レインボーシックス346   作:MP5

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 フランス人はグルメでオシャレなイメージが付きまとうが、中にはアニメやアイドルが大好きなオタクも大勢いる
 誇りを持って応援しているため、冷やかしは厳禁だ


20話  世界一カッコイイオタク

 ジャンは一人、自室に貼ってある水谷絵理のポスターを見て鼻の下を伸ばしていた。彼は彼女のファンであり、ネットアイドル時代からの古参らしい。

「絵理ちゃん今日もかわいいなぁ・・・」

 こんなマヌケな顔を仲間達が見ていたら、全員が腹を抱えて笑うであろう。一度ヨハンをここに招待したことがあるが、絵理のことを熱く語る姿を見て笑ったことがあった。

「くそうなんで876じゃなかったんだ。・・・文句言っても無駄かな」

 現実に戻り、自分のPCと向き合う。開くサイトはもちろん絵理のブログだ。それによると明日、346プロの鷺沢文香と橘ありすとの番組共演があるらしく、とても楽しみにしているとのこと。

「へぇ共演か。楽しみだな」

 そんなこといいながら更新ボタンを押す。すると、新しくアップされた記事を発見した。

「やっぱり、ODTのことが気になるか。大丈夫だよ絵理ちゃん、例え襲われても絶対助けてくれる人がいるハズだからね」

 感想欄にそう書き込み、PCの電源を落とした。一方の絵理は、その書き込みに恐怖を覚えたという。

 

 

 

 チェックのシャツにサングラスをかけ、ノートPCが入ったリュック、FAMAS G2の入ったジェラルミンケースを持ったジャンは絵理の番組収録を見に行っていた。生で見る絵理を見つめ続け、胸をときめかせていた。

「俺、生きててよかった!」

「カット!だめだよお客さん、大声出しちゃ」

「あ、すんません」

 追い出される結果となったが、頭の中は天国一色だった。うれしそうにテレビ局を出ていく。

「いい思い出になった。さてと、家に帰り・・・あれは?」

 テレビ局の裏口にスタッフらしくない男達が入っていく。ジャンは怪しいとにらみ尾行することにした。人目のつかないところでP228を取り出し、サプレッサーを取りつける。

「何者だろう・・・一応仲間達に知らせておこう」

 PCを開き、仲間達にメールを送ると、今度は内部のカメラにアクセスし内部を確かめる。予想通りトイレでAK47を取り出すところを発見する。

「今日ドローン持ってきてないからな。規定が厳しすぎるって」

 嫌味を漏らし裏口から入ると警報が鳴り響いた。どうやら攻撃を始めたらしい。

「待ってて絵理ちゃん」

 FAMAS G2を取り出し、マガジンを取りつける。足音を出さないように慎重に歩いた。

「警戒しろ」

 スタジオに入るドアの前で足を止め、PCで内部の様子を探る。AK47を持ったテロリストがスタッフに銃口を向けていた。ドアノブに手を掛け、息を整えると勢いよく開け、テロリストに攻撃し場を制圧してみせた。

「クリア。もう大丈夫」

「アンタは大声出した外人さん!何者なんだ!?」

「顔見なかったことにしてくれ、早く非常階段で脱出するんだ」

 源太から通信が入る。

「ジャン、無事か!?」

「当たり前だ、簡単にやられると思うか?」

「バカ野郎勝手に動くな、俺達と合流してからにしろ!」

「敵は数人しかいない。俺だけでも」

「とにかく焦るな、待ってろ」

 通信を切り、今度は絵理のいるであろう楽屋へ向かう。

「野郎、絵理ちゃんも襲うなんて・・・許さん!」

 水谷絵理と書かれた楽屋を開け、内部を確認する。そこには彼女のプロデューサーらしき女性も一緒に監禁されていた。

「あ・・・あ・・・」

「大丈夫、助けに来た」

「来ないで!」

 足元のワイヤーに気づいた時には遅く、足に鉛玉がばら撒かれる。あまりにダメージがひどく、匍匐移動しながら彼女の元へ向かう。

「しくじった・・・」

「大丈夫ですか!?」

 痛みを笑ってごまかしながらマガジンを交換する。

「へへへ・・・ブログにさ、助けてくれる人がいるって書いてあったよね。あれ、俺が書いたんだ」

「え?」

「俺のリュックにPCが入ってる。そいつは防弾仕様だから絵理ちゃんが持ってな」

「でも・・・」

「こんなもんじゃ死なんよ、仲間がそろそろ着く。あとは任せるさ」

 自分を盾にしFAMAS G2を構える。普段はオタクでも人命尊重を志しているジャン。だからこそ、このようなマネができるのかもしれない。

 

 

 

 その頃源太達は、屋上からダイナミックエントリーで窓を破り、事務所にいた敵を排除した。

「クリア。早くジャンを助けに行こう」

「それも大事だが、逃げ遅れた人間の保護も忘れるなよ」

 慎重に素早く進む源太達。敵に遭遇し銃撃戦になるも、優位なポジュションに立ち排除していく。今回はメンバーの一人が先に潜入したため、一刻も早く殲滅するか救出するかが鍵となる。

「こちら源太、どこにいる?」

「水谷絵理の楽屋だ。それと足をやられた、止血はしてある、早く来てくれ」

「了解、俺とレイモンドで行く」

 源太とレイモンドはジャン救出に、ヨハンと五郎は要救助者の探索に向かった。楽屋に向かう途中で銃声が響く。二人は急いで楽屋に向かうと、敵の死体の山を見かけた。

「遅いっての・・・弾薬ほとんどねぇぜ」

「突っ込むなバカ。レイモンド、どうだ?」

「アキレス腱切れる寸前までイッてる。応急処置をしてやるから待ってろ」

 救急キットからモルヒネに添え木、包帯を取り出して両足を固定する。

「まさか粗悪品クレイモアがあるなんて・・・ヤバかった」

「嫌味ならあとだ、先に脱出するぞ」

 源太はジャンを担ぎ上げ、レイモンドを先頭に屋上を目指す。特に発見されることもなくヘリに乗せると、自分達はヨハン達と合流するため急いで向かった。

「部屋の隅にクレイモアか・・・」

「どうした?」

「いやな・・・手口が似てるんだ・・・」

 いつになく沈んだ声だった。

「どうした、まるで家族が犯人みたいな声じゃないか?」

 目に悲しみが浮かんでいる。レイモンドは気まずそうにする。

「すまんが話はあとだ、他に救助者がいる」

 ありすと文香を引き連れたヨハン達と合流し、無事に脱出を果たした。

 

 

 

 翌日、源太とヨハンは警察病院で入院中のジャンの見舞いに訪れた。全治3ヶ月らしいが手は動くため、この日もPCで絵理のブログにコメントを残していた。

「元気そうだな」

「まぁな。まぁ座ってくれよ」

 丸椅子に座り、手土産のアイドルグッズの入った紙袋を手渡す。

「水谷絵理とそのプロデューサーの尾崎玲子から伝言だ、お大事にだってよ」

「へへへ、ファン冥利に尽きるってやつだな」

「いっそのこと足動かなくってもいいんじゃないか?」

「そうだなってんなわけねぇだろ!」

「冗談だ、落ち着け」

「ったく気分悪い、暇じゃないんだろ、さっさと行け」

「ちぇっさっさと足治せよ」

 二人が病室を出て行ったのを確認すると、袋の中身を探る。色紙が入っており、それには絵理のサインが入っていた。

「ありがとうございます?か。ちくしょう反則だっての」

 この日、ジャンは一人盛り上がっていた。




シージでSATが出るみたいなのですが、今のところ出す予定はありません
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