ダンジョンで最強になるのは間違っているだろうか 作:こーわん
とりあえずぱぱぱっと書いたんで上げときます。
というか、一話目って何気に8000文字越えてたんすね……。寝ぼけながら投稿したからちゃんと見てなかった。
今回はそんなに文字数多くないです。一話の半分くらいかな。
起きた。ヘスティアが腹の上にのし掛かるように寝ていた。
「なんか重いと思ったら……」
呆れながら、未だに眠ってるヘスティアを起こさないように退かして横になっていたソファーから立ち上がる。
昨日は何だかんだで芋パーティーという名の歓迎会を終えて、そのまま眠ったわけだが、今日からは冒険者として活動をはじめるつもりだった。
まずダンジョンへと向かう前に冒険者ギルドに寄ってファミリアに入信したということを報告しなければならないが、それが済んだら少しだけダンジョンに潜ろうと思っている。昨日見たステイタスの能力値は確かに異常とも言えたが、実感したわけではないしその確認の意味も込めて、ではあるが。ついでに金稼ぎもしたいし。
軽く身支度を整えて、まだぐーすか眠っているヘスティアをそのままに地下室から出て行く。
朝焼けが明るく照らす街並みを歩きながら、今後の目標を考える。
一番の目標は、相変わらず英雄になるということではあるが、当面の目標はやはりまともな暮らしができる程度の賃金と住居の確保、だろうか。流石に、いつまでも芋だけ食べて地下室で暮らすというわけにはいかないだろう。
ダンジョンに入る前から問題が山積みだ。まあそれは小規模なファミリアの生活事情を深く考えていなかった自分の落ち度だと思うことにした。ヘスティアが特殊なのかもしれないが。
朝から活気ある商店街の区域を抜けて一度中央区へと入り、冒険者ギルドのある北西のメインストリートを進んでいく。冒険者が数多く通ることから冒険者通りとも呼ばれているこの大通りには、ギルドの他に道具屋や鍛冶場、治療院なども存在しているらしい。昨日貰った地図に色々と載っていた。
まだ見慣れていない街並みを眺めながら進んでいると、暫くして冒険者ギルドへと辿り着いた。
中に入って、昨日と同じように冒険者登録受付と書かれた場所へと向かう。
「あの、ファミリアに入ったんでその報告に来たんですけど」
「はい、ではお名前をお教え下さい」
「ショウ・サイトウです」
「ショウ・サイトウ様でごさいますね。かしこまりました、では少々お待ち下さい」
そう言ってギルドの職員は奥へと消えていった。
ぼうっと受付前で佇みながら、ダンジョンに必要な道具とかあるのだろうか、と考える。怪我をした時のために回復用のアイテムは勿論のこと、防具やらなんやらも必要になってくるだろう。とはいえ、まだ無一文のため買えないのだが。
どの道、今日は防具もアイテムもないままダンジョンに潜らなければならないということになる。
武器に関しては、正直剣すら持ったことがないため上手く扱える自信がない。村に住んでた頃は肉体の鍛錬ばかりしていて、剣術とかを練習したことはない。というかそもそも、家に剣がなかった。あったとして、精々が農業に使用していた農具くらいだ。流石に農具で戦うわけにもいかないだろう。鍬を持ってモンスターと戦うとか、絵面的にも嫌すぎる。
しかし、武器がないとなると、やはり素手で戦わなければならないのか。村で獣相手にしてた時も素手だったが、それがダンジョンのモンスターに通用するのかどうかは怪しい。その辺の検証もしないといけないだろう。
せめて、今日はきちんとした食事を取れる程度の稼ぎはしたいもんだ、と思っていると職員が戻ってきた。
「お待たせ致しましたサイトウ様。ご希望されていたヘスティア・ファミリアに入信された、ということでよろしいでしょうか?」
「はい」
「かしこまりました、それでは所属ファミリアをヘスティア・ファミリアとしてサイトウ様の冒険者登録を完了させて頂きます。続きまして、サイトウ様の担当となるギルド職員が一番の受付にいらっしゃいますので、お手数ですがそちらまでお越し下さい」
