「ほらほら!避けろ避けろ!」
「このっ……!!」
逃げ回るザンクを相手に向けて何度も魔力の塊を飛ばしてやる。
魔術師としての俺が何やらとか言ったけど、俺の適正って宝石魔術と治癒だけだからあんまり攻撃手段って無いんだよね。
錬金術とか適正あったらいいんだけどな。ほら、アイリスフィールみたいに華麗に捕縛的な?
優雅たれ(笑)
ただガンド撃ちだけじゃ芸もないよな
「金は力なりってなぁ!!」
腰のポーチの中身を一掴みしてそれを逃げるザンクに向けて投げつける。
「なっ、宝石!?」
投げたのは俺の魔力が込められた小さめの宝石。
「『爆破』!」
そんな俺の声に合わせて宝石が光を放ち始める。
込められた魔力が暴発する予兆だ。
俺の属性が水と風ということもあってそこまで高い威力が出るわけではないのだが、それでも、一度に六つともなればそれなりの威力にはなる。
「クソガァァ!!!」
だが、ただ殺られるだけのザンクではないらしい。
今にも爆破しそうな六つの宝石。その内の四つを上手く袖から生やした剣で弾き飛ばす。
が、残り二つは間に合わないと判断したのか、腕を交差させて後ろに跳躍した。
直後爆発
「ふむ、なかなかとらせてくれないな」
正直、今ので決まるかなと思ってたんだけど。
どうやら、帝具がなくとも本人の実力は高いようだ。
「糞ガキがぁ!小賢しい真似を……!」
「おいおい。口調崩れてんぞ。キャラ崩壊乙」
ケラケラとバカにするように笑ってやれば、ザンクの顔が面白いように歪む。
「ねえねえ、いまどんな気持ち?最初有利だと思ってた相手に余裕で相手にされるのってどんな気持ち?」
「嘗めるなよガキィ!!」
話している今が好機だと見たのか、剣を構えて突っ込んでくるザンク。
まぁ、近接に持ち込まれたら遠距離主体の魔術じゃちとキツいわな
「貴様の動きは読めてるんだ!避けようとしても無駄だぁ!!死ね!!」
成す術もなく斬り伏せられるのを待つ運命……なわけないでしょうに
ザンクの剣が俺の首を切り落とそうとしたその瞬間
突如、地面から突きだした銀柱がその剣を防いだ
「なっ!?」
「その帝具。筋肉の機微で動きを読むんだろ?だったら無理だな」
ほんとこれ便利だわ
「くっ……このっ!!」
両手の剣を振るって攻撃しようとしてもその全てが水銀の柱によって防がれる。
銃弾を防ぐ展開速度を誇る礼装だ。ザンクくらいじゃ突破はできないだろうに。
「『斬』」
「ガァッ!?」
丁度ザンクの斬撃を防いだ水銀柱が触手のように動き、鞭のように振るわれる。
先端の形状を瞬時にナイフに変えたため、隙だらけであったザンクの胴を切り裂いた。
だが、まだ終わりではない
攻撃を受けて隙のできたザンクに瞬時に近づいた俺はすかさず奴の胸に当て身を決める。
肺の空気を無理やり吐き出されたザンクの鳩尾に続けて肘打ち
「風よ!!」
そして、右腕の手甲に取り付けられていた宝石を全て消費し、俺の腕に風を纏わせる。
最大出力。狙うは有言実行、ザンクの顔面!!
「オラァァァッ!!!!」
「ゴッ!?!?」
綺麗に決まった右アッパー
何本かの歯が口から飛び出し、白目を向いたザンクはそのまま空高く打ち上げられた。
「さて、仕上げだ」
だがまだ終わらない。
奴は余りにも殺しすぎている。
それを許すつもりはないし、命で償ってもらうという言葉に嘘偽りはない。
「『物干し竿』」
手を伸ばし、虚空から現れたそれを掴みとる
第五次聖杯戦争において、キャスターのルールを犯した召喚によって現界したアサシン
伝承に残る秘剣を再現できるというただその一点によって佐々木小次郎という殻を被ることになった無名の剣士
ただ燕を斬ろうとして生涯を通して剣を研き続けた結果、魔法の域にまで到達した対人魔剣
名を燕返し
本来、この名刀『物干し竿』は宝具という扱いではなかったのだが、剣とその技によって宝具にしてもらったものだ。
人相手に使うのは初めてである
「秘剣ーー」
体を半身に構え、刃を上にし、地面と峰を平行に
「……っ!?な、なんだぁっ!?」
どうやら、空中浮遊の途中で気絶から覚めたようだ
重力に従って落ち始めるザンクは一瞬、自身の状況に驚き、続いて真下で刀を構えている俺を見て、驚愕を隠せずにいた。
「武器なんて持ってなか……」
「燕返し」
放たれる三つの円弧
『連続』ではなく、『同時』の斬撃
何かを言いかけていたザンクは首を断たれ物言わぬ屍に成り果てた
「ふうっ。対人初使用だったが……なんとかなったな」
ザンクの死体を見下ろしながら俺は一人そう呟いた。
だが任務はこれで達成。帝都の市民が夜に怯えることもなくなるだろう。
「っと、帝具回収しなきゃだ」
首だけになったザンクにあまり近づきたくないのだが、仕方ない。
額に取り付けられた目のような形状のスペクテッドを取り外して胸ポケットにいれておく
おっと、そう言えば少年のこと忘れてたぜ
「さぁ、少年。もう終わった……」
ぞ、と言いたかったのだが、振り向いたその先に少年はもういなかった
まぁ、帰れと言ったのは俺だから気にはしないけど
なんか、短いし雑ですが、これが作者の限界でございます
今後とも、宜しくお願いします