レインボーシックス346   作:MP5

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 香港は中国の一部であるが元イギリス領であり、基本的に別の国家扱いされる場所だ
 


香港編  海のハイジャック

 香港から豪華客船、スター・フォーマルハウト号が出発した。この船には多くの経済人や俳優など、著名人が多く乗っており、海上から眺める夜景を楽しむ、ハズだった。船員に紛れて潜入していたODT残党が銃を取り出し、大勢の客や乗務員を殺害し、一瞬で占領されてしまったからだ。特別ゲストとして呼ばれたアナスタシアと橘ありすは自分達の部屋に監禁され、しかも通信機器を取り上げられたため、源太に助けを呼べないでいた。

「アナスタシアさん。どうして私達いつもテロに巻き込まれるのですかね?」

 淡々と言っているものの、体が震えてしまいアナスタシアにしがみついている。ありすを不安にさせないように優しく抱擁する。

「ん~、たぶん、運だと思います」

「そんなことわかってますよ。プロデューサーはすぐに逃げるし、助け呼べないし・・・どうして大人ってこう面倒なことするのでしょうか?」

「アリス、詮索してはいけません。源太さん言ってました、捕まったら大人しくした方がいいと」

「ですけど・・・」

「わたし、信じてます。源太さん達が助けに来ることを」

 

 

 

 

 同時刻。巡視艇に乗り込んでいた源太とブラジルの特殊部隊、BOPE出身の同僚、カルロス・グスマンとの人質救出作戦が開始されようとしていた。専用のゴムボートでスター・フォーマルハウトに付け船員用入り口から潜入した。

「カルロス、今回は救出作戦だ。出来るだけ音を無くしていくぞ」

「なんだよ、せっかくスパス15持って来たのに大暴れできないってか?」

「人質がいるんだぞ、音を出したら被害が及ぶ」

「冗談だって。ほら行くぞ」

 カルロスをポイントマンを任せ、機関室の制圧に向かう。M320にスモーク弾を装填し、狙いを定める。

「エンジン壊すなよ」

 煙幕を巡回中の敵に向かって撃ち、あぶり出たところに一斉放火して制圧。とりあえず機関部故障による走行不能だけは回避できる。

「クリア。次に行くぞ」

 想像以上に狭い廊下を通り、ホールまでたどり着いた。整った背広に似合わないAK74、Bizonを装備した男達が巡回していた。源太も装備をHK416A5カスタムからP90に持ち替え、サプレッサーを装着した。散り散りになったところを見計らい、背後から脳天を撃ち抜いた。

「ここからは二手に別れよう、カルロスは操縦室へ行って舵の確保、俺は客室に向かい人質の安全を確保する」

「了解。これでこそこそしなくて済む」

 カルロスはさっそく階段を上り操縦室へ向かい、さっそく銃声を上げた。

「だからコイツとは仕事したくないんだ」

 源太が彼を苦手にしている理由、それはこの好戦的で危なっかしい性格にある。確かに戦闘力は高く、有能で成果を出しているが、いかんせん派手に暴れることを大いに好むため、人質が負傷していることも多々ある。

「急ごうか、心配になってきた」

 源太は急ぎ客室方面に向かい、いち早くデッキに避難させることにした。

 

 

 

 

 予想通り客室前の通路には巡回している敵が多くおり、テーブルを利用した遮蔽物を多く設置していた。HK416A5に再び持ち替えると、遠くから頭狙って丁寧に撃ち込んでいく。気がついた敵が応戦してくるが、炸裂弾と遮蔽物を利用し、どうにか殲滅してみせる。

「よし少々面倒だが、しらみ潰しにノックしていくか。まずはここからだ」

 近くのドアをノックし、有無を確かめる。

「・・・変態さんですか?」

「こんな緊急時に変態呼ばわりは失礼だ。俺は君を助けにきた、開けてくれないか?さっき銃声もしたの聞こえてるはずだ」

 ゆっくりドアが開くと、そこには小柄な少女がドアノブを握っていた。

「他に人いるかな?」

「いますよ。アナスタシアさん、助けが来ましたよ」

「・・・えっ?」

 銀髪の少女が姿を現すと、嬉しそうに抱きついてきた。まさかここに囚われているとは想像しておらず、さすがに困惑した。

「源太さん来てくれました!心、繋がってます!」

「ど、どうしてここにいるの?ここは香港のハズだけど・・・」

「お仕事でここにいました、でも、捕まっちゃいました」

「だいたいわかったけど、一回離れてくれ。護衛できないから」

 穏やかな時間は船の一番上にある操縦室から爆発音で終わりを告げた。源太は悪い予感からカルロスに連絡してみる。

「カルロス、さっきの爆発はなんだ!?」

「自爆兵にスイッチ入れられちまった、船長は無事だが他は全滅だ。ゲホッ、俺もデッキに移動する、そこで合流しよう」

 無線を終えると、苦虫をつぶしたような顔になる。アナスタシアが源太を心配そうに見つめる。

「大丈夫だ、デッキに行けば救命ボートがある。それで脱出するんだ」

 

