不思議なヤハタさん   作:センセンシャル!!

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今回はフェイト視点です。


十三話 協力 (あとがきにサポート紹介あり) ★

 ミコトの提案を飲み、協力関係となったわたし達は、その日は八神邸で夕食を食べた。なのは達も一緒で、大人数での食事は賑やかだった。生まれて初めてだったかも。

 食事ははやてがメインになって、ミコトが副菜を何品か、そしてブランが補助に入って作ったらしい。……ミコトって、料理も出来るんだ。ちょっと意外かも。

 聞いたところ、家事全般は女として当たり前と言われた。……あれ? ひょっとしてミコトって、実はわたしより女らしい? ちょ、ちょっと危機感を覚えないとまずいかも。

 なのはもかなりのショックを受けていた。彼女は出来て部屋の掃除と洗濯物干しぐらいだそうだ。わたしよりはマシだった。本格的にマズいかもしれない。

 ……よし。この事件が終わったら、家事の勉強をしよう。人知れず、そう決意した。

 そしてこの話題は藪蛇(この世界のことわざで、迂闊な発言で危機を招くことを意味するらしい)だったらしく、はやてがとある事実に思い至る。

 

「……なー、フェイトちゃん。家事出来ないんなら、普段何食べとるん?」

 

 ユーノがテーブルの上でカタカタ震えながら「オカンだ! オカンが出た!」と言っていた。意味は分からなかったけど、このはやてが脅威であることは分かった。

 嘘は一切許さない。そんな雰囲気に圧倒されながら、わたしは正直に答えた。

 

「えっ、と。カップ麺とか、レトルト食品とか。この世界って、そういう食事が充実してていいよね」

「いい、わけ、あるかあぁっ!!」

 

 雷が落ちました。涙目になってアルフと身を寄せ合う。アルフもわたしと同じような食生活だから、一緒になって怒られている。

 

「なんやそれ!? そんなん食事言われへんわ! 栄養偏って体ボロボロになるでぇ!? よく見たらフェイトちゃん、爪の色悪なっとるやん! あかんわ!」

「だ、大丈夫だよこのぐらい! 戦闘訓練はちゃんとしてきたし……」

「訓練してきたなら体は資本やってなんで勉強せえへんかったぁ! しっかり食うもん食うとらんかったら、体悪うして倒れるに決まってるやろ! そこまで行ったらもう手遅れなんやで!?」

 

 物凄い剣幕で、反論してもすぐに論破されてしまう。わたしに出来ることはユーノ曰くの「ジャパニーズ・オカン」と化したはやての言うことに、ただただ首を縦に振ることだけだった。

 

「そんなんお母ちゃんは許しません! フェイトちゃんは今後、うちで夕食を食べること! できれば朝と昼もって言いたいとこやけど、移動とかわたしらの学校とかあるから、せめて夕食だけでもや!」

「は、はやてはわたしのお母さんじゃないよ……」

「ぁあ!? 聞こえへんかったか!?」

「は、はい!」

 

 はやてがここまで怒るなんて。自分がとてもいけないことをしていた気になってしまう。いや、実際いけないことだったんだろう。ミコトもはやてを止めず、彼女の言葉に頷いているのだから。

 貫録が違った。……当たり前だ。この二人は間違いなく「お母さん」なんだから。

 

「君は理屈で説明した方が理解が早いからそうするが、今後協力する以上、君が倒れて探索が滞ったら、こちらにとっても不利益なんだ。そうならないためにも、食事は一緒に摂ってもらいたい」

「う、わ、分かった。確かに、それはその通りだよね……」

 

 はやての感情的な説得に対し、ミコトの理性的な説得。両側面から正されてしまったのでは、こちらはぐうの音も出ない。

 こうして、今後は活動報告の後に八神邸で夕食を摂ることが決定したのだった。

 ――拠点をここの近くに移せば、朝食も一緒に摂ることが出来るけど、ミコトが「それはしない方がいい」と言ったのだ。

 この停戦協定は、母さんの指示にはないわたし達の独断。もし行動を普段と違えてしまった場合、それを察される可能性があると。

 わたしは知られても問題ないんじゃないかと思ったけど、何としてもジュエルシードを手に入れたい母さんが知れば、協定破棄を命令する可能性もあると言われた。ミコト達の都合は、母さんには関係がないから。

 また、全てのジュエルシードが集まるまで、本拠点――時の庭園には戻らない方がいいとも言われた。前述のこともあるし、一つでもジュエルシードが母さんに渡ると、交渉が成立しない可能性があるらしい。

 何故なら、ユーノの目的は「海鳴に落ちた全てのジュエルシードの回収と、管理局への搬送」だから。母さんに交渉の材料を与えてしまうと、状況のコントロールが出来なくなってしまうんだって。

 母さんを待たせてしまうのは、正直心苦しいけど、それなら仕方ないと思う。わたし自身は、ユーノ達と敵対したいわけじゃないんだから。

 それに、こうも言われた。「待たせるのが嫌なら、協力して早急に集めてしまえばいい」。正論過ぎて、反論の余地はなかった。

 

