ダンジョンで最強になるのは間違っているだろうか 作:こーわん
性格も言動もサイタマ先生とは全くの別物なので、ほとんどワンパンマン関係ないんじゃないかと自分でも思うけどそれは言ってはいけない。
散々注意したからね!読むのは自己責任だからね!
※能力値をちょっと修正しました。
※色々と主人公のスキルを修正しました。
※ハゲました。
一撃目
英雄になりたい。
昔からの夢だった。
弱きを助け、悪を挫く。どんな困難にも不屈の精神と強靭な肉体を持って挑み、その悉くを打ち破り、世界を平和へと導く英雄の物語。
子供の頃、よく母親が読み聞かせてくれたその英雄譚に憧れて、飽きずに何度も何度も母親に物語を読んでくれるよう強請ったものだ。
それから十数年間の年月が流れても、英雄になりたい、という思いは薄れることがなかった。薄れるどころか、その思いはより一層強くなっていった。
でも、思うだけでは駄目なのだ。
鍛えなければならない。
数年前にその事に気付いてからは、親の農業の手伝いをする傍ら、自分の思う鍛錬というものをただ我武者羅に行ってきた。
腹筋、腕立て伏せ、スクワットなどの基本的なものを百回ずつ、身体が悲鳴を上げても断行し、村の周りをランニングで十km走り、途中で過呼吸になっても意地で走り抜けた。夏場や冬場でも暑さや寒さの対策を一切講じず、精神修行だと思い込み生活した。勿論、鍛錬をするにも体調管理は大切だと思ったため、毎日きちんと三食摂り睡眠時間の管理も徹底した。
一日くらい休もうかと思ったことも一度や二度ではない。でも、それでは憧れの英雄にはなれないと自分に言い聞かせ、悲鳴を上げる身体に鞭を打って一日も欠かさず鍛錬を行った。
そうした地獄とも言える日々を過ごしていく内に、気付けば俺はハゲていた。
そして強くなっていた。
鍛錬をはじめたばかりの頃は獣一匹倒すのにも四苦八苦していたのに、三年も経てば獣が何匹相手になろうと拳一つで片付いてしまう程度には強くなっていた。
そうして村の農作物などに被害を与える獣を狩りながら鍛錬と農業をする生活を更に二年ほど過ごしてきた俺は、今日で生まれ育ったこの村を離れることを決めた。
病気で床に伏せていた父親も、数年前に病気で死去していた母親同様、先日に逝ってしまった。
それ自体は凄く悲しいことで、母親の時と同じように年柄もなく涙を流してしまった。
けれど、死に際に父親の言った「本当に英雄になりたいなら、迷宮都市オラリオに行って冒険者になりなさい」という言葉。
その言葉に従って、俺は今日でこの村を発つことを決めた。
やはり、生まれ育った村というだけあって、思い入れもある。
しかし、英雄になるためには村に篭っているだけでは駄目なのだ。
もしも次に村に帰ってくる時は、英雄になった時だ。
その思いを胸に秘めて、俺は迷宮都市オラリオへと向けて出発した。
◆
村を出てから数日。
ようやく迷宮都市オラリオへと辿り着くことができた。
オラリオは想像していたよりもかなり巨大な街で、迷宮都市というだけあり街中は冒険者で溢れかえっていた。
キョロキョロと興味深しげに周囲を眺めながら絶え間なく流れる人並みの中を歩いて行く。
とりあえず、冒険者ギルドに行って冒険者登録を行うのが最初の目的だ。冒険者登録を行わずにダンジョンに行くのは禁止されているらしいので、冒険者登録しなければどうにもならない。そして冒険者登録が済んだ後は、何処かのファミリアに入団しなければならない。ファミリアというのは天界から地上へと降りてきた神様が設立した組織のようなもので、そのファミリアへと入信し、神様の眷族となり、恩恵という特別な能力を授かることができて、晴れてようやくダンジョンへと潜ることができるのだ。
昔、冒険者だったという父親からはそう聞いている。
何ともまあ面倒臭い手順を踏まなければならないものだ、と思う。しかし、神様の恩恵も無しにダンジョンへと潜ることは自殺行為にも等しいことらしく、視界に映る冒険者らしき集団は勿論のこと、世の中に存在している冒険者は其々がファミリアへと所属しており、そのファミリアの神様から恩恵を授かっている。人によってはスキルという特別な力が発現することもあるらしく、眷属になるメリットは大きい。
それにもしかすればレアなスキルが発現する可能性もあるため、正直に言えば期待しているというのが本音だった。
