Fate/idea by reflection 作:mu-san
他の方々の作品を見てると自分の作品短い!と落胆してしまいます。
それではごゆっくり読んで行ってください。
お父様とお母様と離れてもう10年だ、とても長い10年だった。
今思えば年端のいかない少女が1人でここまで魔術を高めながら生きてきたなんて、我ながらよくやってこれたものだ。時に折れそうになったがそれでも歯を食いしばって生きてきた。だがその努力が実る時が来たのだ。今夜から私の人生が意味を持つ。
そう思いながら私、遠坂凛は準備を着々と進めていた。魔導書に宝石様々な魔術に関わるものが置いてあるこの部屋は私にとってお気に入りの場所だった、以前お父様が使っていた部屋を真似て作ったのだが、とても気に入っている。そんなことを考えているうちに部屋の中心にある目的の為の描かれた魔方陣が完成した。
「ついにこの日が来たんだ。」
そう改めて思うと胸にこみ上げてくるものがあった。
ようやく全ての工程が終了し、大きく深呼吸をする。私はこの日名門遠坂の代表として聖杯戦争に参加する。緊張、、なのだろうか少し体が浮くような妙な感覚が全身を覆う。だが、少しずつ感覚を研ぎ澄まし、集中を最大まで高めるとその感覚は和らいだ。そして、、
召喚の詠唱を始めた
素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
―Anfang(セット)。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
詠唱が終わると魔方陣は大きく光だし、その光は部屋全体を包み込んだ。
ただ、、、何も起きない。あまりことに少しめまいがした。失敗した。そう思った時上の階からとんでもない音がした。まさかもう敵襲なのかと疑い慎重に階段を登って行った。そして真上のリビングにしている部屋に行くと音の主がこちらを見ていた。
「やれやれ、こんな召喚のした方をされるとはな、多少不満ではあるが、マスターがこんな可愛いこちゃんなら許してやろう。それに、、ハードなプレイも嫌いじゃない。」
そうやって初対面からセクハラをかましてくるこの男、赤いロングコートに銀髪碧眼のこの男が、、私のサーヴァントらしい、、、
また、、めまいがした、、、
「おいおい落ち着けって、これから一緒にやって行くんだから仲良くしようぜ。なぁ?」
そう言ってにじり寄ってくる軽薄な男に、、と言うか認めたくはないが自分のサーヴァントに嫌悪感を感じて5分が経過していた。私は近づこうとするこいつにガンドを放つ体制をとったまま近寄らせまいとしていた。
「いい?それ以上近づいたら本当に打つから!」
「分かった!分かったから、手を降ろせよ、危ないだろう。」
「近づくなって言ってるでしょ!さっきより3センチ近いじゃない!気づいてんのよ!」
「全く、冗談だってのに、、だいたい俺はもっとグラマラスな、こう、、」
そこまで言ってもう怒りが爆発した。本気のガンドをお見舞いしてやったが耳元をかすめて外れた。
「ちょっと、壁に穴が開いたじゃない。避けないでよ。」
「OK、OK降参」
そう言ってサーバントは手をヒラヒラさせながらポロポロになったソファに腰を下ろした。いちいち神経を逆なでする。
「さあ、作戦会議をしようぜマイマスター」
私の聖杯戦争が、10年間の集大成が、最悪の形で始まった。
ここは高いビルの屋上、凛は冬木のすべてを見通すことのできるこの場所でサーヴァントのアーチャーとともに聖杯戦争の第一手を打とうとしていた。
「とにかく敵を知らないことには何も始まらないわ。偵察ついでに相手を誘き出してみるわよ。乗ってきたらできるだけ相手を見極めることに集中するわ。危なくなったら、」「すぐ離脱。」
アーチャーが凛の言葉を遮るように入ってくる。
「何度も確認しただろう、耳にタコが出来ちまう。それに離脱なんてしなくても俺がいればどんなサーヴァントも簡単に仕留めちまうぜ。」
そう言って人差し指と親指を立てて、BAN!、とおどけているアーチャーを見て呆れる凛。やはり気に入らない、こういうチャラチャラした類の男はこれまで避けていたがサーヴァントであるならしょうがないと半分諦めていた。だが何より気に入らないのは、、、
「あんたいい加減真名を教えなさいよ。マスターの私に教えないなんてどう言うつもりよ。」
「いいだろう別に、自分で考えた方が楽しいと思わないか?ん?」
「これは戦争なのよ遊びと違うの。そんな中で楽しいだなんて。」
本当に何を考えているのか、
見た目は正直凛の想像していたサーバントとは大きく異なった。伝説の英霊が呼ばれるのだからきっと伝統の衣服を着て、紳士で、料理もできて、そんなことを想像していた自分が恥ずかしくなるほど目の前の男は期待はずれだ。
アーチャーをもう一度しっかりと観察してみる、銀髪に碧眼、眼が覚めるような赤いロングコート、その姿は伝説の英霊、と言うにはあまりに現代的で、それがますます凛を混乱させたのだ。
「なんだ?そんなに俺を見て、まさか惚れたか?」
それにこの飄々とした態度、これが英霊なのだから聞いて呆れる。もはやつっこむ気も起きない。そう思いながら額に手を当ててうつむくのだった。その様子を見て流石にアーチャーも思うところあったのか。行動を始めようとしていた。