「その……迷惑かけるけど、よろしくね?」

「全然迷惑やないよ! こっちも人が多い方が楽しいし! な、ミコちゃん!」

「オレに同意を求められてもな。まあ、迷惑じゃないという部分に関しては完全に同意だよ。遠慮をするな、テスタロッサ」

「う、うん。その……ありがとう」

「いやー、助かるねぇ! この子ってば、言われないと食べないし身だしなみもキチンとしないし休息もろくに取らない子だからさぁ」

「あ、アルフ!? 今その話は……」

「ほっほぉーう。女の子としては聞き捨てならん話やなぁ。フェイトちゃん、そこに正座! お説教の続きや!」

「も、もう勘弁して! み、ミコトぉー!」

「こうなったはやては止められない。一番の近道は、説教を聞いて己を省みることだ。オレのこの格好が全てを物語っている」

 

 ミコトも昔は格好を気にしていなかったそうで、はやてに説得されて現在の女の子らしい服装になったらしい。八神家のヒエラルキーの頂点が誰なのか、理解した。

 

 

 

 

 

「ほっほっほ。それは災難でしたねぇ」

 

 翌日。結局昨日ははやてのお説教が遅くまで続いてしまい、わたしは八神邸に泊まることになった。使っていない一室をアルフと一緒に使わせてもらって、二人が学校に行く直前に目を覚ました。

 その際はやてから家の鍵を渡されたんだけど……人のものを預かってなくしたらと思うと、怖くてジュエルシード探しに出られない。そこでわたしは留守番をすることにして、今はアルフに任せている。

 しかし、小さくなれるソワレはミコト達に着いて行ったとしても、ブランは何処に行ったんだろう? そういえば、ミコトが白いジュエルシードみたいなものを首にかけてような気が……。

 召喚体には"基礎状態"っていう、デバイスにおける待機形態みたいなものがあるらしい。エールの鳩の羽根姿がまさにそれ。素体となったものの姿に戻るっていう話なんだけど。

 ……まあ、ミコトに関しては今更かな。あの不思議な女の子なら、ジュエルシードから別の何かを生み出してもおかしくはないか。

 それはそれとして、現在わたしとお話をしている老女。この人の名前は、「八幡ミツ子」さん。ミコトの養母さんだそうだ。

 そういえば、ミコトとはやては一緒に暮らしているけれど、二人の家族……召喚体ではなく、肉親の話は聞いていない。この家の様子からして、何らかの理由で存在しないということは明白だった。

 その事実に対して思うことは、少しだけ悲しい気持ちと、ある種の納得。親も兄弟もいないというのは寂しいことだけど、二人にはお互いがいる。そして、子供だけで今日まで生活してきたなら、あの逞しさも頷ける。

 二人にとって親兄弟がいないというのは、本当にただそれだけの事実となっているのだろう。それぐらい、二人は仲良く暮らしている。

 ……また思考が逸れた。ともかく、わたしはミコトの養母さんとお話をしている。ミコトが登校の際に話し相手になってほしいとお願いしたらしい。わたしの行動、読まれてる……。

 話の内容というのは、昨日のはやてのお説教だ。食事の話から始まり、身だしなみ、肌の手入れ、髪の手入れ、話題が女の子らしくないことについてまでお説教を喰らったのだ。

 はやてのお説教は、お風呂に入って上がってからも続いた。終わったのは、日付が変わる直前だった。おかげでわたしもはやてもヘロヘロだった。

 

「その……確かにわたしも、身につまされる話ではあったんですけど。ちょっと熱が入り過ぎじゃないかなって……」

「それは仕方ないですよ。フェイトちゃんのような可愛らしい女の子が、自分の身を適当に扱っているなんて、はやてちゃんには許せなかったんでしょうね」

 

 温和な笑みを浮かべる白髪の女性。泰然としていて、動じることがなさそうな人だ。重ねた人生経験によるものなのだろうか。

 ちなみにこの人は、管理世界のことを知らないようだ。養母さんと言っても生活場所は別だし、教えるまでもないと思ったのかもしれない。

 ただ、何かあることは察しているようで、核心には触れないように話題を選んでいることが伺える。……ミコトのような不思議な子の養母さんになれるぐらいなんだから、とてもおおらかな人なんだろう。

 

「それにしても、思い出しますねぇ。ミコトさんも二年前、はやてちゃんにそうやって手入れをしてもらっていたんですよ」

「あ、聞きました。ミコトって、元々男の子みたいな服装だったんですよね」

「ええ。動きやすければファッションは必要ないって言って。今の格好を見たら、どれだけもったいなかったか、分かるでしょう?」

 

 確かに。ミコトの清楚な女の子ファッションは、本当によく似合ってる。同性でも見惚れてしまうほど。それを当時は全部殺していたってことだ。一番近くにいたミツ子さんは、それこそどうにかしたかっただろう。

 

「食生活のおかげか体質かで、特にケアすることなしに髪質と肌はいい状態を保てていたんですけどね、それだけ。うちに当時のミコトさんの写真、あったかしら?」

「あはは……今のミコトからは想像もできませんね」

 

 それだけ、はやての影響は大きかったということなんだろう。ミツ子さんが言うことには、はやてと交流を取るようになって、少しだけど感情表現が豊かになったそうだ。

 今は時々小さく笑ったり、意外にも話し好きな一面が見えたりするけど、その頃は仏頂面を一切崩さず、会話も必要なもの以外はしなかったらしい。

 想像は出来るけど、本当に今とは全然違うミコトの姿だった。

 

