ハイスクールD×D~チンピラ匙くんが行く~ 作:シグマ強攻型
匙とマッキーは現在、イギリスのとある森に来ていた。なんでも、面倒なはぐれ悪魔がここに逃げ込んでいるため、二人で討伐してほしいと言われたのだ。
「……見つかんないっすね」
「そうだな」
二人して湖のほとりでウナギのゼリー寄せやその他伝統的なイギリス料理を食べている。基本的にこの二人は「うまい飯は勿論食いたいけど、別に食えればそれでいいだろう」な精神のため、どんな料理でもおいしくいただけるのだ。
「意外といけるわ」
「個人的にはもう少し焼いてもいいな。イタリアンローストでも試すか」
「生でイケるでしょ」
イギリス料理はまずいとか言われているが、二人からすれば十分食えるものだ。というより、この二人はシュールストレミング缶詰ですら「うまい」というほど。ちなみに、喰った際は数日屋敷に戻ってくることを禁止された。セラフォルーやソーナから「流石に匂いがやだ!」と言われたショックで、テロ組織を二桁ヒャッハーしてきた。
ちなみにこいつらは悪食なだけで、普通の食事も食べられる。ただ、ブラックバスやふぐ、その他普通は喰わないカエンタケやイモガイといったものに齧り付くのが普通かと言われれば首を傾げるところだ。ちなみに、カエンタケ等を食べた際は死ぬどころかおかわりしていた。
「む? 元士郎。反応が出たぞ」
「ええ。数は十ってところですかね」
持っていたウナギのゼリー寄せを二人して一気に腹に収める。そして、二人は森のなかを駆ける。その速度は獣と同等。そして、開かれた場所に出た。そこには---。
「「「「グルルルル」」」」
およそ10メートルはあろう巨大なネズミ型の悪魔。これが今回のターゲット。実は、このはぐれ悪魔は強さで言えばそうでもない。落ち着いて戦えば留流子ですら無傷で倒せる程度である。だが、この悪魔の討伐にこの二人が赴いている理由がある。
「報告では、10匹程度って言われていたんだけどなぁ」
「圧倒的物量で敵を押しつぶすために、というが……御しきれないなら意味があるまい」
繁殖力の高いハツカネズミをよりにもよって眷属悪魔とし、最初のうちは制御出てきていたが、最終的に数が多くなりすぎ制御しきれず逃げられた悪魔がいた。その逃げた眷属悪魔が目の前のネズミである。一匹でも逃せば、そこから単体でも繁殖するため---。
「んじゃま、腹一杯になるかは知らねぇが食事の時間だゴラァ!」
「一匹も逃すなよ?」
匙は触手を展開して、数十匹まとめて食らう。ネズミは危険を察知してあちこちに逃げまわるが、蛇のごとく地を這う触手からは逃げられず次々と捕食されていく。
『ネズミごときでは腹はふくれんが……まあ夕食へのつなぎにはなるか』
そして、マッキーの影より百を超える龍の頭が出現し、匙と同様にネズミを次々と喰らっていく。時間にすればものの数分でネズミ型のはぐれ悪魔は全て匙とマッキーによって討伐された。呆気無いように思えるが、そもそも地力が違うのだ。
「そう言えば、リアス・グレモリーとライザー・フェニックスがレーティングゲームを行うそうだぞ?」
「は?」
「なんでもリアス・グレモリーがライザー・フェニックスとの婚約を不服として抗議、レーティングゲームの勝敗で婚約解消かどうかを決めるらしい」
「へー」
ロンドンのホテルで報告書を作成していると、マッキーがそのような事を口にした。といっても、匙としては別にどうでもいいことなのだが。
「レーティングゲームの結果でそんなことが決まるとは……娯楽に飢えすぎだろ」
「まぁ、否定はできん」
とは言え、マッキー自身もセラフォルーより「誰があんな【自主規制】な奴と結婚するかぁ! 大体、権力とか私の体目当てなのが分かりきってるのよ! ようし、マッキー! レーティングゲームで蹴散らすよ!」と言われて、セラフォルーの婚約を破断にさせた経験があるため、あまりこの件に関してコメントはできない。ちなみに、そのゲームは終始セラフォルー無双だった。
「リアス・グレモリーが勝てるとは到底思えんが……まあ、番狂わせはあるだろう」
「いくら粒ぞろいってもなぁ」
匙としては、リアス・グレモリーたちに対してはなんとも思っていない。ソーナの親友であるというのである程度友好的に接してはいる。一誠が眷属入りしたため何か問題を彼が起こせば、速攻で抗議に行くつもりではある。
