Fateで斬る   作:岳鳥翁

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六十一話

一応、殺したことにしてあるブラートとシェーレの使っていた帝具は回収してチョウリ様まで届けなければならない。

ナイトレイドを殺さず戦力にする計画は今のところ家のメイドたち以外には誰にも話してはいない。

敵を騙すにはまず味方から。

 

それに、このことがオネストに知られれば、好機とばかりにいろいろ仕掛けてくるに違いない。悔しいが、戦闘と違って政治的な部分では奴に太刀打ちはできないのだ。

そのため、泣く泣くではあるが帝具を回収するのだ。

死体については……まぁ、残らないくらいグチャグチャになったとでも言えばいいか。

 

…にしても

 

「体が怠ぃ…」

 

よほど先程のスペック解放が効いているのか、いつもに比べてかなり動きづらい。

おまけに妄想幻像(サバーニーヤ)でスペックも下がっている。

 

仕方ないとはいえ、今の状態でナイトレイドと戦うのは少しばかり厳しいかもしれない。

 

と、その時だった。

 

ドンッ!! という破壊音と共に屋敷を突き破って上空の彼方へと消えていく何かと、そしてその後を追う赤い球体。

 

 

「あれは…ボルスさんの岩漿錬成(マグマドライブ)?」

 

ボルスさんの帝具である煉獄招致ルビカンテ。その奥の手であるあれはルビカンテの炎を固めて長距離攻撃を可能にしたもの…だったはずだ。

 

「『透視』発動」

 

最近めっきり使ってなかったスペクテッドを使って、建物の内部の状態を覗く。

スキル心眼(偽)があるため、戦闘じゃぜんぜん使わないが、こういう補助の能力ってのはありがたいものだ。

 

「さて、どうなってっかな」

 

まず見えたのはクロメの姿。ボリックの護衛でもしているのだろう。ナタラをはじめとした骸人形四体がボリックを囲み、更にそれに加わる形でボルスさんがルビカンテを構えていた。

そして、前に出て戦っているのはエスデス一人。

…戦闘の邪魔だとかいって一人で前に出たんだろう。なんか、その場面が容易に想像できる。

 

そして敵対するナイトレイド。

大剣を構えた上半身裸の頭に角の生えたコスプレ男子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけ

 

 

「ちょっと待てやおい」

 

思わず窓を突き破って突入した。

 

「ん? なんだ、セイか。そちらはもう終わったのか?」

 

「まぁな。……って、そうじゃねぇよ。他のナイトレイドはどうしたんだ?」

 

「逃げられた」

 

「おいこら」

 

やれやれと肩を竦めて首を振るエスデス。後方のボルスに視線を向けてみれば気まずそうに頬をかいていた。

そしてクロメに守られながら白目をむいて気絶するボリック。

 

「初めは奴等もやる気満々だったんだがな。開発した私の奥の手を使った時点で撤退し始めた。今残っているのは足止め役だ」

 

「そりゃぁご苦労なことで。で? お前の帝具、奥の手なかったと思うんだけど?」

 

「作った」

 

「待てやおい」

 

奥の手って作るものじゃなかったよな? なにこいつ、アホなの? と思いたいところなのだが、ナイトレイドが撤退するきっかけを作った奥の手だ。相当なものなのだろう。

 

……あとで調べないとな。敵対したとき、未知の切り札ってのは恐ろしいものになる。

 

「っと、そうそう。帝具二つ、回収してきたぞ」

 

ほれ、と背負っていたベルヴァーグとエクスタスを見せてやる。

 

スペックが落ちているため、前よりも重く感じたがな。

 

「……そうか、ブラートたちは殺られたのか…」

 

いえ、生きてます、とは言えねぇな。

目を瞑ってそう呟いた目の前の足止め役に視線をやる。

よく見れば胸のところに何かついてるし、腕の関節は人形のような作りになっている。

 

不思議に思っていると、隣にいたエスデスが奴が生物型の帝具であるとこを教えてくれた。

 

なるほどね。

だが、どうせここで潰れるのなら、俺の足止めで来てほしかったな。

意志を持った人形なんて、アインツベルンのホムンクルスと同じようなものだ。魔術師として、是非とも研究してみたい。

中身の研究ができれば、劣化版でも量産できるかもしれないからな。

 

まぁ、現状無理なんだけど

 

 

「セイ、悪いが、お前はボルスたちのところまで下がれ。これは私の戦いでな」

 

「…へぇ、珍しいこともあるもんだな。いつになく真剣じゃねぇか」

 

「まぁな」

 

サーベルを抜いて、男の五メートルほど手前まで歩み寄ったエスデス。俺はそれを見届けてボルスさんのところまで下がった。

 

「ごめんね、セイ君。他のナイトレイドの人たち逃がしちゃったよ」

 

「過ぎたことですよ。それより、どうやって逃げられたんですか? あのエスデスがそう簡単には逃がすと思わないんですけど…」

 

「あの人が空に投げ飛ばしたんだ。私も慌てて奥の手を使ったんだけど、届かなかったよ」

 

なるほど、つまりあのなにかは投げ飛ばされたナイトレイドだった、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、結局のところ、エスデスは帝具である男に勝ち、俺達の護衛任務は成功となった。これで、東からの敵は抑えられるため、大分楽になるだろう。

残るは西の異民族と南の革命軍。あとは北の異民族の残党くらいか。

 

まぁでも、反乱軍を潰した後、ボリックは捕らえさせてもらおう。

そのための資料のコピーも拝借させてもらった。

気配遮断って超便利だわ

 

そんなこんなで無事に帝都へと戻った俺達。

まぁ問題があるとすれば、副隊長からの制裁と書類地獄であろう。

 

そう思っていた時期もありましたよ

 

 

「む? お主がここの主かの? なかなかよい工房じゃの」

 

「誰だよお前」

 

 

なんかいた

 

正確に言えば、金髪ののじゃロリ

 

 

「これは失礼したの。妾はドロテア。錬金術師じゃ」

 

 

 

 




さて、ナイトレイドのボリック暗殺は失敗
ブラートとシェーレは捕らえられ、スサノオは死亡

さぁ、こっからどんどん盛り上げていきますよ!
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