「わたしにとってミコトって言ったら、色々と不思議な子、ですから。話を聞いていると、当時は得体のしれない子って感じですね」

「……孤児院時代は、そう見られていたみたいね。当人があれだから、全く気にしてないみたいだけど。だけどあの子の本当の姿を知っていると、そう見られていたという事実は、やりきれないわ」

 

 諦念にも似た苦笑。ミコトは、孤児院出身だったんだ。ミツ子さんの話では、アンタッチャブル同然に扱われていたということだ。

 それを聞いて……ミツ子さんの気持ちが、少し分かった気がした。ミコトは、接し方さえ間違えなければ、とても暖かい女の子なのに。なんでミコトの良さが分からなかったんだろうって、思ってしまう。

 同時に、分かった。ミコトの持つもう一つの面。冷たい、容赦のない面を、孤児院の人達は見てしまったんだろうと。それを受け止めきれなかったんだろうって。

 

「……小学校では、大丈夫なんですか」

「一時期危なかったときもあったみたいだけど、今はいい子達に囲まれているみたいですよ。特に仲の良い子達が5人いて、ときどきここに遊びに来ているみたい」

 

 それって、噂の管理世界を知ってる5人かな。多分そうだろう。ミコトの性格を考えると、そこまで深くもない仲の人間と、プライベートで交流を取るとは思えない。

 ミコトが受け入れられていると聞いて、自分のことのように胸をなでおろす。あんなにいいところがいっぱいある子が受け入れられないなんて悲しいものね。

 

「……ただ一つだけ心配なのが、ミコトさんの周りに男っ気が全くないことなのよねぇ。あの子、行き遅れたりしないかしら」

「き、気が早いですよ。ミコトはまだ8歳ですよ?」

「あら。男性との出会いが一番多いのは、学生時代ですよ? わたしも、亡き夫と出会ったのは高校時代のことでねぇ……」

 

 その後もミツ子さんとお話をし、お昼を食べてから彼女は帰った。……ミコトに理解のある、いい養母さんだった。

 

 

 

 アルフからは念話で「昼は外で食べた」と連絡を受けて、さらに待つこと2時間ほど。15時少し前に、玄関の方に人の気配があった。

 

「ただいまー。フェイトちゃんおるかー」

 

 やはり、はやて達が帰ってきたみたいだ。わたしは出迎えるために玄関へ向かう。予想通り、はやてと車椅子を押すミコト、その後ろにブランとソワレの姿があった。

 予想と違ったのは、それだけではなかったこと。扉が開いており、その向こうに5人の見知らぬ少女達がいたこと。ランドセルという、はやてとミコトと同じ鞄を背負っていることから、小学生であることが分かる。

 考えるまでもなく、管理世界のことを知るという、二人のクラスメイト5人組だった。

 

「ほー。この子が。ふーん、はーん」

 

 一際背の高い女の子が、靴を脱いで上がり、わたしに近づいてきて品定めするように眺めてくる。な、何だか威圧感が……。

 続いて、眼鏡をかけた女の子が、その少女の背中から服を引っ張る。

 

「やめなよ、あきらちゃん。フェイトちゃん怖がってるよ?」

「甘いよ、むーちゃん。最初に舐められたら終わりなんだからね!」

「いよっしゃー! じゃあ舐められる前にペロペロしちゃうぞー!」

 

 小柄な少女が、バビュンッという擬音を口にしながらわたしに突進してくる。その勢いに面食らって、思わず待機形態のバルディッシュに手をかけて、シールドを展開してしまった。

 ゴチンという音がして、女の子はシールドに頭をぶつけた。……痛そう。

 

「あおぉぉぉぉっっ……」

「亜久里は何をやってるんだ、全く。テスタロッサも、何もシールドを使うことはなかっただろうに」

「ご、ごめんなさい! びっくりして、つい……」

「へえ。これも管理世界の魔法なんだー。ユーノに遮音結界は見せてもらってたけど、物理的なのは見るの初めてだね」

 

 シールドを消そうとしたんだけど、この中では普通そうな感じの子が、物凄く興味津々で観察していた。魔法に興味があるのかな。

 そして残ったもう一人、ボーイッシュな感じの女の子は。

 

「お邪魔しまーす! 喉乾いたー! ミコっち、ジュースもらうよー!」

 

 物凄くマイペースに、わたしをスルーしてリビングの方に入ってしまった。……ええー。

 5人ともが5人とも、負けず劣らず個性的な女の子たち。そして、シールド魔法にまるで驚いていない様子。最初に考えた通りの存在であることは、もう確定だった。

 だけど……何故彼女達が、ここへ? わたしの内心の疑問を察したか、はやてが笑いながら答えた。

 

「いやな? 昨日決まった停戦の話と、今日はフェイトちゃんがうちにおるって話したら、あきらちゃんが「一言物申しに行く!」って言い出してな」

「そうよ! ミコトを狙ってる女の子がいるって聞いたら、黙っちゃいられないわ!」

「わたしについてどんな話聞いたの!?」

 

 背の高い子――あきらというらしい――は、わたしにズビシッと指を突き付けてきた。身長がわたしよりかなりあるせいで、威圧感が凄い。いや、身長だけならブランの方があるわけだし、雰囲気の問題かもしれない。