「わかりました。どーもお世話になりました」
礼儀として頭を下げて、言われた通り一番の受付まで向かう。
それにしても担当職員か。冒険者にはそれぞれギルドから担当職員が付いてダンジョンについてのサポートをしてくれるらしいが、俺の担当になる職員は一体どんな人物なのだろうか。できれば、女性の方がいい。男なら、野郎より女性が担当してくれた方が嬉しいに決まってるだろう。
そうしてやってきた一番の受付カウンター。カウンターの向こうに座っているのは幸いにも女性の職員だった。
職員は目の前にやってきた俺に気付くと微笑みを浮かべた。
「いらっしゃい。あなたがショウ・サイトウ君ね。私が担当職員よテレサ・アデレージよ、よろしくね?」
「はあ、どうもよろしく」
どこか妖艶な雰囲気を纏ったテレサ・アデレージと名乗った職員は、微笑みを浮かべたまま担当職員の役割についてや、ダンジョンに入る際の注意事項などを教えてくれた。
「それで、ショウ君はこれからダンジョンに向かうつもりなのかしら?」
「まあ、そのつもりですよ。自分の力試しもしたいし、金も稼がなきゃならないんで」
「そう、なら気を付けてね?ダンジョンの注意事項は教えたけれど、何が起こるかわからないのがダンジョンだから、危険だと感じたら直ぐに逃げること。冒険者は冒険してはいけない、っていうことを強く念じておいてね?」
「了解でーす」
「それじゃあ、私からの説明はこれでおしまい。ダンジョンの攻略、頑張ってね?」
そう言うテレサさんは笑った。
◆
冒険者ギルドを後にした俺は、さっそくダンジョンへと来ていた。
ダンジョンの中には、薄い青色の岩に囲われた通路が広がっていた。ダンジョン内は通路が複雑に枝分かれしており、入り組んでいる。現在は五十八階層までダンジョンが攻略されているらしく、攻略されたダンジョンの階層はそれぞれ階層毎に地図化されているため、道に迷うことはない。
現在、俺のいる一階層には主にゴブリンやコボルトといった低級のモンスターが生息しており、冒険者になったばかりの初心者は暫くここに篭って能力値の更新に努めるのが一般的だと言う。
モンスターとの戦闘は、大きくわけて二つあると聞いた。
純粋にモンスターの体力を削って倒す方法と、モンスターの魔石を砕いて倒す方法だ。
あらゆるモンスターの体内には魔石という特殊な鉱石が存在しており、その魔石はモンスターの弱点でもある。しかし、魔石というのはモンスターの弱点であると同時に換金アイテムでもあるため、金稼ぎが目的の場合は、なるべく魔石を破壊しないようにモンスターを倒して回収するのが好ましいだろう。魔石を砕けばモンスターは倒せるが、魔石を回収できなくなってしまうのだ。
今日は金稼ぎも兼ねているので、無理のない範囲でなるべく多くの魔石を回収したいというのが本音だ。
「お、あれがモンスターか?コボルトってやつか」
暫く道なりにダンジョンを進んでいると、通路の先にモンスターが一匹徘徊しているのが見えた。
コボルトとは、狼の顔をした二足歩行の人型モンスターだ。攻撃手段として、主に鋭い牙や爪での繰り出してくるらしい。
通路を徘徊していたコボルトは、俺の存在に気付くと威嚇するように唸り声を上げ俊敏な動きで突撃してきた。
俺も直ぐさま拳を構え、迎撃態勢に入る。
これがモンスターとのはじめての戦闘だ。
しかし、恐怖感は全くない。胸の中を占めているのは高揚感だ。
俺は、これから行われる戦いを楽しみにしている。
自分でも、口元がニヤけているのがわかる。
心臓の鼓動が、自分でもわかるほど大きく高鳴っている。
「グオオオオッ!」
瞬く間に距離を詰めてきたコボルトが、吠えると同時に鋭く生えた牙と爪を向けて飛びかかってくる。
しかし、遅い。
その一挙手一投足が、俺には全て見えていた。
握りしめた拳を引き絞り、一歩、前へと歩を進める。
技術などない。
ただ、目の前の敵を殴るための不格好な構えだ。
でも、それが俺の戦い方だ。
限界まで弦を張り詰めた弓のように、限界まで振りかぶられた右腕を放つ。
