ハイスクールD×D~チンピラ匙くんが行く~   作:シグマ強攻型

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チンピラ暴走


月光校庭のエクスカリバー
第1話


 

 

「さて、皆さん。これからオカルト研究部に行きますので準備してください」

「なんでまた」

 

 

リアス・グレモリーの婚約破棄が決まったという匙には全く関係のないイベントが終わったとかいう事を聞いた数日後、ソーナは集まった生徒会メンバーに向かって告げた。匙は心底イヤそうにしているが、他のメンバーは普通に準備をはじめている。

 

 

「リアスの方も婚約破棄が決まって落ち着いたようですし、ここで眷属の顔合わせを済ませておこうと思いまして」

「そう言えば元ちゃんってリアス様の婚約破棄騒動の時ってマッキーさんと出かけてたんだっけ?」

 

 

憐耶は準備しつつ匙に話しかける。実は、中東においてヴリトラ系神器が見つかったと報告が上がっており、セラフォルーがマッキーと二人で回収してくるように言ったのだ。ちなみに、出席は勿論欠席扱いである。ちなみに、婚約破棄騒動の際にオカ研が修行のために一週間ほど学校を休んだのだが、その際も病欠扱いである。

 

 

「ああ。おかげで、ヴリトラの神器は全部揃ったぞ」

「うえぇ……また勝率が悪くなる」

 

巡はがっくりと肩を落としながら手帳を開く。そこには、匙との模擬戦の結果が載っていた。勝率はおよそ9:1。十回やって一回勝つという低確率。ちなみに勝った模擬戦も「触手使用不可、匙からの攻撃不可、移動不可、回復不可」という条件のもとで行われたもの。実際には勝利していないとか言ってはいけない。

 

 

そして、ヴリトラ系神器をすべて取り込んだ匙は---。

 

 

「ようやく師匠に『本気』を出させるまでには強化できた。あのチンピラクソ神父も隠し玉はあるだろうが……まぁ、負けはしねぇ」

 

 

ニィと口角を上げ嗤う。未だ十全とはいえない。しかし『冥界単独最強戦力』であるマッキーに『本気』を出させるまでには使えるようになった。

 

 

「チンピラクソ神父って……アレだよね?」

「うんアレ」

 

 

フリード・ゼルセン。調べれば調べるほどヤバイ経歴しか出てこない。出自は不明。辛うじて、イタリアのスラム出身であることが分かったくらい。彼はあるエクソシストに拾われて教会の庇護下に入る。その後、訓練等を経てエクソシストへ。その後は天才とも称される能力を持って一時は最年少の天才エクソシストとして名を馳せる。討伐した悪魔や魔獣は数知れず、いずれは天界に召還されるだろうとまで噂された存在。しかしある日突然彼は出奔。それも、同僚のエクソシスト15人を惨殺して。

 

 

「フリード・ゼルセンの行方は分かりませんが、警戒はしておきましょう。匙曰く、危険度で言えば魔王級らしいので」

 

 

匙のそこら辺の嗅覚を信頼しているソーナは、すでにフリードの事をセラフォルーに伝えている。まぁ、セラフォルーからは上層部には伝えたが何故見下すべきエクソシストを何故警戒しなければならないのだという感情がにじみ出ていたというので、まともな対応は期待するなと言われたらしい。

 

 

「足元すくわれなきゃいいけど」

「元士郎。やめてくれフラグにしか聞こえない」

 

 

匙の興味なさげな声に由良は心底イヤそうに声を上げる。全員の準備が整ったためソーナを先頭として生徒会役員はオカルト研究部がある旧校舎を目指す。

 

 

「旧校舎にオカルト研究部……これ狙ってるよね?」

「う~んどうだろう?」

 

 

旧校舎はその名の通り今は使われていない校舎。文化系の部活が以前は入っていたのだが、現在使われている校舎から地味に遠い、電気や水道も通っているが箱自体が古いということもあり、文化系の部活も新設された部活棟に移っており、ここを使っているのはオカルト研究部のみ。

 

 

 

「ふ、雰囲気出てますよね」

「う、うん」

 

 

怖いものが苦手な留流子と花戎は手を取り合ってビクビクと歩いている。悪魔なのに怖いのかと言いたくもなるが、微笑ましいのでスルーする巡たち。

 

 

「あらぁ桃ちゃんたちったら……すぐ横にそこら辺の悪魔より怖い元ちゃんがいるじゃない」

「……否定はしねぇ」

「しないんだ……」

 

 

憐耶の言葉を受け入れる匙。由良のツッコミが耳に痛いが、自覚しているのだ。この前なんて低級の子供とはいえ妖怪に何もしていないのにギャン泣きされた上逃げられた。流石にちょっとショックだった。

 

 

「皆? 雑談はそこまでです。一応、顔合わせは初めてなのですからしっかりと行きますよ。ここでお嬢様に恥をかかせるわけにはいきません」

「「「「了解!」」」」

 

