レインボーシックス346   作:MP5

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 正当化される犯罪はない


レイモンド編 迷惑

 オランダ郊外にある小さな工場にキリスト教系過激派組織、アルカディアによる立て籠もり事件が発生。人質釈放条件として逃走用車両の配備、1か月以内に他教徒を全員ヨーロッパから追放することを突きつけてきた。無論呑み込めないなら人質を殺害するという。政府は当然、要求を全て呑むことはできないため交渉で僻地で訓練中の特殊部隊が帰還してくる時間を稼いでいたが、アクシデントにより帰還時期が伸びてしまう。そこで政府はレインボーに救援を要請し、その日のうちに一名のイギリス人が派遣された。

「レインボーのレイモンド・コーエンだ」

「来たか。さっそくだがこれを見てくれ」

 渡されたのは工場の見取り図。裏に従業員用出入り口があり、そこから潜入するのがセオリーだと思われるが、レイモンドの考えは違った。

「っで、我々としてはこうしかないと思うのだが」

「いや。ここはあえて正面から行くぞ」

「どういうことだ!?」

「敵は、裏から攻めることがセオリーだと思っている。ここはあえて堂々と正面から攻めるのがいいんだ。さてと、俺は行く」

 MP7A1を手に工場の正面ドアに立ち、引き金を引いた。ハチの巣と化したドアの向こうには数人のテロリストがおり、全員射殺されていた。

「よし行くぞ」

 銃声が響いたからか、多くの敵が正面玄関に集まりだし団子状になっている。

「素人が狭い廊下で集まったらこれで一発だ」

 グレネードを投げ込み一網打尽にすると、工場内に入り激しい銃撃の雨を潜り抜けながら人質を探す。従業員の集まる場所の一つである休憩室に入ると、そこには手足を縛られ猿轡をされた中東系の男性と、彼にUZIを突きつけるドイツ系の男がいた。

「動くな、こいつがどうなってもいいのか!?」

「もう味方はいない。大人しく投降しろ」

「知ってるか、こいつらは純粋なクリスチャンを攻撃しようと企んでいたんだぞ?我々アルカディアがそれを阻止しようと聖戦を始めようとした矢先に警察なんか呼びやがって・・・」

「・・・」

「どうした、怖気づいたか?」

「本気で思ってんのか、無抵抗の人間相手に銃向けて喜んでるガキが聖戦なんて軽々しく言うな。お前のしていることは、ただの駄々だ」

「こっちは本気だ、さっさと消えないと殺すぞ!」

「だったら俺に銃口を向けろ!正義を語るなら、それくらい簡単なんだろ?なぁ!」

 レイモンドの怒号によって怯んだ隙にテロリストの肩を撃ち抜き、一瞬で組み伏せた。麻酔銃で眠らせた後、人質の拘束を解き容態を確認する。

「大丈夫か?顔色が悪いぞ?」

「えぇ・・・信じる神が違うだけなのに、どうして襲われなきゃいけないのでしょうか・・・」

「わからない。だがこれだけは言える、神の名前を語って騒ぎを起こす奴らに限って、碌なことを考えていない」

 事件は終結し、レイモンドはヘリフォードに帰還した。

 

 

 

 数日後。レイモンドは休暇を取り、日本・東京に来ていた。目的は

「ごめん待たせたかな?」

「ううん、来たばっかりだよ」

 小梅と心霊スポット巡りの約束を果たすため、わざわざイギリスから飛んできたのだ。この前の任務の時とは違い、穏やかな表情をしている。

「今日は山梨のキャンプ場で泊まるって言ってたがなんでだ?」

「そこの近くに廃工場があって、そこには実験生物達の霊が集まってるって話があるの。だから」

「なるほど。念のため医療キット持ってきたけど、ケガだけはするなよ」

 特急とバスを乗り継いでキャンプ場に到着した。テントを張っている間、小梅は彼の後ろ姿を見ていた。

「早いですね・・・」

「訓練で冬の雪山登ってビバークしたりしたから、そりゃあね」

「戦う練習以外にもするの?」

「あぁ。SASじゃ野生動物の食べ方や飲料水の確保の仕方とか、いろいろやるよ」

 テントを張り終えたら、今度は石を積み重ねて作った釜戸に枝を枯れ葉を集めてきて火打石で火を起こした。

「どうだ?やるだろ?」

「うん」

 とても興味深々だ。

「よし。手ごろな棒に布を巻き付けて松脂を塗ると・・・松明の出来上がりだ」

「レイモンドさん、懐中電灯あるよ」

「確かにそれもいいけど、これなら野生動物が寄って来ないだろ?」

 今回は歩いて目的地に向かう。レイモンドは松明に火を灯し、危険がないように万全の態勢を取る。

「そろそろ日が暮れるな。行こうか?」

 

 

 

 数十分後、目的地に着いた二人は静かに探索する。そこには捨てられた機材やら書類、錆びた飲料水の空き缶が散乱したおり、何か出てくる雰囲気を醸し出していた。

「怖いか、小梅?」

「なんだろう、ゾクゾクしてきた」

「気をつけろよ。気分悪くなったら言え」

 すると、曲がり角に人の気配を感じた。

「誰かいたぞ」

「行ってみよう」

 気配があった場所を通り過ぎ、窓越しに明かりが灯っていることがわかる。

「俺が見に行ってくる。小梅はこれを持ってろ」

 松明を渡すと、静かにドアを開け光のある方向に近づく。そこには近所の若者だろうか、一人で焚火に当たっていた。

「そこで何している?」

「あ?誰だ」

「こんな物騒なところにいたら、ケガじゃ済まされんぞ。足場が悪い」

 ふと若者の足元を見てみると、注射器らしきものを発見した。

「麻薬か?」

「外人さんには関係ねぇだろ」

「どの国でも麻薬はダメだ。今から警察に行くぞ」

 注意されたのが気に食わないのか、いきなり鉄パイプを握り襲い掛かって来る。しかし、それを受け止めると軽々投げ飛ばし当身を当てた。

「全く。これじゃ肝試しどころじゃないな」

 レイモンドは衛星携帯を用いて通報。二人は工場を後にした。翌日、台無しになった肝試しのかわりに、東京にあるイギリス料理の出る店を紹介することにした。

 

 

 

 




 以前書いた紹介ムービー風のやつ、ちゃんと出来ていたでしょうか?
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