ハイスクールD×D~チンピラ匙くんが行く~   作:シグマ強攻型

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いわゆる説明回

あとパズスはメソポタミア神話を大本としてそこにアッカド神話を混ぜている形にしています。


第3話

 

 

「えっと……紫藤イリナと言います。こっちは……その……ゼノヴィアって言います。よろしくお願いします」

「……こっちも命令だから我慢するが、お前の隣の奴どうにかしてくれねぇか?」

 

 

公園で集まって顔合わせをする匙たち。ツインテールの少女---紫藤イリナはペコペコと頭を下げているが、隣のゼノヴィアは匙を睨みつけたまま。

 

 

「兵藤か木場。もしくは塔城。説明してくれ」

「イッセーくん。任せた」

「え!? 俺!?」

「ファイトです」

 

 

今にも自分に飛びかかりそうなゼノヴィアを必死に抑えているイリナでは埒があかないと判断した匙は、事情を知っていそうな一誠たちに聞くことにした。

 

 

「ええと……何でもこっちのゼノヴィアはフリード・ゼルセンと同じ孤児院出身で……フリードの後を追って教会に入ったらしくて、そんで……初恋を拗らせたっていうか……ヤンデレ覚醒したっていうか。この前、フリードと遭遇した時にアイツが匙の事を狙っているって知ったから……その……」

「要するに惚れてた男が敵視している俺が憎いと」

「憎いっていうか嫉妬しているというか……」

 

 

コーヒーを飲みながら呆れる。別にどうでもいいといえばどうでもいいのだが。ただ、教会所属なら嫉妬って七つの大罪に引っかかるんじゃね?と思いつつ自分の仕事をするために口を開く。

 

 

「あのキ印ならカチコミしてきた時に好きにしろよ。邪魔しねぇし。つうか、優先するのはそこじゃねぇだろ」

「ゼノヴィア! えっと「呼び方は好きにしろ」うん、ありがと。匙くんもこういっているし、ね?」

「う、うむ。済まない。どうもアイツの事を思うと暴走してしまって」

 

 

冷静になったのか頭を下げたゼノヴィアに安心してため息をつく一誠たち。どうやら結構プレッシャーだったようだ。匙は気にせずあくびをする。

 

 

「(さて……どうなるかねぇ)」

 

 

確実にヤバイ事態にはなるだろう。だが、もう失態を犯す訳にはいかないと気合を入れなおす。

 

「とりあえず情報交換と行こうか」

「お、おう。って匙……どこ行くんだ?」

 

 

匙が公園を出ようと歩き出したため、一誠が呼び止める。匙はある場所を指差した。そこは、焼肉屋だった。

 

 

 

 

 

 

 

「大将、ハラミとカルビとタン塩五人前追加」

「あいよー!」

 

 

匙が肉をどんどん追加して、どんどんそれらを胃の中に入れていく。すでに10人前くらいは匙のみで消費している。

 

 

「あ? テメェら食えよ。そっちの教会組は乞食してたらしいじゃねぇか。喰わねえと動けねぇだろうが。そっちの塔城見習えよ。無心で食ってるだろ」

「えっと……「教会は肉食禁止か?」いや、そういうわけじゃないけど」

 

 

匙に連れられた一行がやってきたのは路地裏にあるちょっと古めの焼肉屋。何やらガラの悪そうな連中がいたが、匙が顔を見せると気さくに話しかけてきた。そして今は個室に案内されて大量の肉と米を食べている。匙と小猫のみ。

 

 

「匙先輩。ご飯おかわりいいですか?」

「遠慮すんな。好きなもん好きなだけ食え。ちなみに、俺のおすすめは石焼ビビンバだ」

「じゃあ、大将さん。それを」

 

 

一誠たちは、情報交換するために公園を出たのではないかと疑問に思うが、匙曰く心配はいらないとのこと。

 

 

「この店は裏の連中が多いぞ。つーか、ぶっちゃけここの大将自体がいろんな神話体系とパイプを持っている情報屋だ。お嬢に拾われるまでは世話になってた」

「え?」

「まぁ……昔とったなんとやらだ」

 

 

小猫の注文を持ってきた大将は静かに笑うと小猫の前にビビンバを置くと、匙に紙の束を手渡した。

 

 

「頼まれていたフリード・ゼルセンの情報だ。一言で言うならあんまりやりあいたくはない奴だな。無茶してシトリーのお姫様に心配かけんなよ? 大口のパイプは維持しておきたいんでね」

「ハッ。そう簡単には死なねぇよ。さて、紫藤とか言ったな……そっちの持っている情報を全て吐いてもらおうか?」

「え? フリード・ゼルセンの情報って……え?」

 

 