「元士郎。お前ならばグレモリー眷属をどう攻略する? 制限は不意打ち等なしでだ」
「塔城小猫は正面から叩き潰す。戦車とはいえ俺のほうが腕力も耐久も上だからな。木場祐斗は……こいつも正面からイケるな。光の剣とかでダメージ倍増とか俺には意味ねぇし。姫島朱乃? ヴリトラヘッドで雷喰って吐き返せば終わり。リアス・グレモリーに至っては懐に入りこみゃ一発だろ。アレの強みってバアル家ご自慢の消滅の魔力だけだろ。兵藤? 『赤龍帝』だからんだか知らんが、今まで喧嘩もしたことねぇ素人に負けるほどのんびりと暮らしてはいねぇ。あと、アーシア・アルジェントだっけか? 回復能力のみの奴をどう恐れろと」
そもそも眷属化する前より剛力だったのだ。それが悪魔になって強化されているため、塔城小猫は潰せる。腕力のみが無理なら触手で吹き飛ばすなりすればいい。木場祐斗も同様。というより、匙は一人でグレモリー眷属を完封できると思っている。グレモリー眷属は、レーティングゲームには初参加だという。ソーナはすでに何回か参加しているためいわゆる『感覚』はつかめているだろう。だが、グレモリーにはそれがない。まぁ、眷属の数が揃っていなかったというのもあるだろうが。
「つーか、流石に経験の差がありすぎじゃないっすかね? なんで対決することになったんです?」
「グレモリー家は情が深いと聞く。大方眷属をバカにされたとかで売り言葉に買い言葉で決めたのではないか?」
「……マジかよ」
匙は絶句した。まぁ、真実かどうかは知らないし興味もないが、さすがに『王』が、というよりも貴族としてそれはどうよと言いたい。そして、自分の主と比べると---。
「やっぱお嬢って最高だわ」
「そうか」
今回、討伐任務に赴くにあたり匙は病欠扱いである。セラフォルーは、こちらの都合だから公欠でもいいのでは?と言ったのだが、けじめはつけるべきとソーナが判断した。匙としては、皆勤賞など狙ってもいないしこんなナリだが学年トップの成績である。今更、授業に出なかったからといって授業についていけないということもない。
「しかし、意外に思われるだろう? 外見はどう見ても不良だ。勉強などできるわけがないと思われる」
「ハッ。自分がどう見られているかなんてわかっているし、これで勉強できませんとかだったら、お嬢の格が下がる。それだけは決して認められないんすよ」
もはや自分の言動や外見はどうすることもできない。だが、そんな自分がソーナの下にいるということは、ソーナへの評価に関わる。椿姫や巡たちなら問題はないだろう。外見も美少女、内面も問題ないどころか優秀。だが、自分はそうではない。やれ「生徒会のチンピラ」だとか「体制側にいる反体制側の男」だと影で言われているのだ。これで馬鹿だったら死んでソーナに詫びるべきと匙は考えている。元々、知識を得ることは好きだった。だからこそ、教科書や参考書を読み込み、ソーナに土下座して勉強を教えてもらった。その結果が、学年トップの成績。
「結構なことだ。我らの行動が主の評価になる。我々が例えば……礼儀を知らぬと判断されれば主の教育が間違っているか、そも下僕を躾けられない……下僕を持つにふさわしくないと判断される。そのようなこと認められるか?」
「断じて否。お嬢が見くびられる? 俺のせいで? ならば、俺に生きる価値などない」
「多少自身を追い込み過ぎだが、その通りだ」
匙もマッキーもそれぞれの主に拾われなければ、どうなっていたかわからない。だからこそ主が軽く見られることは認められないのだ。
「まぁ、リアス・グレモリーに関しては我らには関係ないので放置でいいだろう」
「別に結婚しようがしまいが興味ないですし」
これでライザー・フェニックスがソーナに何かアクションを起こせば匙は即効で喧嘩を売りに行く。不死? だから? だったら精神が死ぬまで殺せばいいだけの話。他の眷属? どんな連中がいるかは知らないが、マッキー並の戦闘力がなければ完封できる。
「ちなみに、師匠は?」
「本気を出さずとも勝てる。グレモリー眷属もフェニックス眷属も、な」
伊達にギリシャ神話体系最強のテュポーンの宿主ではないのだ。『本気』を出さずとも勝てる。と言うより『本気』を出したマッキーに勝てるものは存在しない。『生命体』である以上、マッキーに勝つことはできないのだ。そのような事をセラフォルーが言っていた。
