動かせる状態だ。

「久しぶりだな、仮面ライダー部」「元気にしてた?」

2人は、一夏達を温かく出迎えた。以前のような敵意は全く見られない。

スコーピオンやピスケスとして敵対していた頃がウソのようだった。

「理雄、夏樹…。いろいろ、話したいことがある」

2人がダークネヴュラに送られて以降のこと…ディケイドの来訪や、リブラ、レオ、ヴァルゴの正体、そして十二使徒が揃ったとこと、紫苑がダークネヴュラに送られてしまったこと。

「そうか…白石がレオで…宇月の母親がヴァルゴ様だったとは…」

彼等には想像もつかないことだった。

「近くにいたんだね…2人とも…」

夏樹もレオとヴァルゴを思い浮かべる。

「理雄、夏樹。コズミックエナジーの暴走を止める事って出来るか?」

「…出来ない事はないけど…」

「頼む、紫苑が暴走してしまったんだ。元に戻す方法を教えてくれ!」

その方法を知っている夏樹は理雄と顔を見合わせる。表情から言って、容易な事ではないらしい。

「SOLUは、ヴァルゴ様が…?」

「いや、今はシャルロットが持っている。とっさに紫苑が奪って、レオスイッチと一緒に託してる」

それが紫苑の意思でシャルロットの手に渡されたのかは、本当のところ、分からない。

あのときの紫苑は自我が崩壊していたからだ。

だが、一夏と箒の言葉を聞いて…。

「ならば、まだ勝機はある!」

理雄は笑みを浮かべる。

 

そのころラビットハッチでは、SOLUスイッチとロケットスイッチスーパー1を調整室の合成機械に取り付けていた。

礼も宇月もいない今、千冬が美咲から学んでいた僅かな知識を元に行なっている。

目的は一つ、ゆりこの復活が宇月の心を呼び起こすチャンスが生まれるかもしれない。

この機械は、一度美咲がここに来たときに残していったものだ。

美咲は、ここに3つのモノを残した。

 

一つ、SOLUを還元する装置。

二つ、ゾディアーツの持つ、負のコズミックエナジーを変換する装置。

そして、ISとコズミックエナジーの同調を想定したアストロスイッチ。

 

最後のアストロスイッチは完成に至っていないが、他のモノは試験的ながらも使用することは可能となっている。

「彼女は…なぜ、この装置とアストロスイッチを…」

謎だった。

ゾディアーツの負のコズミックエナジーを変換する装置はまだしも、残りの二つを残した理由が分からない。

正体を隠すための演技…だったのだろうか。

とにかく、装置を作動した。

程なくして…。

SOLUスイッチは消滅し、代わりに…。

 

「あれ…わたし…身体が…」

 

ゆりこが元に戻ったのだ。

それをじっと見ていたセシリア、鈴音は懐かしそうに歩み寄ってきた。

「ゆりこさん!」「元に戻れたのね!」

「あ…セシリア、鈴音…!」

彼女達を見つめて嬉しそうに微笑むゆりこ。その雰囲気はあの時と寸分も違わない。

「この子が、ゆりこちゃんなんだぁ…」

実は、本音とゆりこは初対面。本音に関してはゆりこのことを宇月達から聞かされていたが、ゆりこはスイッチ越しから感じ取れるものに限界があるため、本音のことを知らないのだ。

「あなたは誰…?」

「布仏本音。のほほんさんって呼ばれてるんだ~」

「わたし、ゆりこ。よろしくね」

彼女達は雰囲気が何処と無く似ており、良好な関係を築けそうである。

「君がゆりこか…」

千冬はゆりこを見て思った。

写真で見たことのある、学生時代の美咲に良く似ている。

「君を愛した少年…城茂宇月が、サジタリウスになってしまった。力を貸してほしい」

「宇月…」

その名を聞いて、ゆりこの顔に翳りが見える。ロケットスイッチスーパー1を通して、あのときのことは知っている。

大好きな人が最後のホロスコープスとなってしまったのだ。

でも…。

「宇月、心の中でサジタリウスと戦ってるよ」

「心の中…?」

スイッチを通して、宇月の心が見えた。

彼はスイッチを押した後、それに後悔し、なんどもサジタリウスの暴挙を止めようと戦っていた。だが、サジタリウスの力が強すぎたのだ。

結局、無駄に終わっている。

一人では太刀打ちできないのだ。

「だから、みんなで元に戻そう!」

ゆりこはこの状況の中でも、希望に満ちた笑顔を見せる。

 

