ハイスクールD×D~チンピラ匙くんが行く~   作:シグマ強攻型

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幕間その3

 

 

駒王学園。関東地方にある駒王町にある元女子校。偏差値は普通の学校であるが、元女子校のため女子の比率が大きいということで男子の入学倍率がどこぞの有名進学校並に高い学校である。そんな駒王学園にも有名人はいる。

 

 

「あ! グレモリー先輩に姫島先輩よ!」

「やぁん今日もお美しい!」

「って、支取お姉さまもいらっしゃる!」

 

 

駒王学園三大お姉さまと呼ばれる女子生徒。リアス・グレモリーと姫島朱乃、支取蒼那の三人。支取蒼那はソーナの偽名であるが、ぶっちゃけ書類上でしか意味が無い。リアス・グレモリーはソーナの親友であり、ソーナと同じく冥界の名家グレモリー家のお嬢様。姫島朱乃はリアスの『女王』である。三人とも人間離れした美少女ということで男女ともに人気がある。特に、ソーナの場合は生徒会長という役職についているため、学園外でも知られているのだ。

 

 

「ソーナお早う」

「ええ。リアスに朱乃もお早う」

「おはようございます。それと、生徒会の皆さんも」

 

 

ソーナの後ろには匙を除いた生徒会メンバーが揃っていた。あれから、眷属も仁村留流子という『兵士』が増え、ようやくレーティングゲームで戦略が立てられるほどに人員も育ってきた。

 

 

「そういえば、元ちゃんは?」

「あ~元士郎ならやることあるって言ってたけど」

 

 

ソーナたちが談笑している横で花戎たちはシトリー眷属の大黒柱である匙がどこに行ったのかを話していたが---。

 

 

「待てやゴラァ!」

「「「ヒィィィ! お助けぇ!」」」

「「「「「またか」」」」

 

体育館のある方角からまるでトラック同士が正面衝突したような轟音が響く。そして続けてドスがきいた声と情けなく震える声が聞こえてくる。登校中の生徒たちが全員音のする方へと顔を向けると、体育館の方から四人の人影が走ってくる。

 

 

「毎度毎度ォ! 剣道部から呼び出される俺の身にもなれやゴラァ! あぁ!? つーか、何回こうやって追い回してると思ってんだぁ!」

「うううううるせぇ! この溢れ出るリビドーを無視するなんて俺らにはできねぇ!」

「つーか、なんでお前剣道部の女子と仲いいんだよ! お前、生徒会でも女子に囲まれて……羨ましい!」

「そうだそうだ!」

 

 

追われているのは「駒王学園の変態三人衆」と女子から蛇蝎の如く嫌われている兵藤一誠、元浜、松田の三人。普段から覗きや教室でアダルトDVDを広げているなど問題行動ばかりの少年たち。

 

 

「テメェらが覗き見用の穴開けたり、盗撮用のカメラを設置したりするたびに俺が呼び出されるんだよ! テメェらがクソみてぇな事しなけりゃいいだけの話なんだがなぁ、この全身海綿体のボケどもがぁ!」

 

 

追っているのは「駒王学園の最終兵器」「生徒会のチンピラ」「支取会長の猟犬」と学園内外で呼ばれている匙元士郎。駒王学園生徒会はソーナの眷属で固められており、それぞれ椿姫は副会長などと役職が振り分けられている。その中で匙は、新人の流々子と共に生徒会庶務なのだが、いつしか問題行動を起こした生徒の取り締まり役になっていた。

 

 

「剣道部にかぎらず全ての部活の部長と副部長とは連絡先を交換している。これの意味がわかるか、あぁ!?」

「「「部費が欲しければ体を差し出せ!」」」

「テメェらが問題起こした時にすぐ呼び出せるようにだ! こっちも仕事があるんだよ! つーか、そりゃあテメェらがさっき大声で妄想していた内容だろうがァ!」

 

 

一気に地面を蹴り、距離を詰め松田の頭を掴み程々に手加減をしたアイアンクローで断末魔の声を上げさせ気絶させる。気絶したら思い切りぶん投げ放置。どうせしばらくは復活しない。

 

 

「ちょっと待って! 松田って元々スポーツマンだからがっしりして体重もそれなりにあるんだけど!? なんで片手で投げ飛ばせるの!?」

「んなこと俺が知るかぁ! そういやぁ……剣道部の覗きの時、亀甲縛りしたいって言っていたなぁ! 喜べやァ! 特別に亀甲縛りやってやるよ! 有刺鉄線でなァ!」

「待ってぇ! 俺たちはされたいんじゃなくてしたいの! ていうか、有刺鉄線でやったら死んじゃう!」

 

 

元浜を捕獲し、首を掴んで絞め落とす。そして、こいつも放置。先ほどしずめた松田はすでに由良たちにより簀巻にされている。匙が沈めて放置した問題生徒を由良たちが確保するのもいつものことである。