矢のように放たれた拳は音を置き去りにして、コボルトへと直撃した。
瞬間。
目の前にいたはずのコボルトは木っ端微塵に消し飛び、ダンジョンの中を地震と紛うような衝撃が襲った。
拳を振り抜いた先、コボルトの後方に広がっていた通路の壁には大きな亀裂が広がっていき、天井の壁が一部ガラガラと崩落してきた。
「……え?」
拳を振り抜いた姿勢のまま、俺は目の前の光景に呆然とした。
そして、一言。
「や、やべぇ、もしかしてやり過ぎた……?」
ぽつりと呟かれた焦りの言葉に返事を返す者は誰もいなかった。
◆
襲い来るコボルドの群れの猛攻を掻い潜りながら、隙だらけの胴体に、顔面に拳を叩き込む。軽いジャブ程度の気持ちで放った拳は、それでも驚異的な速度と必殺の威力を併せ持ち、瞬く間にコボルト達を屠っていった。
ダンジョンに潜りはじめてから、既に数刻経っただろか。最初の内は力加減に慣れず魔石諸共モンスターを吹き飛ばしていたが、戦い続ける内に加減が少しだけわかってきた。
まあ結局、撫でるように触れるだけでモンスターは吹き飛んでしまうのだが。
「はあ、そろそろ帰るか……」
周辺にいたモンスターは粗方殲滅し終えた。何となく自分の力も理解できたし、魔石も十分に回収した。
何だか思っていたような戦闘とはだいぶ違ったな。これじゃあ、戦闘というよりは一方的な虐殺に近いような気がする。上層のモンスターだし、こんなもんなんだろうか。
「ん?」
地面に落ちた魔石を回収していると、視線の先に何やら冒険者の団体が進行していくのが見えた。
「遠征ってやつか?」
ギルドでテレサさんに聞いた話を思い出す。
何でも、規模が大きく高レベルの冒険者が所属しているファミリアは、ああして集団でダンジョンに潜り、日数を掛けてダンジョンの攻略を行うらしい。上層なら少人数のPTで問題ないが、ダンジョンの一定の階層毎に存在している階層主の討伐などを行う際にも、ああして大人数のPTを形成して討伐を行うのだとか何とか。
「てことは、あいつらも結構レベル高いってことか」
見たところ、年端のいかぬ少女の姿もちらほら伺えるが、見た目と違ってレベルはそれなりに高いのだろう。
そうして通って行く冒険者の一団を眺めていると、その中の一人と目が合った。
長い金髪から覗く金色の双眸が、一瞬だけ俺の視線と交わり合う。細身の体躯に身軽さを意識した鎧を纏い、細身の剣を腰に携えた少女だ。
年齢は俺よりも年下だろう。人形のように整った顔立ちをした少女は一瞬だけこちらへと顔を向けると、何事もなかったかのように直ぐに視線を前方へと戻した。そして集団に混じってさっさと通路の奥へと歩いて行ってしまった。
「ああいう女の子も冒険者だっていうんだから、世の中物好きな人間が多いのかねぇ」
冒険者になる人間の数は多いが、内容は命懸けの仕事ばかりだ。割合的には男の数が圧倒的に多いが、少数とはいえ冒険者として活動している女性もいる。勿論、年齢問わず、だ。
まあ、物好きという点では、俺も人のことは言えないだろうが。
英雄になる。
そう心に決めてはいるが、明確な手段はまだ見つかってないのが現状だ。冒険者にはなったが、それで活動していけば英雄になれるのかというと、正直なところ全くわからない。しかし、他に手段を知らないのだ。
だったら、自分が思うように我武者羅にやっていくしかないだろう。
自分が思うように進んでいく。
人生というのは、そういうものだ。
「何はともあれ、こんだけ魔石を集めれば今日はまともな飯が食えるだろ」
魔石が詰め込まれた腰袋を見ながら呟く。
どれくらいの数を拾ったのか数えてはいないが、多分、百は超えていると思う。
換金が楽しみだ。
ほくほくとした顔を浮かべて今晩は豪勢な食事をしようと決めて、俺はダンジョンを出て行った。
あんまり長々と書いてもグダってしまうので、多分これからは平均四千~五千文字くらいの少ない文章量になるかもしれないです。
まあ、自分でも少し地の文が多い気がするからそれくらいでいいのかもしれない。