 そういう理由で来たのはあきらだけだけど、他の皆にしても、わたしがどんな人間なのかを一目見ておきたかったらしい。その割には一人無視してジュースがぶ飲みしてるけど。……あれ、ソワレのじゃなかったっけ。

 

「あー! いちこ、それ、ソワレの!」

「うえ、マジで!? ご、ごめーん!」

「……田井中。君に反省はないのか? 迂闊な行動で人に迷惑をかけたのは、これで何度目だ。その場では聞いたふりをして改善する意志がないなら、注意する意味がない。オレの言ってることは間違っているか?」

「ごめんミコっち! マジで謝るから! ソワレも、お姉ちゃん悪気があったわけじゃないの! ほんっと、この通りだから!」

 

 ミコトがお母さんモードに入ったみたいだ。涙目になるソワレを慰めながら、いちこと呼ばれた少女に説教を始める。正座で頭を下げて許しを請ういちこ。

 ……何なんだろう、これ。事態が一気に動きすぎて、頭が着いて行ってくれない。結局わたしは、どうすればいいんだろう。

 

 その後、ミコトはソワレを伴ってジュエルシードの探索に行ってしまった。わたしも行こうと思ったんだけど、あきら達に引きとめられた上、ミコトからも「今日ぐらい休んでもいいんじゃないか」と言われた。

 確かに、アルフに探索をお願いしているし、今は皆で協力している状況だ。今までとは状況が全く違う。人手は十分足りている。だからわたしは、その言葉に従うことにした。

 自己紹介をかわし、互いの素性を理解する。彼女達は、ミコトの使う"魔法"を作り上げた際の協力者なのだそうだ。だからミコトは管理世界のことを教えたのかと納得する。

 

「ま、それは置いといて」

 

 何かを横に置く仕草をし、あきらはまたしてもわたしを指差した。うう、威圧感が凄い。

 

「ミコトの最初の友達になるのはわたしだから! ポッと出の新人に負けたりしないわよ!」

「え、ええっと……」

「ふぅちゃん、正直に言っていいんだよ。2年間かけて一方的な友達宣言しか出来ない奴が何言ってんだって」

「ちょっと、いちこちゃん! どっちの味方よ!?」

「あたしはふぅちゃんの味方するー」

 

 「ふぅちゃん」とは、いちこがわたしに付けたあだ名らしい。彼女は他にも、ミコトに「ミコっち」、はやてに「やがみん」なるあだ名を付けている。

 あだ名……そんなものを付けられたのは初めてで、少しこそばゆい。なのは達とはまた違う人付き合いの新鮮さがあった。

 さちこはぽわぽわした笑顔を浮かべて、わたしの背中に寄りかかる。小柄な少女の体重は軽く、あまり苦にはならなかった。

 

「ふぅちゃん可愛いもんね。わたしも、ふぅちゃんの応援しよっかな」

「そこの3年2組マスコットコンビ! 何あっさり懐柔されてんの!」

「えー、だってふぅちゃんお人形さんみたいで可愛いしー」

「2年かけてミコっちに「男の友情」的なものしか教えられないあきらちゃんよりは見込みあるしねー」

「しょ、しょうがないでしょ!? わたしは小難しいこと考えるのは苦手なのよ!」

 

 あきらは、ミコトと殴り合いのケンカをしたことがあるらしい。それ以降、友情ではない何かが通じ合ってしまったせいで、友達と認めてもらうのは絶望的じゃないかという見解だった。あきらは落ち込んだ。

 

「ぐぅぅ……! はるかちゃんはわたしの味方よね!?」

「あ、ふぅちゃん。もしよかったら、バルディッシュ見せてくれない? わたし、異能関係に興味があるの」

「無視すんなーっ!」

「あ、あはは。いいかな、バルディッシュ」

『Feel free, sir.(サーの意志に従います)』

 

 バルディッシュの意思確認をして、デバイスモードで起動する。はるかにリンカーコアがないことは確認済みだから、魔法の暴発の心配はない。

 杖状のバルディッシュを受け取り、はるかは「おー」と言いながら全体を手で触りながら確認した。

 

「けど、そういうことなら注意すべきはわたしよりもなのはだと思うよ。この間の温泉旅行で、いつの間にかミコトから名前呼びされてたし」

「なん……だと?」

 

 衝撃を受けて固まるあきら。やっぱりミコトから名前で呼んでもらえるのって、羨ましいよね。あきらも名前で呼んでもらってるらしいし。わたしなんてまだまだ、テスタロッサとしか呼んでもらえない。

 

「くうぅぅ! あの泥棒猫、油断も隙もあったもんじゃないわね! 人畜無害そうな顔して!」

「アルフが……わたしの使い魔なんだけど、ミコトと話してこじれかけたときに、ミコトを説得してくれたんだって。それが原因らしいんだけど、わたしも細かい経緯までは……」

「使い魔っ! そういうのもあるのね……」

 

 一部の言葉に反応して目を光らせるはるか。見た目は一番普通かもしれないけど、性格は一番特徴的かもしれない。

 あれのおかげで、今わたしはこうして皆と話をしていられるんだけど。なのはをずるいと思うのはまた別の話だ。

 

「ところで、ふぅちゃんはどうやってミコトちゃんと話せたの? 停戦だとかって話は聞いたけど、詳しいことは聞いてないし、それまでは敵対の話しか聞いてなかったから」

 

