レインボーシックス346   作:MP5

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 BOPEはブラジルの特殊部隊で、多くは危険地帯であるスラム街での任務で活躍している
 装備も軍隊に匹敵するものだ


ブラジル編 危険は省みるべし

 ブラジル・リオデジャネイロを訪れることになった輝子。今回はブラジルのことを知るというバラエティ番組の仕事だったのだが、彼女はコミュニケーションが取れないでいた。

「どうしよう・・・通訳さん困ってる・・・」

 プロデューサーはパスポート申請が遅くなってしまったため通訳と番組スタッフ数名での仕事。つまり知ってる人間がいないのだ。

「早く帰りたい・・・」

 そう思っている最中、ポルトガル語で何か要求してくる数名の男性が声をかけてきた。右手には銃が握られている。全員がその場で恐怖のあまりに動かなくなってしまう。

「気をつけろ、こいつらはストリートギャングだ」

 日本語を流暢に話すブラジル人の男が現れたかと思えば、ギャング達が彼の姿を見て一目散に逃げていく。

「遅くなって悪いな。俺はカルロス・グスマン。輝子、俺はレイモンドの知り合いだ。よろしくな」

「へ・・・レイモンドさんの、友達か?」

「そうだ、もし困ったことがあったら力になってやるぞ」

 よく見ると彼の手にスパス15ショットガンが握られていた。どうやら護衛兼ガイドらしい。

「まずはホテルに入ろうか、スタッフと打ち合わせしたいことがあるんでな」

 

 

 

 

 ホテルの一室でスタッフ及び輝子と打ち合わせをするカルロス。普段温厚な彼だったのだが、スタッフの一言で豹変した。

「もう一度言ってみろ!」

「ですから、スラム街に行ってインタビューすr」

「ふざけてんのか!?あそこは犯罪の温床の代名詞と言っていいほど危険な場所なんだぞ、そんな場所で小さな女の子を行かせるってのか?安全を考えろクソッタレ!」

 カルロスがそこまでキレた理由、それはスラム街の危険性を知らないスタッフが視聴率のために輝子をそこに送り込んで取材させることを聞いたからだ。

「日本の芸人なら良くて、女の子じゃダメ、さb」

「死ぬか?」

 スパス15の銃口を突きつけられ一斉に沈黙する。

「BOPEの仕事の一環でスラム街にいる犯罪組織を殲滅させることがあってな、しょっちゅう鉛玉が飛び交っていて危険な状態になる。しかも民間人に当たって死ぬケースもあるんでな。もし輝子が亡くなったら責任取れるのか?」

「・・・すいませんでした・・・しかしこれでは視聴率が」

「だったら、俺が安全で美味しい店を紹介してやるよ」

 カルロスの提案により、治安の安定している日本人街のうどん屋に行くことになった。彼の姿を見た客や店員が笑顔で出迎えてくれた。

「よぉカルロス。3か月ぶりじゃないか!」

「おっちゃん来たぞ。この子は日本から来た」

「・・・輝子。キノコたっぷりうどんちょうだい」

「おぅ待ってな」

 うどん屋の亭主が調理している間、輝子はカルロスにレイモンドの様子を聞く。

「アイツなら今、リスボンで要人の護衛してるハズだぞ。元気にしてるから安心してくれ」

「そうか・・・元気そうなんだ」

「ところでキノコ大好きなんだって?お前は幸運だな、ここのキノコうどんは美味いことで有名なんだぜ?」

「ふひひ・・・楽しみ・・・」

 スタッフに見せたことのない笑顔を浮かべる輝子。レイモンドから彼女のことを聞いているカルロスにとって、怖いものはなかった。

「おっ出来たみたいだな。一口啜ってみな」

 箸で麺を掴み、勢いよく啜る。

「キノコと出汁がマッチしてて、香りが喉から鼻を通って来てる・・・美味しい・・・」

「あたぼうよ、日本で修行してようやく店が出せたんだ。気が済むまで食ってくれ」

 この店は日本でオンエアされ世界中から注目を集めたという。

 

 

 

「カルロスさん、そういえばここら辺じゃ有名なのか?」

「俺か?BOPE時代じゃ悪党共に破壊神と恐れられてたからな。だからと言って子供は絶対に殺さなかったぞ」

 ロケバスの中でも和気あいあいに仲良く話す。

「BOPEって何?」

「ブラジル特殊警察作戦大隊のことで、かなり危険と判断された場合に動く警察の切り札だ。だが、中には犯罪でっち上げで功績伸ばそうとする馬鹿がいるから評判はSWATやGSG-9、GIGNに比べたら悪いかな」

「わからないけど、カルロスさんは良い人だと思う・・・ふひひ・・・」

「可愛い奴め、うれしいこと言ってくれるじゃないか!」

 すると、途中で車が停止した。カメラマンとマイク持ちが一斉に飛び出していき暴行事件の瞬間を撮りに向かう。

「輝子、ここから出るなよ」

 カルロスは急いで車から離れ、二人を追う。予想通り暴行犯に銃で撃たれておりマイク持ちの方が重傷を負っていた。マイク持ちは思った。ブラジルをサッカーとリオのカーニバルしかない国だと思って舐めていたこと、そしてここが死に場所だと。

「動くな、動いたら撃つぞ!」

 カルロスはスパス15を犯人に向けるが、同時に背筋が凍り付いた。犯人の目が細かく動いており、表情も表現できないほど恐ろしい。

(ヤクか・・・だったら)

 暴徒鎮圧弾入りマガジンボックスに入れ替え、犯人に向かって発砲。その威力にダウンした隙に取り押さえることに成功した。

「カメラマン、コイツを押さえてろ!マイクの応急処置を施す!」

 ナイフを抜き、傷口から鉛玉を摘出していく。激痛のあまり暴れ出しそうになるが、必死にこらえている。

「止血はしといた。救急車呼んでくれたみたいだから安静にしておけ」

 

 

 

 後日。輝子の出ているロケは一部カットされて報道され、高視聴率をマークした。だがマイク持ちの男はケガを理由に休職することになり、彼は病院のベッドの上でその放送を寂しそうに見ていたという。




カルロスは今後も出せれば出す予定です
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