「いい加減、師匠の正体を知りたいんすけど」
「ふっ……いずれな」
マッキーの本名も何もかも知らない。テュポーンと契約、融合しており、セラフォルーが所有していた『悪魔の駒』全てを使って眷属にしたという規格外の存在。その正体が何なのか匙は知らない。そもそも、正体を知っているのがセラフォルーのみだというのだ。
「(ヴリトラ。師匠の正体なんだと思う?)」
『(わからん。だが、どこかで感じた気配であるのは間違いない。大戦が起こるよりも前。それこそ、まだ人と神々が言葉を交わしていた……聖書に書かれた時代だ)』
ヴリトラもマッキーの気配はどこか遠い昔に感じたことのあるやつだという。それは聖書の時代。
「そうだな……ヒントとしては『嫉妬に狂った兄』だな」
そのマッキーの顔は後悔に染まっていた。
同時刻、イタリア郊外のとある田舎町。そこのある家には地獄があった。天井まで血で赤く染まっており、室内にはバラバラになった人間の肉が転がっており、血や排泄物の匂いが充満していた。その中で、フリードは惨状など気にせずにハンバーガーとコーラを食べていた。
「どうよ? こいつらの魂美味かった?」
『あぁ? まぁ、信心深い連中だったからなあ。ポルチーニのパスタくらいの旨さだな』
「ふーん」
フリードは、匙と戦闘を行った数日後に一誠と出会った。その数日後には、リアス・グレモリーたちと戦闘を行ったが、舐めプしてテキトーに負けてさっさと姿を消したのだ。
「つーか……俺も舐めプしてたから言える立場じゃねぇけどさー? 随分と生ぬるい戦闘だったわ。いや、レイナーレたちも悪魔くんたちも」
『あーアレだろ? お嬢様方は温室で育てられていたから外を知らねぇんじゃね? 至高(笑)の堕天使サマについては、ナメすぎだな』
「別にさ~あ? あの……イッセー君だっけ? アイツみたいな本能に忠実なバカ嫌いじゃないけどさ~。俺だって欲望マッシグラな純粋な青年だし? でもさ、いかにも「僕は熱血主人公です!」な奴見てると鬱陶しいんだよね~」
床に転がる肉片を蹴飛ばして窓にぶち当てる。散らばる内臓を踏み潰す。十字架のアクセサリーを剣で切り裂く。ついでに生首はまとめてゴミ箱にシュート。
「いいよね~。ああいうヌクヌクと愛されて育った奴ってさ~。ウザくて青臭くて「アーシアを傷つける奴は許さねぇ! 全員ぶん殴ってやる!」とかいう今時、漫画でも言わねぇような啖呵切っても「素敵! 抱いて!」っていうビッチやホモがいるし」
『カカカカ! アレは傑作だったわ。思わずサインもらおうと思ったくらいだ」
「それで一気にやる気無くしたわー。元々、やる気なかったけどさ」
ある時自分に依頼してきたから面白くなるかと思って受けてみた。しかし、蓋を開ければ自意識過剰な堕天使に、青臭い悪魔たち。一気に意欲が萎えた。いっその事パズスを完全解放して駒王町を壊滅させてやろうかと思った。だが---。
「匙元士郎ねぇ……飼い犬になってはいるが、腑抜けてはいねぇ。むしろ、飼い犬になったからこそ貪欲になってやがる」
『ヴリトラの意識も完全に覚醒しているし……いい殺し合いができるな』
フリードは匙の事が書かれた書類を見直す。フリードは同類を見つけた。目的のためならば他者を食らう畜生を。幾分かは大人しくなっているが、本質は変わらない。だからこそ---。
「『赤龍帝』? 知らねぇな。俺の獲物はあのクソ野郎だけだ」
匙元士郎は自分が殺す。奴ならば楽しい殺し合いができる。そう確信した。
「んじゃまあ、お仕事と行きますかね」
フリードはそう言って家に火を放ち姿を消した。その火事は、辛うじて人の燃えカスらしきものが発見されたほどひどいものだったという。
数時間後、バチカンに保管されていた聖剣が何者かに奪われるという大惨事が発生した。管理していた教会の神父たちはイタリアでの発生はありえないアフリカ奥地の風土病にかかり無残な死に様を晒していたという。
実は、匙とソーナたちの話よりチンピラたちの会話のほうが書きやすい
マッキーのフラグを立てておく。答えは多分、ここにいる皆さんなら楽勝で分かるはず。だって、私を含めて皆中二病でしょ?
ところでさぁ……殺んデレって良くない? フリードへ「私が殺してあげる。そうすれば、貴方は私の中で永遠になる」とか言っちゃう天然の聖剣使いとかさぁ(リリなのA'sをうろ覚えて思い出しつつ)