 

 

「あァ!? どうせその粗チン使う機会なんざ一生こねぇよ!」

「嫌だ! 俺はハーレムを作りたいんだ!」

「だったらその下半身直結脳みそを少しは改善しろやぁ!」

 

 

走り寄ってきた巡より渡されたサッカーボールを思い切り一誠の頭にぶつける。その際、人体からなってはならない感じの音が鳴ったが、一誠はピクピクと動いているので問題はないだろう。そして、一誠の襟を掴んだ匙は放置していた残り二人と共に職員室へ向かう。

 

 

「朝っぱらから面倒なことしやがって……いっそ退学にしてやろうか。つか、なんで退学はまだしも停学にならねえ」

 

 

ソーナに一礼して職員室へと向かう匙。しかし、その口からは三人に対する不満が物凄い勢いで出ていた。駒王学園名物「変態とチンピラのデッドヒート」である。もはや慣れたもので匙に声援を送るものが多数である。

 

 

「元ちゃんも大変だね」

「元士郎きゅんのガラの悪さがどんどんひどくなっていく……最高」

「……誰かー! 憐耶をどうにかしてー!」

「「「無理(です)!」」」

 

 

シトリー眷属は主含めて匙には好意を持っている。言動こそアレだが、顔は整っているし、面倒見はいい。何より何度か自分たちが危ない状況になった時あの時の言葉通りに助けに来てくれたのだ。やはり女の子としては守られたいのだ。ただ、約一名その好意を変な方向にシフトさせた少女がいる。草下憐耶である。彼女は匙の行動を逐一監視している。匙が今のように校舎内を走り回っている姿を見ては顔をドロドロに蕩けさせている。周りからは「残念美人」と噂されている。

 

 

「何だかんだ言って面倒見がいいから各部活から呼ばれて行っちゃう。それの繰り返しで兵藤くんたちは聞く耳持たず。それでイライラして言動がよりチンピラになっていく……可愛い」

「……もうダメだ」

 

 

どうしようもねぇとはこのことである。

 

 

 

 

 

 

 

「匙先輩。お茶ですよ」

「おう……なんか泣けてきたわ」

「おつかれ……本当にお疲れ」

 

 

放課後の生徒会室。机に突っ伏している匙に流々子がお茶を出す。あれから変態三人衆を職員室へと連れて行き、反省文等を書かせてひとまず終わったのだが、昼休みには三人が空けた剣道部更衣室の穴をふさぐために大工仕事。本来なら犯人たちにさせるべきだが、隙を見て別の覗き穴を作らないとはいえないため、匙が担当。板を釘で打ち付けている時に、別の穴を見つけてそちらも塞ぐ。途中、剣道部の生徒が差し入れを持ってきてくれたが、結局昼飯は食べられなかった。帰る途中、教室でアダルトDVDを広げていた三人にブチ切れ、DVDを破壊、三人を締め上げて自分の教室に戻る。そして、今は何故自分がこんなことをしているのだろうと考えているところである。

 

 

「元士郎。ごめんなさい。どうしても、あのような手合は実力行使に出ないと行けないので貴方しか適任がいないんです」

「お嬢が気にすることじゃないです。つーか、なんであいつら退学どころか停学にもならんのです? あれだけの事をしでかしていりゃあ、停学くらいはなりそうな気もするんですが」

「そう言えばそうだな。会長、なにか理由でもあるんです?」

 

 

由良の質問にソーナは渋い顔をして紅茶を飲む。その顔はいかにも「私は不服です」と雄弁に語っていた。

 

 

「ヴァッサーゴ卿が、駒王学園に『赤龍帝』がいると、そしてそれを中心として大乱が起こると予知されました。『赤龍帝』が誰なのか判明しませんでしたが、現在駒王学園の二年生であるところまでは予知できたそうです」

「つまり、その『赤龍帝』が二年生の誰なのか判明するまでは手出しすることはできないってことですか?」

 

 

花戎の言葉にソーナは頷く。ヴァッサーゴ卿は未来予知の能力を持つ。その予知で現れたのが『駒王学園の二年生に赤龍帝が存在する』というもの。『赤龍帝』はかつて悪魔・天使・堕天使の三大勢力を窮地に陥れた存在。それが、駒王学園にいる。うまくやれば悪魔勢力に組み入れることができると考えた上層部は、裏から手を回して「駒王学園二年生は何があっても監視下に置く」ことにした。転校等に関しては、気づかれないように綿密に調査した上で許可を出している。だが、ソーナとしては納得はできない。

 

 

「もう少し彼らが自重してくれればいいんですけどね」

「チッ」

 

 