シャルロットは部屋にいた。手には、レオスイッチが握られている。

最後の紫苑は、ずっと助けを求めていた。

「…紫苑」

助けられなかった。

結局、苦しみ続けたまま、彼は闇の彼方に消えてしまった。

いつか聞いた、紫苑の母親が教えた歌を思い出す。

いつも紫苑がやっていたように、窓の外を見つめながら歌う。

 

紫苑が傍にいるような気がした。

 

となりで、一緒に歌っているような気がした。

 

微笑んでいるような気がした。

 

何も知らなかった頃…ただ、2人で心を通わせようとしていた頃のように…。

 

いつの間にか、泣いていた。

「うっ…」

嗚咽を漏らし、歌が途切れる。

心の中で映し出されていた紫苑が離れていく。

「ごめんなさい…ごめんなさい…!」

何に対して謝っているのかも、はっきりと分からない。だが、心から謝らなければならない気持ちが湧き上がってきていた。

そこへ、ラウラがやってきた。

「シャルロット」

「あ、ラウラ…」

泣いている姿を見られまいと涙を拭って、夜空を見つめる。紫苑もこんな風にしていたのだろうか。

「レオのコズミックエナジーを浄化できるようになったぞ」

千冬や山田、入院中である礼のアドバイスなどで、負のコズミックエナジーを浄化できる装置は完成した。これでレオスイッチの浄化も出来るはずだ。

そうすれば、紫苑は元に戻れる。

「ねぇ、ラウラは礼のこと、好きなの?」

「もちろんだ。あいつはわたしの嫁…と言いたい所だが、生憎、本人がそう呼ぶことを嫌がってるからな…」

軽く笑って、シャルロットの隣に立つ。

「おまえは、紫苑のこと…」

「うん、好きだよ。本当に…返事のタイミングを間違えたって言うか…」

頭をさすりながら、笑うシャルロット。

「…礼は、大丈夫なの?」

「ゆりこが戻ってきて、彼女のなでしこドライバーを介したメディカルスイッチで、ある程度の治療は出来た。近いうちに動けるはずだ」

少しだけ驚いた。あのゆりこが戻ってきていた事に。

SOLUスイッチから還元する事は不可能とばかり思っていた。

「意識が戻った理雄の話だと、紫苑を元に戻せる方法があるかもしれないらしい。…それは、おまえにやって欲しいのだが…」

「やるよ」

即答だった。その返事の早さにラウラは目を少し見開く。

「早いな。少し間を置くと思っていたが…」

「返事が遅くなって後悔するのは、もうイヤだから」

強い意志のこもった瞳で呟く。その間も、夜空の…いや、ダークネヴュラがあるであろう彼方を見据えていた。

そこにいる紫苑を見据えて…。

「チャンスは、ヴァルゴがダークネヴュラを開くときだ。レオスイッチがこちらにある今、確実にヴァルゴは焦っている」

確かに、機会があるとしたらそこしかない。

 

美咲は、顎に手を当ててうなっていた。

「レオスイッチさえ揃えば、全て上手く行くのだが…」

実は、ラビットハッチにはコズミックエナジーの結界が張り巡らされており、ヴァルゴが瞬間移動で出向く事ができないのだ。

「ならば、あちらが出向くようにするか…」

スイッチを押して、ヴァルゴに変化する。

「来なさい、宇月。もうすぐ、私の計画も全て完了する。終わったなら…親子として、もう一度…」

サジタリウスの頬を撫でるヴァルゴ。当の本人は全く反応しなかったが、それはヴァルゴである美咲にとっての。愛情表現なのだ。

そのなかにある宇月がどんな気持ちなのか、どんな表情なのか…それは誰にも分からない。

 

