方針として、人命尊重を掲げており、選抜狙撃主がいないことでも有名
九州博多でODTによるテレビ局占拠事件が発生した。ここでもレインボーの特殊部隊が地元SATを差し置いて救出作戦に乗り出した。
「な・・・何でここに?」
GIGNの選抜女性隊員トゥイッチ、本名エマニュエル・ピションは人質を探し、罠を電気ショックで破壊する特殊なドローン、ショックドローンが映している映像に疑問を抱いていた。
「どうした、人質か?」
同行していた大型の盾が特徴的な全身完全防備の大男モンターニュ、ジル・トゥーレはトゥイッチに声を掛ける。
「いいえ・・・ゴールデンハムスターがいるのよ」
「は、ハムスター?某子供向けアニメの主人公のあれか?」
「同じ種類ね。でもなんでいるんだろ?」
ハムスターがそっぽを向きショックドローンに振り向くと、まっすぐ走り出した。気になったトゥイッチは迷うことなくハムスターについて行き、ドアの隙間を通過する。そこにはC4が床に設置されているだけでなく、3人の少女が拘束されている様子を発見する。
「あの子主人に頼まれて助けを呼びに行ったのかも。大丈夫よ、今助けるから」
電気ショックで一個ずつ丁寧に破壊し、あとは拘束を解くだけにした。
「行きましょう、待ってるわ」
モンターニュを先頭にドローンが通って行った軌跡を辿っていくと、曲がり角から敵が急襲してきた。盾で体当たりし怯んだ隙に脳天にLFP586のマグナム弾を撃ち込む。
「盾相手に肉弾戦持ち込むのは自殺行為だ」
その後複数の増援がやってきたが、モンターニュの盾が足元も守れるよう展開し敵の攻撃をシャットアウトする。トゥイッチが彼の後ろから射撃し返り討ちにしてみせる。
「命を無駄にするな」
ハムスターとショックドローンが入っていった部屋の前に到着し、ドアを蹴り破る。
「クリア。大丈夫よ、助けに来た」
3人の拘束を解くと、浅葱色の似合う爽やかな感じの少女の頭からハムスターが出てきた。どうやら彼女のペットらしい。
「エライぞハム蔵!ちゃんと助け呼んで来たんだな!」
「ぢゅい」
「ハム蔵?この子の名前なの?」
「そうだぞ、自分の家族なんだ」
この少女、我那覇響は765プロのアイドルであり、動物番組で博多に来ていたところにテロに巻き込まれた。
「いい子ね。大事になさい」
少し和やかになったところにモンターニュの声が響く。
「トゥイッチ、一名顔色が悪そうだ。ドクを呼んでくれ!」
「文香さん、しっかり・・・」
腹部を押さえ、顔色の悪い黒髪の少女、鷺沢文香。彼女は以前、プロジェクト・クローネでストレスによる胃痛を患っており、それが今回のテロによってぶり返したのだ。それを心配そうに見ている橘ありす。
「こちらトゥイッチ、人質確保、一名病気。急いで来てくれ」
「わかった。今行く」
ドク。本名ギュスターブ・カテブは国境なき医師団でのボランティアや特殊作戦旅団の軍医を務めた経験があり、多くの命を救うために、レインボーに志願した利他主義の男だ。
「急ぐぞルーク、遅れるな」
「了解!」
ルークと呼ばれた若き隊員、ジュリアン・ニザンはP90を手にドクと行動する。
「やっちまえ!」
敵と遭遇し胴体にVZ61による攻撃を撃ち込まれるが、もろともせず返り討ちにする。
「アーマー効果絶大だな、戦闘が楽だ」
これはルークが彼に提供したアーマーの強度が357マグナムを受け止められるほど頑丈であり、38口径ではダメージにならないためだ。
「急ぎましょう、患者が待っています」
迫りくる敵を倒しながらトゥイッチ達と合流し、ドクはさっそく文香の容態を診察する。この時、彼の脳裏に国境なき医師団でボランティア活動したころを思い出す。紛戦によって家を失い、腹を痛めて泣いていた子供と彼女が重なって見えた。
「ストレス性の胃痛だな。これで元気になるハズだ」
スティムピストルという変わった銃に栄養剤を装填し、彼女に撃ち込む。すると、みるみるうちに顔色が良くなり、見違えるように元気になった。