 むつきが気になっていたことは、他の皆もそうだったようで、聞き耳を立てている。いつの間にか、あきらも姿勢を正していた。

 

「えっと、わたしがすずか……皆はすずかのことは知ってる?」

「うん、ミコトちゃんがジュエルシード事件に関わるときに、顔合わせしたから」

「そっか。その、すずかの家でお茶会に乱入したって話は聞いてるんだよね。それで、その、ミコトから首を斬りつけられて……」

「あー。あの子ならやりかねないわ。やるって決めたらとことんまでやるからね、ミコトは」

 

 殴り合いで繋がりを作ったあきらは、その光景がありありと想像出来たらしい。他の皆も、苦笑や呆れなどはあっても、ミコトを怖がったりはしていないようだ。よかった。

 

「そんなことがあったから、温泉で偶然会ったときは、ものすごく警戒したんだ。いつ斬りかかってくるんだろうって」

「……あー。その先分かった。あの子、フェイトのことなんてどこ吹く風だったんでしょ」

「正解。一週間前に戦ったとは思えないほど無警戒で、服を脱ぎ始めたんだよ。それで毒気を抜かれたっていうのが、そもそもの始まりかな」

 

 そのギャップが、最初にわたしの興味を惹いたんだと思う。

 と、あきらが不機嫌そうに顔をしかめた。

 

「むー。フェイトはミコトと一緒にお風呂入ったのよね。わたしはまだなのに……」

「あ、あはは。あきらはミコトのことが大好きなんだね」

「もち! あっちは遠慮なく殴れるクラスメイト程度にしか見てないだろうけど、わたしの中では最高の親友だよ!」

 

 ……強い子だなぁ、あきらは。わたしだったら、こんなに一方的に思い続けられるだろうか。わたしもきっと、と思いたいけど、現実は難しいんだろうな。

 だけど……。

 

「……わたしは、ミコトの友達に、なりたいのかなぁ」

 

 思ったことをポロっと口にする。皆が「え?」と言ってこちらを向いた。……ちょっと気が緩み過ぎたかもしれない。

 

「あ、えと、ミコトのことが嫌いってことじゃないんだよ? むしろ、その、す、好きというか……」

 

 大好きというか。さすがにそれを口にするのは無理だった。顔が凄く熱い。恥ずかしいという気持ちが湧いてくる。

 最初は、怖いと思った。敵対者には一切の容赦をせず、戦いとなれば躊躇せず命を狙ってくる、恐ろしい戦士。

 次は、不思議だと思った。殺そうとした相手を前にして、平常を崩さず無防備な姿を晒し、さらにこちらを気遣いまでした。実際は、わたしにそう見えただけなのかもしれないけれど。

 そして今は、大切な恩人。友達になれた彼女達と敵対するしかなかったわたしを、救い上げてくれた。冷たさの中に暖かさを持つ、多分本当の意味で"優しい"女の子。

 だからわたしは、ミコトのことが好き。……なんだけど、その気持ちを「友達になりたい」という言葉で表していいのかどうか、今は分からない。なのはのときは「これだ!」って思ったんだけどなぁ。

 と、むつきが顔を真っ赤にして口をわななかせていた。

 

「ま、まさかふぅちゃん、ミコトちゃんと、あの、こ、恋人になりたいの!?」

「へぇぁ!? そ、そうじゃないよ! そういうのじゃないはずだよ!!」

 

 むつきの発言で、温泉で最後に見たミコトとソワレのシーンがフラッシュバックする。顔に上る血液の量が増え、さらに熱を帯びるのを自覚した。

 違う、違う! わたしはノーマル! ソワレのことが羨ましかったりとか、そんなことはないはずだから!

 

「おお!? やがみーん、強敵登場だよー!」

「あー? なんか言うたか、いちこちゃん」

「いちこぉ!? 違うの、そうじゃないのー!」

 

 というか、何でそこではやてが出てきたの!? はやてとミコトってそういう関係なの!? た、確かに昨日も一緒の部屋で寝てたみたいだけど!

 キッチンで夕食の調理をしているはやてに「何でもないから!」と伝える。いちこがなおも言いそうだったので、口を抑えて黙らせた。

 何とか弁解しなきゃ。そう思って、マルチタスクまで駆使して言い訳を構築する。……わたし、一体何に魔法を使ってるんだろう。わたし達の魔法の師匠がこんなところを見たら、呆れられてしまいそうだ。

 ともかく、今のわたしにとってここは切り抜けなければならない急場。そう割り切って、口を開きかけた瞬間のことだった。

 

 ――ヒィンという魔力の波動が、ほんの一瞬だけ感じ取れた。それで動きが止まってしまう。

 今のは。

 

『Sir. A jewel-seed has sealed.(サー、ジュエルシードが封印されました)』

 

 はるかの手の中で弄られていたバルディッシュが、わたしの出した答えを肯定した。封印の魔力を感じなかったことから、恐らく封印手はミコト。

 これで、残りのジュエルシードは11個。……本当に皆が協力すれば、あっという間に集めてしまえそうだ。

 

「ふ、ふぅちゃん! いちこちゃんの顔が真っ青にっ!」

「ああっ!? ご、ごめんいちこ! わざとじゃないんだ!」

 