レオスイッチは、コズミックエナジー変換装置に取り付けられている。

変換に必要なエネルギーは、SOLUであるゆりこが担う。

「もう少し…!」

これは、やはり彼女にとって体力を使うモノであるらしく、息が荒くなってきている。

しばらくして、レオスイッチが青白く輝き、色が赤から青へと変化した。

「これで…もう大丈夫…ふぅ…」

ゆりこは椅子に座る。かなり体力が減ったようだ。

「ゆりこさん、おつかれさまです」

セシリアが彼女に毛布をかけた。

そのとき、ナゲジャロイカが警報を鳴らす。

「これは…!」

音を聞きつけたセシリアがスイッチカバンを開いて、確認を行なうと、近くに強力な負のコズミックエナジー反応が2つあった。

おそらく、ヴァルゴとサジタリウス。

おびき寄せるつもりなのだろう。

一夏がメテオドライバーを持って立ち上がる。

「行くか…宇月と紫苑を取り戻す」

全員で右手を重ねる。

「…仮面ライダ-部!!!」

 

『おおおおおおおおおおぉっ!!!!!』

 

そのころ、病院では…。

「だめですよ!安静にしてないと!」

山田に止められているのは、重症だった礼。

だが、彼女を押しのけてベッドから這い出る。

「もう平気です。おれより、あいつらの心配を…!」

「まだ怪我は治ってないんですよ!?」

何とか押さえつけようとするが…。

「離してくださいっ!!!」

「きゃっ!?」

強く言い放った礼は、山田を突き飛ばした。

「あいつらは…あいつらは、無条件でおれのことを仲間だって言ってくれた奴らなんです!!!宇月だって…おれの最初の親友です!!!…失いたくないんです!!!」

その目からは、涙が浮かべていた。

「辻永君…」

それをみた山田には、もう彼を止める事は出来ない。

壁に寄りかかりながら病室を出て行く姿を見送るしかなかった。

暫くして、千冬がやってきた。

「…わたし、教師失格ですね…。大切な生徒が怪我をしているのに…止められませんでした…」

「…安心しろ、真耶。おまえほど出来た教師は、見たことがない」

2人はただ、彼等の無事を祈るのみだ…。

 

マッシグラーに乗った一夏とゆりこ。背後からはISを装備した箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ。さらにパワーダイザーに乗った本音。

一同で、負のコズミックエナジーの発信源へ向かった。

「…待っていたよ」

そこには、ヴァルゴ・ゾディアーツが待ち構えていた。すぐ横にはサジタリウス・ゾディアーツも控えている。

「レオスイッチを渡してもらおう。SOLUや紅椿がそちらにあろうとも、勝ち目はないことは分かりきっているだろう?」

「どうかな?やってみなければ、わからない!」

箒がヴァルゴの言葉を否定して雨月と空裂を構え、戦闘隊形へと移る。他の者達も同じだ。

<METEOR-READY?>

「「変身っ!」」

一夏とゆりこはそれぞれ、メテオとなでしこへと変身し、バイクのエンジンを轟かせる。

「…やれ、サジタリウス」

「オオォォォォォ!!!」

ヴァルゴの指示と共に、サジタリウスはクロークを脱ぎ捨てて走り始めた。

「シャルロットは、これを持ってて!」

「…うん!」

ゆりこから、青くなったレオスイッチを手渡される。

そして、サジタリウスに全員で迎え撃った。

「はあああああああぁっ!」

セシリアのスターライトmkⅢが、サジタリウスに向けた放たれる。

「ムンッ!!」

ドガアアアアァッ!!

しかし、片腕一つで簡単に弾かれる。効き目はない。

<ROCKET-ON><JUPITUR-READY?><OK-JUPITUR>

「なでしこ・ロケットパァァァァァァァンチ!!」

「たああああぁっ!!」

ドガアアアアアアアァッ!!!

