ハイスクールD×D~チンピラ匙くんが行く~ 作:シグマ強攻型
「さぁ、元士郎。紹介します。新しく私の眷属となった者たちです。皆、こっちが私の『兵士』の匙元士郎です。といっても、何人かは元士郎のことは知っているようですね」
「まぁ、二人ほど俺が連れてきたもんですし」
マッキーとの修行は徐々にグレードアップし、今では二人してシトリー卿よりはぐれ悪魔等の討伐任務に赴いている。そのたびに回復不可や徒手空拳不可、果てはブービートラップのみで討伐などセルフ縛りプレイで任務を実行している。匙とマッキーは外見からは想像もできないほど仲がよく。いつしか師弟関係となっていた。主至上主義、戦闘スタイルも似ている、互いにまともとはいえない出自と育ちという点で意気投合したようである。
そして、マッキーと二人でヒャッハーしていると時間は経つわけで、ある日ソーナに呼ばれた匙が部屋にはいるとそこには5人の少女がいた。なんでも自分がヒャッハーしている間に増やした眷属たちの基本的な教育等が終わったため『改めて』顔合わせとなったらしい。
「真羅椿姫、です。えっと「ぶっちゃけ呼び方は好きにしていいぞ?」じゃあ、匙くんで。まだわからないことが多いけどよろしく」
「まぁ、俺はこんなんだからお嬢の傍にいてくれ」
『女王』の駒を使い転生した真羅椿姫は、人間界の名家出身ではあるが異形を呼び寄せる体質のため迫害・幽閉されて育った。そして、ある時家を逃げ出し行き倒れていたところをソーナに拾われたという。神器持ちでタイプはカウンター系であるため今現在ソーナの直衛として鍛えられているとか。匙もそれには納得している。というか、自分はソーナの直衛としてよりも前線で戦うとかの方が本来の役目であると認識している。それに同性の方が都合がいい場面もあるだろう。
「えっと……由良翼紗です。それと……あの時はありがとうございました」
「……あぁ、あん時の。元気だったのか?」
「ええ。おかげさまで」
『戦車』由良翼紗。転生前よりいわゆる異形の者を見ることができたため、勝手に異形退治を行っていたがある時返り討ちにあい、死にかけている時にヒャッハー中だった匙が別件のターゲットを追って乱入。由良を殺そうとしていた異形共々捕食し、死にかけの由良を治療、ソーナの元へと連れて行った事があった。匙はそれ以降彼女と会うことはなかったが、どうやらソーナの眷属となるためにいろいろとしていたらしい。
「あ~……えっと巡巴柄です。よろしく」
「……だから別に俺に対して敬語とかはいらねぇんだけど」
『騎士』巡巴柄。退魔の一族出身だが、魂に呪いをかけられ、両親が藁にもすがる思いで悪魔を呼び出したその際に呼ばれたのがソーナであり、彼女の眷属となることで呪いを解いたという。匙は一回、巡とシトリー家の屋敷で会っているが、その時にも敬語はいらないと言っているのだが、まぁ初顔合わせという体のため何も言わなかった。
「花戎桃です! あの時はありがとうございました!」
「……だから、別に気にすんなって」
『僧侶』花戎桃。特に退魔一族出身等ではないが、匙がヒャッハーしていた時に偶然巻き込まれた少女。本来なら記憶を消してさようならなのだが、よりにもよってターゲットが死に際にばらまいた呪殺の術式をもろに食らってしまい、匙が触手を繋げて延命しつつソーナの元へと連れ帰り、眷属化して一命を取り留める事態となってしまった。この一件は匙にとっても自身の未熟さを再確認する事件でもあり、負い目もあったため色々と彼女の世話を焼いていた。ソーナはやけにニコニコであった。
「えっと……草下憐耶です。随分と目つき悪いんですね。それと、全身からチンピラ臭がしm「ちょっとぉ!? 憐耶ストップ!」ふも」
「……外見に似合わず意外と言うなおい」
『僧侶』草下憐耶。こちらはソーナが連れてきた少女であり、匙と会うのも今日が初めて。なのだが、面と向かって目付きの悪さを言われるとは匙も思っておらず面食らったが、自覚はしているしこれから同じ主を仰ぐのだ。これくらいの方がいいと思う。
「さて、顔合わせも済みましたね。これからどうするかというと……親睦を深めるためにお茶会です!」
