「いや~それにしてもすごかったな刀華たちの試合…っと」
カチッ
「ホントだね。僕もまさかあそこまで後輩クンが善戦するなんて思ってなかったよっと」
カチカチッ
「だよな~。…っておいス○ッシュボールは卑怯だろ!」
「へへ~ん。知らないよ。取れなかった翔人が悪いんだから」
「くそ~…」
刀華の試合が終わったあと、生徒会メンバーは生徒会室に戻って各々好きなことをしていた。
翔人と泡沫はス○ブラ。
恋々はそんな2人を見ながら筋トレ。
雷は議事録をまとめ直し、カナタはそんな雷にお茶を準備していた。
「僕のク○パは最強だからね」
「最強は俺のゼ○ダだ!」
「おぉ~二人ともすごいなぁ」
と3人がゲームに熱中していると、
「な、なにこれーーーーッッ!!」
顔を真っ青にしながら悲鳴を上げる刀華がドアの前に立っていた。
「あれ~?かいちょー帰ってきたんだー。お帰り~」
「アハハ☆刀華はドジだなぁ…って、あっ!翔人ずるいよ!僕がよそ見してる間に倒すなんて」
「フフンッ!さっきのお返しだ。見てない方が悪いんだ」
「くっ……」
刀華の入室に気づいた恋々と泡沫は声をかける。
が、翔人はゲームに集中しているため振り返らない。
何でも、その間に泡沫のキャラを一人倒したようだ。
そんな3人に対し、刀華は眉をきりりと吊り上げて、
「も~!!兎丸さん!ダンベル使うたらちゃんと元の場所に戻してっていつも言っちょるばい!それにうたくんも漫画ば読んだらちゃんと本棚に戻して!最後にひろくん!副会長なのになんばこの状況を注意しないとっ!?っていうかこっちを見るばい!!」
声を張り上げて怒鳴りつけた。
「むむ、かいちょーどうしてこれを散らかしたのがアタシたちだと決めつけるの?冤罪かもしれないよ!」
カチカチッ
「生徒会で筋トレするのは兎丸さんしかいませんし、漫画を読んで出しっぱなしにするのも、うたくんと貴女しかいないからですよ!ひろくんは普段は頼りになるのにうたくんにそそのかされると周りが見えなくなるし…」
カチカチッ
「いやー、なんだかんだ新作のゲーム買ったはいいんだけど翔人とやる機会がなくてさー。今日はようやく2人の都合があった日なんだ。でも買ったソフトをどこに置いたか忘れちゃって、部屋中ひっくり返してようやく発掘したんだよ。あぁでも刀華のいない間の仕事は雷とカナタがやってくれたから大丈夫!」
カチカチカチッ
「なに他人任せにしてドヤってるんですか腹立つ!っていうかいい加減ひろくんは私の方を向くばい!」
「会長。興奮しているところ申し訳ないが、さっきから客人がひいておるぞ?」
「―――――ハッ!」
部屋のあまりの惨状に怒りで我を忘れていた刀華は、はっと入り口に振り返る。
そこにはゴミ屋敷のようになった生徒会室の燦々たる有様を、ちょっと引きつった笑顔で眺める一輝とステラの姿があった。
「ちょーっと待っててくださいね~?」
刀華は青ざめた顔に愛想笑いを浮かべながら、2人を廊下に押し戻して、ぴしゃりと扉を閉める。
「ほら!みんな片づけるの手伝って!2人とももうゲームやめなさい!」
「と、刀華!?お前帰ってきてたのか!?」
「えっ!?さっきの全スルー!?」
「それより刀華…俺と泡沫の真剣勝負をよくも……」
「ふ、ふくかちょー!?こんなところで固有霊装出すのはやめて!!危ないから!!」
「ひ、ひろくん!?そこまで怒らなくても……」
「男の真剣勝負を台無しにしたんだ。…覚悟ッ!!」
「ちょ、ちょっと…固有霊装使うなら、あれで部屋を綺麗にしてよ!」
「そうです!ひろくんのあれなら部屋を一発で綺麗にできるでしょ!」
「刀華ァ…後で覚えておけよ。…まぁいい。客人もいるようだし先にやることやるか。ほらよっ。…って言っても俺のこの能力の用途って本来掃除に使うんじゃないんだけど」
「み、みんなこの中にいらないもの突っ込んで!」
「ハリー!ハリー!」
まるで引っ越しでもしているかのような物音に、生徒会室の窓がガタガタ音を立てて揺れる。
その騒動と騒音を廊下で聞きながら、
「トーカさん、大変なのね…」
「そうだね…」
一輝とステラは刀華に同情していた。
・
・
・
・
・
そして待つこと数分、ようやく生徒会室のドアが開かれ、
「お、お待たせ、しました。どうぞ中に…」
息を切らしながら告げる刀華が2人を中に招き入れた。
「あ、はい。お邪魔します」
早くも生徒会室に来たことを後悔し始めている一輝は、ステラと一緒に生徒会室へと立ち入る。
そして驚く。
部屋の中が、まるで部屋ごと取り替えたのかと思うほどにキレイになっていたからだ。
先ほどまで散乱していた本はすべて本棚に収納されており、床にはホコリ一つなく磨かれている。
よく数分でここまで片付けたものだと感心する。
(さっき話していた翔人さんのあれって何なんだろう?部屋を片付けるときに役立つ能力らしいけど…)
そんなことを考えながら、一輝たちは勧めるまま、部屋の中心にあるソファーに腰を下ろし、生徒会役員たちと同じテーブルにつく。