 そんな感じで、結局この話題は有耶無耶になった。

 ……わたしは別に、ミコトの恋人になりたいわけじゃないもん。……ほんとだもん。

 

 

 

 

 

 17時。本日の結果報告の時間。今日一日八神邸にいたというわたしに、なのはとガイと恭也さんは苦笑い。ユーノだけは、若干の批難を込めたジト目だった。

 

「まあ、僕達と協力するまで二人だけだったわけだし、大目に見るよ。ミコトさんの指示でもあったんだから」

「ごめんね、ユーノ。君は少しでも早く全てのジュエルシードを集めて、この街の安全を取り戻したいのに」

「……やめてくれよ、急にこっちに理解を示すのは。やりづらくってしょうがない」

 

 事務的な関係性としては割り切っているみたいだけど、感情はそうもいかないらしい。先日まで敵対関係であったわたしへの接し方が分からないようだ。

 わたしの方は多分、冷静になることが出来たんだろう。そうして彼の置かれている状況を見て、理解を示すことが出来た。彼の双肩にどれだけのプレッシャーがかかっているか、感じ取ることが出来た。

 なら、ここはわたしが歩み寄るべきなんだろう。わたしは……別にユーノと険悪でいたいわけじゃないんだ。

 

「大丈夫。皆で協力すれば、きっとすぐに集まるよ。そうだよね、なのは」

「うんっ! 今日だって、ミコトちゃんが見つけてくれたんだから!」

「オレの方は人海戦術ならぬもやし戦術だ。魔力を感じられないから、見つけられるかは完全に運任せ。あまりあてにはしない方がいい」

『我らの力が至らぬばかり、女王様にはご苦労をおかけ致す……』

 

 もやしが厳かな口調で頭を垂れるというのは、何ともシュールな光景だと思う。

 

「女王様……はあ、はあ! うおーーー! ミコトちゃん俺だーーー! 踏んでくれーーー!」

「寄るな、変態!」

「まそっぷ!」

 

 もやし1号の一部の言葉に反応したガイが、何故か興奮しながらミコトに飛びついた。そして、左の拳を顔面に受けて沈んだ。あれは痛そうだ。

 だけど床に崩れて鼻血を流すガイの表情は恍惚としていて……何だろう。こんなこと言っちゃいけないと思うんだけど、凄くキモチワルイ。

 

「厄介な奴に目を付けられてしまった。何故オレなんだ……」

「ごめんね、ミコトちゃん。うちの変態が迷惑をかけて……」

「いや、いい。なのはが謝ることではないし……君の方が苦労しているだろう」

「……うぅぅ、ミコトちゃんが分かってくれて嬉しいのに、申し訳ない気持ちでいっぱいなの」

 

 うん。二人にこんな顔をさせるなんて、ガイは罪深いと思う。今後はわたしもガイを甘やかすのはやめよう。

 

「ふへへ。この痛みもミコトちゃんの愛だと思えば、快楽だぜ……」

「スクライア、恭也氏、耳を塞げ。『あなたってほんと、最低の屑だわ』『でも大丈夫、私だけはあなたの良さを分かってるから』」

「がふぁ!?」

 

 うわぁ、ゾクッて来た! ミコトの女言葉って、なんでこんな鳥肌が立つの? 一体どういう原理なの?

 だけど効果はてきめんだったようで、ガイは血を吐いて気を失った。体がビクンビクンと痙攣している。これ、生きてるの?

 

「相変わらず男の子にはよう効くなぁ、ミコちゃんの括弧つけ」

「こっちが落ち込むぐらいにな。……だがこの変態の場合、いつ耐性を身に付けるとも限らない。油断は出来んな」

「なのはの方でも対策はとっておくの。ミコトちゃんの身の安全は、絶対守るの!」

「わたしも、何処まで出来るかわからないけど、協力する。ミコトに万一のことなんて、あってほしくない」

「以下同文。あたしに少しでも恩を返させてくれよ、ミコト」

「三人とも、ありがとう。……まさかこんな情けないことで涙が出る日が来るとは……」

 

 ミコトの目の端には、確かに涙の玉が浮かんでいた。彼女がいくら強い子だって言っても、あんな迫られ方したら怖いものは怖いよね。

 ともかく、女性陣は一致団結して、ミコトを変態の魔の手から守ることにした。

 

「はあ。昨日のあれは夢だったのか? いっそ夢であってくれた方が気が楽なんだが」

「そうですね。こんな奴に治療魔法をかけてやらなきゃいけない現実も、夢ならよかったのに」

「……苦労してるな、ユーノ」

「慣れてきちゃった自分が虚しいですよ……」

 

 この場にいる全員から、評価がダダ下がりのガイだった。一体彼は何がしたいんだろう。

 

 

 

 さて、さらっと流してしまっていたけれど、ミコトがジュエルシードを一つ見つけてくれた。何でも、オフィス街という人でごった返してるようなところに普通に落ちていたらしい。よく今まで発動しなかったものだ。

 

「管理世界の技術の秘匿ということで、人目があるようなところは探していなかったからな。ある意味盲点だった」

「そういえば、以前の巨大樹騒ぎのときもオフィス街でしたね。今後は、そういう場所も探さないとダメでしょうか」

「そちらはオレが担当する。オレの力は管理世界とは関係ないから、見られても別に問題はない。遠慮なくもやし戦術で当たらせてもらう」

『我らもやし調査兵団一同、全力で当たらせていただきますぞ!』

 