「それじゃあ始めようぜマスター。」
そう言うと凛を抱え上げ、夕陽が沈みかけた街へ、ビルの屋上から飛び出した。アーチャーは凛のが少し驚くんではないかと思ったがどうやら普通の女子高生ではないようだ。その姿は余裕がある。十代にして聖杯戦争に参加するのは伊達ではないようだ。それほどまでにこの少女を動かすものはなんなのだろう。少し当たりを軽くしてやろうと密かにアーチャーは思った。
「この調子で少しずつ魔力を放出しながら行って。」
「了解。」
「それにしても、こんな奴が初めてのお姫様だっこの相手なんて、最悪だわ。」
「口の減らないマスター様、、、」
とアーチャーが言いかけた時に彼の肩は焼かれていた。それは下からの攻撃でまるでSF映画のような光線だった。
「アーチャー!」
くるくると回りながら凛とともに落ちていくこのままではまずいと思った時アーチャーが立て直し、丁度真下にあった凛の通う高校の校庭へと降り立った。
「あんた傷は平気なの?!」
「この程度なんてことないだろ。あーあーお気に入りのコートが焼けちまった。」
「そんな、いくらサーヴァントでもあれほどの傷を一瞬で、、」
「よかったな俺の正体のヒントが一つ増えた。」
それもそうだこんなに傷が早く治癒するのは彼の逸話に何かあるのだろう。
「へー、俺特性のレーザー砲でも死なないか、魔術の類じゃないから感知されないように出来てるし。一撃で仕留めたかったんだけど、、まぁモルモットとしてもっと頑張ってもらうよ。」
そう言って校庭の端っこ、暗がりから現れたのは髪のない言わばスキンヘッド、そして学生服、いわゆる学ランと言うものを肩にかけている。そして異様な深紅の槍、それだけでサーヴァントとだと分かるのだが、何より異常なのはその額に鈍く光る瞳だった。
「記念すべき最初のサーヴァントがまさか子供とはな、まぁいい遊ぼうぜ。」
「気を付けて、槍を見るからに奴は恐らくランサー、子供と思って油断しないでよ。」
凛がそう言うとアーチャーはコートの中から2丁の銃を取り出した。これが彼のアーチャーたる理由なのだろうか。
「銃かしかもオートマティック、結構最近死んだのかいあんた。」
「さぁな、銃に見えるだけで違うものかも知れないぜ。」
「じゃあ、確かめてやる!」
その一言で2人のサーヴァントの戦いは始まった、アーチャーは銃を連射し、敵を近づけない、対してランサーも槍を上手く使い弾丸を避けていく。校庭に流れていく弾が当たった箇所は銃とは思えない破壊力を持っていた恐らく魔力を込めた弾なのだ。凛が冷静にこの場を分析していると、一瞬アーチャーの弾幕が薄くなった、ランサーはその隙を逃さず一気にアーチャーへ突進する。だが凛には見えていた、アーチャーの口元が緩むのを。アーチャーはどこからともなく取り出した大剣で突進してくるランサーの槍を受けたのだ。
「ほう今のをしっかり受けるか、本当にただの子供じゃないみたいだな」
「あんなに分かりやすく誘っておいて何を抜かす」
再びランサーは距離をとると槍を構えた、対してアーチャーは肩に大剣を担ぎ楽そうにしている。その大剣は持ち手にドクロの装飾が施してありなんとも不気味であった。
凛にはこの時点で彼の正体が分かった。2丁の銃、そしてドクロの大剣、彼は50年ほど前に悪魔が巣食う街に現れては悪魔を狩っていた伝説の悪魔狩人、『ダンテ』だ。突如姿を消したとは聞いていたがまさか死んでいたとは思いもしなかったようだ、少し唖然としている。
「どうした?続けようぜ」
ランサーを挑発するアーチャー。その時だった。
校庭の隅の方から物音が聞こえた、どうやら一般人が迷い込んでいたようだ。音に気を取られていたアーチャーの前から気づかぬうちにランサーが消えていた。そして物音の方へ全力で向かっていく。
それは一瞬だった、ランサーはこの戦いを見ていた赤みがかった茶髪の少年を容赦なく殺していた。
「こんなとこで見ているのが悪いんだぜ」
そのまま少年は動かなくなった。
凛はあまりに早すぎる出来事に頭がついていかなかったがすぐに悟った、私が周りの警戒を怠ったから一般人が1人死んだ。そう思うともう走り出していた。それを見たアーチャーはやれやれといった感じだ。
「こいつ人の顔を物珍しそうに見ながら死んでいきやがった。気分が悪いぜ」
そう言い残すとランサーはアーチャーに一言二言言葉をかけてから消えていった。
静まったかに思えたこの場にまた、次は凛の悲鳴が響いた。
「ちょっとこれどうゆうことよ!!!こんなのあの子になんて言えば!」
何か急いで用意しているようだ、赤い石を取り出すとプツプツと言葉を並べていく。アーチャーはすでにいなくなっていたが凛はそれに気づかないほど集中していた。
そして凛の呪いが終わる頃殺されたはずの少年の顔に生気が戻っていた。一命を取り留めたのだ。
こうして彼女、遠坂凛の待ち望んでいた非日常は始まった。
というわけで2話でした!
とりあえずアーチャーは【デビルメイクライ】よりダンテです!
前からなんとなくアーチャーとかぶるなーなんて髪の色と服の色だけで判断していました。
そしてランサーは明かされてはいませんがもうお分かりですよね?
こんな感じです!
では、また3話で、