椿姫の声に気を引き締める。王に恥をかかせるわけにはいかない。それは眷属悪魔ならば、いやそれでなくても自分の身内に恥をかかせる奴などいないだろう。それは全員共通して心に刻んでいることだ。匙はオカルト研究部のドアノブをひねり---。

 

 

「うお!? 来客ってまさかこちらの支取蒼那会長に生徒会の美少女たちって匙ぃ!?」

「あ? テメェ何お嬢たちに向かって指差してんだ?」

「ごめんなさい!」

 

 

こっちに気づいた一誠が声を上げて指をソーナに指したので殺気マシマシで注意してみた。一誠は速攻で頭を下げた。どうやら以前の恫喝が効いているらしい。ただ、それにしても匙の機嫌は悪そうである。ソーナは匙を連れてきたのは失敗だったかと内心思う。それほどまでに匙の一誠に対する評価は低く、嫌っているのだ。だが、ここで顔合わせをして置かなければイザという時に時間を取られてしまうと思い連れてきた。最悪、責任は取る。

 

 

「えっと……コホン。元士郎、とりあえず下がってください」

「了解」

 

 

出鼻を挫かれた感はあるが、仕切りなおして顔合わせを初める。といっても、今回の顔合わせは互いに新人の紹介であるため、ソーナは留流子を、リアスは一誠とアーシアを紹介するだけなので結構すぐに終わった。

 

 

「へ~……匙。お前も悪魔だったんだな。よろしく頼むぜ!」

「……まぁよろしくしてやるよ」

 

 

そう言って差し出された一誠の手を一瞥しただけで匙はソーナの横から動かない。一誠は頭に?を浮かべて周りを見るが、周りは苦笑したり、乾いた笑いや首を傾げていたり様々な反応。

 

 

「えっと……匙さん。よろしくお願いします」

「……ああ」

 

 

そんな中、アーシアが匙の前まで歩いてきて挨拶をすると、匙は短いものではあるが返事を返した。だが、それがスイッチとなったのか一誠がニコニコと匙とアーシアの前に入り込んできた。そして、匙の右手を無理やり握り、悪魔化したことで倍増した握力で強く握りしめた。

 

 

「俺もよろしくね匙くん。アーシアに手を出したら許さねぇから!」

「あ」

 

 

それは誰の言葉か。多分、留流子か花戎辺りだろう。一誠が匙の前に立って---仲の良い女の子を取られるとでも思ったのか---敵意を向けてしまったのだ。自分が目の前の男にどう思われているのかも忘れて。次の瞬間、一誠の体は部室の壁にたたきつけられ、一瞬咳き込み顔を上げたら目の前には大きくその口を空けた龍の頭があった。

 

 

「え?」

「アーシアに手を出したら許さねぇ? まさか、テメェは俺がテメェと同じ様な女と見れば見境なしに食指を動かすようなクソ野郎だと思っているのか? 俺が漁色をお嬢や椿姫たちよりも優先すべきことだと思ってんのか! アァ!?」

 

 

一誠としてはそんなことは考えていなかったのだろう。ただいつもの調子で「イケメンは敵だ」と無意識に考えて行動したのだろう。その行動が匙の逆鱗に触れたのだ。一誠は知らなかったのだ。---というよりも、シトリー家関係者以外は知る由もないのだが---匙が『匙元士郎がソーナ・シトリーとその眷属よりも優先すべき事がある』と思われるのを何よりも嫌うことを。

 

 

「兵藤。いい機会だから言っておく。俺は、テメェが伝説の赤龍帝だろうが関係ない。お嬢に、お嬢たちに不利益を齎すならテメェを躊躇なく攻撃するぞ。テメェはすでに除きだの何だので退学リーチかかってんのを忘れんじゃねぇぞ」

「な、何でだよ!」

「あ? テメェまさか友好的に接してもらえるとでも思ってんのか? だったらだいぶ御目出度いな。生徒会はテメェらクソ三人組のせいで仕事滞っていること忘れてんのか?」

 

 

匙は近づいて一誠の胸ぐらを掴む。一誠は急に掴まれて苦しそうに呻くが、匙が気にすることはない。

 

 

「俺にとって、お嬢と椿姫たちは何よりも優先すべき存在だ。お前が覗きをした時の修理や関係各所への報告ってのは俺らがやってんだよ。この前、剣道部の覗きをしたな? あの時の修理は俺が行ったが、教職員への報告は椿姫がやっている。そのため椿姫が担当していた仕事が一時的に滞った。椿姫は滞った仕事を片付けるために夜の7時位まで居残っていた。分かるか? ちょうど、テメェが堕天使とドンパチしていた頃だ。テメェ、その時椿姫が襲撃を受けたかもしれねぇんだが?

