自分自身の語彙の乏しさと文章力の無さに辟易しながらもとりあえず上げてみました。
エリックが街に着いたは既に22時半を過ぎた頃だった。
(しまった。予定よりも少し遅くなってしまった。)
エリックはそう思いながら足早に街の中心部を目指し綺麗に並んだ石造りのタイルの街道を歩く。
最終日の仕様で敵モンスターが襲ってこないのをいいことに最後の光景を目に焼き付けようと色々な場所へ飛び回り、思い出の場所巡りなどしてしまったせいで思いの外時間が掛かってしまった。
少しばかり自責の念に駆られながらもエリックは歩を進めた。
街では既に最終日のパレードが行われていた。
最後ということもあり街には沢山のプレイヤーの姿があり、至るところで花火が上がっており、最終日の報告と今までの感謝を告げるアナウンスが繰り返し流されていた。
そんななかエリックが街の中心にある広場へ向かい街道の真ん中を歩いていると、ふと遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おーい、エリックさーん!」
自分を呼ぶ声に反応し声のする方向へ目をやると、広い街道の端から、こちらに向かい手を振る見覚えのある巨大な全身鎧を着用したプレイヤーがいた。
「あれ?もしかしてFスピさんですか!?」
エリックが尋ねると『Fスピ』と呼ばれたプレイヤーは小走りで向かってきた。
「やっぱりエリックさんだったか!いや~お久しぶり!」
そう言いながらFスピは巨体を揺らしながら
エリックの方へ近づいてくる。
ゆっくりと、しかし着実に進んで来る
その姿はさながら重戦車のようであり独特の威圧感がある。
Fスピが近くまで寄ってくると、その身長2メートル強はあろうかという巨躯を見上げながらエリックは挨拶をする
「いやー本当にお久しぶりですね!Fスピさんも来てらっしゃってたんですね」
と、エリックが嬉しそうな声で言うと
Fスピもまた再会を喜んでいるようで笑いながら答える。
「ハハハ、最終日ですからね!そりゃ来ますよ!これでもユグドラシルのプレーヤーですからね!」
Fスピはそう言うと笑顔のマークの付いたアイコンを出しながら、久しぶりに会った嬉しさからなのか多少大袈裟なジェスチャーを交えてFスピは喜びを表す。
「いやはや、本当に久しぶりですね!まさか最後の最後にエリックさんに会えるなんて!おっ、ちゃんとゲイルもいるんですね」
そう言いながらFスピがエリックの顔の横にむかい視線を向ける。
エリックがその視線の先を見るといつの間にか左肩にゲイルがとまっていた。
エリックが一定時間その場にとどまっていたので自動的にそうなるようにAIが設定されていたためである。
「ええ、今日で最後なんでコイツも一緒に過ごさせてやろうと思いまして」
いつもやっていることのように、肩にとまるゲイルの羽をさりげなく撫でながらエリックはそう答える。
そんな様子を見ながらFスピは腕を組みながら言った。
「いや~いいですね~、最終日に今更言うのもなんですが俺もNPCの1体でも作っときゃ良かったな~」
「ハハハ、そういえばFスピさんは生粋のタイマンプレイヤーでしたもんね」
そうエリックに言われると、Fスピはじゃれたような声で答えた。
「いやいや、別にタイマンを好きでやってたわけじゃないんですよ~。ただNPCを作るのが面倒くさかっただけで、それに基本的に俺は他のプレイヤーと組んで行動することが多かったからNPCの必要性が無かったし、ソコんところはエリックさんもよーく知ってるじゃあないですか~」
「いやまあ、それもそうなんですけどね」
久々に会った旧知の仲にありがちな何気ない会話が続く
Fスピこと『ファイティングスピリット・オールマックス完全燃焼!』とエリックは、その昔頻繁にパーティーを組む仲の良いプレイヤー同士だった。
元々はエリック、Fスピ、そしてもう一人『桜田ファミリア』加えた3人でよく探索や素材集めに勤しんだのも今となっては良い思い出だ。
この3人のパーティーの特徴は一言で言ってしまえば、シンプルかつスタンダードな構成である。
端的に言うと『ユグドラシルで冒険・探索するならこれくらいの能力を持ったメンツは最低限欲しいよね』的なグループ構成だった。
Fスピの種族は『ミノタウロス』でありステータスも見た目通りの完全脳筋パワータイプである。
ほとんどの能力やスキルを近接ごり押しのものばかりで固めていて、エリックのチームの絶対的前衛アタッカーとして活躍していた。
桜田ファミリアは隠密タイプのキャラメイクをしており更に種族が『コボルト』であったため、その種族特性である嗅覚を生かしたスキルや能力で先行偵察の役目を担っていた。
エリックはというと完全な回復補助要員であった。
回復、状態治療にバフ、デバフなどの戦闘補助はもちろんのこと
道中の各種アイテムなどの調合や合成、武器防具の修復や改造、その他料理やスクロール製作など多岐にわたることをどこでも行えたためダンジョン探索や補給のしづらい長距離の移動を伴う冒険の際には大いに役立っていた。
しかし、それだけのことができる一方でエリック自身はほとんど攻撃魔法やスキルは修めてないと言ってもいい状態であったので、攻撃面に関しては同レベルプレイヤーの中では最底辺ランクと言っても過言ではない。
