レインボーシックス346   作:MP5

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 レインボーの創立者はアメリカ大統領とも太いパイプを持っている。引退した今でも影響力が強い


ミスターC編  英雄の貫禄

 源太はこの日、アナスタシアと泊まりで北海道・小樽を旅行していた。有休で5日間ほど休暇をもらい、それを利用して彼女との時間を大事にすることにしたのだ。

「雪、きれいだね」

「はい。でも、星、見れません」

「確かに残念だけど、今はこの時を楽しもうよ」

 時間の許す限りの自由を満喫する。寿司屋に寄って海の幸を楽しんだり、ガラス工芸に触れたりするうちに一日が過ぎていった。

「あ、君の行きたいところ聞いてなかったね。どこ行きたい?」

「そう、ですね・・・?」

「どうしたの?」

「ウヅキがいます、撮影みたいですね」

「ホントだ。武内の姿はなさそうだな」

 見たところ旅番組の撮影らしく、彼女がケーキ店に入って名物のチーズケーキを頬張っている。源太は卯月の近くにいる壮年の外国人に気づく。観光客らしいがただ者とは思えない気迫を感じる。

(あの男、どこかで見たような・・・)

「源太さん?」

「あ、あぁなんでもない」

 カメラマンがOKサインを出した。卯月は二人に気がつき声をかける。

「あ、アーニャちゃんに、どなたですか?」

「真田源太だ。よろしくね」

 源太の懐に見えた、45Tを見て驚くも平常心を取り戻す。

「ウヅキ。小樽、寒くないですか?」

「はい!とてもいいところです!」

 すると、壮年の外国人がこちらに寄ってきた。

「楽しそうだね。君達はどこから来たの?」

 卯月とアナスタシアは東京と答え、源太は

「UKのヘリフォードから来ました」

「ヘリフォード・・・君、ちょっと良いかね?」

 男に呼ばれ、店を出る。

 

 

 

 

「コードネームR-6。これでわかるかな?」

「!?まさか、あなたは!?」

「ディングから君の話を聞いたよ。なんでも、SAT出身者で一番の腕だってね」

「ジョン・テレンス・ケリー。何故あなたがここに?」

「ただの旅行だよ。いいね小樽は、日本のいいところがたくさんある」

 ドミンゴのことをディングと呼ぶ、このジョン・テレンス・ケリーという男。実はCIAの伝説的秘密諜報員にしてレインボーの立案者にして初代長官だ。源太が入隊するころには退席していたが、彼の功績が今でも語られており、尊敬の対象になっている。源太は思わず敬礼する。

「もう一般人だ。敬礼なんて」

「す、すいません」

「まぁいいよ。ところで、君も旅行かね?」

「はい。休暇が取れたので、恋人と一緒に」

「ほぅ。それにしては、ずいぶん警戒してるようだが?」

 見えていなくても銃を持っていることに気がつく。

「やはり、わかっていましたか」

「仮にもプロだ。気づくよ」

「最近までODTによるテロが勃発していました。残党が各国でまだ残っている可能性もあります、用心に越したことはありません」

「なるほど。頭の固さも話し通りだ」

 返す言葉がない源太。

「まぁどこかで会ったら、ゆっくり話でもしようじゃないか。では、失礼するよ」

 

 

 

 

 店内に戻った源太は、アナスタシアとともにチーズケーキを食べることにした。

「源太さん、どうしました?」

「・・・あぁ、すまない。ちょっとね」

「?また、考えごとですか?」

「わかっちゃうか。そう、俺が君と一緒にいて楽しいのかなってね」

「楽しいです、一緒にいるだけで」

 笑顔で答えるアナスタシア。源太の眼から、知らず知らずに涙がうっすら流れていく。

「泣いてますよ?」

「え・・・俺が、泣いてる?」

「はい。とても悲しい、顔です」

「ごめん、心配させちゃったね」

 涙を拭い、平気なそぶりをするが、やはり先ほどのジョンの言葉が気になって仕方ない。デートなのに何故、ボディーガード紛いなこと考えていたのだろうか。自分でもわからずにいた。

「明日はどこに行こうか、函館はどうかな?」

「私がスカウトされた場所です。案内します、楽しみましょう」

「そうだね」

 

 

 

 

