東京喰種 一緒の時間 作:煉音
2015/12/06 11:17 誤字脱字・一部表現修正
ガチャン
ようやく家に帰ってきた。一時はどうなるかと思ったが、あの娘が引き留めてくれたおかげでどうにか逃げれた。本当にやばかった。
カチャンと鍵をかけ、靴を脱ぎ、ワンルームの部屋の電気をつけ、ベッドに座った。
「ほんとう・・・トラウマになるわ・・・」
「まぁ、確かにねー。あそこで笑いだすともうどっちが敵かってね。くくくく」
「そうそう。悪魔かってね・・・でも本当にトラウマになってしまうわ」
隣に目をやればさっきと同じ丸い目の少女がそこにはいた。人の家に侵入しときながらベッドの上であぐらをかいている。
「戦闘能力だけじゃなく、基本的な身体能力も感覚器官の能力も桁違いなのね」
「褒めても何も出ないぞ。赫子は出るけどね」
丸い目の少女はそう言って、微笑む。
「やっぱり、死なないといけないかしら・・・?」
「いーえ、涼子がやりすぎって言うからね」
そう言って丸い目の少女は私をベッドに押し倒し、見つめてくる。ドラマとかだったらどれだけ色っぽいシーンだろうか。だけど私が受ける仕打ちは普通に考えると想像を絶するものだ。
「今日だけだよ?本当なら赫包だけつまんで生殺しにしてやりたいよ?だけど、涼子が殺さないであげてって言うから殺さない。2口かじるけどいいよね?」
死なないならそれでいい。だけどかじられるのはなんとも・・・。とはいえ娘に感謝するべきか、人間のくせにとののしるべきか・・・。まぁどっちにせよ娘のおかげで生きられるのだ。それにこしたことはない。
「早くして・・・」
「じゃ・・・」
目をつぶり痛みに構える。
数秒おいて首よりちょっと肩よりのところに、吐息を感じ、歯が当たるのを感じた瞬間、ぞぶりという擬音が合うのか。どんよりとした痛みが体中を駆け巡る。それと同時に痛んだところが熱くなる。薄目を開ければ口元を赤い液体で濡らした少女がこくっと飲み込む瞬間だった。
「見ないで、それとも自分の食べられるところが見たいドMなのかしら?」
そう言われおとなしく目を閉じた。
「次は・・・」
少女がそう漏らすと、服をぐっと引っ張られて左手の二の腕が出るところまではだけさせられた。
「ここでいいや」
今度は二の腕らしい。また吐息を感じ、歯の感触を感じた瞬間、痛みと傷口に熱を感じる。
「ッ!?」
マウントをとられて重みを感じていたお腹あたりが解放され、少女が退いたのがわかった。横に寝転がり、目を開けると少女が勝手に冷蔵庫をあさっていた。結構大胆で礼儀のない少女だなと思いつつ、助かった命に感謝していた。
「ほら、飲んで」
目の前にふとコーヒーの冷たい匂いを感じ目を開けると少女が不機嫌そうな顔をしながら座って、コーヒーの缶を私の前に突き出していた。
それを受け取り、体を起こした。
「できたら殺したかったけど、涼子が止めるんじゃ仕方ないし。それに変な噂されても困るから、許す。私の名前は如月歩夢だ」
さっきとは違う態度に驚きつつも、自分も名前を言う。
「ありがとう・・・私は蜜喪加奈(みつもかな)」
「わかった。加奈、言いにくいけどよろしくね」
歩夢はそういうと立ち上がり、ベランダの窓を開けて「じゃね」と言って去っていった。本当に不思議な子もいるもんだ。