ゆっくりゆったり行きましょう。   作:パラボラ

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お久しぶりです。
かなり時間がかかってしまいましたが、クオリティはいつもと同じです。

また、今年の4月から作者も受験生となるので、また更新は遅くなると思われます。
申し訳ありません。


第2話 潮騒の近くにて愛を叫べない

空を、翔ける。

風が体を駆け抜けていく感覚。心地のいい感覚だ。まるで自分まで風になってしまったかのような感覚ーー

これは現実なのか。そう思ってしまうほど、今のこの状況は夢のようだった。

この時がずっと続けばいいのに。

 

 

 

 

 

 

どうも。少しカッコつけてみました、ツムジです。

現在、俺は上空を飛行している。もちろん自分の力ではなく、ポケモンの技「そらをとぶ」である。

いやーホント、秘伝技マジ便利。秘伝技なしでは生きられない体になってしまった。

秘伝技についてなら数日ぶっ続けで語ってしまうので、話題を変えよう。

今俺が向かっているのはイッシュ地方。着陸地点は決めてない。ポケモン任せである。

 

「ボーマ、今どこ向かってんの?」

「(とりあえずチャンピオンロード)」

「なんで直通じゃねーんだよ。俺は一刻も早くフウロに会いたいんだが」

「(お前最近運動してねーだろ?少しは歩け。ほら、もうすぐ着くぞ、準備しろよ。)」

 

俺の体を気遣うボーマは最高の仲間です。

それにしてももうつくのか。はやい。まだ一時間も経ってないぞ。

さすがボーマ、飛行速度でも誰にも負けない。

すごいなーあこがれちゃうなー。

 

紹介が遅れたが、今俺が乗っているこのポケモンはボーマ(ボーマンダ、♂)。俺のパーティの中で2番目に新しく入ったポケモンだ。

性格は基本的に勇敢で正義感が強く、俺が出会った時はまだタツベイだったにも関わらず、自分より明らかに強いはずのコモルー相手にも怯まず向かって行っていた。しかも仲間のタツベイを庇いながら、である。

同じ群れの中で何があったのかは推測できなかったが、ボコボコにされたコイツは群れから追放ということになったらしく、放置されていた。

ひんしの状態だったので手当をし、目が醒めるまで看病した。目が覚めるとこちらに攻撃してきたが、ルカの対話(物理)で仲間にした。その頃からルカはこいつに恐れられている。

 

「(......見えたぞ。しっかり掴まってろ。)」

「おお、マジか早いな。」

 

俺はボーマの忠告に従い胴体にしがみつく。

と同時に物凄い勢いで急降下し、荒々しく着地した。

 

「ちょっと荒すぎねえか?髪逆立ったんだが」

「(いつものことだろ。じゃあ俺は戻るからな)」

「おう、お疲れ様。」

 

ボーマが自主的にボールに戻る。うちのポケモンは自分から自由にボールに出入りするのだ。

ルカぐらいの大きさならまだいいが、ボーマみたいなデカイ奴が建物の中で勝手に出てくるのは本当に困る。

注意はしているが、俺に似たのかうちのポケモンは誰も俺の言うことなんて聞きはしない。言ってて悲しくなってきた。

 

それにしても、チャンピオンロードに来たのはいいが、ここで何すりゃいいんだよ。嫌がらせかよ。

フキヨセシティまで結構遠いんだぞ。ちくしょう。

でもまあ、久しぶりに歩くのもいいかもな。

ボーマに言われた通り、そらをとぶを使うようになってからあんまり歩いてなかったしな。

とりあえず旅のお供にルカをボールから出そうとボールを投げる。

カンッ、コロ、コロ、コロ......