メテオのジュピターハンマーと、なでしこのロケットが続けざまにサジタリウスを殴りつける。

「アアァァァァァァァ…!!!」

やはり、効かない。二人の腕をつかみ、高く持ち上げる。

「う、宇月…!」「ゆりこだよ…わからないの…!?」

彼等の言葉も届かない。

「オオォッ!!!」

「うわああぁっ!」「きゃああああぁっ!」

力いっぱい投げ飛ばされ、地面を転がる2人のライダー。

同時に、シャルロット、鈴音、ラウラが攻撃を仕掛ける。

「いい加減、目を覚ましなさいっ!」「はああああああぁっ!」「宇月っ!」

ドガアアアアアアアアアアァッ!!!!

だがISが3機では、どうにもならない。サジタリウスは無反応だった。

「ならば、これはどうだ!?」

次に箒が紅椿で、サジタリウスを翻弄する。

「ムウゥッ…!?」

これにはコズミックエナジーの浄化作用がある。そのことに気付いたサジタリウスは、流石に翻弄するスラスターに警戒心を見せる。

「今だっ!!!」

一瞬の隙を見計らい、雨月と空裂でサジタリウスの懐に切りかかった。

ズバアアアアアァッ!!!

直撃だ。

「…残念だが、サジタリウスはホロスコープスの中心。紅椿では浄化できない」

それを見ていたヴァルゴが小さく呟く。

言葉の通り、サジタリウスには全くと言っていいほど効き目がなかった。

「オオォォォォォ…!!!」

ギルガメッシュを構え、光の矢を創りだす。その狙いは箒だった。

「ムンッ!!!」

「箒っ!」

バシュッ!!

「ああぁっ!」

ドガアアアアアアアアアアアアアァッ!

とっさにシャルロットが彼女を庇い、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの一部分を大きく欠損した。

この矢には、ISのシールドエネルギーを一瞬で貫く力がある。つまり、ここでは絶対防御は存在しないのだ。

倒れたシャルロットの手からレオスイッチが取り落とされる。

「返してもらおう」

ゆっくりとした動作で、そのスイッチを拾い上げる。

「さぁ…儀式の開始だ!」

大きく宣言すると共に、巨大なダークネヴュラを開く。至るところから稲光が起こり、危機感を募らせている。

「…?」

しかし、ヴァルゴは異変に気付く。

その瞬間、レオスイッチは液状化した。

「これは…!?」

「引っかかったね…!」

その液体は、なでしこの手に吸収された。

 

そう、シャルロットが持っていたレオスイッチは、SOLUであるゆりこの一部。

 

囮作戦だったのだ。

「ならば、本物のレオスイッチは…!?」

ふと見ると、シャルロットが居ない事に気づいた。

そう、本物のレオスイッチも彼女が持っていた。そして向かう先は…ダークネヴュラ。

「サジタリウス、止めさせろ!!!!!」

焦りを感じたヴァルゴは、サジタリウスに指示を送り、自身もエネルギー波を放つ。

ドシュッ!!!ドォッ!!!

しかし、シャルロットはそれらを必死に避け続ける。

青いレオスイッチを握り締め…。

「紫苑!!!」

ダークネヴュラに呼びかけた。

ゴオオオオオオオォ…!

「君の居場所は…ここにある!!!!ボクだけじゃない!みんなが君の居場所になってくれる!!!!」

「ヌオオオオオオオオォ!」

サジタリウスはその間もギルガメッシュを展開している。

「今…ボク達は君が必要なの!!!だからお願い…!」

 

「戻ってきてええええええええええええぇっ!!!!!」

 

願いを込め、ダークネヴュラにレオスイッチを投げた。

それは青白く輝きながら吸い込まれていく…。

そのとき…。

「オオオオオォッ!!!!」

バシュッ!!!ドガアアアアアアアアアアァッ!!!!