スキル自体珍しいものらしく、そこからレアスキルの発現する確率など相当低いだろうが、可能性があるなら期待してみても悪くはないだろう。
想像するぶんにはタダだ。
これからの冒険者生活に胸を膨らませながら人並みに流されること数十分。ようやく目的の冒険者ギルドを発見することができた。
巨大な建物だった。ここに至る道中で見た中でも、街の中央に聳え立つ塔を除いた次にでかい。
まあ、冒険者ギルドというだけあって多くの冒険者が利用しているのだ、数多の冒険者を収容するにはこれくらいの大きさでなければならないのだろう。
そう勝手に納得する。
一先ず中に入ろう。出入りしている冒険者を避けながら、ギルドの中へと入っていく。
ギルド内を見回すと、冒険者登録受付、と書かれた受付台を見つけた。
受付台へと向かうと、ギルド職員の制服を着た女性が座っていた。
「あのーすんません。冒険者登録っていうのをしてもらいたいんですけど」
「はい、新規冒険者登録の方ですね? では、こちらの用紙に名前と年齢、所属ファミリアを書いてください」
営業スマイル、とでも言うのだろうか。職員の女性は微笑みを浮かべながら手慣れた様子で一枚の用紙とペンを差し出してきた。
用紙を見ると言われた通りの記入欄が記されていた。しかし、一つだけ問題がある。
「あの、まだこの街に来たばかりでどこのファミリアにも所属してないんだけど、不味いんですかね?」
「いえ、ファミリアに所属されていない方も冒険者登録にいらっしゃるので大丈夫ですよ。そういう方達は、冒険者登録のみ済ませて、後日ファミリア入信後に再度申請を出されていらっしゃいますので。それに、当ギルドでもファミリア入信を希望される方には、登録される冒険者様のご希望に沿ったファミリアを紹介させて頂くサービスもございますのでご安心下さい」
それを聞いて安心した。
ファミリアに所属してからでないと冒険者登録できないのではないかと一瞬焦ってしまった。
所属ファミリアの記入欄だけ空欄にして、名前と年齢を書いて職員へと用紙を渡す。
「お名前はショウ・サイトウ様、年齢は十九歳でお間違いないですか?」
「大丈夫です」
「では、登録させて頂きます。ファミリアについては、当ギルドに登録されているファミリアであれば直ぐにリストをお渡しできますが、ご覧になりますか?」
「お願いします」
正直、自分でファミリアを探すと言っても土地勘もないため、素直にギルドの好意を受け取った方がいいだろう。ギルドに登録されているファミリアなら、少なくとも悪評のあるものはないだろう、という考えもあった。
すると職員は「かしこまりました、少々お待ちください」と席を立ち、奥の方へと歩いて行った。それから少しすると、厚みのある資料を持って戻ってきた。
「こちらが当ギルドに登録されているファミリアのリストになります。入信条件、所属人数、行動方針などが記載されているので、もしもそのリストの中でご自身に合うと思ったファミリアがあった際はお伝え下さい」
「んじゃあ、探してみます」
「はい、お待ちしております」
職員の笑みを後にして、ファミリアリストを持ってギルド内に設えてあるソファーへと腰を下ろす。
どうやら思っていた以上にファミリアというのは沢山あるようだった。ぺらぺらとリストを捲ってみると、個々のファミリアの事について事細かに記されていた。
所属したいファミリア。
そのことについてあまり深く考えたことがなかった。冒険者になって英雄になる、ということばかり考えてきたので、そこに至るまでの過程というものを軽く考えていたのは間違いない。
これを機にきちんと考えてみるのもいいだろう。
「とは言っても、どうすっかなぁ」
今日この街に着いたばかりで、当然ファミリアの情報なんて一つも知らない。リストに書いてあるとはいえ、この目で見たこともなければ聞いたこともないのだ。悩んでしまうのも仕方がない。
個人的には、あまり大きな規模のファミリアに入信する気はない。入信条件が厳しいというのはリストにも書いてあるが、何より自分の思うように動けないだろうというのが嫌だった。
「できるだけ小規模で、最近できたファミリアとかないのかねぇ」
最近できたファミリアならば所属人数も少ないだろうし、あまり行動を束縛されずに動けそうだ、という算段だ。
すると、流し見でリストを捲っているととあるファミリアが目に止まった。