「うぐ……んなこと言われても」

「ああ。すでに終わったことだ。俺だってそん時は椿姫が終わるまで残っていたさ。自慢じゃねぇが、件の堕天使ごとき敵じゃねぇからな。だが、俺が言いたいのはそこじゃねぇ。テメェが何かしら問題を起こせば周り回ってお嬢たちに来るんだよ」

 

 

匙が更にヒートアップしようとした瞬間に、一誠の胸ぐらを掴む匙の腕に氷の塊が当たり、その腕を折る。一誠はその衝撃で床に尻もちをついて新鮮な空気を求めて咳き込む。

 

 

「そこまでです。匙元士郎。今すぐ、その両目を抉りなさい。明日の朝まで治療をすることを禁じます」

「……御意」

 

 

ソーナは冷徹な目で匙に告げ、匙は躊躇なく両目に親指を突き刺した。ソーナ以外は絶句する。椿姫たちやリアスたちだけでなく、被害を受けていた一誠ですらソーナの言葉と匙の行動を理解できなかった。

 

 

「ごめんなさいリアス。眷属の不始末は匙元士郎への罰と私の謝罪で許してもらえないかしら?」

「え? え……あの……っ。ええ。受け入れましょう」

「ありがとう。さて、匙元士郎。貴方はこの場にふさわしくないですね。屋敷に戻り謹慎していなさい」

「御意」

 

 

匙は次の瞬間には転移しており、匙が目を潰した際に流れた血などはすでに消えていた。

 

 

「兵藤くん。ごめんなさい。あの子は悪い子ではないんだけど、私達の事になると視野狭窄になりやすいの」

「えっと……」

「イッセー。匙は、自分がソーナたちを放っておいてアーシアにコナをかけようとしたと思われたから怒ったの」

 

 

ソーナに助け起こされながら一誠はその言葉を理解しようとする。リアスのフォローもありだいたい理解できた。つまりは、匙がブチ切れた理由は「王を蔑ろにしたと自分に思われたから」だと。

 

 

「あとは……貴方や貴方の友人が今まで起こしてきた覗きとかのせいでフラストレーションが溜まっていたっていうのも理由ね」

「うっ」

 

 

そして、普段から一誠たちのせいで迷惑を被っていたため、不満が溜まりに溜まっており、先ほどの発言が起爆剤になったのだろう。

 

 

「ごめんなさい。とんだ顔合わせになったわね」

「いえ。その……諌めなかったこっちにも責任はあるし……とにかくイッセーはちゃんと教育するわ」

「え!?」

「イッセーくん。流石に自重したほうがいいかもしれない」

 

 

木場の声は真剣だった。誰もが匙に反応できなかったのだ。そして、一誠が壁にたたきつけられてからは匙から溢れ出る殺気に圧倒された。

 

 

「(アレがソーナの持つ最強の眷属。悔しいけど今のイッセーじゃ)」

 

 

リアスは内心で匙を有するソーナを羨んだが、自分のイッセーとて負けていないと思い直す。今はまだ性欲に忠実だが、なんとか矯正していけば匙すら圧倒できる。そう思っているのだ。

 

 

それが現実となるかはわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無様だな」

「返す言葉もありません」

 

 

同時刻、ソーナの屋敷では目を潰したまま静かに正座する匙と、彼を見下ろすマッキーの姿があった。そして---。

 

 

「歯を食いしばれ」

「ぐっ---」

 

 

匙の顔にマッキーの全力の拳が突き刺さった。だが、匙は正座を崩さずに耐え切る。しかし、その顔は無残に腫れて金髪は血で黒く染まっている。

 

 

「主を思うのは当然だ。だが、貴様のプライドを優先させた結果、ソーナに頭を下げさせてしまった。未熟、無様としか言いようが無い」

「仰るとおりです」

「今回の件は、ソーナとリアスの間ですでに決着はついた。だが、貴様がソーナに頭を下げさせてしまったという事実は変わらん。どうすればいいか分かるな?」

「……はい」

 

 

流れ出る血もそのままに匙は二度とこのような無様を晒すことなどしないと深く心に刻んだ。




今回のチンピラの暴走をわかりやすくまとめるなら以下のとおり

普段から迷惑をかけられてイライラが溜まっていたところに「お前は主よりも眷属よりも女にコナをかけるのを優先させるんだろ」と意識していたとか関係なく『一誠に』言われたに等しいためブチ切れ。

実際、原作でもアレはどうよと思ったんですよね。匙から喧嘩売ってたかもしれないけど、お前さん今までの行動を思い出してみ?お前さんアーシアに手を出すなって言える立場かい?って。

あれ、ソーナだったらよかったけど他の連中だったらヤバくね? だって初対面の人に「貴方の部下は女と見れば見境なしなんでしょ?」って言っているに等しいし。しかも、直前に似たようなことしてお咎め無しだったのがライザーの一件だし。

次回は、フリード遭遇戦。

……コカビエル強化してもいいよね? コカビエルは占星術を人に教えたという……あっ(察し)
まぁニートにしたところで女神おらんけど
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