レインボーシックス346   作:MP5

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C4はダイナマイトの1.4倍の破壊力に高い安全性を誇るプラスチック爆弾。
CQBにおいてはドア破壊に使われる


8話  ハイジャック

 源太達は浦和のはずれにある住宅街にいた。理由はもちろんODTのアジト(支部)に攻撃するためだ。ジャンが無線をキャッチし割り出したのだが、昼間にもかかわらず多くの住人がこちらの様子を遠くで見守っている。普段目にしないから当然であるが、源太達にとってやりづらい環境だった。

「玄関から行く、3・2・1・ゴー!」

 C4で玄関を発破し一気になだれ込み一発も撃たず制圧した。次々と手錠を掛けていくなか、ジャンがPCを発見し必要なデータを全て自分のUSBに入れた。

「終わったぞ、あとはコイツらを地元警察に引き渡すだけだな」

「こっちも完了だ。解析を基地ですればいい」

 いつもどおり警察にテロリストを引き渡すと、意外な人物から連絡がきた。小山田信吾だ。

「よお真田、大活躍だな」

「うるさいクソ小山田。こっちは4件連続で北関東飛び回ってんだ、仕事しろ仕事」

「俺は将来出世するから現場はノンキャリアに任せるさ」

「だからクソだろうが、ヒマじゃないから切る」

 遠慮なく切ると、ヨハンが心配して声を掛ける。

「苦労してんな。そんなに露骨に嫌がるお前初めて見た」

「小山田は警察学校の同期だったんだが、見た目も嫌いだった」

「わかるぜ、俺にもそんな奴いた」

 

 

 

 基地に帰ると、各自自由に活動する。ジャンは回収したデータの解析、レイモンドは新型グレネード弾の開発、源太とヨハンはキルハウスでCQBの訓練をしていた。この二人は根っからの隊員らしい。

「はぁいい汗だ。家じゃ引っ張りダコだからなぁ」

「休めないだろうな確かに」

「だから訓練と任務時が一番自分を出せる」

「ジャンも今後苦労するな」

「あぁ」

 噂をしていたらジャンがキルハウスを訪れる。

「さっそく言われたよ、フランス人のクセに服のセンス無いって・・・GIGNいたらそんなこと頭に入らんって」

「GSG-9時代でもオシャレには気を使うぞ、まぁ目立たない恰好だけどな」

「迷彩と一緒にすんな」

「でも日本なら迷彩もファッションになる。普段着でも作戦中の気分だ」

「・・・まぁいいや。解析できたぞ、やっぱり千川はクロだ、速攻確保に向かおう」

 武内によれば千川ちひろはアナスタシア達が救出された日を境に姿を見せていないらしく、絶好の機会と見て机を探っているとのこと。

「今度のテロ予告は?」

「わからん。346プロでテロの指示をしてた可能性もある、今現在調査中だ」

「そうか。テロ起こってからじゃ遅い、引き続き頼む」

「おう」

 レイモンドが40mmグレネードを手に現れる。

「ゲンできたぞ、疑似ガス弾だ」

「おいおい作んなくていいものを」

「いいから使ってみろよ頼むわ」

 渋々M320に例のモノを入れ、ターゲットに向かって撃ち込んだ。爆発と同時にタマネギの腐敗した臭いがスモークグレネード並の速さで充満する。

「なんて臭いだ、誰だって逃げ出したくなるぞ!」

「ちくしょう飯が食えねえ!」

「レイモンド今日ここの掃除な!」

 結局臭いは1週間ほど消えなかった。源太とヨハンはレイモンドに追加で飯をおごらせることにした。

 

 

 

 帰宅した源太は、まっすぐ自分の執務室に向かう。そこで事件の調査資料やアイドルの健康を管理している。

(さて、ようやく執務だ。・・・ん、誰だ?)

 ホルスターから45Tを抜き、クローゼットに手を掛け勢い良く開ける。

「・・・輝子、俺のクローゼットはジメジメしてるのか?」

「フヒヒ・・・真田さん・・・キノコと友達になる?」

「アハハ・・・考えさせて・・・」

 彼女の奇行もそうだが、夕食中の蘭子とアナスタシアの会話にも困っていた。

「ランコ。源太さんのこと、どう思ってますか?」

「え~っと・・・すごくいい人だよ、カッコイイし屈強だし」

「ダー。それだけじゃないと思います、優しくてクールでイケメンです」

(ほめてくれてもいいけどさ、俺の目の前でしないでくれ恥ずかしい)

 その様子を見ていた小梅も負けじとレイモンドの良さを伝えようとする。

「レイモンドさんも・・・いい人だよ・・・膝のケガを治してくれたの」

「あの人、杏ちゃんからは怖い人だって聞いたよ?」

「パパから聴いた話ですが、アンズ、いきなり麻酔銃を撃って寝かされました」

「あれは・・・杏ちゃんが空気読んでなかったからだよ・・・」

(始まった。すまんレイモンド、小梅だけは君が預かってくれ)