「ヘスティア、ファミリアか……」
ヘスティア・ファミリア。
所属しているファミリアはまだ一人もおらず、ファミリアができたのもつい先日だ。主神はヘスティアという女神らしい。最近できたばかりだからか、詳細情報もあまり記載されていないが、考えていたファミリアの条件にぴったり当てはまるのではないだろうか。
一応、それからも暫く他のファミリアを探してみたが、どれもピンとくるものはなかった。
決まりだ。
腰を上げて再度受付台へと向かう。
「あら、入信したいファミリアはお決まりになりましたか?」
「まあ、一応。このヘスティア・ファミリアっていうファミリアに入信を希望したいんですけど」
「ヘスティア・ファミリア……つい最近できたばかりのファミリアですが、よろしいのですか?」
「大丈夫です、ここが丁度俺の考えていた条件とぴったり合ってたんで」
「……そうですか、かしこまりました。ではこちらから入信希望の紹介状をお渡しいたしますので、そちらを持参の上、ヘスティア様へお渡し下さい」
そう言うと、再び職員は再び席を立って奥へと引っ込んでいった。紹介状というのを発行して貰えるのだろう。
その後ろ姿を見送って、いよいよ冒険者としての生活がはじまるのかと胸が高鳴ってくる。
英雄になる。
本当になれるのかどうかはわからない。けれど、諦めずに死に物狂いでやれば何とかなるというのは鍛錬の時に経験済みだ。
だったらきっと成れる。
いや、成ってみせる。
そうしてこれからの生活に思いを馳せていると、暫くして戻ってきた職員から「入信後にもう一度こちらの受付までいらしてください」と言われ、目印の書かれた地図と紹介状を手渡された。
どうやら冒険者にはそれぞれ担当職員というものが付き冒険のサポートなどを行ってくれるらし。ありがたいことだと思う。
親切な職員に礼を言って、俺は地図に書かれたヘスティア・ファミリアの本拠へと向かうためにギルドを後にした。
◆
迷宮都市オラリオは広大な面積を誇る円形状の形をしており、周囲を市壁に取り囲まれている。都市の中央部には天高くまで伸びる白い巨塔が聳えており、その中央部からは放射線上に北、北東、東、南東、南、南西、西、北西へと八方向に巨大な大通りが伸びている。ヘスティア・ファミリアは、そんな八つの大通りの内、西と北西の大通りに挟まれた区画の中にひっそりと存在していた。
「ここ、か……?」
職員から渡された地図と、目前に佇む建物を見比べる。
一言で言えば、教会だった。
いや、教会だったものと言えばいいのか。
風化のせいで所々穴の開いた外壁には蔦が好き放題に絡まっており、窓や出入り口に嵌め込まれた木戸は朽ち果て、触っただけで崩れてしまいそうだ。屋根に付けられた十字架が辛うじてここを教会であると主張しているが、どう見ても人が住んでいるようには見えない。
おかしい、道に迷ってはいないはずなのだが。まさかギルド職員が場所を間違えたのだろうか。これは一旦、ギルドに戻って聞いてみた方がいいのかもしれない。
そう思い、踵を返してギルドへと戻ろうとしたところに、背後から声が掛かった。
「おや、君は誰だい?」
ギギギッ、と悲鳴を上げてドアが開かれた。そして、その向こうから小柄な少女が現れた。
人が、住んでいた。
驚いた。本気で人なんて住んでいないと思っていたから驚いた。
頭の左右で長い黒髪を結んだ少女は、ワンピースにも似た露出度の高い白い衣装に身を包んでいた。小柄な体躯とは対照的に豊満に実った乳房は、布地の薄い衣装と相まって非常に目に毒だ。
色々な意味で目立つ少女は、振り向いた姿勢のまま固まっていた俺に近付いてくると、その青い瞳でこちらを見上げてきた。
「もしかして、迷子かい?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
「って、うん? 君が手に持っているそれは……冒険者ギルドの紹介状じゃないか!?」
俺が持っていたギルドの紹介状を目にした少女は、その幼い顔に驚愕の表情を浮かべた。
紹介状がそんなに珍しいのかと思っていると、少女は食い入るように紹介状を見つめた後、飛び掛かるようにして俺の両腕を掴んできた。
「もしかして、君はボクのファミリアの入信希望者かい!?」
「は? え? ぼくの、ファミリア……?」
「そうさ! ボクのファミリア! ヘスティア・ファミリアに入信を希望してきてくれたんだろう!?」