 

「いや出てこいよ!」

「(...チッ、やっぱりダメね......)」

 

なんか悪態つきながら出てきた。俺が何したっていうんだ。まあこれから徒歩でフキヨセに向かうというプチ苦行があるから仕方ない。でもこれにはちゃんとした理由がある。

 

「一人ぼっちは、寂しいもんな......」

「(キモい)」

 

バッサリですか、そうですか。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ」

「(何よ?)」

「いや、なんていうか......変わったな、この辺。」

「(あ〜そういえばそうね。まあ前にこの辺に来たのが確か3年前だし、仕方ないんじゃない?)」

「それはそうなんだが......変わりすぎだろ。セイガイハシティなんて知らねーよ俺。なんでジャイアントホールと繋がってんだよ。あそこヤバいんじゃねーのかよ。」

 

俺たちは今チャンピオンロード前の道、23番道路を歩いている。前に送られてきたタウンマップを見ながら。

会話の通り、俺らがイッシュ地方に戻って来るのは3年ぶりであり、その間なんの話も聞いていないためイッシュの今を知らないのだ。変わりすぎてて記憶があてにならん。

 

「でもこのマリンチューブ?とかいうのは楽しそうだよな」

「(アンタああいうの好きだもんね。私も少し興味あるわ)」

「反対方向だけど一回見てみるか。すげえ楽しみになってきた」

 

そんな風にルカと雑談しているうちにジャイアントホール入り口に到着。それにしてもジャイアントホール......あー通りたくねー...

 

「(?どうしたのよ。入らないの?)」

「いや、入りたいんだけど...な?」

「(何よ?...あっ、もしかしてあの時のこと?)」

「ああ......入りたくねえ...」

「(あー...まああれは、ね...)」

 

3年前、俺がここにきたときのことだ。

当時の俺はたまたま風の噂で聞いたいい修行ポイントとしてここに訪れた。しばらく洞窟内を探索していたのだが、あまりにもポケモンが出てこない為帰ろうとした。

そうして振り返ると、そこにいたのはルージュラ。

それも数十匹の群れ。それだけでも一般トレーナーならビビって逃げる事態だ。

そして俺は運の悪いことにポケモンの意思が伝わってくるという特殊能力を持っていた為、当然彼女らの意思も伝わってくる。

どのルージュラもこちらを狂気の目で見ていた。いや、好意的な目ではあるのだが、それが度を越していた。

一瞬の間の後ーー群れがこちらへ突っ込んできた。

響き渡るルージュラと俺の絶叫。必死で走ってやっと出たのはいいが、それ以来俺の心にはその出来事がトラウマとして刻み込まれているのだ。

 

「(ま、まあ大丈夫よ。さすがに2度も同じことは起きないわよ。......起きないわよね?)」

「わからんぞ。入ったらいきなり、とかあるかもしれないからな」

「(ちょっとやめてよ!私まで怖くなってきたじゃない!)」

 

しばらく足を止めていたが、さすがにそんなに留まっているのもあれなので、俺たちは恐る恐る、地獄への第一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果として、何事もなく通り抜けることができた。

抜けてから気づいたが、ゴールドスプレー使えばよかった。パニック寸前だったので全く頭に浮かばなかった。

すまんルカ。

 

「(最近で一番疲れたかもしれないわ)」

「奇遇だな、俺もだ」

 

さてジャイアントホールを抜け、22番道路へとやってきた俺たち。22番道路はさっきまでの緊張もあってか、ものすごく爽やかな場所に感じた。潮風の影響もあるだろう、遠くに海がわずかに見える。段差が大きい。

 

「もうすぐでセイガイハシティか......」

「(あっそうだ。)」

「なんだよ?」

「(アンタ、ジムには挑戦するの?)」

「あー、ジムねー。んー、でも俺どっちかっていうと挑戦するよりされる方だし?それに俺だってバレたら色々面倒だろ?」

「(まあそうね。なら変装でもしたら?バレずにすむんじゃない?)」

「変装か。そうだな、よし。えーと確かこの辺に...あった!」

 

取り出したのは『くろいメガネ』。これで目を隠せば大体バレないだろう。本当はもっと顔を隠したいが、これ以上やると不審者と思われるかもしれないのでここは控えめに。

さっきからの会話でわかると思うが、俺はトレーナー界ではちょっとした有名人であり、身元がバレるといろいろめんどくさい。なのでバレたくない時には変装をしている。

 

「じゃん!これどうよ?」

「(うーん...私から言っておいてアレだけど、アンタ髪とか肌の方が特徴的だから顔だけどうにかしても意味ないわよね)」

「生まれつきだから仕方ねえだろ。」

「(それはわかってるけど。)」

「そうだな。ああ、町入ったらあんまり話しかけないからな」

「(一人で会話するなんて、端から見たらただの痛い人だものね)」

「そうだけどそんなにストレートに言われるとグサッとくる」

 

