Muv-Luv GROUND High speed 作:健全太郎
遅くなりました
手が震えている気がする。いや震えているように感じるだけでそれを抑えるようにもっと強い力で操縦桿を握っていた。怖い、怖い、このままいけば山に激突することは目に見えている。早くアフターバーナーを切らなければ、いや、エアブレーキを全開にして逆噴射を掛け脚部を地面につけ摩擦で減速を、とにかく頭は恐怖からくるものをあらゆる行動にしようとしていた。でも手が、足がそれを拒否する。隼介は極限状態にいた。
(臆病になるなっ!)
自分に言い聞かせる。速度を落とせばグリペンに追い付かれて負ける、それは嫌だった。
周りから見れば無謀なバカ、死に急ぎ野郎にしか見えないだろう。しかし隼介は直感的に機体を動かしていた。
「ここだぁ!!」
操縦桿をひねる、思いっきり限界まで。ファントムはそれに応じ機体を右旋回させる、フットペダルを操作し機体を限界までひねる。隼介の得意とするOUT・IN・INの超速版であった。
「それは無理だ!」
皆川は思わず叫んだ。あまりにも無謀なその動き、第一世代機では無理がある、ファントムの悲鳴が聞こえてくるようだった。
(なにを考えていやがるっ、死にたいのかあいつは。武雄とまるで性格が違うっ!)
しかしあの速さでコーナーを抜ければグリペンにはもう追い付く術はない。ファントムが限界を超えクラッシュすれば勝てる。あの高速状態でクラッシュすれば機体は無事では済まない、もちろん中にいるパイロットだってそうだ。しかも相手は武雄ではなくその息子ときた。そんな勝ち方は見えていてもクラッシュすることは望んでいなかった。
警告音がけたましく鳴り響く。それは機体同士に接近を知らせるものではなく、いままで聞いたことのない音。網膜上に機体のステータスが表示される。そこにはファントムの腰の稼働域が限界だということを示していた。
(曲がれ曲がれっ...)
いまここで操縦桿を戻せば負けるし、この速度では戻しても山に衝突は避けれない。警告音と表示されるステータスを無視して前を見る。機体の軋む音も聞こえてくる。
(ファントムが叫んでいる...!)
後ろには皆川のグリペン、上空にマインドシーカー、周りには大勢のギャラリーが見ている中、隼介は自分とのチキンン勝負、ファントムは機体の限界に挑んでいた。
もう隼介の頭の中は白くなっていた。
気付けば前には海が見えた。いつも見る風景、警告音も聞こえるがさっきほどうるさくはない。熱狂する人の渦も見える。何事かと思っていると後ろから引っ張られるような振動が伝わってきた。
『おい、どこに行く気だ』
皆川の声が聞こえた、その声で隼介は気を取り戻した。
「あ...え?」
『しっかりしやがれ、何呆けてやがる』
周りの状況が理解できて来た。自分はグリペンとバトルをした、後ろからグリペンが来たということは勝ったということ、勝ったことに喜べないのは自分が疲れているかっらなのか実感がないからなのか。
とりあえず埠頭に機体を向ける、そこには大勢の人がいる。バトルが始まる前に見た時よりももっと熱い熱を感じた。
(こんなにたくさんの人が見ていたのか)
しかし隼介の顔を強張った。その大衆の中から一人の男を見つけたのだ。
「なっ...親父!」
自分の父、今回のバトルの切っ掛けにもなった男が今回のバトルを見ていたのだ。
自分の父なのにこの場では存在するだけで隼介は緊張してしまった。
「いよう皆川、久しいな」
先に降りてきた皆川に一番最初に声をかけたのは武雄だった。
「てめえ見ていたのか」
皆川は応じる、その口調からは知り合いだったことを示していた。
「お前はまだこの世界にいたのか、死神なんて肩書もってよお」
武雄の立ち振る舞いは堂々としていた。
皆川は心の中に怒りを隠しているような雰囲気を漂わせる。
「俺らを裏切り追いかけても逃げていたやつが言うことじゃねえぞそれは」
このタイミングで隼介がやってきた。父と皆川の因縁は霧島から聞いたことは知っていた、しかしこの場で聞いた限りではただの対抗意識をもったものではなくもっと古く深い何かが感じ取れた。
「親父、この人とは...」
もしかしたら父の過去を知っている人かもしれない、知りたかった父の過去がわかるかもしれない、そんな気持ちを込め聞いた。
「こいつとは軍にいたときの部下だ」
隼介はその言葉を聞いたときすぐに皆川の顔を見た。
「あぁそうだ、俺はこのくそったれの部下だったよ」
「どうゆうことだ親父、過去に何があったんだよ」
今の話からするに自分の父、武雄が軍を去ったあと皆川も追いかけるように軍をやめたことになる。何等か事情があったか知りたい。
「それはお前に関係のない話しだ」
親父に目と口で制された。しかし引き下がらない。
「その過去の清算を俺がさせかけられたんだぞ、そんくらい教えろ」
あの旧東北自動車道での一件を持ち出した。
武雄は気に食わなそうな顔をした。
「...ふん、まあいいだろう。ならあそこのあいつも呼ぼうじゃないか」
そう言い顔を向けた先はあのマインドシーカーだった。
ようやく年末年始が過ぎた感じがします。
いつもの生活スタイルが戻ってきたので投稿を再開します。
ですが毎日投稿とはいかないでしょう、がんばりますけど...
今年はいきなり激動の時代になりそうですね、中東のほうでは国交断絶があったり北の朝鮮がすごい爆弾つくった疑惑があったり、
いつかhoiの21世紀版が出たら大変ですね