もう…感動せずにはいられませんね。
ラノベでこんなに感動したのは初めてです。
最終巻と言われても異存はないです。
久しぶりにエーデルワイスも出てきましたし、作者的にはもう最高の一言に尽きますね。
次巻も楽しみです!
それでは本編どうぞ!
「副会長〜聞いたよ!選抜戦出るんでしょ!?」
「やはり副会長は男だ!」
「やめてくれ恋々、雷…無理やり出さされたようなもんなんだから…」
翔人は生徒会室で仕事中だったのだが、後輩二人に詰め寄られていた。
何故なら翔人が選抜戦に出るという話が学校中に広まったからだ。
《斎藤生徒会副会長、ついに選抜戦出場!生徒からの不満を一蹴できるのか!?》
と言った見出しの新聞が校内に出回っているためである。
(こんなことになるなんて思ってなかったな…)
と、内心ため息をつくが今更どうしようもない。
「ねぇねぇ副会長〜しっかり本気出してね!」
「恋々、副会長なら本気を出すに決まっとるだろ!」
翔人の実力を知らない二人は、なおも翔人に詰め寄る。
翔人はもうかなり疲れた顔をしている。
そんな翔人を救ったのは生徒会会計貴徳原カナタだった。
「二人ともあまり翔人君を困らせてはダメですよ」
「そういえばカナタさんは副会長と付き合い長いんですよね?副会長ってどのくらい強いんですか?」
カナタの言葉に恋々はうなづきながらも、質問する。
恋々の言葉を聞き、翔人は焦った様子でカナタに目で
(ごまかしてくれ!!)
と訴える。
そんな翔人にカナタは微笑み、恋々へと告げる。
「まず私よりは間違いなく強いですよ。レベルが違いますから。それに会長もおそらく勝てないと思います。昔一度戦っている場面を見ましたが、会長は手も足もでていませんでした。」
その言葉に恋々と雷は衝撃を受けた。
「おいカナタ!でたらめを言うなよ…二人とも信じちゃうだろ」
その言葉にカナタは微笑みながら翔人に告げる。
「あらあら、すみません」
「えっ?ってことは今の話は嘘…?」
そんなカナタの様子に疑問を覚えた恋々がカナタに尋ねる。
「…それは試合を見ればわかりますよ。明日から選抜戦も始まることですし」
恋々の質問にカナタは意味深に答える。
その様子に恋々は少し納得していなかったようだった。
しかし、明日になればわかることだし、と一人で納得し自分の作業に戻っていった。
次の日
第一試合の会場へと翔人が到着し、翔人のプロフィールが紹介されると会場は騒然とし始める。
斎藤翔人 Aランク
翔人は破軍学園に入学してから一度も戦ったこともなく、自分に関しての情報は全て隠していたため、誰も翔人について詳しい情報は知らないのだ。
おそらく知っていたのは、生徒会3年生と理事長、寧音、それと一輝ぐらいだろう。
「えっ?副会長ってAランクだったの…?ランクだけなら会長よりも上ってこと…?」
生徒会全員で翔人の試合を見に来ていた中、恋々がつぶやく。
「そうよ、兎丸さん。ひろくんはとっても強いんだから」
恋々のつぶやきに刀華は笑顔で答える。
「嬉しそうですね会長」
「それはやっぱり嬉しいわよ。今まで戦いを避けていたひろくんが、ついに表舞台にたつんだから」
「そうだね。僕も翔人の試合は楽しみだよ。一体どれだけ強くなってるんだろうね」
順にカナタ、刀華、泡沫のセリフだ。
3人とも顔には笑みが浮かんでいる。
「でも相手がかわいそうだよね。あの翔人が相手だなんてさ」
「そうですね。相手は我が学園内でも屈指の実力者。去年は七星剣舞祭にも出場しています。…でも翔人君が相手では1分ともたないでしょう」
と、カナタは試合を予測し始める。
そしてそれに頷く生徒会3年生たち。
しかし、それを聞いて何も言えない生徒会2年生たちは、黙って翔人に視線を向けた。
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「いやぁ〜ついにあのひろ坊もでてきたね〜」
「寧音か」