「きゃあああああああああぁっ!!!」

サジタリウスの矢がシャルロットの肩を貫いた。

激痛による集中力の低下で、ISの操縦が乱れ、地面に叩きつけられる。

「シャルロット!?」

それを見た全員が、彼女の元へと急ごうとするが…。

「そうは行かんぞ!!!」

ヴァルゴによって、阻止される。

「くそぉっ!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!」

必死に彼女に抵抗するも、空間を操るヴァルゴを退ける事などできない。

「う…うぅ…」

その間にも、肩を庇いつつ苦しんでいるシャルロットに向かって、サジタリウスがギルガメッシュを構える。

トドメを刺すつもりだ。

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!」

そして…。

バシュッ!!!

放たれた。

 

 

 

ガシッ…!

 

 

 

しかし、その矢はシャルロットを射抜くことはなかった。

「う…ん…」

目をゆっくり開けたとき…そこに居たのは…。

 

 

 

「シャル」

 

 

 

青白く輝くレオ・ゾディアーツが居た。

 

 

 

その声は以前のような低い男の声ではなく、紫苑の声そのものだ。

彼がシャルロットを抱え、サジタリウスの攻撃から守ったのだ。

「レオ…!」「紫苑だ…!」「やったあああぁ!」

作戦の成功と仲間の帰還に、全員が歓喜する。

「馬鹿な…こんな事があるはずは!?」

唯一、ヴァルゴはその情景に驚きを隠せないでいた。

「あぁ…紫苑!」

大切な人が戻ってきてくれた事で、感極まったシャルロットは痛みも忘れ、ただ涙を流した。

「…ウオオオオオオオオオォッ!!!!」

レオはシャルロットを地面に下ろし、咆哮でサジタリウスに応戦する。

ドガアアアアアアアアアァッ!!!!!

「ヌアアアアアアアァッ!?」

流石に強力な攻撃であったため、サジタリウスは地面を転がる。

強力な攻撃力を有しているサジタリウスだが、耐久力に関しては一貫してレオがトップクラスだ。さらに自分と同等レベルの攻撃には耐えられないことがサジタリウスの弱点である。

彼に単体で対抗できるのはレオだけなのだ。

「箒さん、セシリアさん、鈴音さん、ラウラさん、本音さん!」

仲間と認めた者達の名を呼び、戦いの協力を頼む。

もちろん、全員が頷いた。

そこに、メテオスターに乗った礼も現れた。

「おれも戦うぞ!!!」

バイクから飛び降り、膝をついていたメテオのドライバーを引き剥がす。

その途端、メテオは一夏の姿に戻った。

「おい、礼!?」

「おまえは…あいつの代わりに、コレを使ってくれ」

そう言って礼から渡されたのは、フォーゼドライバーだった。

「宇月の代わりが務まるとしたら…おまえ位だ」

「…あぁ、分かった!」

頷いて、フォーゼドライバーを装着する一夏。礼もそれに続いた。

<METEOR-READY?><3><2><1>

「「変身っ!」」

礼はいつものようにメテオへと変身し…

 

 

 

一夏は仮面ライダーフォーゼBSへと変身した。

 

 

 

<METEOR-STORM><METEOR-ON READY?>

同時にメテオSへとステイツチェンジし、走り始める。

「オオオォォォ…アタアアアアアアアアァッ!!」「うおおおおおおぉっ!!」

そして、レオの隣にシャルロットが立つ。

「シャル、みんな!いくよ!」

「うん!」

全員でサジタリウスに向かって走る。

「オオオォォォォォォ!!!!」

ドオオオオオオオオオオオォッ!!!!

怒り狂ったように咆えながら、サジタリウスは数多の矢を放っていく

しかし、それを避け、一気に距離を縮めた。

「ヌゥッ!?」

<ROCKET-ON>

フォーゼBSとなでしこは、ロケットで同時攻撃を図る。

「「ダブルロケットパァァァァァァンチ!!!!!」」

ドガアアアアアアアアァッ!!

「ウオォ!?」

数歩後ずさりするサジタリウス。そこにメテオSとラウラが畳み掛ける。

<LIMIT-BREAKE LIMIT-BREAKE><OK>

「アタタタタタタタタタタタタタタァッ!!!!!」

ガガガガガガガガガガガガァッ!!!