ソーナがパンと手を打ち鳴らすとメイドたちが現れ、テキパキと紅茶やスコーンのセットを行う。紅茶の香りやスコーンの横に添えられたケーキの甘い香りが全員の鼻をくすぐる。
「うわぁ……美味しい!」
「紅茶も……ふわぁって」
キャッキャと楽しそうに御茶会に花が咲く。匙は静かに紅茶を味わっている。目つき等は悪くても礼儀作法は教えこまれているのだ。顔の造形の良さも手伝って様になっている。
「元士郎。久しぶりの休暇はどうですか? お姉さまに聞いたら今日は何も予定はないとの事だったので」
「まぁ、満喫していますよ」
現在、匙はマッキーと行動をともにしている。理由としては、現在シトリー家のメインイベントはソーナとその眷属への教育等であり、そこら辺の教育が終わっている匙の出番はない。しかし、貴重な戦力である匙を遊ばせておく訳にはいかないと、一時的にセラフォルーへと匙を貸し出して、匙の戦闘能力向上を狙っている。しかも、ドラゴンの神器を持つ者には大なり小なり人材が集まる傾向にあるという。実際、匙がヒャッハー後に花戎などをお持ち帰りしている。人材収集も兼ねている。そのような理由で匙はソーナから一時離れて行動しているのだ。まぁ、匙も思うところがないわけではないが、現在ソーナはシトリー家次期当主としての勉強で通学以外で屋敷から出ることはない。
「お嬢……外出てます?」
「ご心配なく。椿姫たちと一緒に出かけたりしていますよ」
「意外とシトリー領内って大きいんだね。アタシびっくりしたよ」
「まぁ、俺も色んな所に行ったがここは過ごしやすいわな」
巡はケーキを幸せそうに頬張りながらシトリー領内の豊かさを語る。治めているシトリー卿の気質なのかどこか牧歌的な雰囲気を持つシトリー領内。意外にも温泉などがあるため保養地としても人気があるとか。匙もヒャッハーから帰ってきたらマッキーとともに温泉で疲れを癒やす事を決めている。匙にとっては故郷である。路地裏も故郷ではあるが、やはりシトリー領が自分の帰る場所だと思っている。
「そう言えば、言っちゃあ悪いですが椿姫たちの戦闘力ってどんくらいですか?」
「まぁ、今後に期待ってところです。筋は悪くないのですが、まだ全員悪魔としての能力に慣れていませんから」
ソーナの言葉に椿姫たちはバツが悪そうにするが、匙からすれば別に気にする程でもない。匙からすれば、そんなに早く悪魔の力になれるはずもないだろうと思う。さらには、悪魔の常識も並行で教えられているのだ。余計に戦闘面の成長は遅くなるだろう。だが、匙はそれでいいと思う。
「とりあえず、椿姫たちはお嬢のプライベートだとか仕事のサポートを重点的に頑張りゃいい。戦闘面は俺が引き受ける」
「え……でも」
匙の言葉に由良が言いよどむ。さすがにそれはどうだろう。確かに、匙と比べれば自分たちは弱い。だが、だからといって匙のみに負担を掛けるのもためらわれるのだ。だが、匙は由良たちの内心には気づいているというように笑う。
「俺は生まれも育ちも悪いから言動はこんなだ。つーか、同じ主を仰ぐんだから予め言っておくが、俺は親の顔も知らねぇ。路地裏でヴリトラに育てられてきた。食い物は残飯とかだし、飲み物は泥水とかだった。まぁ、生きている価値があったかどうかは知らねぇけれども結局生きながらえてここにいる」
匙は紅茶で喉を潤しながら自身の生い立ちを語る。椿姫たちはそれを聞いて絶句するが、匙は気にすることもない。そもそもこれから一緒に生活していくうちにいつかは知られること。なら、今のうちに言っていたほうがいざというとき問題にはならないだろうと判断したから。
「俺を今の俺にしてくれたのはお嬢だ。だから、俺にとってお嬢は仰ぐべき主であり、俺が---今の俺『匙元士郎』である根本だ。お嬢がやれと言えば俺は万の敵を殲滅するし、死ねといえばこの首をこの場で斬りおとせる。俺にとってお嬢とはそれだけの存在だ。別に理解しなくてもいいから俺は「そう」だと思ってくれればいい」
匙は椅子の背に寄りかかり天井を見上げる。その顔から何を思っているのか誰にも分からないが、匙は口を開く。
「俺はどこまで言っても戦うことしかできねぇ。生まれてから他人を喰って自分の糧として来たわけだからな。今まで人間や悪魔、堕天使たちをどれだけ殺してきたかわからん。そして、そいつらをどれだけ食ってきたかもな。だから俺には無理だ。お嬢の傍で政務を行うだとか、お嬢の夢である学校に関わるとかは」
