Fateで斬る   作:岳鳥翁

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四十四話

結局のところ、エスデスがいなくなったということについては、特に問題なし、という結論になった。

 

いや、ほらだってあのエスデスだよ? 下僕の一匹二匹は増やしてつれてきそうだし

 

まぁ何がどうなってそんなことになったのかは全くの不明、というのが唯一気になるところではあるが

 

「それでどうするんですか?」

 

「ん? 何が?」

 

「セイ君、話くらいは聞いておこうよ……」

 

「キュゥ」

 

セリューとコロの呆れたような声に一瞬ムッ、となってしまうが、聞いてなかった俺が悪いのは事実であるため、何も言わないでおく

 

「すまん。それで話って?」

 

「隊長がいない間、誰が指揮を執るかだよ」

 

片肘を机についたウェイブがそう答える。

ちなみに、クロメはパクパクとお菓子を食べているのだが、今日はいつものお菓子ではなく、ポテトチ◯プスを食べている。

 

俺の自作である。持ってきたらせがまれたのであげたのだ

 

「指揮ねぇ……」

 

「セイ君はどう? 確か、警備隊の方でもやってるんだよね?」

 

「あー、ダメっすよボルスさん。俺ってば正式にここに所属って訳じゃないんですから。それに、今の状態でもけっこうきついんですよ?」

 

主に副隊長とか副隊長とか副隊長。あと、副隊長もだね

 

「あー……なら、俺はランが向いてると思うんだが…」

 

「僕、ですか……?」

 

「私もそれに賛成だよ! ランってそういうのもあってそうだし」

 

「俺も賛成」

 

委員長とか似合いそうだよな、と考える。

イケメンで人当たりもよく、しかも頭もいい三拍子そろった男。……あれ? 何故か殺意が……

 

「……あの、セイ。何故かはわかりませんが、とりあえず殺気を抑えてください」

 

「おっと、こりゃ失礼」

 

ペシリ、と自身の額を軽く叩いておどけて見せる。

付け足しでテヘペロでもしようかと思ったが、想像するとキモかったので止めた。

 

「でもラン君が代理なのは私も賛成かな。クロメちゃんはどう?」

 

「……ん。別に、構わない。それよりセイ、他にないの?」

 

「何よりもお菓子優先のその姿勢、清々し過ぎるぜ……」

 

「お前も最初は聞いてなかっただろうが」

 

「テヘペロ☆ミ」

 

「キメぇよ」

 

「テェェェヘェェェペェェェロォォォ!!!」

 

「うるせぇよ!!」

 

やってみたけどやっぱりキモかったので、叫んでみんだけど怒られました。

本部のキッチンにある冷蔵庫から追加のポテチを山でクロメの前に運んでやる。

一瞬キラッと目を輝かせたクロメはものすごいスピードでパクつき始めた。

 

「話を戻しましょうか。それでは、僕が一時的に代理ということでよろしいですか?」

 

「ああ。問題ねぇ」

 

「逆にエスデスが隊長であるよりも落ち着きそうまである」

 

「……もっとも、数日あるかないかになりそうだけどね」

 

セリューのその言葉に、ウェイブがあー、と天井を仰ぎ見た。

 

まぁ明日にでも帰ってくる可能性大だからな

 

「……っ!?」

 

「? どうしたの? セイ君」

 

「あー……いや、気にしないでくれ。こっちの用だ」

 

首を傾げるセリューを手で制す。

 

何かが引っ掛かった。場所は俺の工房。

 

……侵入者か?

 

あの工房化した家の結界を抜けて、地下にまで到達する密偵でもいた?

だとすると、俺の魔術を越えてくる帝具を使ったか、あるいは……

 

「すまん、ちょっと用事を思い出した。先に帰る」

 

「え? そうなの?」

 

「また随分と急だな」

 

突然立ち上がった俺に皆の視線が集まった。

 

「そうですか。ではまた明日、ここで」

 

「セイ君、またね」

 

「どうも。それじゃ、先に失礼する」

 

身を翻して出口へ向かう俺。しかし、そんな俺の袖口がキュッと何かに引っ張られた。

見ると、そこには少しもじもじして、上目遣いなクロメの姿

 

やだ何この娘かわいい

 

「セイ……」

 

「どうした?」

 

「……お腹減った」

 

「デスヨネー」

 

グ~ッと俺にも聞こえる音を鳴らすクロメのお腹。少しばかり恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 

その食欲は、まるでかの腹ペコ王の如く

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、話の続きだ。

 

俺の工房への侵入者はつまるところ二択。

俺の魔術を越える実力者、又は帝具使いであるか、あるいは、考えたくないが……内部犯によるものか、だ。

 

言っておくが、俺は工房化した自宅の守りについては絶対の自信を持っている。

結界にトラップ。持てる魔術を使い、スキルの力で強化した帝都の要塞と言っても過言ではない。

しかしながら、俺の私室。つまりは研究室に関してはその限りではない。

あそこは俺の魔術ないし魔導具専用の研究室に繋がる地下への階段はあるものの、普段は俺が寝泊まりする部屋である。

そんな場所にトラップのような危険物を置きたいとは思わないだろ? 一応、俺の宝具や魔術で死にはしないが、誤差動起こされるなんてたまったものではない。

 

また、地下への階段に関してだが、これにも危険なトラップはつけていない。

消費した宝石の補充や研究などでよく利用するのだ。

一応、合言葉を言わずに入ろうとした場合は、鍵も開かないし、その瞬間に屋敷中に警報が響く設定になっている。

 

んで、階段を下りた後だが、下りてすぐには魔術の触媒にしている宝石が数多く備えられている。ここが補充室。

パッと見じゃただの宝石の展示室であるが。

 

そして更にその奥には研究室。

一応、ここは最重要機密の宝庫なので、面倒であるがトラップを仕掛けている。ちなみに、ドアノブに触れたら雷並みの電気が流れます。

ほぼ即死だね!

なんせ、最初にこのトラップ作ったときに調整ミスってこうなったんだからな。神の試練(ゴッド・ハンド)なかったら俺の第二の人生終了してたよ

 

今では電撃耐性も得たが、耐性あっても痛いものは痛いのだ。

それに、地下への扉や補充室にはエアとかが用があるときに入ってくるからトラップなんてつけられん。

研究室は家の誰にも入らないようにって言いつけてあるからつけている。ちょっとばかりR18(グロ)な光景とかあるからね。

それにここは万が一にも入られたら不味い神秘の塊のような場所だ。多少の我慢はするさ。

 

とまあ、色々言ってはみたが、結論をいえば、研究室以外の俺の私室はザルといってもいい。

だからこそ、外を要塞化しているのだが、それでもなお甘かったか。

 

そして俺が浸入者に気づけた理由であるが、これは補充室へ入った時点で俺に伝わるようになっているためだ。

元々は研究室に籠った俺を研究室の扉に触れずとも呼べるようにとしたものである。

あそこ、通信機効かないからね

 

 

 

と、まぁそんなわけで、だ。侵入者はすんごい実力者か、内部犯。

考えたくはないが……後者の方が確率高ぇんだよなぁ

 

誰かが買収されたのか、あるいはもともとその目的でにか。

 

……スペクテッドで調べたりもしてたんだがな

 

目星はつけてはいるが、一人だけ疑うってのはあまり好ましくない。

 

まぁ全員を調べればわかることだ。

 

「ま、でも初っぱなはあいつからだな」

 

 

 




なんか感想にてセイの工房チョロすぎという意見が多いね。

時臣さんの自宅は外は堅固な結界だけど、中からは普通に地下に入れてたから、それのイメージなんだけど
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