覚えてくれてる人いたら嬉しいなぁ…
短いけどよろしくです!
「何だ…これ」
加々美に事情を聴いた翔人は、ありえない速さで破軍学園へと着くとそう声を漏らした。
校舎のそこかしこから火の手が上がり、黒煙が立ち上っている。
地面を舗装しているアルファルトはひび割れ、砕け、爆撃でも受けたような有様。
そして、荒廃した学園のかしこに、滞在組の生徒や教師が倒れていた。
そんな翔人の元にガキィンという刀の交わった音が聞こえた。
「こっちか!」
翔人は音のした方へ全力で走る。
するとそこには…
「え…?」
彼の見知った人たちが倒れていた。
「雷、恋々……」
向かって右側には後輩たちが。
「カナタ、泡沫……」
左側には同級生たちが。
「刀華………」
そして正面には大好きな幼馴染が。
「やっと来たか」
翔人が生徒会のメンバーへと思いを募らせている中、この学園で聞きなれない声が翔人の名を呼ぶ。
翔人が顔を上げると、そこには固有霊装を構えている男が立っていた。
「久しいな、翔人」
「王馬、か…?」
「王馬さん、この人は誰です?」
翔人のセリフに重なるように一人の生徒が王馬に尋ねる。
もちろん破軍の生徒ではない。
「奴の名は斎藤翔人。俺の知ってる中で最も力を持っている伐刀者だ」
翔人が驚いている中、王馬は破軍の生徒たちに告げる。
「なんとっ!?それは王馬さんよりも…ということですか?」
「あぁ。今はどうか分からんが、昔俺が戦ったときは傷一つ付けられなかった」
「っ!!!」
王馬のその一言に暁学園のメンバーは目を見開いて驚いた。
それもそのはずである。
彼らにとって、暁学園の絶対的エース黒鉄王馬が、昔とはいえ傷一つ付けられなかったなどということは信じがたいものであったからだ。
「……王馬、一つだけ聞いておく。こいつらをやったのはお前か?」
そんな破軍学園の生徒たちの言葉など聞く耳を持たず、翔人は淡々と尋ねた。
「俺たち、と言っておこう。だが、そこの女をやったのは俺だ」
王馬は顎で刀華を指した。
「そうか……。他に何か言い残すことはないか?久しぶりの再開だ。すぐに殺るのはやめてやる」
その言葉に王馬は口元を吊り上げた。
「話すことなど何もない。《紅蓮の皇女》にがっかりしていたところでな、お前が来るのを楽しみにしていた」
「そうか……。じゃあ死んでくれ」
翔人がそう告げた瞬間、暁学園のメンバーを殺気が覆う。
暁学園のほとんどの生徒はそれに畏怖し地面に座り込んでしまった。
中には失禁しているものまでいた。
そんな破軍の生徒たちに王馬は仕方ないとばかりに告げる。
「お前たち、どいていろ。近くにいたら死ぬぞ」
「近くじゃなくても殺すさ。俺の仲間に手を出した罪は死以外で償うことはできない」
そう告げ、翔人は一呼吸置き、
「
そう呟くと空から一つの光が王馬に迫る。
しかし、
「フッ!」
王馬は自身の刀で一振りし、流星を真っ二つにする。
「もっと本気で来い。昔のように」
王馬の言葉に翔人は少し驚いていた。
それは流星を退けられたこともあるが、一番驚いたことは王馬の勘違いだった。
「そうか。それじゃあいわれた通りちょっとだけ力を出すよ。ただ王馬、一つ勘違いしているぞ?」
――――俺はお前なんかに本気を出した覚えはない
「
翔人がそう告げた瞬間、王馬たちがいる場が暗くなった。
王馬以外はそれを疑問に思うが、王馬はすぐさま上空を見上げる。
「何っ!?」
王馬は上空を見上げて叫んだ。
なぜなら、上空には1000メートルはあろう巨大な隕石が存在していたからである。
王馬の声に反応した他の暁学園のメンバーも、驚きを露わにする。
「何だこれは!?」
「散れ、クズども」
その言葉と共に巨大な隕石は爆発する。
それと共に爆炎が暁学園のメンバーを焼き尽くす。想像しがたいほどの爆発。
これほどの威力があったら学園も爆破していると思うかもしれない。
ただそこは翔人の能力の見せどころ。
翔人は口では熱くなっていたが、頭の中はいたって冷静であった。
星屑しと共にすぐさま別の伐刀絶技を発動。
その名も
威力、程度を問わずすべてのものを飲み込む技である。
以前生徒会室で片づけのときに使ったのもこの伐刀絶技である。
「くっ……」
「なんだ、まだ生きていたのか。しぶとい奴だ。今楽にしてやる」
翔人は王馬が生きていることを確認すると足を一歩一歩と彼の元へと動かした。
王馬は抵抗しようとするが身体が言うことを聞かず、何もすることができない。
他の暁学園のメンバーは全員気絶しているため仲間を呼ぶこともできない。
正に今黒鉄王馬は絶体絶命だった。
しかし、
「ひ………ろ………くん?」
「刀華!?」
かすかに聞こえた刀華の声に翔人は一瞬にして殺気を消す。
そして王馬へと向けていた足を翻し、刀華の元へと駆け出した。
「大丈夫か、刀華?」
「う……ん。なん……とか……ね」
「そうか。…じゃあすまないけどもう少し待っててくれ。お前たちをこんなにした連中を消してくるから」
「だ、だめっ!」
翔人の言葉に刀華は激しく反応した。
「…刀華?」
「人殺しなんかしたらダメ。私は…ひろくんにそんな人になってほしくないよ…」
「そうは言ってもだな…。奴らは刀華たちをこんなにしたわけで…」
「だとしても…!いや…だからこそひろくんには何もしてほしくない。私たちがやられたのは私たちに力がなかったから。やるなら私たちの手で…やらせてほしい」
「刀華……」
翔人は刀華の言葉を受け、目を閉じる。
そして一つの結論を出した。
「分かったよ…。じゃあとりあえず今は手当てしないとな」
翔人は笑顔でそう告げると、刀華を抱き上げた。
そう、お姫様抱っこで。
「ひ、ひろくん!?」
「大人しくしてろ、怪我人なんだから」
「そ、そうは言っても…」
「王馬」
テンパっている刀華の言葉を受け流し、翔人は背後にいる王馬へと声をかける。
「今回は………今回だけは見逃してやる。刀華に感謝しろ」
「くっ…」
「次はないぞ?俺に用があるなら直接来い。じゃあな」
翔人はそう告げると、保健室へと向かおうとする。
しかし次の瞬間…
「えっ?」
翔人は腹のあたりに痛みを感じた。
「ぐっ…ゴフッ!」
「ひ、ひろくん!?」
腹を刺された翔人は血を吐いた。
王馬たちの仲間が残っていたのか、と思った彼は後ろを振り返る。
すると同時に翔人は驚愕の顔を浮かべた。
「久しぶり、お兄ちゃん♪」
そこには翔人の妹、桜が満面の笑みを浮かべ立っていた。
更新ペースはどうなるかわかりませんが、完結はさせますので気長にお待ちいただけたら幸いです