 もやしを頼もしいと思うなんて、夢にも思わなかった。なのはが「夢のある魔法」って言ってた意味が分かる気がする。こんなおとぎ話みたいな魔法を作ってしまうなんて、やっぱりミコトは凄い。

 ミコトがスカートのポケットから取り出したジュエルシードは、シリアルVI――6番だった。ガイが後ろに回って覗きこもうとして、狼形態に戻ったアルフに吼えられる。

 

「スクライア。契約通り、これはオレが使わせてもらう。問題ないな?」

「ええ、契約通りに。……フェイトがいますけど、大丈夫なんですか?」

「偶発的だったが、今朝ブランの基礎状態を見られている。もう察しはついてるだろう」

「……あはは。予想はしてたけど、やっぱりそうなんだ」

 

 視線をやると、ブランが苦笑しながら軽く頭を下げた。……今気付いたけど、多分ソワレもそうなんだろうな。わたし達が苦戦したジュエルシード暴走体を一撃で仕留めるだけの出力を持っているぐらいなんだから。

 そう考えると……少し、わくわくした。今ミコトの手に握られているシリアルVIのジュエルシードは、一体どんな召喚体になるんだろう。

 だからだろう。わたしは、こんな提案をした。

 

「あの……もしよかったら、わたしにも見せてくれないかな。ミコトが、召喚体を生み出すところ」

「面白いものは何もないぞ。魔法らしく儀式めいたものもない、「コマンド」で長文の命令を出力するだけだ。見ても、恐らく何をしているかさえ分からないだろう」

「それでも、立ち会ってみたいんだ。ブランやソワレ……エールともやしさんも。ミコトとはやての家族を生み出した素敵な魔法を、見てみたいんだ」

 

 ただの好奇心だったのか、それとも他に何かがあったのか。それはわたしにも分からない。――少なくとも、このときのわたしには。

 ミコトは見ても面白くないと言ったけど……きっとそんなことはない。わたしにとっては、十分以上に意味のあることだ。だから、どうしても見たかった。

 そんなわたしを後押ししてくれたのは、わたしの「最初の友達」。

 

「ミコトちゃん! フェイトちゃんに見せてあげて! それになのはも、一度見ておきたいの!」

「こんな小さな宝石が人型になるんだ。それだけでも、俺のように異能を持たない身としては、一見の価値はある」

「別にええやろ、減るもんでなし。ふぅちゃんが見たから言うて、ミコちゃんに不都合はないやろ」

「は、はやて! その呼び方は……」

「フェイトちゃん、ふぅちゃんって呼ばれてるの? 可愛い! 今度からなのはもふぅちゃんって呼ぶね!」

 

 いちこから付けられたあだ名が拡散してしまった。……嬉しいんだけど、ちょっと恥ずかしい。

 華やいだ空気。そしてミコトは、小さく苦笑を見せた。

 

 事故の危険性はないらしいけど、室内でやることもないので、皆で八神邸の庭に出る。遠く西の空が赤く、空は星明りがちらほらと見えるようになっていた。

 開けた場所に、ミコトはジュエルシード・シリアルVIを置いた。そして立ち上がり、少しだけ距離を取る。

 わたし達は、それを扇型になって眺めていた。

 

「やっぱり、この瞬間はどきどきしますね。ソワレちゃんのときもそうでしたけど。今度の子は、どんな子になるんでしょうか」

「ミコト! ソワレ、いもうとがいい!」

 

 ソワレの姿が丸っきり親に妹をねだる子供の姿で、微笑ましいものを感じる。

 わたし達魔導師にとっては、既存の技術を超えた奇跡の御業。だけど彼女達にとっては、ただ新しい家族が誕生するだけなのだ。

 ミコトが自然体になって立ち、呼吸を整える。何かがカチリとはまるような感覚が、わたしにも感じられた。

 これが、ミコトの"魔法"――「コマンド」。わたしはそうなるのが自然であるかのように、ただただ不思議な少女の後ろ姿に見惚れた。

 そしてミコトは、詠唱――否、"命令文"を紡ぐ。

 

 

 

「『この世界の原因と結果を結ぶ法則よ、オレの声を聞け。森羅万象の始点と終点を結ぶ、たった一つの因果の鎖。青い宝石を肉体として、一個の存在として生まれ変われ。君の名は「ミステール」。知を探求する者』」

 

 「何か」が、ジュエルシードに向けて集まってくる。わたし達には見えない、観測することのできない「何か」が、ただ集まっているということだけを理解する。そこに魔力は一切感じなかった。

 応じるかのように、ジュエルシードは輝きを増し、変質していく。色が青から徐々に紫がかって行き、シリアルナンバーがかすれて行く。代わりに「Mystère」という刻印が新たに浮かび上がる。

 変質が終わると、ジュエルシード――「ミステール」と名付けられた新たな存在は、姿を光の粒に変化させた。今度は形を変え、小さなリングを形成する。

 やがて、光は収まる。先ほどまでの神秘的な光景が夢か幻であったかのように、静かな春の夕暮れが戻ってきた。

 八神家の庭先の一角には、メタリックな薄紫色のブレスレットが落ちていた。

 あれが……今回の召喚体? 何か、予想してたのと全然違う姿なんだけど。人型じゃないどころか生き物ですらない。装飾品にしか見えない召喚体だった。

 