今まで他者を殺して喰らってきた自分がどうしてソーナの夢である学校に関わることができる? 精々が、居るかは知らないが学校設立で自身の地位を脅かされると思うバカが襲撃してきたらそれを迎撃するくらいだろう。血なまぐさい自分には結局それがお似合い。いずれ、自分は表に出ることはなくなるだろう。だからこそ---。
「お嬢だけじゃねぇ。お前らにどこぞのアホが襲撃かけてくるなら俺が来るまで持ちこたえられるだけの力をつけろ。そうすりゃ、後は俺が片付ける」
汚れ仕事は全て自分が引き受ける。もともとが路地裏の畜生だ。今更、汚れが増えたところで何も変わらない。
「お嬢だけじゃねぇ。お前らも守ってやるさ。だから何かあったら遠慮無く俺を呼べ」
だから、お嬢の傍でお嬢の夢を叶える手伝いをしてくれ。そう言って匙は部屋を後にした。おそらくは、マッキーと共にはぐれ悪魔討伐に行くのだろう。すでに右腕にはヴリトラの触手が現れていた。
「お嬢様……その匙くんは……」
静まり返った室内。椿姫がソーナにおずおずと話しかける。ソーナは静かにティーカップを傾け、喉を潤すと一言。
「あの子は寂しがりやですからね」
「え?」
「確かにあの子が言っていたことは事実です。今まで生きていくために自分以外の全てを糧としてきました。人間を食べたり、悪魔を食べたり、ネズミを食べたりね」
ソーナの口から事実だと聞かされ全員が息を呑んだ。自分たちは両親に愛されていた。椿姫ですら異形を呼び寄せると知られるまでは両親に愛されていた。だが、匙はそれすらもないという。自分たちには想像もできない。自分たちが知っているのは、椿姫たちはソーナから聞いた「ぶっきらぼうだけれども真面目」だという匙、由良や花戎は「目付きが悪いし、言動も怖いけど性根は優しい人」という匙。だが、彼がそのような生い立ちなんて知らなかった。
「でも、私はそれを否定しません。両親が、世界があの子を祝福しなかったというなら私が祝福します」
ソーナにとって、匙の生い立ちなど関係ない。匙元士郎はソーナの眷属である。そして、自分の傍にいるべき存在の一人。勝手に離れることなど許さないし、させるつもりもない。だって、自分は悪魔だ。欲しいものを手元においておいてなんの問題がある。
「……元士郎きゅんて可愛いですねぇ。キュンキュンしちゃいます」
「え? 憐耶?」
突然、そんなことを言った憐耶に全員の視線が集まった。本人は顔を赤くしてほぅと熱い吐息を吐いている。男が見れば押し倒してしまいそうなほど、妖艶である。ソーナは、そんな憐耶を見て微笑む。
「ええ。寂しがりやなのに強がっている元士郎は可愛いですよ」
「最初は、チンピラなだけかと思っていたんですけど……ギャップ萌えってやつですかぁ?」
ドロドロに甘ったるい声で憐耶はしゃべる。恐らく今、憐耶とソーナの心は一つだろう。
「色々とすごいなぁ……悪魔って」
巡はそう呟いて紅茶を一気に飲み干す。そう言えば、主の姉であるセラフォルー様も言っていたなあと思い出す。
---「多分、ソーたんの眷属皆が元ちゃんに惚れるかもね。ドラゴンを宿す者って望む望まないに限らずハーレム作る傾向が多いし、元ちゃんって意外と母性くすぐるし。まぁ、私にはマッキーがいるから惚れることはないけどね! マッキー待っててー! 今、セラフォルーちゃんが行っくよー!」---
後半はともかく、そうなるのだろうか。自分がそんなことになるなんて想像できない。ただ、由良と花戎はなにか考えているようである。椿姫も同様。ソーナと憐耶はもう顔を蕩けさせている。ならば、自分も想像してみるか。
---「元士郎。お願い……ギュッてして?」---
「にゃああああああああ!」
想像した結果、フリフリのいかにも女の子の夢見る可愛い服をきた自分が思い切り甘えている結果になった。
「ヒャッハー! 数だけ多くても意味ねぇんだよ!」
一方、チンピラは気分転換にとある犯罪組織に喧嘩を売っていた。
なんか、キャラ崩壊すげぇわ
次回より原作時間軸!
なのはいいんだけど、うちの匙くん……一誠と性格等の相性悪すぎワロタwww