黄色い光と青い光を纏ったメテオSの拳が何度もサジタリウスの体を打ち付ける。

「ウアァッ!!」

怯んだところをラウラのレールカノンで攻撃を仕掛けた。

「喰らえっ!」

ドオオオオオオォッ!

「ヌゥアァ!?…イィアアアアアアアアアアアアアァッ!!!」

そのまま攻撃を受け続けてサジタリウスも黙っているわけではない。上空に矢を放ち、万に値するほどの矢を彼等に向ける。

「させませんわ!!」「やあああああああああぁっ!!」「ウオオオオオオオオオォッ!!!!!」

そこへセシリアとパワーダイザーが前に立ち、ブルーティアーズやミサイルで矢をいなして行く。彼女達の手で足りない矢は、レオとシャルロットが破壊した。

鈴音とゆりこが、双天牙月とロケットを構え、彼女達が創り上げた道を通り、サジタリウスを攻撃する。

「「はあああああああああああああああぁっ!!!」」

ドガアアアアアアアアアァッ!!!!!

「グゥッ!?」

確実にダメージを負い続け、サジタリウスの動きも鈍ってきた。

「何故だ!?何故、君達は…!?」

ヴァルゴが声を荒げる。

「簡単なことだ!!!!!」

<DLILL-ON>

フォーゼBSが答えながら、ドリルモジュールを装備する。

メテオSはメテオストームスイッチをシャフトに装填し、エネルギーを蓄える。

<LIMIT-BREAKE>

「宇月は仲間で友達…そして、その仲間の手で、学園や他の仲間を傷つける事なんか、絶対にさせない!!!!」

「僕も…そう思った!!!!!」

フォーゼBSの言葉にレオも続ける。

<ROCKET DLILL LIMIT-BREAKE><OK>

「メテオストームパニッシャァァァァァァァァァァッ!!!!!」

「ハアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」

「ライダーロケットドリルキック!!!たあああああああああああああああぁっ!!!!!」

ストームトッパーが唸りをあげ、レオが作った咆哮のエネルギーを吸収しながらサジタリウスに向かう。

その中でフォーゼBSがリミットブレイクを発動しながら向かう。

ドガアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!!!!!!

「ウオオオオオオォ!?」

必死に耐え抜こうと抵抗するサジタリウス。

フォーゼBSは一旦離れ、スーツの上から白式を装備し、メテオSはコズミックスイッチを装填する。

「零落白夜!!」

<COSMIC-ON READY?>

天球技を回すとフォーゼBSと隣にいたレオ、シャルロットに青白い光が降り注ぐ。

「戻って来い、宇月ぃっ!!!!!」

コズミックスイッチにあるエネルギーを一気に開放し、そこにメテオS、フォーゼBS、レオ、シャルロットと一夏のISのエネルギーを上乗せした攻撃だ。

『はあああああああああああああああぁっ!!!!!!!!』

全員でサジタリウスに追加攻撃を放つ。

ドガアアアアアアアァッ!!!!!

「ヌウウウゥゥゥゥゥ!!!!!」

なおもサジタリウスは耐えようとするが…体に亀裂が走る…。

そして…。

ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!!!!

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!??」

その攻撃がサジタリウスの体を貫いた。

サジタリウススイッチが現れ、地面に落ちる。

 

 

 

その瞬間、サジタリウスの体は宇月に戻り、意識を失って地面に倒れた。

 

 

 

「「ヴァルゴ、貴女の野望は…絶対に果たさせないっ!!!!!」」

誰よりも大きな声で、レオとシャルロットがそう宣言した。

そして力の限界が訪れたのか、レオは紫苑の姿に戻り、レオスイッチを取り落とした。

「まさか…絆の力が…ここまでとは…!?」

恐れおののいているヴァルゴ。彼等のつながりの強さが、ここまで計画に支障を来たすのは想定外だった。

だが…。

「しかし…十二使徒のスイッチは揃った。その事実は変わらない」

サジタリウススイッチとレオスイッチを手にし、姿を消した。

目的はまだ終わったわけではないのだ。

 