「あ・・・ありがとうございます・・・」
「人命を重視する、それが基本だからな」
この間にルークはアーマーを他の二人に提供し脱出に備えるが、一着余ってしまった。
「しまったな・・・そうだ、君が着てくれないか?」
「私・・・ですか?」
「他の二人じゃ丈が合わないから、いい?」
トゥイッチが文香にアーマーを装備させる。文化系アイドルに防弾アーマーと、なんともシュールな恰好になった。とても恥ずかしそうだ。
「ゴメンな。しばらくの辛抱だから許して」
モンターニュを先頭に3人を守る陣形で裏口からの脱出を目指す。敵の増援が迫りくる中、彼らは退かずに立ち向かう。その姿を見ていたありすは武内の背中を思い出した。
「プロデューサーみたい・・・なんでだろう、信じられる」
「自分のプロデューサーも、このくらいカッコよかったらいいのに」
「みなさん、頭を下げないと当たりますよ」
そんな呑気なことを言っている間に、戦闘が終わっていた。
「あれ?どなたでしょうか?」
文香が物陰に隠れている人物を発見し、ルークに知らせる。彼はそこまで移動し、隠れていた人物を発見、少し乱暴に保護する。
「俺は765プロのプロデューサーです!怪しい人間じゃありません!」
「プ、プロデューサー!?無事だったのか?」
手首を縄で縛られたこの赤羽根と名乗るメガネの青年は、どうやら765プロのプロデューサーらしい。ルークは頭を下げ、謝罪する。
「すまなかった」
「いいんです、それより響を助けてくれたんですね」
「感謝は後だ、ここから脱出しよう」
その後無事に脱出し、任務を完了させた。
「ありがとうお兄さん達、自分も負けないように頑張るぞ!」
「頑張れよ海人ガール、応援してるぞ」
トゥイッチは文香につけていたアーマーを外し、ドクの診療を受けさせる。
「異常なし。体調には気遣うんだぞ」
「はい、ありがとうございました。もしかして、レインボーの方々ですか?」
「知ってるのか?」
「アーニャちゃん達が救われたって聞いてますから・・・」
「そうだったか。命は大事にするんだぞ」
一方モンターニュは、赤羽根から事情聴取していた。
「346プロアイドルが今まで人質になっていたことはあったが、何故別事務所の貴方がたがいたんだ?」
「響の仕事の引率で来たんですが、ODTとなんて心あたりないですよ」
「もっともだが、何故彼らがODTってわかったんだ?」
「俺も捕まっていたんです。その時に名前と気になる言葉を耳にしたんです」
縄を解いたら、かなりうっ血していたので、このことは事実だろう。
「出資者がいるって話でした。なんでも、黒井のことが話に上がっていましたから、流石に冗談だと思ってましたが、ありえるなぁっと思ってこうして話をしているんです」
「そうか・・・なぁアンタ、命を投げ出して担当アイドルを守りたかったか?」
「もちろんです。それが俺の使命ですから」
「良い心構えだ。だが、それが時として自分の命も犠牲になることを忘れるな」
モンターニュは1994年にあった、エールフランス航空8969便ハイジャック事件のことを話した。当時新米ではあったが作戦に参加し、テロリストを射殺したこと、多くの人質と仲間が負傷もしくは犠牲になったことを伝えた。
「今でも鮮明に覚えている。俺は後輩達にいつも話している、自分の命を大事にできない人間に救助はできないとな」
「・・・俺はどうしたらいいのですか、なんだか自信が」
「ひとつ教えといてやる、守るってことは行動に責任を持つことだ。アイドル達を守るのが使命なら弱気になってはいけない」
自分の拡張シールドを見せた。多くの作戦で使われ、手榴弾や弾丸を受け止めた跡が刻まれている。
「俺みたいになれとは言わない、ただ、実際に行動に移している日本人を、俺は知っている」
彼の目に源太と武内の顔が思い浮かぶ。
「・・・わかりました。俺、腹括ります」
「良い顔だ、応援してるぞ」
モンターニュのとっつあんカッコイイですね