「クロガネ君。久しぶりー。アタシに勝ってからも快調に勝ち続けてるみたいだね」
「はい。なんとか頑張ってます」
そのやりとりに追随する形で、カナタがステラに柔和な笑みで挨拶をする。
「ステラさんもお久しぶりです。私とはレストランで会って以来ですね」
「ええ。まさかこの部屋に呼ばれる日がくるなんて思わなかったけど」
カナタの言葉にステラはやや皮肉気にそう告げる。
しかしカナタは大して気にしていないようだった。
「貴徳原さん。お二人にお茶をお出ししてください」
そんな場に生徒会長である刀華と声が響いた。
「はい」
「あ、カナタ。僕のもお願い」
「カナタ先輩!アタシ、マドレーヌ食べたい!」
カナタが席を立ったところで泡沫と恋々がそう告げるが、
「悪い子二人は今日のおやつ抜きです」
刀華がそう切り捨てる。
「な、なんだって!」
「ひどいよ刀華!おやつが食べられないんだったら僕たちはなんのために生徒会室にいるのさ!」
「生徒会役員だからに決まってるでしょ!?」
二人のあんまりの言葉に刀華が悲鳴のような声をあげる。
こんなとき頼りになるのは翔人しかいない!と、恋々、泡沫、刀華の3人は思い一斉に翔人へと振り返る。
そんな3人に翔人は苦笑いしながら答える。
「まぁまぁ、落ち着けって3人とも。まず泡沫と恋々。お前たちは部屋をあんなに散らかしたんだから刀華に文句を言うな。次に刀華。おやつを抜くとこいつらがうるさいから許してやってくれ」
(ふくかいちょーだって一緒にゲームしてたくせに)
恋々が小さくそうつぶやく。
「…何か言ったか恋々?」
明らかに笑っていない笑顔でそう尋ねる翔人に恋々が何かを言えるはずもなく、
「ううん!何にも言ってないよ!?」
と、やや慌てながらもそう告げた。
「…恋々、ここは翔人の言う通りにしようよ。従っておけば僕たちに悪いことはないんだからさ」
そんな恋々に泡沫は先輩であるかのように恋々をたしなめる。
(事実先輩なのだが………)
「そうだね…」
と恋々が頷き、話が一段落したところで、ずっと議事録をまとめていた雷が感心した声で刀華へと話しかける。
「しかしさすが会長。自身の試合があったというのに仕事が早い。もう例の件の助っ人を見つけてくるとは。それもいい人選だ。その2人ならば、戦力として申し分ない」
突然、戦力や助っ人などと言われ揃って首を傾げる一輝とステラ。
なんのことだと二人は視線を刀華に向けるも・・
「はい?」
本人もキョトンとして頭にはてなを浮かべていた。
その反応に雷は困惑を見せた。
「む?なんだ違うのか?珍しい客だからてっきりそうかと思っていたんだが…」
「雷。なんの話だ?俺も知らないんだけど」
刀華が一人考えている間に、翔人は雷に声をかけた。
どうやら翔人にはこの話は言っていなかったようだ。
「副会長も知らなかったのか…会長、連絡はしっかりと「あぁぁぁぁぁぁっ!!」」
雷が説明をしようとしたところで、刀華が急に青ざめた表情で叫んだ。
「あらあら。もしかして本当に忘れていたのですか?私もてっきりそのためにお二人をお連れしたのかと思っていましたのに」
「……あぅ、はい。珠雫さんとの試合に集中していて忘れてました……」
「だから何の話だよ?」
頭を抱えてしょんぼりする刀華を気にせず、翔人はカナタに尋ねる。
「先日新宮寺理事長から生徒会に頼み事があったのです。七星剣舞祭の前にいつも代表選手の強化合宿を行っている合宿施設が奥多摩にあるのですけど、最近そこに不審者が出たそうで」
「…で?」
嫌そうな顔をしながらも、翔人は先をうながす。
「そこで一応生徒会の方で安全確認をしてきてほしいと頼まれたのです。先生方は選抜戦の運営で大忙しですから。…ですけど翔人君も知っているように合宿所の敷地は高い山や広い森もあるので、私たちでは人手が足りませんの」
「なるほどね。それで助っ人が必要…と。……あのおばさん相変わらず人使いが荒いよな。俺たちは便利屋じゃないっての」
文句を言う翔人に苦笑いしながらもカナタは翔人を落ち着かせる。
「まぁそんなこと言わないでください。私たちに出来ることは私たちでやりましょうよ」
「まぁカナタがそう言うなら…。だけど刀華、その知らせを俺にしていなかった件についてあとでゆっくり話そうな☆」
語尾に☆が付いてしまうほど、翔人は笑いながら刀華にそう告げる。
「…は、はい………」
そんな翔人に刀華は頷くことしかできなかった。
「まぁ不審者なんて面倒な限りだが、頼まれて引き受けてしまった以上はしょうがない。黒鉄、ヴァーミリオン。一緒に頑張ろうな」
「「は、はい」」
一輝たちは行くと一言も言っていないのだが、場を仕切っていた翔人によって行くことが決められてしまった。
とは言っても一輝に不満はない。
彼は生徒会が忙しい原因である選抜戦制度で恩恵を受けた身だ
故に彼らに協力することは、むしろ是非にという気分だ。
こうして翔人たち生徒会メンバーと一輝とステラは、次の週末に奥多摩へ向かうことになったのだった。
翔人の使った能力は後々明らかになります