 

 

 

 爆発を聞きつけた生き残った乗客達がパニックを起こし、デッキへと駆け込もうとするが、源太は上に向かって発砲しこの場を制する。

「皆さま落ち着いてください。生き残りたいのなら、静かに俺について来てください」

「早く我々を脱出させてくれ!」

「さっきの爆発はなんなのよ!」

「確かに恐怖にさらされると生存本能が目覚めます。しかし、勢いに任せて騒いでいいのですか?この海域にはサメがいます、泳いで脱出なんて考えない方がいいかと」

 冷静な対応で乗客達を落ち着かせた源太。

「俺が合図したら移動してください」

 彼の作戦はこうだ、まず自分が動きクリアリングし安全を確かめる。次にハンドサインで合図し人質達を移動させるの繰り返し。もしも敵がいれば物陰に隠れさせ、可能であれば迂回、それができなければ殲滅してから合図を送ればいい。一つ間違えれば大惨事は確実だが、この方法しか残されていなかった。幸い遭遇することなく無事にデッキまで移動させることに成功した源太は、女子供を優先的に救命ボートに乗せ、次々に降ろしていく。アナスタシア達が降りる番になると、予想通り彼女は源太のことを心配そうに見つめる。

「そう悲しい顔しないでくれ、任務終わったら会いに行くよ」

 頭を撫で、彼女がボートに乗り込んだことを確認するとゆっくり降ろした。その後も順調に降ろしていき、最後の船も全て降ろすと、カルロスと船長らしき男と合流する。

「他にいたか?」

「乗務員全般で見るなら、船長しかいない」

「遅かったか・・・乗客の生き残りは逃がした、ヘリで脱出するぞ」

 無線でヘリを呼ぶと、トラブルが発生したため良くて5分後に到着するらしい。

「クソ、なんてタイミングだ」

「敵がこっちに来やがった。船長、テーブルを倒して隠れてろ」

 テーブルで遮蔽物を作り、迫り来る敵を迎え撃つ。日本にいた連中と違いグレネードの扱いに慣れており、的確な位置に投げてくる。二人は細かく移動しながらスモークグレネードで疑似的な壁を作り視界をコントロールしながら優勢的な立ち位置を築き、20人倒したところでウェーブが収まった。

「ちょうど迎えが来たか。任務完了だな」

 

 

 

 

 ヘリに乗り込んだ3人。

「ありがとうございました、乗務員も天国で感謝していると思います」

 船長の感謝の言葉を聞いた源太は45Tの銃口を向けた。

「白々しい奴め。よくそんな言葉が出てくるな」

「え?」

「どうしたんだゲン?彼は被害者なんだぜ?」

「お前近くにいて気づかなかったか?基本的に自爆兵は自分の手に起爆装置を握っているものだ」

「そうだけどよ、ショットガンの至近距離での一撃を頭に撃ち込んで倒したと思ったんだ・・・あれ、だとしたらどうして爆弾が爆発したんだ?」

「ようやくか。そう、自爆兵の起爆装置は別の人間が持っていたことになる!」

「!?」

 カルロスはようやく把握した。安堵の表情から一瞬で険しい表情になる船長。

「まさか、私がODTの残党とでも言うのですか!?馬鹿馬鹿しい、そんなの言いがかりだ!」

「証拠ならあるぞ」

 源太が疑問に思ったのは、一つは先ほどの銃撃戦で誰も彼のいる方向に弾丸やグレネードを向けなかったこと、一撃で仕留めた自爆兵の爆弾が死後に起爆したこと、そして

「お前だけが生きていたことだ。大型船は船長だけでは動かせない、少なくとも航海士やエンジニア、通信士がそれぞれ最低二人は必要だろう。つまり、他の船員は殺される理由なんてなかったんだ!」

「ぐっ!?」

「だが、今回の襲ってきた奴らは船に乗った経験のある連中ばかりだったら余計な船員は真っ先に殺されても可笑しくない。だがアンタだけは生き残った、そりゃそうだ、アンタが今回のハイジャックの主犯はお前だからな!」

「ゴホッ!?」

「今から貴様のボディーチェックをする。良いよな?」

 源太は早速船長の体に触れ、注意深く調べた。パンツからはリモコン装置、懐からはガバメントが出てきた。もう白を切れないと判断した船長はうなだれてしまった。

「・・・もう少しだったのに・・・悲劇のヒーローになって、ちやほやされたかった・・・見事な推理だ日本人、君の推理通り、襲った連中はODTメンバーだったために船会社を首になった元船乗りだ、私だけが隠し通せたが、変な仲間意識が働いてこのようなことを考えついたんだ」

「・・・理由は聞かない。一生を持って罪を償え」

 こうして、海のハイジャック事件は終わりを告げた。




 推理は少し稚拙だったと思いますが、許してください
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