 函館山山頂から見る夜景は、まるで宝石の詰まった箱を開けた際に見える輝きに似ていた。

「・・・日本を代表する夜景、ずっと見たかったんだ」

「見れましたね」

「君と見られるなんて夢みたいだよ」

 ムードをぶち壊しにする足音が聞こえる。

「アーニャ~ゲン兄~」

「未央!お前いつ来たんだ?」

「えへへ、ついさっき」

「・・・あのなぁ大声で呼ぶな。視線を集めてるだろうが」

 未央の元気な声で山頂にいる観光客達が自分たちに視線を向けていた。

「いいじゃん有名人なんだし」

「お前、パパラッチの怖さ知らないな?報道内容によっては街を堂々と歩けない程ヤバいんだぞ」

「ゲン兄さぁ、日本に来たなら連絡の一つや二つ」

「ミオ。話聞いてません」

 ロープウェイ方向からテレビカメラ達が現れる。さすがの源太も諦めかけていた。

「あれ、あの人小樽で会った人じゃないですか?」

「本当だ。あのぅ失礼」

「なんでしょうか?」

「僕達○×テレビの者ですが、出演お願いできますか?アナスタシアさんと是非一緒に」

「・・・俺の顔にモザイク入れるならいいですよ」

「モザイクって・・・相当いい顔なのに何故?」

「プライベートで彼女と一緒に来てるんです、あの子を週刊誌の贄にする気ですか?」

 威嚇的な態度の源太の前に、ジョンが姿を現した。

「出演したらどうかね?話はつけておくよ」

 ジョンに諭され、源太は渋々受けることにした。便乗してか、ジョンも出演することになった。

 

 

 

 

 翌日、最初に出ることになったのは、よりにもよって結婚式場での撮影だった。源太は白のタキシードに着替え、ジョンも黒のタキシードに着替えた。

「ところで、テレビ出演大丈夫ですか?あなたほどの人物がバラエティー番組に出たら、日本政府が驚いて総理大臣すら飛んでくるかもしれません」

「なぁに気にするな。ディングに連絡して政府関係者が出てくることだけは回避できた。それと、輸送部隊が北海道の基地内に既に配備されてるから、非常時に君の武器もすぐに届くよ」

「お見事です」

 アナスタシアが白を基調にしたウエディングドレスを纏って姿を見せた。とても絵になっており、源太も息を飲んだ。

「似合ってますか?」

「・・・つい、見とれちゃった。本当に結婚式の最中みたいだ」

「ここで、発表したいです。源太さんと交際してること」

「ダメ!アイドル続けられないってば!」

 彼女の芸能人生のために、未だに自分達のことを秘密にしている。バレれば、ファンが彼女を襲うことはもちろん、その家族がネットなどのさらし者にされてしまう可能性もあった。

「ん、誰か来たようだ」

 式場を訪れたのは、源太と同じくらいの年齢の若い男。相当ご立腹だった。

「アーニャ、勝手に仕事しちゃだめじゃないか」

「プロデューサー!?」

「それに彼は誰だ?まさか君の男じゃ、ないよね?」

 源太はこのプロデューサーと呼ばれた男に、かすかな不信感を覚えた。彼はアナスタシアのことを本当に心配だから函館に来たということに違和感を覚えたのだ。

「プロデューサーさん、一つ尋ねてもいいかい?」

 ジョンがフランクに尋ねた。

「あなたには関係ないでしょ?部外者は黙ってなさい」

「君、ずっと二人を尾行してたね?どうしてそんなことしたのか、教えてくれないかい?」

「え?俺は聞きつけて」

「確かに君はテレビの人間から出演の話を聞いたかもしれない。でも、彼女のプライベートまでプロデュースするのも仕事かな?」

 源太は恐ろしくなってアナスタシアのスマホを見ることにした。すると、彼女も見覚えのない追跡アプリが入っており、地図データがプロデューサーのスマホに送られていることに気がついた。

「説明、してくれますか?彼女を監視する真似をする理由を」

 実は彼はアナスタシアに好意を抱いていた。以前の仕事の際、アナスタシアのスマホを勝手に覗いたことがあった。待ち受け画面が源太とのツーショット写真だったことに腹を立て、その時に入れたらしい。

「俺は彼女をもっと輝かせたい一心で応援していたんだ。アーニャから飛行機に乗って北海道に行くことを知ったらいてもいられなくて」

「だったらストーカー紛いのことしてもいいのか?本当に彼女のことを信頼していたら、もっと別の行動を取るはずだ。少なくとも追跡アプリなんて入れない」

 ジョンの正論に言い返せないプロデューサー。

「君は実に身勝手だ、心配という名目を使って少女を監視している。それのどこに愛があるんだ!」

 普段冷静なジョンも怒りがこみ上げ怒鳴る。源太も一発殴ってやろうと思ったが、恋人の前で暴力を振るうのは些か気が引けた。

「アンタは彼女の信頼を軽蔑した、本来ならここで殴ってやりたいが我慢してやる。二度とストーカーみたいなことをするな、やってるってわかったら、命がないものと思え」

 

 

 

 

 その後無事に仕事をこなし、北海道旅行も特に問題なく終わった。新千歳空港でジョンを見送ることにした。

「スパシーバ。おかげでアイドル続けられます」

「いいんだ、私はただお節介しただけだから」

「あの、お名前は?」

「私のかい?・・・ジョン・クラークだ、またどこかで会えるといいね。それじゃあ」

 そう言うと、ジョンは人混みの中へ消えていった。

「とても、いい人でした。また、会いたいです」

「そうだね。俺も彼みたいな男になって、そう言われたい」




 出してみました、ミスターC
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