匙としては理解はできるが、たかだかそんな事のためにソーナに負担が来ているのが納得出来ない。師匠であるマッキー曰く「セラフォルーの上層部へのヘイトが溜まり続けている」とのこと。上は命令するだけだが、現場にいるこちらとしてはいい迷惑である。

 

 

「お嬢。とりあえず、あの三人に関しては俺が担当しますんで、お嬢は生徒会の仕事に専念してください」

「ええ。お願いね?」

 

 

留流子が匙の手伝いを申し出たが、下手に女子を連れて行くとどうなるかわからないため匙は断った。というより、三人と同じクラスの片瀬という女子生徒に聞いたら約一名ロリコンがいるらしく留流子が危険と判断した結果だ。

 

 

「つーか、アイツら……大声でモテたいだの何だの言っていたが……無理だろ」

「別にエロい男は嫌! ってわけじゃなくて、TPOをわきまえないのが問題なんだけどね」

 

 

せんべいをボリボリと頬張りながら匙は変態三人衆を分析する。彼らは日頃よりモテたいと公言しており、休日などはナンパなどに挑戦しているのだが、悪評が隣町まで広まっているため成功したことはないらしい。

 

 

「そもそも覗きとかしている男に惚れる子なんていないわよ」

「多少のやんちゃはチャームポイントかもしれないけどね~」

 

 

巡は鼻を鳴らして三人衆をそう評し、憐耶は頬に手を当ててニコニコ笑う。彼女らからすれば、もはや犯罪行為に他ならない事をしている一誠たちを擁護するつもりは全く無い。

 

 

「わ、私も……そのエッチなのはダメだと思います!」

「そ、そうね。私もそう思う」

 

 

留流子と花戎も頷く。シトリー眷属の中でもそのようなことに耐性が低い二人は顔を赤くして発言する。椿姫も声には出さないが頷いているため同様の意見なのだろう。

 

 

「ふむ……惚れた男ならもっと見てくれと思うが……それ以外はなぁ」

「そうですね」

「……こっち見んな。コメントしづれぇ。というか、お嬢も見ないでください」

 

 

由良とソーナはちらりと匙を見る。見られた方は書類で遮るが、二人はまだ見ている。しかも、他のメンバーも匙を見つめる。居心地がすごく悪くなった匙は、見回りに行くと生徒会室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

『クックック。男冥利に尽きるな?」

「いや知らんがな」

 

 

生徒会を後にした匙は夕暮れ時の校舎を一人歩く。ヴリトラが茶化すように口を開けば、匙はそっけなく返す。

 

 

『我が半身よ。自分に向けられている好意には気づいているのだろう?』

「まあ、な。俺だってそこら辺の機微には疎くねぇ。分かってるさ」

 

 

多分、一誠たちの言葉を借りれば自分は速攻でハーレムを作れるのだろう。ソーナたちから『そのような存在』として見られているのには気づいている。というより、彼女たちの身近にいる異性が自分とマッキーくらいしかいない。その上マッキーは、セラフォルーがストレートに「マッキーは私の嫁! 違った、婿!」と公言しているため、そのような対象からは除外。となると、自分くらいしかいない。

 

 

「ただなぁ……ヴリトラ。俺は正直、自分がそこまでの存在なのかって疑問があるんだよ。言動はチンピラだし、生まれも育ちも悪い。他の連中が言っているようにお嬢たちに釣り合うのかってのは考えたことがある」

 

 

「元畜生である」というのは匙の自己認識の根本にある。今は多少まともになったとはいえソーナに拾われるまでは、他者を文字通り喰らって生きてきた。だから自分がそこまでソーナたちに思われる存在なのかと思っている。

 

 

『フフッ』

「……なんだよ」

『いや、何も? だが、覚えておけ。女というのは時として男以上に強いものだぞ?』

 

 

ヴリトラは、本当に嬉しそうに声をかけた。実際、彼は嬉しかった。匙が、自分の息子がこうもよくいる思春期の男のように生きていることが。匙は今、思春期特有の悩みに苦しんでいる。ソーナたちが好き。でも、自分なんかが、と。なんと喜ばしいことか。かつて路地裏にいた頃、こんな事で悩んで欲しいと思っていた。それが今叶っているのだ。

 

 

『(悩め悩め。その悩む苦しみはお前をより成長させるものだ。後は、ソーナたちが一歩踏み出してくれれば……いっそのこと夜這いでも仕掛けてきてくれんかね)』

 

 

内心、とんでもないことを思いつつヴリトラは愛息子の成長を喜んでいた。




ヒャッハー(おはこんばんちわ)

原作呼んでて不思議に思ったこと、なんで覗きしてんのに退学はまだしも停学にすらになってないの? 自分が見落としているだけかな? 

とりあえず、聖剣編まではダイジェスト気味に行きます。

あと、次回は一巻に関わるけど……チンピラがひとり増えるよ! 敵だけどね!
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