匙はこの店に来る前にフリードの情報を買っていた。コカビエルの情報もできれば欲しかったが時間がなかったのだ。そして、フリードの情報を見ていくと---。

 

 

「……こりゃあ『レイナーレ事件』の時は手ぇ抜いてやがったな」

「マジで?」

「当たり前だ。パズスなんて大物と契約している奴が簡単に負けるかよ」

 

 

匙の言葉に一誠は傷つくが、匙はそれを切って捨てる。そもそもの前提として『赤龍帝』という規格外の存在の力を持っているとはいえ数日前はただのエロガキ。そんな一誠がフリードという悪魔ともやりあえる存在に勝つなど通常はありえない。

 

 

「兵藤。お前に言っておくが……フリードとやり合おうなんざ考えんなよ。木場ならギリいけるかもしれんが、テメェは無理だ」

「はぁ!? なんでだよ!」

「ちょ、イッセーくん!」

 

 

一誠を木場が抑えるが、一誠にとっては何故自分がそう言われるかわからない。自分は『赤龍帝』であり、まだまだ未熟なのは知っているがライザーにも勝った。そして、日々修行しているのだ。

 

 

「別にお前が弱いのは当然だ。悪魔になって一年も経ってねぇし、神器も使いこなせていない。だからそこはお前は悪くねぇ。でもなぁ……勇気と無謀はちげぇ。野球やり始めた小学生がメジャーリーグで活躍できるか?」

「うぐ……」

 

 

要は潜在能力があろうと現状はそれだけの開きがある。別に一誠が死のうとも匙には何も関係はないが、ソーナの命令でチームを組んでいる以上は助けなければ命令に背いていることと同意。

 

 

「フリードが持っているのは『天閃の聖剣』『夢幻の聖剣』『透明の聖剣』の3つ。こっちが持っているのは『破壊の聖剣』と『擬態の聖剣』か」

「残り一本は教会が死守してるわ。流石に奪われることはないはず」

「兵藤。フリードは奪っていた聖剣を使いこなしていたのか?」

「え? あ、ああ……って言っても『天閃の聖剣』と『透明の聖剣』しか俺達の時には使ってなかったけど」

 

 

一誠の証言に匙は眉をひそめる。木場や小猫にも聞いてみると同様の答えが返ってくる。状況は悪い。これでフリードがエクスカリバーに振り回されていたならやりようはあったが、使いこなしているならヤバイ。

 

 

「パズスだけでも厄介だっつーのにエクスカリバーまで使いこなしているキ印なんざ考えたくもねぇ」

「匙先輩。さっきから言われているパズスってどんな存在なんですか?」

「あ?」

 

 

匙が周りを見ると、一誠たちも知らないらしい。まぁ、メジャーかと言われれば首をかしげるが、決して無視していい存在ではない。

 

 

「パズスはメソポタミア神話体系出身。風と熱病を司り、メソポタミア神話体系の神々に真っ向から勝負を挑み、『天魔の業龍ティアマット』すら倒したエンリルを始めとするメソポタミア神話の神々が倒すことができなかった魔神だ」

「強いの?」

「紫藤……お前にわかりやすく言えば、ミカエルたち四大天使にメタトロンなどの上級天使たちが全力で戦って倒しきれなかったといえばいいか?」

「「……」」

 

 

イリナたちは絶句しており、その様子から一誠たちもパズスがどれだけの存在なのかは理解できたのだろう。勿論、相性などもあるから一概には言えないがパズスとはそれだけの存在なのだ。

 

 

「んでもって……童子切安綱を所有。これもやべぇな」

「確か……鬼の王である酒呑童子を斬った刀だよね?」

「木場。よくしってんな。これについては俺もよく知らなかったが……見ろ。下手すりゃあ神滅具入りだ」

 

 

---童子切安綱。平安時代に鬼の王酒呑童子を斬り殺した刀。酒呑童子の血と怨念が染み付いており、使い手の血を吸うことで斬撃を飛ばしたり硬度を増したりすることが可能。

 

 

「こいつは使い手の血を吸った分だけ能力が開放されていくらしい。最大開放時はどうなるかわからんが……まあ相手にしたくない能力だろうな」

 

 

未だ最大開放した使い手はいないためどのような能力があるのかは分からないが、少なくとも鬼の王の怨念が篭っている刀。厄介な能力には違いない。

 

 

「コカビエルは……多分アッチが本気なら俺らが倒せるはずはねぇ」

「え? そこまで?」

「兵藤……お前、幼稚園児がマイク・タイソンにボクシングで勝てると思うか? 聖書に名前が乗っているってことはそれだけの存在ってことだ」

「じゃ、じゃあどうすんだよ?」

 

 