 後日、大佐とレイモンドとで相談し小梅は輝子とともにレイモンドのセーフハウスに移送されることとなった。しかし、それでも負担は変わらなかった。

 

 

 

 源太達はヘリで調布に向かっていた。理由はODT幹部が千川のやり方が気に入らないため保護を要請してきたからで、落ち合う場所が調布飛行場だ。虚偽の可能性も捨てきれないため全員完全武装して護送車に乗っていた。

「みんな、気を抜くなよ」

「何言ってやがる、俺達はテロリストを撲滅するのが使命だろ?」

「ふざけねえよ心配しなくても」

「油断しねえから安心しろ」

 空港に到着した直後、アナウンスが流れた。小笠原行の飛行機がODTの名乗る連中にハイジャックされたらしい。源太達は目の前の人質達の救出に向かう。

「ゲン何をしている、勝手なことをするな!」

「大佐、奴の保護より一般人の安全を確保するのが先です!」

「テロリストの情報を握ってるんだぞ!」

「責任は取ります、お願いします!」

「・・・わかった。無事に帰ってこい」

 大佐は源太の熱意に押され許可した。

 

 

 

 偵察用ドローンにて航空機周辺の状況を探る。乗客は全員解放されており、コックピットにはM1911A1の銃口をパイロットに向けながら、管制塔に自分達の要求を訴えていた。野外かつ空港では雑音がひどいため音声を拾うの断念していたが、映像でなんとなくわかった。

「尾翼からワイヤーで上る。死角から潜入しよう、入ったら戦闘開始だ」

 全員機体に上り、搭乗口から潜入する。レイモンドはコックピット側に走り、他のメンバーは客室側に向かった。早すぎる突入に不意を突かれ激しく動揺し狙いが定まらないなか次々に倒れて行く。

「客室内クリア。次は荷物室に向かう!」

 分かれたレイモンドも合流し一気に荷物室のテロリスト達も殲滅してみせた。想像より早く済ませた源太達はテロリスト達の武器、顔、特徴を見分する。前回のホテル立て籠もり事件と同様、20代の日本人青年及び中東系兵士達であり、装備もAUGやM870、M11はもちろん、今回は日本製SMG、9mm機関拳銃が出てきた。本来なら陸上自衛隊に配備されている銃だ。

(なぜこれが・・・横流し品かもしれないな)

「ゲン、面白いものを見つけたぞ」

 荷物室のキャリーバックの一つがやたら動いている。試しに開けてみると韓国系男性が入っていた。

「はぁー苦し、死ぬかと思った!」

「アンタは?」

「俺か?パクだ、元ODTの幹部だったんだけど奴らに気づかれちゃって困ってたの」

 テヘペロとばかりに振る舞うパク。

「俺達に保護求めてたってのはアンタか?」

「もしかしてレインボーなの?イヤッホー運が良いな俺」

 レイモンドの放った麻酔弾が首の脈に当たり一瞬で眠った。

「別にいいだろ、うるさいし」

「いいんじゃね?」

 

 

 

 その日にパクを運んで行き大佐の前に姿を見せる源太達。

「全く、今回は運が良かったもののこれが原因で大勢の人間が虐殺されていたら退職じゃ済まされん!」

「申し訳ございません、罰ならなんなりと」

「今回は任務完了したため罰しはせん。だが、次からは許さんぞ!」

 全員敬礼し、指令室を去った。

「この後は大佐の仕事だ、尋問が恐ろしく感じるのは俺だけじゃないだろ?」

「同感だ、娘さんのことをパクが喋ったら殺人事件起こるかも」

 基地での仕事を終え、源太はヨハンとともに屋台のラーメン屋に向かった。

「はぁー美味い。ドイツでも味わえないな」

「冷やしラーメンっていうものもあるから、今度中華料理屋に行くか?」

「いいなそれ。休暇中行こうぜ」

 楽しく酒飲みながら会話していると話題が今日の朝刊のことになった。

「ゲン。新聞読んだんだが北日本・札幌でODTによる立て籠もり事件があったらしい」

「おいおいあっちでも暴れてんのかよ、っでなんだって?」

「地元警察によると武装した謎の4人組が建物内に潜入、その後人質全員救出及び犯人全員を殺害した。だがこれで終わりじゃないんだ」

 人質の一人だった渋谷凛が解放後、取材に答えており、その応答に驚きを隠せなかった。

(本物のハンターは足元を気にしています、今後も気をつけて街を歩きたいと思います)

「なぁこれって・・・カプカンさんのセリフに近いよな」

「俺も思った。けど何時札幌に来たんだ?」

 源太達は知らなかった、スペツナズ代表も来日していたことを。




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