ゆりこに抱き上げられた宇月。

「いっつ…」

眉を歪めながら、目を覚ました。

「宇月っ!!」

彼の意識が戻った事を確認すると、ゆりこは宇月の名前を呼ぶ。

「あ…あれ…ゆりこ…?」

「おかえり…。あと、ただいま…!」

涙を流して微笑んでみせる。

背後に元に戻った紫苑や、変身を解除した一夏と礼など、いつもの仲間達が揃っていた。

「そっか…間に合ったのか…」

「もう…!」

自分の中でのサジタリウスに抵抗する戦いが勝ったと思い、ニッと笑う宇月。

もう一度笑顔を見せたゆりこは、彼の体を強く抱きしめた。

その様子を微笑ましく見つめていた一同。その彼等からも、少しだけ離れて立っている紫苑。

安心したように笑い、踵を返して歩いていく。

シャルロットがそれに気付いた。

「紫苑!」

呼び止められ、紫苑は立ち止まった。

「どこに行くの…?」

「僕は、もう一人じゃないって分かったんだ。だから、もう大丈夫」

彼の後ろにはダークネヴュラが広がっていた。

その力により、紫苑の体は少しずつ飲み込まれようとしている。

「嫌だ!まって!」

シャルロットが彼の手を握る。

「今のボクらには、君が必要って、言ったよね?」

「ありがとう、そういう風に言ってくれて。でも、僕は…」

そう言って見せた右腕。

 

母親のものではなくなっていた。

 

代わりに青白い腕になっている。

「お母さんの体が破壊されて、残りの僕の身体の半分は、コズミックエナジーで複製されたんだ。だから、みんなと一緒に居る事はできない」

彼の身体は一度、暴走によって破壊された。それを再生したのがコズミックエナジー。

つまり、彼の体に定期的にコズミックエナジーを供給しなければならない。

レオスイッチが手元にない今、それが出来るのはダークネヴュラの中のみということなのだ。

「そんな…元に戻れたのに…!」

紫苑を抱きしめて、その事実に嘆くシャルロット。

だが、紫苑は違った。

「もう良いんだ。もう…大丈夫だから」

いつものように、喜びながらもどこか陰のある笑みではなかった。

母を失って以降、一度もつくることの無かった「心からの満面の笑み」だった。

 

「ありがとう」

 

ドンッ!

「紫苑っ!?」

そう言って、紫苑はシャルロットを突き飛ばし、ダークネヴュラの中に飲み込まれていった。

彼を飲み込んだ途端、ダークネヴュラは一瞬で消える。

膝をついて座り込んだシャルロット。

 

 

 

戦いの末に荒れ果てた大地で、彼女の泣きじゃくる声だけがいつまでも響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

次回!

 

                      残りは乙女座のヴァルゴだけか…。

 

母さんとの決着は…おれが着けないといけない。

 

                      もう整っているのだ。

 

人々よ、今こそ目を見開き、考えてもらいたい。

 

                      我々の真の敵が…一体、何であるのかを!

 

 

 

 

第35話「乙・女・宣・言」

 

 

青春スイッチ・オン!




キャスト

織斑一夏=仮面ライダーフォーゼ/仮面ライダーメテオ

篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音

辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音

シャルロット・デュノア
白石紫苑=レオ・ゾディアーツ

ゆりこ/SOLU=仮面ライダーなでしこ

裾迫理雄
尾坂夏樹

織斑千冬
山田真耶

城茂宇月=サジタリウス・ゾディアーツ

城茂美咲=ヴァルゴ・ゾディアーツ


如何でしたか?
ようやく、レオの決着がつきました…。
紫苑の末路をどうするか、最後の最後まで悩みましたが…結局、仲間に戻ると言う道は絶ちました。彼はゾディアーツとして長過ぎました。
そして一夏、今回のみフォーゼにも変身です!メイン装着者ではないのに、フォーゼとメテオの両方を使った事のある、唯一のキャラです。
ゆりこ=なでしこも帰還です。これから、主戦力の一人になります!
次回はヴァルゴとの決戦です。ただ、敵はヴァルゴだけではありません。
お楽しみに!
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