生徒会メンバーから少し離れた場所で、理事長黒乃と臨時講師の寧音は話していた。
内容はもちろん目の前のリングにいる翔人についてだ。
「くーちゃん説得するの大変だったっしょ?」
「あぁ。あいつの殺気を感じた時は死を覚悟したよ。おそらくすでにエーデルワイスと同じくらいの強さだ」
「ほえ〜しばらく見ない間にすごいことになってんな」
「まぁ試合を見ればわかるさ」
そう黒乃が告げると、二人は黙って会場の中心へと視線を向けた。
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「ちょっと待ってよ一輝!」
「あっ…ごめんステラ。それに珠雫とアリスも」
「それはいいんだけど、そんなに急いでどうしたの?」
「この間の副会長ですか、お兄様?」
「あぁ。この数年間音沙汰のなかった流星の剣帝がついに出て来るんだ。見逃すわけにはいかないよ。同じ剣客としては」
一輝たち一行は急いで試合会場へと向かっていた。
しかし、急ぎすぎるあまりステラたちを置いていったことに気づいた一輝は頰をかきながら彼女たちに告げる。
「一輝がそこまで言うなんて相当な選手なのね。是非とも試合を観てみたいわ」
「そうだね。おそらく勝負は一瞬だ。だから急ごう」
一輝はそう告げると再び走り始める。
またしてもステラたちを置いて………
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(ハァ…勢いで出るって言ったけど、面倒だな…)
試合会場で相手と向き合いながら、翔人はそう考えていた。
(とは言ってもやるって言ったからにはやらないといけないし…それに俺が出るって言ったときの刀華は、ものすごく嬉しそうだったし…でもあんまり実力は見せたくないし…さてどう戦うか)
そんなことを考え相手を観察する。
ランクを見たら多少驚いたようだが、それでも納得いかないようで、翔人の方をちらちら観察していた。
(まぁそうなるよな、普通は…じゃあまぁとりあえずは
そう思った翔人は相手を見据え、試合に意識を集中させる。
すると相手は固有霊装を展開させた。
普通なら翔人も固有霊装を展開させるべきなのだが、翔人は黙ったまま動かない。
それを見かねた審判が翔人に話しかける。
「君、早く固有霊装を展開させなさい」
「いえ、俺はこれでいいです。固有霊装を使うまでもないんで」
「…そうか、わかった」
不承不承ながらも審判は納得したようで、会場の外へと下がる。
そんな翔人に相手は怒りを露わにするが、翔人にはまったく気にする様子はない。
「Let`s go ahead」
試合開始の合図とともに翔人の相手は走り出す……………つもりだった。
しかし相手の足は動かず、試合が始まったときとまるで位置は変わっていなかった。
なぜなら……………
「ッ!!」
殺気を感じたからだ。
「動いたら殺す…」
翔人は決して話したわけではない。
何も口から言葉を発してはいないのだ。
しかし、恐怖しながらも、翔人を見つめる彼だけには翔人の背中に見える銀色のドラゴンがそう告げていると錯覚する。
まるでそのドラゴンの咆哮を聞いたような感覚になったのだ。
そしてそれは会場全体に広がっていた。
あるものは翔人に恐怖し、あるものは泣き始め、あるものは気絶までしていた。
それは現世界3位の西京寧音と元世界3位の新宮寺黒乃でさえ同様だった。
「…くーちゃん、これまじ?」
「大マジだ」
余裕ぶってはいるが、この二人でさえこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
しかし足が動かない。
それほどまでに翔人の殺気は恐ろしいのだ。
そしてそんな翔人の殺気に対戦相手は耐えられるはずもなく、
「こ、降参だ」
と地面を見ながら告げる。
もはや翔人の顔を見ることですら怖いのだ。
「勝者、斎藤翔人」
「うしっ」
勝者のコールがされると先ほどまでの殺気がなくなり、翔人の言葉が会場全体に響いた。