突然のことで思考が追い付かない。
僕のファミリア。
ヘスティア・ファミリア。
つまるところ、俺の目指していた目的地はあのおんぼろ教会で合っていて、目の前で鼻息を荒くして興奮しているこの少女がヘスティア・ファミリアの主神であるヘスティアということなのだろうか。
何というか、全然イメージと違っていた。
主神が女神ということは聞いていたが、もっと大人びた、それこそ物語に出てくるような美しい女神をイメージしていた。
「な、何か思ってたのと違う……」
「し、失礼な!? 君が一体どんなイメージを抱いていたかは知らないけれど、ボクが正真正銘、女神のヘスティアなんだぞ!」
つい本音が漏れてしまった。
女神に対して失礼な発言だったとは思ったが、それにしたってあまりにもイメージと掛け離れていたのだ。正直、今だってぷんすか怒っている目の前の少女を女神だと受け止められていない自分がいる。
「そんなことよりも、君はボクのファミリアに入信してくれるんだろう?」
「まあ、そのつもりで来たけど……」
「やったー! 眷属一人目確保だ! どうだヘファイストスめ! ボクだってその気になればファミリアの一人や二人、直ぐにできるんだ!」
大丈夫なんだろうか。果てしなく不安である。
目の前で大きな胸を張って笑っている女神を前にして、本当にこれでよかったのかと疑問に思ってしまう。今からでも希望のファミリア変えられないかなという考えが一瞬だけ浮かんだ。
「さあ、そうと決まれば早速入信の儀式を行おう! ほらほら、こっちだよ!」
「ちょ、ちょ! 引っ張らなくても行くって!」
よほど眷属ができたことが嬉しかったのか、こちらの言葉も耳に入っていない様子でヘスティアは俺の腕を掴んだまま教会へと向かっていく。
まあ、喜ばれることに対して嫌な気持ちは抱かない。
とりあえず、これでようやく冒険者として活動していけるのだ。
今はそのことを素直に喜ぼうと思う。
◆
教会の中も外観に沿って荒れ果てていたが、どうやらヘスティアが普段から生活しているのは地下にある部屋らしい。
ヘスティアに引っ張られるまま地下へと降りてきた俺は、一先ず地下部屋が人の暮らせる最低限の環境だったということに安堵した。
とりあえず入信の儀式、というものを行った。
これで晴れてダンジョンへと潜ることができるとうわけだ。
しかし。
「……どしたの?」
恩恵を貰って、俺のステイタスを紙へと写してもらったのだが、どういうわけか神様はステイタスの書かれた神を見ながら無言になっていた。
声を掛けても反応しないし。いっそのこと胸でも揉んでやれば気付くだろうか、という考えも浮かんだが止めた。流石に冗談では済まない。
しかし、このまま無視されてはステイタスが見れない。何らかのスキルが発現したかもしれないのだ、気になって仕方がない。
まさか、俺のステイタスが悪いとかそういうことなんだろうか。いや、父親から聞いた話しによれば最初は誰でも似たようなステイタスだと言っていたし、それはないと思うんだが。
どちらにしろ、このままでは埒が明かないため、行動に出ることにした。
「おい、いい加減に気付け」
「――うぇあひゃあっ!?」
パァン、とヘスティアの顔の前で両手を叩いてやると、凡そ女神が……というか女性が上げていいような声ではない悲鳴を上げて、ヘスティアがひっくり返った。勢い余ってベッドから転がり落ちたヘスティアは、その顔に怒りの表情を浮かべて起き上がった。
「な、何をするんだい一体!」
「いや、何って。声掛けても反応しないから仕方なくやったんだよ。それとも胸揉んだ方がよかった?」
「いいわけないだろう!? 全くもう、君は神に対する敬意ってものが足りないよ!」
顔を赤くして、両手で自分の胸を隠すように抱きながらヘスティアが吠える。
敬意と言われても、第一印象がアレだしどうにも敬う気になれないのだが。そのことを言えばまた怒るのが目に見えているため、口にはしないが。
「それより、早く見せてくれよステイタス」
「う、え? あー……」
「え? 何、まさか本気でやばいステイタスなの……?」
ヘスティアの何とも言えない反応から、不安な気持ちが込み上げてくる。
あまりにも酷すぎて見せられないとか、そういうことなのだろうか。だとしたら、本気で泣きかねない。