「……ふう。自己紹介だ、ミステール」

『あい分かった。主殿の指示に従おう』

 

 ブレスレットがしゃべる。それ自体は、デバイスでもありえる話だから驚くことではない。だが、その次の変化は、デバイスではありえないものだった。

 ボフンという煙を立てて、ソレは姿を変じた。ブレスレットの姿から、完全な生き物の姿へ。

 目元にかけられた小さな眼鏡。ブレスレットのときと同じ、アメジストの髪。そこから覗く大きな尖ったキツネ耳。腰には、髪と同じ色の大きな尻尾。

 そこにいたのは、この世界の巫女装束をまとった、キツネ耳の少女だった。

 彼女は芝居がかった仕草で、うやうやしくこちらに礼をした。

 

「拝命、"理の召喚体"ミステール。わらわは事物の因果を司る者、知の探究者。コンゴトモヨロシク、じゃな」

 

 そして彼女は、悪戯っぽい笑みを浮かべて、そう自己紹介をした。

 "理の召喚体"、因果を司る者。それがどういうものなのか、わたしには分からなかった。だけど、一つだけ確信していることがあった。

 

「"光の召喚体"ブランです。今後ともよろしくね、ミステールちゃん」

「ソワレ! ミステールの、おねえちゃん! よろしく!」

「呵呵っ。これはこれは、可愛らしい姉君が二人もおったものじゃ。同じ根源から生み出された者同士、末永く仲良くやっていこうではないか」

 

 それは、彼女もミコトとはやての家族であるということ。だから、二人の姉と最初の交流を取る姿を見て、こんなにも胸が暖かくなるのだろう。

 ミコトに車椅子を押され、はやても彼女に近づく。はやてがミステールの手を取り、家族として歓迎した。

 幸せな家族のワンショット。見ているだけで嬉しくなる光景。……だというのに、どうしてだろう。

 

 何でわたしは、こんなに寂しいんだろう。どうしてわたしは、今生まれたばかりのミステールに、羨ましいと感じてしまっているんだろう。

 

 ――ミコトに対する想いの名前を知らないわたしには、まだその理由が分からなかった。




ふぅちゃん(暗黒微笑) 今後「ヤハタさん」のフェイトは親しい人からふぅちゃんと呼ばれることになります。
聖祥三人娘より海鳴二小の五人娘と仲良くなってる始末。これもう(聖祥に入るか)わかんねえな。でも海鳴二小は学区で入学が決まっているから、近場に引っ越さなきゃいけない制約があります。聖祥が妥当でしょう(無慈悲)
というかそもそも管理局が来るかどうかも怪しいんですがね!(次元震不発)

さらっと新しい召喚体を出しましたが、これと次に作る予定の召喚体こそが、ミコトがはやての足の調査をするために求めた存在です。
「因果を司るんなら、こいつ一人で十分じゃねえの?」と思われるかもしれませんが、コイツに出来るのは因果を結ぶことだけです。遡ったり何でもかんでも解析出来たりするわけじゃありません。
ただ皆さんご存知の通り、はやての足の原因は「アレ」ですので、発想さえ合っていればコイツのみで真実に辿り着くことが出来ます。どうにか出来るとは限らないけど。

涙目のミコトちゃん可愛い(ゲス顔)



新出の召喚体

・"理の召喚体"ミステール
素体:ジュエルシード・シリアルVI
基本概念:理(因果)
創造理念:知の探究
形態:不定形型(特殊な装備型)
性格:ひょうひょうとしている
性別:女
能力:因果を結んだ事象のコントロール、種々の姿への変化
はやての足が不自由な原因を調査するための召喚体。とはいえ、彼女一人ではまだそこには至らない。あくまで因果を結ぶだけなので、知らないことが出来るわけではない。
能力が魔法プログラムそのものであり、事実プログラムさえ理解出来れば行使できるだろう。理解できれば、だが。他の召喚体同様、経験値が0スタートなのがネックである。
ソワレと同じく不定形型であるが、装備型が基本となっており、変化能力を駆使して姿を変える。基本のブレスレット形態の時は、狐の模様があしらわれている。ちなみにMystèreとは「神秘」を意味するフランス語。

小ネタとして、彼女の元となったジュエルシードのシリアルナンバーである「6」という数字は「完全数」と呼ばれている。これは、「約数の和が自身となる数」のことである。
6(1+2+3)の次の完全数は28(1+2+4+7+14)であり、ジュエルシードの中では唯一の完全数シリアルということになる。あくまで小ネタなので、能力とかには一切関係ないが。
また、回収されたジュエルシードは原作で次元震を起こしたものであるが、原作の方ではVIと確定はしていない。この話ではこの小ネタをやるためだけにVIとしました。



現在回収済みのジュエルシード

・なのはが保有
XIII、XVI、XVII、XXI(ミコト合流前)
X(巨大樹騒ぎを起こしたもの)
V(キングドドンゴもどき)

・フェイトが保有
XVIII(ツインモルドもどき)

・召喚体に変換
XX(ブランとなったもの)
XIV(ソワレとなったもの)
VI(ミステールとなったもの)

計10個、残り11個
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