その実力は高く、カナダの国防に一役買っている
新潟県・両津港。普段なら島の玄関口になっている港だが、今はODTが占拠し、恐怖に包まれていた。観光客の多くが射殺され、残りが人質となった。人質の一人、小日向美穂は特に怯えていた。テロの蜂起と同時に自分のプロデューサーが銃を握り次々に殺戮していく姿を目の当たりにしたからだ。
「どうして・・・」
「美穂、君が悪いんだよ。俺の気持ちに答えてくれなかった美穂が悪いんだ」
そう言うとプロデューサーだった男は警備に戻った。信じていた男性が、まさか目の前でテロに加担しているなんて思いもしない。美穂は脳内混乱したまま硬直してしまった。
「大丈夫かい?」
「え・・・」
「僕は伊集院北斗。315のアイドルだ」
金髪に黒を基調にした服装の男性が優しく声をかける。
「今日の仕事楽しみにしてたけど、こうなるなんて思わなかったよ」
「北斗さん。どうすれば」
「大人しくしていよう、最低でも君は傷つかない。そうなりそうになっても、僕が身代わりになる」
自分同様、手を縛られている。
「それにしても、君のところのプロデューサーは最低だな。僕ならそんなことしないのに」
「おいそこうるさいぞ!」
テロリストの一人が北斗を蹴飛ばし彼を転ばせ、そのまま踏みつける。
「俺はお前のような奴が大嫌いなんだ、ここで殺したっていいんだぞ!」
「あいにくまだ死ねないよ。僕のファンのためにも、美穂ちゃんのためにも」
「ふん、興が冷めた」
彼らは知らない。救いの手が近くにいることを。
「SAS組が他のところで任務あるから来たんだが、どうしてこう鈍い奴が多いんだ?」
「わからないけど、成り上がりが多いのだろうな」
屋上から侵入した二人の戦闘員。エントランスから少し離れた場所で暴行の様子を見ていた。
「敵は四人か。フロスト、俺がスタングレネードで一時的に敵を封じる。援護してくれ」
男勝りな口調のフロストと呼ばれたアジア系の女性隊員、ティナ・リン・ツァンは9mmC1を手に敵に向かって構えると、白人の男はスタングレネードのピンを抜き、それを投げつけた。閃光が走ったと同時につんざく音が襲いかかった。二人は一気に制圧し、人質を解放した。
「大丈夫か?初めてだな男アイドルの人質なんて」
「あなた達は?」
「俺達は君らを助けに来た。他の人達と一緒に屋上のヘリで脱出するんだ」
彼の名はセバスティアン・コテ、コードネームはバック。ライフルのアンダーバレルについているショットガン、スケルトンキーがトレードマークだ。
「なんだ、なんの騒ぎだ!」
テロリストの一人がスタングレネードの音に気づいてやってきた。バックはC8SFWの銃口を向け、彼の銃を撃ち落とした。
「た、ただでは済まされんぞ。下の階にいる仲間がこちらにやってくる」
「来れたらいいな、本気で」
バックは余裕の表情で対応する。階段辺りからテロリスト達の悲鳴が響いてくる。
「見事引っかかってくれたな」
敵を一掃したあと、バックに解放を任せ、フロストが仕掛けたのはウェルカムマットと呼ばれる機械式のトラップだ。言ってしまえばトラバサミだが、単純に突っ込んでくる相手には非常に効果的だ。フロストは痛みに苦しむ相手に無慈悲に銃を乱射し撃退した。
「援軍来なくて残念だったな、俺達の勝ちだ」
「な、なぁ俺は実はODTの連中に言われてやったんだ、だから許してくれよ!」
あっさり手のひらを返し、命乞いする男。だが男の望みを裏切る声が響く。
「こいつは美穂ちゃんを裏切っただけじゃなく、淡々と銃を一般人に向けた男だ。自らの意思でテロ参加したに違いないさ!」
「プロデューサー・・・信じてたのに・・・」
信じていた人を裏切り、大勢の人間を殺した挙句、自分が殺されそうになったら命乞いする。底辺のクズを相手にバックが下した決断は
「フロスト、人質を全員屋上に避難させてくれ。それからだ、こいつに引導を渡すのは」
「・・・わかった」
全員の避難を確認したフロストはスケルトンキーを脳天に向け、戸惑いなく引き金を引いた。この事件は翌日の朝刊に載り、見出しは『ODTのテロ事件にまたしてもレインボーが鎮圧 彼らの正体に迫る』と書いてあった。
それから数日後。テロの脅威が去り、いつものにぎやかな日常が続いている。今度も仕事で一緒になった美穂と北斗は、新幹線車内で買ったアイスクリームを食べていた。
「固いですね・・・」
「その分非常に濃厚だから美味しいね。ん、あれは!?」
北斗が指差す先に以前助けてくれた二人の姿があった。あの時と違い普段着ではあったが、バックが素顔だったため顔を覚えていた。
「あ、あのぅ、以前助けてくださった方々ですよね?」
「ん?・・・あぁ佐渡の」
「この度はありがとうございました」
「いいんだよ、それより向かい合って座らないか?」
席を移動し、美穂は事務所で起きた、未央が仕掛けたいたずらの話をした。
「おいおい噂通りだな、サーマイトとゲンから聞いた通りだぜ」
「ブーブークッションをタケの椅子に仕掛けるなんて・・・昔の彼なら怒ってたな」
必死に笑いを堪える二人。任務中とはうって変わって明るい。
「?武内Pとお知り合いですか?」
「元同僚だ。聞きたいか、現役時代の話?」
バックは昔あった北極海でのテロリストハントについて話すことにした。凍り付いた北極海に浮かぶクルーザーにいるテロリストを殲滅する作戦に、武内がタボールを手に活躍した話をする。この時バックとフロストも作戦に参加しており、今でも忘れられなかった。
「まさか北極海の氷拾って敵に投げつけて倒しただけじゃなく、空き瓶もフルに有効活用して敵の動きをコントロールするから、手柄がなくなるかと思った」
「武内って人、凄すぎるね・・・」
彼の武勇伝を聞かされた北斗は思わず本音を漏らしてしまった。フロストは美穂の手にあるアイスクリームを見つける。
「ねぇそれ美味しいのか?」
「え?次来る車内販売の時に買ってみたらどうですか?」
「そうするか。すみません、アイス二つ」
早速来た車内販売でアイスクリームを買い、二人がまず驚いたのはその固さ、スプーンが刺さらないのである。
「え・・・なにこれ、防弾チョッキより固いかもしれない・・・」
「これを時間かけずに食う猛者はいるのか!?」
ようやく掬えたアイスを頬張ると、その甘さが口に広がった。
「カナダのアイスより美味しいかも」
「美味いが、降りるときに食い切れるか心配だな」
車内アナウンスが次の目的地に近づいていることを告げる。
「そろそろ降りる準備しないと。楽しかったぞ、元気でな」
バックとフロストは駅に降りると、新幹線が見えなくなるまで見送った。
その頃武内は、自分の話を知ってか、大きなくしゃみをしたそうだ。
「誰かうわさしているが、見当もつかない」
メールに多く寄せられていたDLCの二人を出してみました(それとゲストも)
感想のほど、よろしくお願いします