亜人種である他の2人と違い、エリックは人間種であったため種族レベルというものが無く、その全ての職業レベルを補助や製造・加工に特化した構成にしていた。
『ユグドラシル』で補助型プレイヤーというのは少ない方とはいえエリックほど非攻撃型に偏った構成は珍しいタイプであった。
ソロプレイなどをするにあたって最低限の攻撃の手段が無ければ相当レベルの低い敵が出てくる地域で無ければロクに進めないは当然だからだ。
隠密系の職業を修めていれば、ある程度の戦闘回避もできるがそれにも限界はある。
ではなぜエリックがそういった職業構成になったのか。
理由はごく簡単である。
エリックは単純に戦闘が下手だったからである。
故に基本的には他のプレイヤーにくっついて行き
戦闘中は援護や補助に徹して敵を倒してもらうという通称【小判鮫戦法】をとり、今までこの『ユグドラシル』の世界で活動していた。
元々『ユグドラシル』を始めたエリックの最初の職業は『シーフ』。つまり盗賊であった。
理由は同じく始めたばかりの他の仲間の職業が戦士や魔法使いなどRPGにありがちな職業は全て取られてしまっていたためである。
特に職業が被ってはいけないという決め事は無かったのだが、自分自身他の皆とは違うオリジナルなキャラが欲しかったということと
それに金を手に入れるのに苦労が無さそうという安易な理由で選んだのだ。
だが、それはあまり良い選択ではなかった。
『シーフ』はスピードこそあれどパワーも耐久力も低く初期に選ぶ職業としては少し難易度が高かった。
それにプラスして『ユグドラシル』は基本自由度の高いゲームである。
その概念は戦闘に置いても変わらなかった。
戦士職ならばただ敵に向かい前進攻撃あるのみなので行動を躊躇をする必要がないが『シーフ』であるエリックはそうもいかない。
『シーフ』の闘い方は基本的にはヒット&アウェイである。
隙をみて攻撃をし反撃をくらう前に退くという臨機応変な闘い方を前提にしていた。
エリックはこれがどうも苦手だった。
攻撃のタイミングを間違えて逆に攻撃されたり、逃げる方向を間違えて敵の挟み撃ちにあったり、タイミングを見計らってるうちに戦闘が終了したりなど
そういったことがしょっちゅうだった。
ぶっちゃけ当時のエリックは完全な足手まといだった。
そんなこんなでエリックが足を引っ張っているうちに仲間に助けをもらいながらも、なんとかレベルを上げ他の職に就ける段階にこぎつけた。
そして次にエリックが選んだ職業は『プリースト』だった。
『プリースト』は回復や治療のエキスパートの職業である。
これを選択した理由は単純にパーティーの回復役が足りなかったからだ。
エリック自身、前線で無駄にあくせく動き回るよりかは仲間の援護にまわったほうが役立つと思い迷い無く選んだ職業だった。
その効果はてきめんで治療魔法を覚えたエリックはパーティーのお荷物から貴重な回復要員に一気にステップアップしたのだった。
これに味をしめたエリックが次になった職業は『ファーマシスト』だった。
『ファーマシスト』は薬師であり非戦闘職のひとつである。
戦闘に関してはからっきしだが職業特性でアイテムを調合できるようになるので、ダンジョンなどでの回復アイテムの補充や攻撃支援アイテムの作成ができたため
エリックのパーティー内でのポジションは更に上がりチームの要とまで言われるようになっていた。
最早この頃のエリックには自分で戦うという意思は既に無く、いかに仲間の援護をするかに重きを置いていた。
それが自分にできる最良の選択であると思っていたし、同時にそれ以外自身がパーティーの中で役立つビジョンが想像出来なかったのである。
そうしていくうちにエリックの職業は周りが求めているものに合わせてどんどん変わっていき
レベルがカンストする頃には職業レベルのほとんどを補助非戦闘型の職が占めてしまい
ロールプレイなどの制約を全くしていないにも関わらず、ただの『便利なザコキャラ』が出来上がってしまったのである。
ちなみにエリックが修めている職業のその大半が下級職と呼ばれるものであり、本来『ユグドラシル』においてレベルの全てを下級職で埋めるのは悪手とされていることである。
PVPを前提とした『ユグドラシル』においてレベルアップ時のステータス上昇値が高い上級職を修めるなどして最低限の戦力を持っておかないと他プレイヤーに一方的に攻撃を受け貴重な装備品やアイテムなどを奪われる危険性が高まるからである。
エリック自身、今までPVPをけしかけられて勝てた記憶は無い
あわよくば戦わず逃げれれば御の字だった。
PVPで得をすることはまず無い
だがエリックはそれでも自身のキャラメイクに後悔は無かった。
エリックには好きな言葉があった。
「適材適所」という言葉である。
自分自身の活躍する場はあくまで補助役である
確かに自分はザコキャラではあるがそれで終わるつもりはない
自分は『便利な』ザコキャラなのだ。
よくわからないプライドがそこにはあった。
頭の中の話を文章化するのは本当に難しい。
他の方の作品も拝見させていただくと、すごいものばかりで勉強になります。
あとちょっとずつ修正などもしていきますw