「う、うーん、まあやばいと言えばやばいんだけれど……はあ、隠せるようなものでもないし、仕方ないか……」
「な、何だよ怖いな」
物憂げな感じで溜め息を吐いたヘスティアは「いいかい、このことを聞かれても絶対に誰にも言っちゃいけないよ」と強く言うと、手に持っていた紙を手渡した。
ドキドキと自分の心臓が振動しているのを感じながら、渡された紙に記された内容を見る。
ショウ・サイトウ
Lv.1
力:SSS…9999
耐久:SSS…9999
器用:SSS…9999
敏捷:SSS…9999
魔力:…I0
《魔法》
【】
《スキル》
【一拳必殺(ワンパンチ)】
・あらゆるモノを一撃で破壊できる
・任意発動
【限界超越(オーバードライブ)】
・魔力以外の能力値が常に最大値になる
・能力値に上限がなくなる
・あらゆる状態異常を無効化する
・魔力値が0で固定され、魔法が使用できなくなる
「な、なんじゃこりゃあああああ!」
叫んだ。
叫ばずにはいられなかった。
それはそうだ。いくらはじめてステイタスを見るのがはじめてだとは言っても、これが異常だということは俺にだってわかった。
「こっちが叫びたいくらいだよ! 一体どうなっているんだい君は! こ、こんなの、今まで見たことも聞いたこともないよ! 明らかにLv.1のステイタスじゃない! というか、この都市で一番高いレベルの奴だってこんな馬鹿げた能力していないよ!」
うがー!っと髪を掻き乱しながらヘスティアが叫んだ。
「いいかいショウくん! 絶対にこのことは誰にも話しちゃ駄目だからね!」
「え? 何で?」
「何でって、決まってるだろう! こんなスキル、誰かに知られたら絶対に大変なことになるに決まってる! だから絶対に! ぜええええったいに誰にも言っちゃあ駄目だからねっ!」
「わ、わかった」
興奮してるんだか怒ってるんだかわからない形相になったヘスティアが鼻と鼻がくっつくような距離まで顔を近付けて念を押してきた。
しかし、一体どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
まさか、村で鍛錬していた成果なのだろうか。
だとしたら、あの地獄のような日々が目に見える形でこうして現れてくれたことに喜びを感じる。
「にしても、魔力は0か……魔法も使えないって書いてあるし、残念だ。魔法とか憧れてたんだけどなぁ」
「ただでさえデタラメなのに、魔法まで求めるのかい……?」
呆れたようにヘスティアがジト目で見てきた。
確かに、これ以上求めるのは欲張りってもんだろう。これでも十二分に欲張り過ぎだとは思うが。
「初日からボクはもう疲れてしまったよ……」
「これから長い付き合いになるんだし、しっかりしてくれよ」
「原因は君なんだけどね……。まあ、なってしまったものは仕方ないか。愚痴を言っても仕方ないんだし、前向きに考えていこう」
そう言うとヘスティアは「それに」と続けて笑顔を浮かべた。
「今日は記念すべき眷属一人目の入信した日なんだ! 今夜は豪華な食事でも振る舞って盛大に祝おうじゃないか!」
「おお、豪華な食事! それは楽しみだな!」
「ふっふっふ、期待してくれ給えよ?」
ニヤリ、と顎に手を当ててドヤ顔を決めると、ヘスティアは部屋の隅に置いてあった袋へと歩いて行き何やらごそごそと物を取り出しはじめた。
そして徐ろに取り出した物を見せ付けてきた。
「じゃーん! 今日はバイト先から余ったじゃが丸くんを沢山貰ったのさ! だから今夜は、芋パーティーだよ!」
「あっ、そっすか……」
いや、何となく予想はしていたんだ。
こんなおんぼろ教会の地下に暮らしているのに、豪勢な食事が出るわけなんてないって。
俺が入るまでは一人もファミリアなんていなかったわけで、そうなると当然稼ぎに出掛ける冒険者もいないわけで、必然的に金などないという結果に行き着くわけだ。
着々と皿にじゃが丸くんとやらを盛り付けているヘスティアを見ながら、とりあえず当面の目標は金策だな、と現在の生活事情をまともなレベルまで引き上げることを俺は決めた。
主人公の母親は極東出身という設定です(後付け
だから主人公の名前が日本人っぽいんです(真顔
ちなみにネーミングはてきと(ry
突貫作業だっからね、名前に特に意味はないよ。
ありきたりで地味な感じの名前にしようとは思ってましたがね。最初はタロウにしようかと思ってましたし、マジで。