ルカの言うこともその通りだが、実はそれ以外にも理由はある。

何度も言うようだが俺はちょっとした有名人だ。更に俺はちょっとした自慢として、ポケモンと意思疎通ができる事を度々言っている為、このこともかなり知られている。その為、もし会話などが聞かれた場合、変装とか関係なく一発でバレる。

バレたくない時は会話しない。これが最善。

 

 

 

 

 

 

んで、なんだかんだで到着しましたセイガイハシティ。

潮風が気持ちいいっすねー。

なんかいっぱい家みたいなのが海の上にあるんだけどアレ何?別荘かなんか?リゾートなの?

まあいいや、気にしない気にしない。それよりも観光だ。

砂浜を歩いていく。人が増え始めたのでルカとの会話はない。すごく寂しい。

 

「おい、あの人...」「ああ、もしかして...」「ウソ、本物?」「マジかよ...」

 

そして凄く雲行きが怪しい。俺が自意識過剰ってだけならいいけど、絶対そういう感じじゃねーよ。

だって俺の周りだけなんか人いねーし。俺の周りだけミステリーサークルみたいなんだが。

やっぱり絶対バレてるよコレ。

なんでだろーなー。変装もバッチリ、ルカとの会話もしてない。バレる要素は何も......あ。

 

「そっか、ルカリオ連れて歩いてるトレーナーなんてそういないじゃん」

「(あっ......)」

 

変装作戦、失敗。

もういいやと『くろいメガネ』を外し堂々と歩く。

 

「おい...」「ああ、やっぱり...」「ツムジさんだ...」「ウソ、あの?...」「おいマジかよ...」

 

最後の二人、ほぼ言ってること変わってねーぞ。

まあバレたからって別にどうもしない。俺は観光をしに来たんだ。今の俺はただのイケメン、ツムジなのだ。

 

「(イケメンではないでしょ)」

「お前エスパータイプじゃないのになんで心読めんの?」

「(波動よ)」

「そっかぁ...波動かぁ...」

 

それから数分、俺たちは無事(?)にセイガイハシティポケモンセンターに着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「海が、俺を呼んでいるッ!」

「(そんな気がするだけよ)」

「貝を耳に当てれば...ほら!海の音がする!」

「(だって海すぐそこじゃない)」

 

男ツムジ、現在テンションMAXです。

海だからね、仕方ないね。

 

「それにしてもホント気持ちいいなここ。リゾート地になるのもわかる気がする」

「(潮風が気持ちいいわね)」

 

ルカと揃って海を眺める。やっぱり海っていいなぁ。

 

「なあ、泳ごうぜ!」

「(イヤよ。第一、アンタ泳げないじゃない)」

「ウグッ」

 

相変わらず痛いところを突いてくる。急所に当たった!

そう、俺は泳げないのだ。

もちろん何度も練習はした。しかしいつまでたっても泳げるようにならなかったので、「別にいいよ!なみのり使えばいいし!」と半ば開き直って練習をやめた過去があるのだ。それからは風呂以外は水を浴びることすらしていない。

 

「はあ...まあいいや。とりあえずポケモンセンター行こう。日も落ちてきたし」

「(そうね。今日はもう休みましょうか)」

 

少し落ち込みながら、俺はポケモンセンターへと向かうのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「あー疲れたぁー」

 

俺は勢いよくベッドにダイブした。

一日の終わりのこの時間こそが至福。まさに天国。

一日の疲れがベッドに吸収されていくような感覚に陥る。

あ、眠い。いやさすがに旅の格好のまんまで寝るのは俺でもイヤだと感じる。

それにしても今日はいつもより疲れた。おそらくは久しぶりに歩いたのが響いたのだろう。

風呂に入り、寝巻きに着替え、日課のレポートを書く。

あー眠い。

書き終えると、俺はすぐにベッドに倒れこみ、そのまま寝息を立てたのだった。

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

◯月✳︎日

 

セイガイハシティいいとこだな。

別荘とか買うのもなかなかいいかもしれない。

金ないけど。

 

 

 




早くフウロに会わせたい。
むしろ作者がフウロに会いたい。
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