一誠は匙にコカビエルにはどう対応するのか聞いた。相手がどれだけの存在かは分かったが、だからといって引き下がれない。自分は木場の力になると決めたのだ。小猫だって同じ気持ち。匙の戦っている姿は知らないが、リアスは匙は強いといっていた。なら、きっと効果的な策があるはず。そう期待しての事だった。

 

 

「コカビエルがこっちを舐めているんだったらそこにつけ込んで不意打ちだな。それでどうにかなるとは思わないが……こっちの目的は聖剣の奪還だから逃げに徹すればなんとかなるかもしれねぇ」

 

 

ただコカビエルよりもフリードが厄介。匙が抑えれば問題はないが、そうすればコカビエルを抑える人員がいない。マッキーが援軍として派遣されるとは聞いているが、間に合うかどうか。

 

 

「とりあえず腹にモノ入れたから徹夜でもイケるだろ」

「お、おう。ところで会計は「ざっと10万だな。匙、つけておこうか?」え!?」

「ハッ! 裏稼業でツケとか恐ろしくてできるかよ。現ナマで」

「あいよ」

 

 

会計に絶句した一誠たちだが、匙は何てことないように札束を渡す。その光景にまた絶句する。匙からすれば何故驚くのか理解できない。

 

 

元々ソーナに拾われるまで賞金稼ぎをしていた上に、眷属入りしてからははぐれ悪魔をヒャッハーして得た報奨金がある。そもそもが物を持たない主義というか物を持っていたら奪われる生活をしていたため、必要最低限の物しか持っていない匙。娯楽用品などソーナや椿姫たちから貰った本や鉢植えぐらいしかない。

 

 

「兵藤。お前のようにエロ本とかで散財することもないから貯まる一方なんだよ」

「うご!?」

 

 

服もソーナたちにコーディネートされなければユニク○でセール品をまとめ買いして終わらせる匙。趣味といえるものも、桃や憐耶からもらった鉢植えの世話くらい。仲間から貰ったものなので、しっかりと世話をしているがそれに使う金額といえば栄養剤や土といったものなのでたかが知れている。結果、金は貯まる一方。

 

 

何やら落ち込んでいる一誠を尻目に匙は店の外に出る。外はすでに日が落ちており路地裏ということも有り人の姿も少ない。

 

 

「よし、とりあえずは---あ?」

「初めまして、と言っておこう。ヴリトラ使いよ」

 

 

後ろにいたはずの兵藤たちはそこにはおらず、代わりにいたのはスーツを着た長髪の男。

 

 

「……チッ、油断してたわ」

「これでも神話の時代から生きているのでな。お前が気づかずとも恥ではない」

 

 

長髪の男---コカビエルは自身を象徴する黒に染まった翼を広げる。

 

 

「なんでこんな事をしでかした? ぶっちゃけ俺個人はテメェの事情なんざどうでもいいが……お嬢に報告するのに必要なんだよ」

「……そう、だな。俺の愛した人間を守るため、とでも言えばいいか?」

「あ? テメェに興味はないが、あのキ印を部下にしている時点で人間を守るって言えるのか?」

「まぁ……そうかもな。理解してもらおうとも思っていない。さぁ……エクスカリバーをフリードが奪うまでの時間を稼がせてもらおう」

「---チッ」

『我が半身よ……気合を入れろ。全盛期から時が経ているとは言え、堕天使の中でも武闘派の男だ。簡単にはいかん』

 

 

コカビエルは、光の槍を持ちただ立っているだけだが隙がない。動けばすぐに串刺しになりそうな予感がする。

 

 

「これが……大戦を生き残った奴の姿か」

 

 

コカビエルはただ立っているだけ。なのに動けない。マッキーとの模擬戦をしていた時にも感じたことのある背中が汗で濡れて服が皮膚に張り付く不快感と、全身を震わせる恍惚にも似た恐怖、そしてコカビエルからにじみ出る蜃気楼のように揺らめく闘気。

 

 

「面白れぇ……」

 

 

知らずのうちに匙は嗤っていた。久しく感じていなかった命の危機。目の前の男は自分よりも強い。持てる力を全て使わなければ逃げることすら叶わない。自身の全てを賭けなければならない。だからこそ---。

 

 

「堕天使コカビエル……俺はソーナ・シトリーが眷属匙元士郎。我が王であるソーナ・シトリーより聖剣の奪還を命じられている」

「そうか」

 

 

コカビエルは静かに笑う。コカビエルは光の槍を構えると匙を見据えた。敵が名乗ったのだ。ならばそれ相応の返答をしなければならない。

 

 

「お嬢のためにテメェを倒す!」

「そうか……来い!」

 

 

外界と隔離された空間で2つの力がぶつかった。




チンピラ対堕天使

ちなみに裏ではチンピラ対赤龍帝チーム

うぅむ。




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